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令和4年資金決済法等改正を踏まえたステーブルコインに関する規制の動向

 令和4年資金決済法等改正を踏まえたステーブルコインに関する規制の動向

2022年7月4日に行われた「見逃せない暗号資産、ステーブルコイン
(フィンテック養成勉強会#23)」で関口 諒 弁護士が講演した「令和4年資金決済法等改正を踏まえたステーブルコインに関する規制の動向」の発表スライドです。
https://fintech-engineer.connpass.com/event/250480/

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  1. 令和4年資金決済法等の改正を
    踏まえたステーブルコインに
    関する規制の動向
    令和4年7月4日
    1
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  2. ⓒHori & Partners All rights reserved
    2
    弁護士 関 口 諒 (堀総合法律事務所)
    Tel 03(5275)2261 / E-mail [email protected]
    略歴:
    • 2012年 慶応義塾大学法科大学院修了
    • 2013年より堀総合法律事務所にて執務
    • 2015年より外資系金融機関(銀行/証券会社)に出向
    • 2019年 カリフォルニア大学バークレー校法科大学院 修了(LL.M.)
    • 2019年 米国Smith, Gambrell & Russell 法律事務所に出向
    • 2019年 New York州 司法試験合格
    銀行、信託会社、証券会社、アセマネ、ベンチャーキャピタル、保険会社、決済事業者等の金融法務を幅広く担当
    著書に、「詳解信託判例」(きんざい、共著)、「START UP 金融法務入門」(経済法令研究会、共著)、「Q&A債権法改正 かわ
    る金融取引」(金融財政事情研究会、共著)、「海外の決済関連サービスの我が国での適応可能性―事業面および法規制面か
    らの検討―」(金融法務事情Vol.2126、共著)、「海外の保険テックサービスの我が国での適応可能性―事業面および法規制
    面からの検討―」(金融法務事情Vol.2127、共著)等がある。
    名刺情報はこちらをスキャンしてください

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  3. 1.決済サービスにおける
    現行の法規制の全体像
    3
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  4. ⓒHori & Partners All rights reserved
    4
    サービスの種類(例) 適用されうる法律 法律上の位置付け 必要なライセンス



    送金サービス
    銀行法
    資金決済法
    為替取引
    銀行業の免許
    資金移動業の登録
    電子マネー(払戻可能)
    銀行法
    資金決済法
    為替取引
    銀行業の免許
    資金移動業の登録
    電子マネー(払戻不可) 資金決済法 前払式支払手段
    自家型前払式支払手段発行者の届出
    第三者型前払式支払手段発行者の登録




    口座振替 銀行法 預金の受入れ 銀行業の免許
    デビットカード発行 銀行法 預金の受入れ 銀行業の免許
    一定の収納代行
    銀行法
    資金決済法
    為替取引
    銀行業の免許
    資金移動業の登録



    送金サービス
    銀行法
    資金決済法 (+ 貸金業法)
    為替取引 (+ 資金(金銭)の貸付)
    銀行業の免許
    資金移動業の登録(+貸金業の登録)
    クレジットカード発行 割賦販売法 包括信用購入あっせん
    包括信用購入あっせん業者の登録
    少額包括信用購入あっせん業者の登録
    電子マネー 割賦販売法 包括信用購入あっせん
    包括信用購入あっせん業者の登録
    少額包括信用購入あっせん業者の登録

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  5. 資金移動業者
    前払式支払手段発行者
    (自家型)
    前払式支払手段発行者
    (第三者型)
    包括信用購入
    あっせん業者
    少額包括信用購入
    あっせん業者
    参入形式 登録制 / 認可制 届出制 登録制 登録制 / 認定制 登録制
    決済上限額
    制限なし
    100万円
    5万円
    制限なし 制限なし 制限なし 極度額10万円
    資金
    の受入れ
    受入上限
    制限なし
    制限なし
    5万円
    制限なし 制限なし N/A N/A
    保全方法 供託等義務(全額) 供託等義務(半額) 供託等義務(半額) N/A N/A
    財務
    適正かつ確実な遂行
    に必要な財産的基礎
    特になし
    最低純資産額
    原則1億円
    最低資本金額2000万円
    純資産≧資本金×90/100
    純資産≧0 + α
    現金化の可否 可 原則不可 原則不可 不可 不可
    マネロン対応
    (取引時確認)
    要 不要 不要 要 要
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    5
    金融審議会「金融制度スタディ・グループ(平成30事務年度)第8回事務局説明資料)3頁を基に講師にて作成

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  6. 2.令和4年資金決済法等の改正
    の全体像
    6
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  7. 成立に至る過程
    ・ 令和3年9月13日付の諮問により、 「金融審議会 資金決済ワーキング・グループ 」の設置
    ・ 令和4年1月11日: 「金融審議会 資金決済ワーキング・グループ 報告」(以下「報告書」)の公表
    → 主な内容は次のとおり
    1.銀行等におけるAML/CFTの高度化・効率化に向けた対応
    2.金融サービスのデジタル化への対応
    ① 電子的支払手段に関する規律
    ② 前払式支払手段に関するAML/CFTの観点からの規律
    ・ 令和4年3月4日: 法案提出
    ・ 令和4年6月3日: 成立 ⇒ 同年6月10日: 公布
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  8. 令和4年資金決済法等の改正の全体像
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    【「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」第5回事務局説明資料7頁を引用】
    https://www.fsa.go.jp/singi/digital/siryou/20220606/jimukyoku.pdf

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  9. 3.電子決済手段(ステーブルコイン等)
    に関する改正
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  10. 電子決済手段に関する規制の背景
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    ・ 送金・決済分野において法定通貨と価値の連動等を目指すステーブルコインを用いた取引が米国等で拡大
    ・ ステーブルコインのユースケースを見ると・・・
    - 顧客資金を適切に保全していない事業者/パーミッションレス型分散台帳上での流通ゆえにマネロンリスクが高い
    ・ 利用者保護・AML/CFTの課題に対応する形での証券決済・企業間決済における利用を目指して実証実験等
    → 将来的に幅広い分野で送金・決済手段として用いられる可能性がある
    ・ 国際的には、G20・FATF等において、グローバルステーブルコインへの対応についての議論
    ※ FSB「『グローバル・ステーブルコイン』の規制・監督・監視-最終報告とハイレベルな勧告」(2020年10月) etc.
    ・ 国際的な検討において、グローバルステーブルコインの提供前に各国がルール整備を行う必要性も指摘される
    → EU: 2020年9月にステーブルコインを含む暗号資産の規制案を公表
    → 米国: 2021年11月に大統領金融市場作業部会が決済用ステーブルコインの発行者を銀行等に限定する等の
    規制方針等を示した報告書を公表

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  11. https://www.fsa.go.jp/common/diet/208/03/setsumei.pdf
    11
    【金融庁国会提出法案(令和4年3月4日提出)に関する説明資料5頁を引用】

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  12. ~電子決済手段の範囲~
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  13. ステーブルコインの分類
    ① デジタルマネー類似型: 法定通貨の価値と連動した価格で発行され、発行価格と同額での償還を約するもの
    ※ 「準ずるもの」を含む: 実質的に発行者(or発行者から買取資金の提供を受けた第三者)が償還を約しているもの
    ※ 複数通貨バスケットに価格が連動するもので、発行価格と同額の複数通貨バスケットで償還されるものも含む
    → 資金決済法上の「通貨建資産」に該当し、暗号資産には該当しない
    → デジタルマネー類似型のステーブルコインの発行は基本的に「為替取引」に該当する
    = 発行業務を行えるのは基本的に銀行又は資金移動業者
    ② 暗号資産型: 上記①以外 (アルゴリズムで価値の安定を試みるもの等)
    ※ 暗号資産と価値が連動するステーブルコインも「暗号資産型」に該当しうる
    → 資金決済法上の「暗号資産」 or 金商法上の「有価証券」に該当しうる
    = 発行業務には、暗号資産交換業者としての規制 or 金商法の発行規制が適用される可能性あり
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    13
    資金決済WG第5回資料2では、
    利用実態や諸外国の動向も踏まえ、
    日本においても規制の在り方を
    引き続き検討とされている

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  14. 電子決済手段の意義
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    ・ 電子決済手段 (改正資金決済法2条5項)
    ① 次の要件を満たすもの
    a. 物品等を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用可能
    b. 不特定の者を相手方として購入・売却を行うことができる財産的価値
    c. 電子機器その他の物に電磁的方法により記録されている通貨建資産
    d. 電子情報処理組織を用いて移転可能
    e. 有価証券、電子記録債権、前払式支払手段その他これらに類するものとして内閣府令で定めるものでないこと
    ※ 流通性その他の事情を勘案して内閣府令で定めるものはe.を満たす
    ② 次の要件を満たすもの
    a. 不特定の者を相手方として上記①に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値
    b. 電子情報処理組織を用いて移転可能
    c. 下記③に不該当
    ③ 特定信託受益権
    ④ 上記①~③に掲げるものに準ずるものとして内閣府令で定めるもの

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  15. 電子決済手段の定義
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    【類型①のポイント】
    ・ 代価の弁済のために「不特定の者」に対して使用可能 / 「不特定の者」を相手方として購入等が可能
    → 「不特定」の該当性は実態に即して個別具体的な判断になると考えられる(暗号資産の場合と同様)
    → 一定の登録を受けた者などに限定されていても、広く転々流通が見込まれる場合は該当しうる
    → 銀行発行の電子マネーは預金債権 = 移転は預金債権の消滅+発生 = 預金債権が購入等の対象ではない
    = 資金移動業者発行の電子マネーの移転を、未達債務に係る債権の消滅+発生とする場合も同様
    ・ 有価証券・電子記録債権・前払式支払手段・これらに類するものとして内閣府令で定めるものでないこと
    → 有価証券・電子記録債権・前払式支払手段は基本的に電子決済手段に該当しない
    → 「内閣府令で定めるもの」 ⇒ 現時点では不明
    → 有価証券・電子記録債権・前払式支払手段でも流通性等を勘案して内閣府令で定めるものは該当しうる
    ※ 報告書を参考にすると、発行者がパーミッションレス型の分散台帳で不特定の者に対して流通可能な仕様で発行し、
    発行者や加盟店以外の不特定の者に対する送金・決済手段として利用できる前払式支払手段

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  16. 電子決済手段の定義
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    【類型③のポイント】
    ・ 特定信託受益権は次の要件を満たすもの
    a. 金銭信託の受益権
    b. 電子情報処理組織を用いて移転可能な財産的価値
    c. 電子機器その他の物に電子的方法により記録されるもの
    d. 受託者が信託契約により受け入れた金銭の全額を預貯金により管理するものであること
    e. その他内閣府令で定める要件を満たすものであること
    → 報告書は、「銀行に対する要求払預金を信託財産とした受益証券発行信託の信託受益権」を指摘

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  17. 電子決済手段の定義
    【参考】 信託を利用する場合の金商法に基づく開示規制等の適用
    ・ 特定信託受益権であって、有価証券とみなさなくとも公益・投資者保護に支障を生ずることがないもの
    → 政令で定められる ⇒ 「みなし有価証券」から除外
    = 投資判断に有益な情報を提供するという金融商品取引法上の開示規制
    投資者保護・資本市場の健全性確保のための諸規制
    ※ 報告書でも必要な利用者保護措置を講じることの必要性は指摘されており、それを踏まえた政令の定めが見込まれる
    Ex. 信託財産の全額を円建ての要求払預金で管理することを必要とすること等
    → こうした措置により、信用リスク・金利リスク・流動性リスク・為替リスクといったリスクを最小化・明確化
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    適用除外となる

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  18. 電子決済手段の定義
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    【類型④のポイント】
    ・ 内閣府令で定めるものの内容は現時点では不明
    → ステーブルコインは通貨建資産というイメージだが・・・
    ※ 通貨建資産: 法定通貨にて表示 or 法定通貨又は通貨建資産での償還約束
    ⇒ 資金決済法の「暗号資産」の定義で「電子決済手段(通貨建資産・・・を除く)」との記載
    = 類型④の電子決済手段として通貨建資産でない電子決済手段を想定しているのか?
    = アルゴリズムで価値の安定を図るタイプは暗号資産に位置付けられるとされているので・・・
    = 発行量の調整によって発行総額以上の担保資産を確保して通貨建で「償還約束」をするもの?

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  19. ~発行者と仲介者の分離~
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  20. 発行者と仲介者の分離に伴う課題
    ・ 電子的支払手段を用いた送金・決済サービスにおけるサービス提供者が果たす機能は・・・
    ① 発行・償還・価値安定の仕組みの提供(裏付資産の管理・カストディサービスを含む)
    ② 移転(取引の検証メカニズムを含む)
    ③ 管理・取引のための顧客接点(顧客に対するカストディサービス、取引のためのアプリ提供を含む)
    ・ 現行のデジタルマネーに関する法制度は、①~③につき発行者が責任をもつことを前提
    → ①発行等の機能と②③移転・管理の機能は、金融規制監督上求められる規律が異なる
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    ・ 発行者と仲介者の機能を分離した形態の送金・決済サービスを可能とする法制度の構築を検討
    ※ FSBの勧告を踏まえ、全体として、利用者の権利義務の明確化や、説明責任の所在を明確にするための包括的なガバナンス
    フレームワークの構築等を求めることが考えられる
    FSB「『グローバル・ステーブルコイン』の規制・監督・監視-最終報告とハイレベルな勧告」(2020年10月)

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  21. ~発行者に関する規制~
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  22. 「発行者」に求められる規律
    ・ 報告書では発行者の機能に関しては次の点が重要との指摘
    → 「利用者の発行者に対する償還請求権の明確化」 & 「発行者・仲介者破綻時の償還請求権の保護」
    ・ 発行者と仲介者の分離を前提とすると次のような仕組みが考えられる
    ① 銀行の口座振替時における預金債権の発生・消滅についての現行実務を前提としたもの
    → 銀行から代理権を付与された仲介者が、個々の利用者の持分を管理し、振り替える仕組み
    ※ 発行者である銀行は総額のみを管理
    ② 資金移動業者の未達債務とするもの
    → 資金移動業者から代理権を付与された 仲介者が、個々の利用者の持分を管理し、振り替える仕組み
    ※ 発行者である資金移動業者は総額のみを管理 ※ 滞留規制との関係を整理することは必要
    ③ 信託受益権を利用するもの
    → 受益証券発行信託において、銀行に対する要求払預金を信託財産とした信託受益権を仲介者が販売・移転する仕組み
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    ① 銀行型
    ② 資金移動業者型
    ③ 信託型

    いずれについても
    ライセンスが必要

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    「発行者」に求められる規律
    【金融審議会「資金決済ワーキング・グループ」第3回資料2-1の12頁を引用】

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  24. 「発行者」に求められる規律
    ・ 上記①~③における破綻時の利用者保護の枠組みは次のとおり
    ① 銀行の口座振替時における預金債権の発生・消滅についての現行実務を前提としたもの
    → 現行の預金保険制度における取扱いと同様に、発行者である銀行の破綻時には、一般預金等又は決済用預金として保護される
    ② 資金移動業者の未達債務とするもの
    → 発行者である資金移動業者の破綻時には、供託等によって利用者資産が保全される
    ③ 信託受益権を利用するもの
    → 発行者である信託会社の破綻時には、信託により利用者資産は倒産隔離されている
    ※ いずれの場合も、仲介者が帳簿管理をしている場合、速やかな破綻処理のための帳簿の連携が必要
    発行者と仲介者間の契約で、平時においても、発行者が預金者・預金額を把握できるようにすることが必要
    ※ いずれの場合も、権利移転の際に実務上の問題が発生しないようにすることが必要(報告書脚注85)
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    「発行者」に求められる規律
    【金融審議会「資金決済ワーキング・グループ」第3回資料2-1の13頁を引用】

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  26. 電子決済手段の「発行者」に対する規制
    ・ 現行法上は、電子的支払手段を発行・償還する行為は基本的には「為替取引」に該当する
    ⇒ 銀行業の免許 or 資金移動業者の登録が必要
    ・ 今回の改正法で信託受益権を用いる仕組み(信託会社が発行者となる仕組み)を新設
    → 信託会社は本来は為替取引を行うことができないが・・・
    ⇒ 特定信託会社は特定信託為替取引に係る営業を行うことが可能に(改正資金決済法37条の2)
    ※ 届出は必要 (改正資金決済法37条の2第3項)
    ※ 特定信託会社
    = 特定信託受益権を発行する信託会社・外国信託会社であって、政令で定める要件を満たすもの
    ※ 特定信託為替取引
    = 特定信託受益権の発行による為替取引
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  27. ~仲介者に関する規制~
    (電子決済手段等取引業者)
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  28. 電子決済手段の「仲介者」に関する規制(電子決済手段等取引業)
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    ・ 電子決済手段の仲介に係る規制対象として「電子決済手段等取引業者」の概念を新設
    ・ 電子決済手段等取引業: 次のいずれかを業として行うこと(改正資金決済法2条10項)
    ① 電子決済手段の売買又は他の電子決済手段との交換
    ② 上記①に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理
    ③ 他人のために電子決済手段の管理をすること
    (その内容等を勘案し、利用者保護に欠けるおそれが少ないものとして内閣府令で定めるものを除く)

    資金移動業者の委託を受けて、当該資金移動業者に代わって利用者との間で次に掲げる行為のいずれかを
    電子情報処理組織を使用する方法により行うことについて合意をし、かつ、当該合意に基づき為替取引に
    関する債務に係る債権の額を増加させ、又は減少させること
    イ 当該契約に基づき資金を移動させ、当該資金の額に相当する為替取引に関する債務に係る債権の額を
    減少させること
    ロ 為替取引により受け取った資金の額に相当する為替取引に関する債務に係る債権の額を増加させること
    電子決済手段の交換等
    電子決済手段の管理

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  29. 電子決済手段等取引業者に関する規制(参入規制)
    ・ 登録制(改正資金決済法62条の3)
    ・ 登録におけるポイント
    - 株式会社 or 国内に営業所を有する外国電子決済手段等取引業者であることが必要
    - 外国電子決済手段等取引業者の場合は国内に住所を有する代表者が必要
    - 電子決済手段等取引業を適正かつ確実に遂行するために必要と認められる基準に適合する財産的基盤(内閣府令)
    - 電子決済手段等取引業を適正かつ確実に遂行する体制の整備 = 他の法令の遵守を含む
    - 適用される資金決済法の規定を遵守するために必要な体制の整備
    - 認定資金決済事業者協会に加入しない法人は、当該協会の定款その他の規則に準ずる内容の社内規則等の制定
    及び当該社内規則等を遵守するための体制の整備
    - 取り扱う電子決済手段の名称等 → 取扱いのための審査が必要/不適切なステーブルコインは取扱不可
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  30. 電子決済手段等取引業者に関する規制(参入規制)
    ・ 変更登録(改正資金決済法62条の7第1項)
    → 27頁④(資金移動業者の委託を受けて行う仲介業務)と電子決済手段関連業務の間の種別の変更は変更登録必要
    ※ 電子決済手段関連業務: 27頁① + 27頁② + 27頁③
    ・ 変更届出(事前届出)(改正資金決済法62条の7第3項)
    - 電子決済手段関連業務を行う場合は、取り扱う電子決済手段の変更/発行者の名称・住所の変更
    - 27頁④(資金移動業者の委託を受けて行う仲介業務)を行う場合は、資金移動業者の商号・住所の変更
    - 電子決済手段等取引業の内容及び方法の変更
    ・ 変更届出(事後届出)(改正資金決済法62条の7第4項)
    - 上記の変更登録/事前変更届出の対象以外の登録申請書記載事項 ⇒ 遅滞なく届出
    例: 電子決済手段関連業務(25頁①、25頁②、25頁③)の間での種別の変更 etc.
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  31. 電子決済手段等取引業者に関する規制(行為規制)
    【情報の安全管理義務】 改正資金決済法62条の10
    ・ 電子決済手段等取引業者は・・・
    → 内閣府令で定めるところにより、電子決済手段等取引業に係る情報の漏えい、滅失又は毀損の防止
    その他の当該情報の安全管理のために必要な措置を講じなければならない
    ⇒ 具体的な内容は内閣府令に委ねられるが、以下のような内容が定められることが想定される
    - 電子決済手段等取引業に係る電子情報処理組織の管理を十分に行うための措置
    - 個人利用者に関する情報の安全管理、従業者の監督、当該情報の取扱いを委託する場合は委託先の監督
    について、情報の漏えい、滅失又は毀損の防止を図るために必要かつ適切な措置
    - 個人利用者に関する特別の非公開情報を、適切な業務の運営の確保その他必要と認められる目的以外の目的
    のために利用しないことを確保するための措置
    ※ 仲介者について兼業規制をしない場合、顧客の非公開情報等を、顧客の同意なく兼業との間で相互利用することは禁止する?
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  32. 電子決済手段等取引業者に関する規制(行為規制)
    【委託先に対する指導】 改正資金決済法62条の11
    ・ 電子決済手段等取引業者は、電子決済手段等取引業の一部を第三者に委託したときは・・・
    → 内閣府令で定めるところにより、当該委託業務の委託先に対する指導その他の当該業務の適正かつ確実な遂行
    を確保するために必要な措置を講じなければならない
    【利用者の保護等に関する措置】 改正資金決済法62条の12
    ・ 電子決済手段等取引業者は・・・
    → 内閣府令で定めるところにより、電子決済手段等取引業の利用者の保護を図り、電子決済手段等取引業の適正かつ
    確実な遂行を確保するために必要な措置を講じなければならない
    - 電子決済手段等取引業と、銀行・資金移動業者・特定信託会社が行う業務との誤認を防止するための説明
    - 電子決済手段の内容、手数料その他の電子決済手段等取引業に係る契約の内容についての情報提供
    ⇒ 具体的な内容は内閣府令に委ねられるが、上記のほか次の措置も想定される
    - 利用者保護上、問題のある電子的支払手段を取り扱わないために必要な措置 / 不正利用時の補償方針の策定等
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  33. 電子決済手段等取引業者に関する規制(行為規制)
    【金銭等の預託の禁止】 改正資金決済法62条の13
    ・ 電子決済手段等取引業者は、名目を問わず、その行う電子決済手段等取引業に関して、次の行為は禁止
    - 利用者から金銭その他の財産(電子決済手段を除く)の預託を受けること
    - 密接関係者に利用者の金銭その他の財産を預託させること
    = 発行見合い資金は発行者が管理することを想定している
    ・ ただし、内閣府令で例外が規定される見込み
    → 資金移動業者に対する入金が想定されるところ、その収納代行も不可と想定しているように見受けられるが・・・
    ⇒ 報告書では、仲介者が、発行者に代わって金銭を受領し、当該資金を速やかに発行者に受け渡す場合を例外として指摘
    この場合、仲介者の資金と利用者の資金の分別管理 / 定期的な帳簿の連携 を求める?
    ⇒ 償還の場合はどのように取り扱われるのか不明
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  34. 電子決済手段等取引業者に関する規制(行為規制)
    【利用者財産の分別管理】 改正資金決済法62条の14
    ・ 電子決済手段等取引業者は、電子決済手段等取引業に関して、内閣府令で定めるところにより・・・
    → 電子決済手段等取引業の利用者の電子決済手段と自己の電子決済手段を分別管理する義務
    ⇒ 具体的な分別管理方法は内閣府令で定められる
    → 上記の管理状況について、定期に、公認会計士又は監査法人の監査を受ける義務
    ⇒ 頻度についても内閣府令で定められる見込み
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  35. 電子決済手段等取引業者に関する規制(行為規制)
    【発行者等との契約締結義務】 改正資金決済法62条の15
    ・ 電子決済手段等取引業者は、電子決済手段等取引業を行う場合・・・
    → 電子決済手段の発行者との間で、内閣府令で定める事項を定めた契約を締結し、
    → 当該契約に従って当該発行者に係る電子決済手段等取引業を行わなければならない
    ⇒ 契約で定めるべき事項は内閣府令で定められる
    Ex. 利用者に損害が発生した場合の、電子決済手段等取引業者と発行者の賠償責任の分担
    = 原則仲介者一次補償 + 疎明求償 という方向性になりそうか?
    ・ ただし、内閣府令で定める場合は上記の契約締結義務なし
    ⇒ 契約締結義務の適用除外についても内閣府令で定められる
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  36. 電子決済手段等取引業者に関する規制(行為規制)
    【指定紛争解決機関との契約締結義務】 改正資金決済法62条の16
    ・ 電子決済手段等取引業者は、次の区分に応じた措置を講じなければならない
    ① 指定紛争解決機関が存在する場合
    → 指定紛争解決機関との間で手続実施基本契約を締結
    ② 指定紛争解決機関が存在しない場合
    → 電子決済手段等取引業に関する苦情処理措置 + 紛争解決措置
    【金商法の準用】 改正資金決済法62条の17
    ・ 特定電子決済手段取引契約については、金商法の行為規制に関する規定が準用される
    ※ 特定電子決済手段等取引契約: 通貨の価格その他の指標の変動によりその価格が変動するおそれがある電子決済手段
    として内閣府令に定めるものに係る電子決済手段関連業を行うことを内容とする契約
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  37. 電子決済手段等取引業者に関する規制(行為規制)
    【犯収法に基づく義務】
    ・ 電子決済手段等取引業者は「特定事業者」に該当(改正犯収法2条2項31号の2)
    ⇒ 取引時確認義務 / 確認記録・取引記録の作成・保存義務 / 疑わしい取引の届出義務
    ・ コルレス契約締結時の体制等の確認義務(改正犯収法10条の2)
    ⇒ 電子決済手段等取引業者/みなし電子決済手段等取引業者は、外国所在電子決済手段等取引業者との間で
    電子決済手段の移転を継続的又は反復して行うことを内容とする契約を締結するに際しては、次の事項を確認
    - 当該外国所在電子決済手段等取引業者が取引時確認等相当措置を的確に行うために必要な基準として犯収法施行規則に
    定める基準に適合する体制を整備していること
    - 当該外国所在電子決済手段等取引業者が、外国所在電子決済手段等取引業者であって監督を受けている状態にないもの
    との間で電子決済手段の移転を継続的に又は反復して行うことを内容とする契約を締結していないこと
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  38. 電子決済手段等取引業者に関する規制(行為規制)
    【犯収法に基づく義務】 (続き)
    ・ トラベルルール(改正犯収法10条の3)
    ⇒ 電子決済手段等取引業者等は、顧客から依頼を受けて電子決済手段の移転を行う場合において・・・
    - 当該移転を受取顧客に対して行うときは、当該依頼を行った顧客に係る本人特定事項その他の犯収法施行規則
    で定める事項を、当該受取顧客のために当該移転に係る電子決済手段を管理する他の電子決済手段等取引業者
    等に対して通知しなければならない
    - 受取顧客に対する当該移転を他の電子決済手段等取引業者に委託するときは、当該依頼を行った顧客に係る
    本人特定事項その他の犯収法施行規則で定める事項を、当該委託を受けた者に通知しなければならない
    = 電子決済手段の内国移転でもトラベルルール(通知義務)が課される点が特徴
    ※ 電子決済手段等取引業者等 = 電子決済手段等取引業者 + みなし電子決済手段等取引業者
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  39. 電子決済手段等取引業者に関する規制(行為規制)
    ・ トラベルルール(改正犯収法10条の3) (続き)
    ⇒ 電子決済手段等取引業者等は、他の電子決済手段等取引業者等から通知を受けて電子決済手段
    の移転の委託又は再委託を受けた場合において・・・
    - 当該移転を受取顧客に対して行うときは、当該通知に係る事項を、当該受取顧客のために当該移転に係る
    電子決済手段の管理をする他の電子決済手段等取引業者等に通知しなければならない
    - 受取顧客に対する当該移転を他の電子決済手段等取引業者等に再委託するときは、当該再委託先に
    通知しなければならない
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  40. 電子決済手段等取引業者に関する規制(発行者兼仲介者)
    ・ 電子決済手段の発行者が当該電子決済手段の仲介者である場合の特例(改正資金決済法62条の8)
    ⇒ 電子決済手段の発行者は、銀行/資金移動業者/特定信託会社のライセンスが必要
    ⇒ 発行者は・・・
    - 銀行又は資金移動業者であって、一定の電子決済手段等取引業者の欠格事由に該当しない場合には、
    ※ 過去5年以内に電子決済手段等取引業者の登録取消しを受けていないこと等
    - 自己の発行する電子決済手段について
    - 電子決済手段等取引業者業の登録なく、電子決済手段関連業務を行うことができる
    ⇒ ただし、届出は必要 / 電子決済手段等取引業者に係る行為規制が基本的に適用される
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  41. ~仲介者に関する規制~
    (電子決済等取扱業者)
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  42. 電子決済手段の「仲介者」に関する規制(電子決済等取扱業)
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    ・ 電子決済手段の仲介に係る規制対象として銀行法にて「電子決済等取扱業者」の概念を新設
    ・ 電子決済等取扱業: 次のいずれかを業として行うこと(改正銀行法2条17項)

    銀行の委託を受けて、当該銀行に代わって当該銀行の預金者との間で次に掲げる行為のいずれかを
    電子情報処理組織を使用する方法により行うことについて合意をし、かつ、当該合意に基づき預金債権の額を
    増加させ、又は減少させること
    イ 当該口座に係る資金を移動させ、当該資金の額に相当する預金債権の額を減少させること
    ロ 為替取引により受け取った資金の額に相当する預金債権の額を増加させること
    = 銀行に代わって為替取引の指図の承諾まで行うという位置づけになる?

    電子決済等関連預金媒介業務
    = 上記①の行為に関して、委託銀行のために預金の受入れを内容とする契約の締結の媒介をすること

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  43. 電子決済等取扱業者に関する規制(参入規制)
    ・ 登録制(改正銀行法52条の60の3)
    ・ 登録におけるポイント
    - 株式会社 or 国内に営業所を有する外国電子決済等取扱業者であることが必要
    - 外国電子決済等取扱業者の場合は国内に住所を有する代表者が必要
    - 電子決済等取扱業を適正かつ確実に遂行するために必要と認められる基準に適合する財産的基盤(内閣府令)
    - 電子決済等取扱業を適正かつ確実に遂行する体制の整備
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  44. 電子決済等取扱業者に関する規制(参入規制)
    ・ 変更届出(事前届出)(改正銀行法52条の60の7第1項)
    - 委託銀行の商号
    - 電子決済等取扱業の内容及び方法の変更
    ※ ただし、内閣府令で定める場合を除く
    ・ 変更届出(事後届出)(改正銀行法52条の60の7第2項)
    - 上記の事前変更届出の対象以外の登録申請書記載事項
    例: 商号・住所、資本金の額、役員の氏名花山瑞貴 etc.
    ⇒ 変更の生じた日から30日以内の届出
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  45. 電子決済等取扱業者に関する規制(参入規制の特例)
    ・ 電子決済等取扱業者の登録を受けた場合・・・
    → 銀行代理業の許可なく、電子決済等取扱業として委託銀行のために預金の受入れを内容とする
    契約の締結の媒介を行うことができる (改正銀行法52条の60の3)
    → 一定の欠格事由に該当しなければ、電子決済等代行業者の登録なく、委託銀行に預金口座を開設
    している電子決済等取扱業者の電子決済等取扱業に係る顧客の委託を受けて行うものに限り、
    当該委託銀行に係る電子決済等代行業を営むことができる (改正銀行法52条の60の8)
    ※ ただし、届出は必要
    ※ また、電子決済等代行業者に係る行為規制が基本的に適用される
    ※ 登録なくして電子決済等代行業務を行える範囲は「委託銀行に係る」ものに限定される点に注意
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  46. 電子決済等取扱業者に関する規制(行為規制)
    【顧客に対する説明等】 改正銀行法52条の60の11第1項
    ・ 電子決済等取扱業者は、電子決済等取扱業を行うときは、あらかじめ、顧客に対して次の事項を明示
    - 電子決済等取扱業者の商号及び住所
    - 電子決済等取扱業者の権限に関する事項
    - 電子決済等取扱業者の損害賠償に関する事項
    - 電子決済等取扱業に関する顧客からの苦情・相談に応ずる営業所の連絡先
    - 委託銀行の商号
    - その他内閣府令で定める事項
    ※ ただし、内閣府令で定める場合を除く
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  47. 電子決済等取扱業者に関する規制(行為規制)
    【顧客に対する説明等】 (続き) 改正銀行法52条の60の11第2項
    ・ 電子決済等取扱業者は、電子決済等取扱業に関し、内閣府令で定めるところにより、次の措置を講じる
    - 電子決済等取扱業と銀行が営む業務との誤認を防止するための情報の顧客への提供
    - 電子決済等取扱業に関して取得した顧客に関する情報の適正な取扱い及び安全管理
    - 電子決済等取扱業務の一部を第三者に委託する場合における当該業務の的確な遂行を確保する措置
    - その他の健全かつ適切な運営を確保するための措置
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  48. 電子決済等取扱業者に関する規制(行為規制)
    【金銭等の預託の禁止】 改正銀行法52条の60の13
    ・ 電子決済等取扱業者は、名目を問わず、その営む電子決済等取扱業に関して、次の行為は禁止
    - 顧客から金銭その他の財産(電子決済手段を除く)の預託を受けること
    - 密接関係者に顧客の金銭その他の財産を預託させること
    → ただし、内閣府令で例外が規定されることが想定される
    ⇒ 銀行に対する入金が想定されるところ、その収納代行も不可と想定しているように見受けられる
    = 内閣府令の例外規定の内容を注視する必要あり
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  49. 電子決済等取扱業者に関する規制(行為規制)
    【発行者等との契約締結義務】 改正銀行法52条の60の14
    ・ 電子決済等取扱業者は、電子決済等取扱業を営む場合・・・
    → 委託銀行との間で契約を締結し、これに従って当該委託銀行に係る電子決済等取扱業を行う
    ⇒ 契約で定めるべき事項は内閣府令で定められる
    Ex. 顧客に損害が発生した場合の電子決済等取扱業者と委託銀行の賠償責任の分担
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  50. 電子決済等取扱業者に関する規制(行為規制)
    【指定紛争解決機関との契約締結義務】 改正銀行法52条の60の15
    ・ 電子決済等取扱業者は、次の区分に応じた措置を講じなければならない
    ① 指定紛争解決機関が存在する場合
    → 指定紛争解決機関との間で手続実施基本契約を締結
    ② 指定紛争解決機関が存在しない場合
    → 電子決済等取扱業に関する苦情処理措置 + 紛争解決措置
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  51. 電子決済等取扱業者に関する規制(行為規制)
    【禁止行為】 改正銀行法52条の60の16
    ・ 電子決済等取扱業者は、電子決済等取扱業に関して、次の行為は禁止
    ① 顧客に対して虚偽のことを告げる行為
    ② 顧客に対して、
    → 不確実な事項について断定的判断の提供 or 確実であると誤認させるおそれのあることを告げる行為
    ③ 内閣府令で定める行為
    【金商法の準用】改正銀行法52条の60の17
    ・ 特定預金等契約に係る電子決済等関連預金媒介業務ついては、金商法の行為規制に関する規定が準用
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  52. 電子決済等取扱業者に関する規制(行為規制)
    【犯収法に基づく義務】
    ・ 電子決済等取扱業者は「特定事業者」に該当(改正犯収法2条2項31号の3)
    ⇒ 取引時確認義務 / 確認記録・取引記録の作成・保存義務 / 疑わしい取引の届出義務
    【預金保険法に基づく義務】
    ・ 預金保険機構は、保険事故発生時に、預金等に係る債権額の把握のため、金融機関に情報提供を要請
    → 当該金融機関を委託金融機関とする電子決済等取扱業者は、委託金融機関の求めに応じて、
    当該委託金融機関に対して情報提出する義務を負う(改正預金保険法55条の2第4項)
    ・ 金融機関は、保険事故への対処に必要な措置の円滑な実施の確保のため、電子情報処理組織の整備
    その他の措置を実施
    → 電子決済等取扱業者も、金融機関が上記の措置を講ずるために必要な電子情報処理組織の整備
    その他の措置を実施 (改正預金保険法58条の3第2項)
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  53. ~改正に関する他の論点~
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  54. 海外発行のステーブルコインの日本への持込み
    ・ 海外の発行者が海外発行の電子決済手段を日本国内向けにも発行・償還できるか?
    → 電子決済手段の発行・償還は「為替取引」に該当
    = 銀行型なら銀行業の、資金移動業者型なら資金移動業の、信託型なら信託業のライセンス必要
    ⇒ 海外の発行者が日本のライセンスを取得することとなりハードルが非常に高い
    ・ 海外の発行者が海外発行の電子決済手段について日本国内向けの償還のみ行う場合はどうか?
    → 電子決済手段の発行・償還は「為替取引」に該当するが、償還のみの場合は「為替取引」該当性が不明
    ⇒ 発行は海外向けのみ、ただ、日本への移転があった場合に、日本の金融機関を通じて償還を行うというものであれば、
    「為替取引」に該当しないという整理は検討の余地があるようにも思われる
    ⇒ 一方で、発行者の委託を受けて残高の増減を行う業務を規制対象とする銀行法・資金決済法の条文からすると、
    発行者として銀行 or 資金移動業者のみを想定しており、海外発行者の償還は無規制との想定ではないようにも思える
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  55. 海外発行のステーブルコインの日本への持込み
    ・ 仲介者規制の下、発行者以外の者が海外発行の電子決済手段を日本国内で取り扱うことができるか?
    → 発行価格と同額での償還等を約している電子決済手段の性格等を踏まえると・・・
    → 発行者の破綻時等に利用者資産が適切に保護され、利用者が円滑に償還を受けられることが重要
    ⇒ 報告書では、基本的に、国内において発行者の拠点や資産保全等がなされることを求める
    = これは、国内流通させるには、発行者が日本のライセンスを取得していることを前提とする趣旨か?
    = 日本のライセンスまでは不要としても国内拠点・資産保全等が必要という趣旨か?
    ⇒ 報告書 / デジタル・分散型研究会の議論を参照すると、発行者に日本のライセンスまでなくとも、
    仲介者規制の下で、海外発行の電子決済手段を日本で取り扱うことが可能な場合を検討しているように見える
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    厳しい

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  56. 海外発行のステーブルコインの日本への持込み
    ・ 国内流通のためには発行者が日本のライセンスを取得していることが必須ではないとしても、
    仲介者として海外発行の電子的支払手段を日本で取り扱えるのか?
    (1) 報告書は、基本的に、国内において発行者の拠点や資産保全等が必要との指摘
    = 国内での自らあるいはカストディアンを通じた資産管理が必要となりそうな指摘
    (2) 預金・未達債務・信託受益権を用いた仕組みと同水準の利用者保護等と評価できる方策であることが必要
    ⇒ これらを満たさない場合には・・・
    = 利用者保護上問題のある電子的支払手段を取り扱わないために必要な措置として取扱不可の場合も
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  57. 海外発行のステーブルコインの日本への持込み
    ・ デジタル・分散型研究会の資料からすると次のような仕組みが議論されている
    ① 権利移転(手続・タイミング)に係る明確なルール / 分散台帳上の記録との不整合の防止
    ② AML/CFTの観点からの要請に確実に応えられること = システム仕様等で・・・
    - 本人確認されていない利用者への移転を防止
    - 本人確認されていない利用者に移転した残高については凍結処理を実施
    ③ 発行者・仲介者等の破綻時や、技術的な不具合や問題が生じた場合等において、取引の巻戻しや
    損失の補償等、利用者の権利が適切に保護されること
    ④ 移転上限を設けるといったリスク軽減措置
    ⑤ 発行者破綻時・電子決済手段の下落時に、仲介者が電子決済手段を額面で買い取ることを約し、
    その確実な履行のために必要な資金を保全
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    本人確認未了の
    利用者間での
    P2P取引は防止

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  58. グローバルステーブルコインに関する規律
    ・ 大規模に利用される or クロスボーダーで決済等に使われる電子的支払手段については・・・
    → 発行・償還の金融市場への影響等を含め、金融システムの安定等へ与える影響が大きくなり得ることから、より高い規律が必要
    → プラットフォーマーを含む大規模な事業者による市場の寡占等の可能性を念頭においた議論も必要
    ・ 既述の「発行者の規律」「仲介者の規律」「発行者と仲介者の関係等に関する規律」の枠組みを基本として、
    → 仕組みや事業規模等を考慮しつつ、金融市場等への影響を含むリスクベースの監督を行っていく
    ※ 発行者が銀行の場合、利用者資金を自己管理・自己運用するので、危機時における大規模償還請求がなされると・・・
    ⇒ 金融市場への影響 → 銀行の財務規制で対応
    ※ 発行者が資金移動業者の場合、利用者資金は供託が基本となり、危機時における大規模償還請求がなされても・・・
    ⇒ 償還請求への対応の迅速性は課題と指摘されるものの → 金融市場への影響は限定的と考えられる
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  59. 前払式支払手段型のステーブルコイン
    ・ 前払式支払手段型のステーブルコインはありうるか?
    → 電子決済手段の発行・償還は「為替取引」に該当 = 前払式支払手段は不可?
    → 報告書は、不特定の者に対する送金・決済手段として機能するものについては、他の電子的支払手段
    と同様に利用者から発行者への償還請求権が明確に確保される必要があると指摘
    ⇒ 資金決済法によって償還が制限されている前払式支払手段にはなじまない
    ⇒ 利用者保護上、このような前払式支払手段を発行しないための体制整備が求められると考えられる
    → 一方で、電子決済手段の定義規定で、前払式支払手段が原則として電子決済手段から除かれる
    = 流通性を勘案して内閣府令で定めるものに限り電子決済手段に該当する
    ⇒ 不特定の者に対して流通可能/送金・決済手段として利用可能な前払式支払手段方式の
    ステーブルコインは不可になる?
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  60. 4.施行期日
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  61. 施行期日/経過措置
    【施行日】
    ・ 施行日は、基本的に、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日
    ・ 公布は令和4年6月10日
    ⇒ 令和5年5月~6月初旬には施行見込み
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  62. ~End~
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