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オープンバンキング のトレンド

オープンバンキング のトレンド

2021年2月4日に開催した『オープンバンキングと自律型金融(フィンテックエンジニア養成勉強会#13)』の発表スライド。

タイトル『 オープンバンキング のトレンド』
発表者:藤井 達人@日本マイクロソフト

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Transcript

  1. 【自己紹介】 藤井 達人 金融革新同友会FINOVATORS Co-Founder 日本マイクロソフト株式会社 エンタープライズ事業本部 業務執行役員 金融イノベーション本部長 これまでのフィンテックとの関わり

    • Microsoft でフィンテック(Square)に触れて刺激を受ける • MUFG にてフィンテック関連の施策を推進(オープンイノベーション、 オープンAPI、MUFGコイン等) • auフィナンシャルホールディングス にてCDOとしてフィンテック活用 推進を実施
  2. 言葉の定義など • オープンバンキング(あるいはオープンファイナンス) • Banking as a Service • 外部企業に対して金融機能を提供するサービス、また

    それを提供する企業のこと • API • 銀行API (Banking API) • リテール/法人(IB、トレジャリー) • 決済API (Payment API) • 決済専業企業のAPI
  3. テック企業のネオバンク化 Uber Debit Card Google Plex Account Stripe Treasury Citi,

    SFCU, BankMobile, BBVA USA, BMO Harris, Coastal Community Bank, First Independence Bank, SEFCU, Seattle Bank, The Harbor Bank, green dot Shopify Balance Uberドライバー 一般ユーザー ベンチャー企業、中小企業 Go Bank ドライバー向け銀行口座 Google Payと統合した銀行口座 Eコマースを開始する 中小企業向け口座(API) 銀行機能の 提供者 ネオバンクの サービス提供者 主な利用者 米国:Goldman Sachs, Evolve Bank & Trust 米国外:Citi, Barclays ネオバンク
  4. 金融サービスのフロントが一般企業・テック企業へ 金融機関のメリット • フロントはテック企業に任せてバックを担うことで販路を拡大でき、また顧客獲 得コストも下がる 一般企業・テック企業の メリット • 顧客の金融行動データ(明細データ等)の把握 •

    顧客ロイヤルティの向上(NPS向上、離脱率低下、売上向上) • 低コストで金融サービスを販売 • 金融サービスのさらなる改善が可能 ユーザーのメリット 一般ユーザー • いつも使っているサービスと統合したユーザーインター フェースで金融サービスを利用できる(使い分ける必要 がなくなる) • 低コスト(送金手数料、ATM手数料)、高い金利、など ベンチャー企業 中小企業 • 企業向けサービスの登録と同時に銀行口座を開設できる • (Shopifyの場合) 売上が即時入金されキャッシュフローが 改善 • (Shopifyの場合) 売上げに基づき、与信の範囲内で迅速な 資金調達が可能 フィンテック導入(提供)のメリット ネオバンク
  5. モジュール型金融の進展 • モジュール型金融(modular finance)とは • BaaSの中でも、金融サービス(預金・為替・融資・資産運用、等)がテクノロジーによ り一定の単位の「機能」に落とし込まれ、簡単に導入できるようになったもの • 事例 (Unit社)

    • 口座、デビットカード、決済、融資の各機能をAPIで提供。企 業はこれらのAPIを利用することで必要な機能のみを実装可能。 機能についても企業側でカスタマイズが可能 • 1機能あたり1か月程度、$50K程度で実装可能 • 不正防止、セキュリティ、コンプライアンスなどはUnit社がす べて吸収 • 裏手にいる銀行を複数の中から選択できる (複数銀行を同時に使うことも可) ✓ 簡単に導入できて、プログラマブルであること ✓ コンプライアンスなどについては、すべてモジュー ル型金融の提供者が面倒をみて、利用企業は自社顧 客サービスへの組み込みと自社サービスのバリュー アップに専念できること (関心事の分離…) モジュール型金融 利用側の視点からみた利点 ※同義語として埋込型金融(embedded finance) プラグイン金融(plugin finance) とも呼ばれる 特徴 機能群 ⇒ 口座 デビットカード 決済 融資
  6. 金融サービス提供チャネル 進化の方向性 スーパーアプリ内の 金融ミニアプリ デジタルバンク オープンバンキング モジュール型金融 (埋込型金融) 一般企業 テック企業

    ※ネオバンク化はこちらに含む ✓ テック企業並みに 優れたUX ✓ 他社のサービスと の接続性 ✓ BaaSの提供も ✓ 日常の決済をフック に顧客接点を構築 ✓ アプリ内アプリ(ミ ニアプリ)の仕組み を活用して金融サー ビスを提供 ✓ ID/ポイントで顧客 を囲い込み、シナリ オ金融で高いコン バージョン率を実現 • 金融サービスを提供するチャネルは(モバイルを使いこなす世代を中心に) 銀行アプリや支店から、以下のデジタルチャネルへとシフトしていくことが考えられる 金融サービス仲介業(媒介)
  7. オープンバンキングのエコシステム構築 モジュール型金融 (埋込型金融) 提供者 • 銀行 • 証券会社 • カード会社

    • フィンテック企業 モジュール型金融 (埋込型金融) 利用者 • 一般企業 • テック企業 1. ネオバンクという概念の制度化 2. モジュール金融を実装するための 関心事の分離 3. API仕様、データ形式の標準化 4. API Exchangeの創設 ✓ オープンバンキングの今後の方向性として、一般企業がアラカルト形式で様々な金融サービスから選択 して実装できる世の中へと変わっていくのではないか? (金融は様々なサービスに埋め込まれ、よりシームレスに利用できる形態へと変化) ✓ この流れを加速するために、何が必要となってくるか?
  8. 自律型金融の拡大 - Autonomous finance, Self-Driving Money これまでの動き ➢ これまでも、ロボアドバイザーやPFMなどAIを用いて適切なアドバイス、投資を行う サービスは存在。ロボアドサービスがネオバンク化する動きも

    ➢ ただし、それぞれのサービスは断片的であり、依然としてユーザーに多くの操作や判断を 要求する 来年以降は? ➢ モジュール型金融を組み合わせて、AIによる判断で自律的に動き、ユーザーが望む目的地 (ゴール)へと素早く安全に到達するサービスが登場(金融の自動運転的な感覚を提供) ➢ 「一定の頭金をためて3年後に自宅を購入したい」⇒これに向けた最適な資金の運用 (資産クラスは問わない)、日常生活上での節約アドバイス、などを提供する ➢ AIとMLを活用し、様々な金融サービスのAPIをつなぐことで、お金を使うすべての行 為についてアドバイスのみならずユーザーに成り代わって(デジタルツイン)面倒を 見るサービスが生まれてくる ➢ リテールのみならず中小法人向けも 14
  9. まとめ Open Banking Bank as a Service Embedded Finance Moduler

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