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強束縛模型における多体電子状態の第2量子化表現
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Kazu Ghalamkari
June 30, 2016
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強束縛模型における多体電子状態の第2量子化表現
理論物理学研究室 夏ゼミ 発表資料
Kazu Ghalamkari
June 30, 2016
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Transcript
強束縛模型における 多体電子状態の第2量子化表現 ガラムカリ 和 1
発表の流れ 1.1次元系の強束縛模型 1-1.強束縛模型のハミルトニアン 1-2.ブラケット記号の説明 1-3.ハミルトニアンの対角化 2.多粒子系の記述と第2量子化 2-1.多粒子系の記述方法 2-2.生成消滅演算子 3.強束縛模型上の多電子状態 3-1.第2量子化でのハミルトニアンの対角化
3-2.その他の例 4.まとめ 2
1.1次元系の強束縛模型 3
強束縛模型(1粒子) 1 2 3 4 底での状態 1電子 周期ポテンシャル () |3⟩
周期境界条件 4 本当は0じゃないけど 近似して0にする
強束縛模型(1粒子) 1 2 3 4 とびうつり積分 5 = 2 2
+ 本当は0じゃないけど 近似して0にする 小さいとする
強束縛近似(1粒子) この系のハミルトニアン 1粒子系という意味 6
ブラケット記号 • ベクトルを次のように書く • 内積を次のように定義する。 7
ブラケット記号 • 内積の左右の入れ換え • 2つのベクトルの線形結合 • 線形結合との内積 8
ブラケット記号 • ブラ・ケットをさかさまにすると・・ • ⟩ 規格化された| は ⟩ | ۦ
| の固有状態 9 ⟩ | = ⟩ |
量子力学での状態の表し方 • 状態はベクトル| ⟩ で表される。 • 正規直交完全性を持つ基底{| ⟩ }で展開できる。 10
基底| ⟩ で表示した波動関数
量子力学での状態の表し方 に を代入する 任意の| ⟩ について成立するから 11 任意の演算子は より と書ける。
強束縛近似(1粒子) この系のハミルトニアン 1粒子系という意味 12
(1)を対角化する 対角化すればエネルギー固有値が求まる。 13
フーリエ変換(対角化の準備) (フーリエ変換) (逆フーリエ変換) (離散フーリエ変換) (逆離散フーリエ変換) 離散フーリエ変換 フーリエ変換 14
フーリエ変換(対角化の準備) において より 離散フーリエ変換 (逆離散フーリエ変換) (離散フーリエ変換) 15
(1)の対角化 ∵ = − (−′) = ,′ 複素共役をとってマイナスがつく 16
(1)の対角化 17
(1)を| ⟩ で書き換える 18 両辺のエルミート共役をとって
(1)の対角化 2 cos = + − 19 フーリエ変換したことにより、ハミルトニアンが対角化された。
対角化した(1)より固有値が分かる 固有状態のSch.eq ハミルトニアンの形を考えれば、すぐに求まる(対角化した目的) 強束縛近似でのエネルギー固有値 20 = 0 ⋮ 0 1
0
2.多粒子系の記述と第2量子化 21
多粒子系の記述 1.粒子の区別ができる場合 と| ⟩ の内積 番目の粒子の状態が| ⟩ の粒子状態 (粒子状態) 22
多粒子系の記述 2.粒子の区別ができない場合 ≔ ቊ +1 (boson) −1 (fermion) 規格化 例.
| ⟩ , | ⟩ をそれぞれ1粒子状態とする。ボゾンなら 23
多粒子系の記述 2.粒子の区別ができない場合 ≔ ቊ +1 (boson) −1 (fermion) 規格化 例.
| ⟩ , | ⟩ をそれぞれ1粒子状態とする。フェルミオンなら 24 Pauliの排他原理 (2つのフェルミ粒子は同じ状態を占めれない)
多粒子系の記述 二つの粒子状態の内積 2.粒子の区別ができない場合 ただし任意の × の行列に対し − でディターミナント + でパーマネント
25
証明 ۦ | 1 , ⋯ , ⟩ 1 ,
⋯ , = 1 ! ฬ ർ(1) ⋯ ฬ ർ() ൫ ൯ ห ൿ (1) ⋯ ห ൿ () = 1 ! (1) (1) ⋯ = 1 ! 1 (−1(1)) ⋯ (−1()) = 1 ! −1 1 (−1(1)) ⋯ −1 = 1 ! 1 (1) ⋯ = 1 (1) ⋯ 各内積をPで並び替える = = − = −( ) = − ζ− = − ≔ − 26
多粒子系の演算子 (1) 1粒子状態にのみ作用する演算子 粒子すべてにわたる(1)の和を表す演算子 | ⟩ = | ⟩ 1
, ⋯ , = ห ⟩ 1 × | ⟩ 2 × ⋯ × | ⟩ 任意の粒子状態 | ⟩ = (1)| ⟩ 1 × ہ ⟩ 2 × ⋯ × | ⟩ +| ⟩ 1 ×(1)ہ ⟩ 2 × ⋯ × | ⟩ + ⋯ +| ⟩ 1 ×ہ ⟩ 2 × ⋯ × (1)| ⟩ 27
多粒子系の演算子 | ⟩ が固有値 をもつ(1)の固有状態なら | ⟩ = (1 +
2 + ⋯ + )| ⟩ (1)が1粒子運動量演算子なら、は全運動量演算子 (1)が1粒子ハミルトニアンなら、は全エネルギー演算子 (1)が1粒子状態に対する単位演算子ならは粒子数演算子 例 28
(1) = | ⟩ ۦ | の場合 (1) = |
⟩ ۦ | の場合 | ⟩ = | ⟩ ۦ| ⟩ 1 × ہ ⟩ 2 × ⋯ × | ⟩ +| ⟩ 1 ×| ⟩ ۦہ ⟩ 2 × ⋯ × | ⟩ + ⋯ +| ⟩ 1 ×ہ ⟩ 2 × ⋯ × | ⟩ ۦ| ⟩ = ۦ | ⟩ 1 | ⟩ × | ⟩ 2 × ⋯ × | ⟩ +ۦ | ⟩ 2 | ⟩ 1 × | ⟩ × ⋯ × | ⟩ + ⋯ +ۦ | ⟩ | ⟩ × | ⟩ 2 × ⋯ × | ⟩ 29
(1) = | ⟩ ۦ | の場合 | ⟩ =
ۦ | ⟩ 1 | ⟩ , 2 , ⋯ , +ۦ | ⟩ 2 | ⟩ 1 , , 3 , ⋯ , + ⋯ +ۦ | ⟩ ห1 , 2 , ⋯ , ൿ −1, = =1 ห ൿ 1 , ⋯ , −1, , +1 , ⋯ これを考えるのは結構大変
生成消滅演算子 • 生成消滅演算子 全エネルギーなどの演算子を簡単に表せる。 † | ⟩ 1 , 2
, ⋯ , = |, ⟩ 1 , 2 , ⋯ , | ⟩ は任意の1粒子状態 | ⟩ に対する生成・消滅演算子† , の定義 † のエルミート共役 が消滅演算子 生成演算子 31
の作用 生成演算子は粒子状態を + 1 粒子状態に変える(明らか)。 消滅演算子は粒子状態を − 1 粒子状態に変えることを示す。 1
, ⋯ , −1 () 1 , ⋯ , = 1, ⋯ , † 1 , ⋯ , −1 ∗ = 1 , ⋯ , , 1 , ⋯ , −1 ∗ = 1 1 1 ⋯ 1 −1 ⋮ ⋮ ⋱ ⋮ 1 ⋯ −1 ∗ 32
の作用 = 1 1 1 ⋯ 1 −1 ⋮ ⋮
⋱ ⋮ 1 ⋯ −1 ∗ = =1 −1 1 1 ⋯ 1 −1 ⋮ ⋮ −1 1 ⋯ −1 −1 +1 1 ⋯ −1 −1 ⋮ ⋮ 1 ⋯ 1 −1 ∗ = =1 −1 ∗ 1 , ⋯ −1, +1 , ⋯ 1 , ⋯ −1 ∗ 余因子展開 33
の作用 = =1 −1 ∗ 1 , ⋯ −1,
+1 , ⋯ 1 , ⋯ −1 ∗ = =1 −1 1 , ⋯ , −1 1 , ⋯ −1, +1 , ⋯ 1 , ⋯ , −1 () 1 , ⋯ , = =1 −1 1 , ⋯ , −1 1 , ⋯ , −1, +1 , ⋯ よって が言えたから、 | ⟩ 1 , ⋯ , = =1 −1 ห ൿ 1 , ⋯ , −1, +1 , ⋯ ( − )粒子状態の和を表している。 34
生成消滅演算子 生成演算子 消滅演算子 | ⟩ 1 , ⋯ , =
=1 −1 ห ൿ 1 , ⋯ , −1, +1 , ⋯ † | ⟩ 1 , 2 , ⋯ , = |, ⟩ 1 , 2 , ⋯ , 生成・消滅演算子の作用 35
演算子を生成消滅演算子で書きなおす 36 † | ⟩ 1 , ⋯ , =
=1 −1 † ห ൿ 1 , ⋯ , −1, +1 , ⋯ = =1 −1 ห ൿ , 1 , ⋯ , −1, +1 , ⋯ | ⟩ 1 , ⋯ , = =1 −1 ห ൿ 1 , ⋯ , −1, +1 , ⋯ 消滅演算子
演算子を生成消滅演算子で書きなおす † | ⟩ 1 , ⋯ , =
=1 −1 ห ൿ , 1 , ⋯ , −1, +1 , ⋯ 37 −1ห, ൿ 1 , ⋯ , −1, +1 , ⋯ = ห ൿ 1 , ⋯ , −1, , +1 , ⋯ 粒子状態における対称性
演算子を生成消滅演算子で書きなおす † | ⟩ 1 , ⋯ , =
=1 ห ൿ 1 , ⋯ , −1, , +1 , ⋯ 38
(1) = | ⟩ ۦ | の場合 | ⟩ =
ۦ | ⟩ 1 | ⟩ , 2 , ⋯ , +ۦ | ⟩ 2 | ⟩ 1 , , 3 , ⋯ , + ⋯ +ۦ | ⟩ ห1 , 2 , ⋯ , ൿ −1, = =1 ห ൿ 1 , ⋯ , −1, , +1 , ⋯ これを考えるのは結構大変 = † | ⟩ 1 , ⋯ ,
(1) = | ⟩ ۦ | の場合 結論 | ⟩
= † | ⟩ 1粒子に作用する(1) = | ⟩ ۦ | が与えられたとき、 全粒子に作用するが生成消滅演算子で表された。 40
より一般に (1) = | ⟩ ۦ | + | ⟩
ۦ | の場合 | ⟩ = † | ⟩ + † | ⟩ (1) = | ⟩ ۦ | の場合 :複素数 | ⟩ = † | ⟩ 線形性より次の2つも言える 41
交換関係 任意の粒子状態に を作用させる。 42 ≔ ቊ +1 (boson) −1 (fermion)
交換関係 両辺をエルミート共役をとってζで割る 43 (反)交換子 , − ≔ − 生成消滅演算子の交換関係
交換関係 • 次に を考える 44 消滅演算子 | ⟩ 1 ,
⋯ , = =1 −1 ห ൿ 1 , ⋯ , −1, +1 , ⋯
交換関係 • を考える 45 † 2 1 | ⟩ 1
, ⋯ , = =1 −1 1 † 2 ห ൿ 1 , ⋯ , −1, +1 , ⋯ = =1 −1 1 ห ൿ 2 , 1 , ⋯ , −1, +1 , ⋯ 消滅演算子 | ⟩ 1 , ⋯ , = =1 −1 ห ൿ 1 , ⋯ , −1, +1 , ⋯
交換関係 • を考える 46 † 2 1 | ⟩ 1
, ⋯ , = =1 −1 1 ห ൿ 2 , 1 , ⋯ , −1, +1 , ⋯ 両辺にをかけて から引く
交換関係 47 生成消滅演算子の交換関係 が求まる
強束縛模型上の多電子状態 48
演算子の定義 † 底の基底状態 を生成する † 2 波数2 の状態 を生成する それぞれ消滅演算子は生成演算子のエルミート共役
49
強束縛近似(多粒子系) この系のハミルトニアン 第2量子化表記 生成消滅演算子を用いた表記 で を思い出して 50
次の目標 (1) 第二量子化 フーリエ変換 (1) (対角化) (対角化) フーリエ変換 51 今後、青で書かれたハミルトニアンは対角化されてることを意味する
をフーリエ変換 (1)の第二量子化 52
基底の変換 のとき 波数 底の番号 離散フーリエ変換 (離散フーリエ変換) (逆離散フーリエ変換) 53
基底の変換(演算子のフーリエ変換) よって 54
のフーリエ変換 これをフーリエ変換する 道具はそろったので 55
のフーリエ変換 = − (−′) = ,′ 56
のフーリエ変換 57 ∵ = − (−′) = ,′
のフーリエ変換 よって、(1)を第二量子化した後にフーリエ変換したは となる。 58
次の目標 (1) 第二量子化 フーリエ変換 (1) (対角化) (対角化) 第二量子化 59 のフーリエ変換と(1)の第二量子化したは一致する?
(1)の第二量子化 (1) 第二量子化 † 2 , 2 は波数2 の状態を生成,消滅する 波数
60
ここまでの確認 (1) 第二量子化 フーリエ変換 (1) (対角化) (対角化) 第二量子化 のフーリエ変換と(1)の第二量子化したは一致した! フーリエ変換
61
3.強束縛模型上の多電子状態 62
第2隣接ポテンシャルを加味した 強束縛近似 63
第2隣接まで考えた強束縛近似 最隣接までの強束縛近似(1粒子) 第2隣接までの強束縛近似(1粒子) 普通は2 < 1 64
第2隣接まで考えた強束縛近似 (1)をフーリエ変換する 65 離散フーリエ変換の定義式
第2隣接まで考えた強束縛近似 同様に よって (1) 66
第2隣接まで考えた強束縛近似 (1) よって 第2量子化すれば、 第2隣接まで考えた強束縛近似の第2量子化表現 67
第2隣接まで考えた強束縛近似 (1) よって 対角化されているので、 第2隣接まで考えた強束縛近似の固有状態・固有値 = 0 ⋮ 0 1
0 ⋮ 0 68
とびうつり積分が偶奇で異なる系 69
とびうつり積分の値が偶奇で異なる系 : 偶数 最隣接のみ考える 70
この系の1粒子ハミルトニアン とびうつりが偶奇で異なる系のハミルトニアン 71
とびうつりが偶奇で異なる系のハミルトニアン この系のハミルトニアン エネルギー固有値を知りたい 72
とびうつりが偶奇で異なるHの対角化 = =0 2−1 † 1 , † 2
0 − + ′ cos 2 − − ′ sin 2 − ′ sin 2 0 + + ′ cos 2 1 2 計算すると… エルミート行列を用いた2次形式 エルミート行列はユニタリー行列で対角化可能 ≔ 1 : = 2 , 2 : = 2 + 2 = 1, 0 0 2, † 73
とびうつりが偶奇で異なるHの対角化 = =0 2 −1 † 1 , †
2 0 − + ′ cos 2 − − ′ sin 2 − ′ sin 2 0 + + ′ cos 2 1 2 = =0 2−1 † 1 , † 2 1, 0 0 2, † 1 2 = =0 2 −1 † 1 , † 2 1, 0 0 2, 1 2 = =0 2−1 1, † 1 1 + 2, † 2 2 † 1 , † 2 ≔ † 1 , † 2 1 2 ≔ † 1 2 線形な変換 74
λ1, = E0 + 2 + ′2 + 2′ cos2
2 − sin2 2 C = 0 − + ′ cos 2 − − ′ sin 2 − ′ sin 2 0 + + ′ cos 2 λ2, = E0 − 2 + ′2 + 2′ cos2 2 − sin2 2 の固有値 とびうつりが偶奇で異なる場合のエネルギー 75
とびうつりが偶奇で異なる場合のエネルギー = 100, 0 = 5, = ′ = 0.1
赤 1 青 2 ν = ′ で伝導体 76 E
とびうつりが偶奇で異なる場合のエネルギー = 100, 0 = 5, = 0.2 , ′
= 0.1 赤 1 青 2 77 ν ≠ ′ でバントギャップ →バント絶縁体 E
粒子の感じるポテンシャルが偶奇で異なる系 78
ポテンシャルが偶奇で異なる系 : 偶数 最隣接のみ考える とびうつり積分は同じ 79
この系の1粒子ハミルトニアン ポテンシャルが偶奇で異なるハミルトニアン 80
この系のハミルトニアン ポテンシャルが偶奇で異なるハミルトニアン 81
ポテンシャルが偶奇で異なるハミルトニアン = =0 2−1 † 1 , † 2
0 ′ + 0 2 − 2 cos 2 0 − 0 ′ 2 0 − 0 ′ 2 0 ′ + 0 2 + 2 cos 2 1 2 計算すると… この行列の固有値 1 : = 2 , 2 : = 2 + 2 1 2 0 ′ + 0 ± 1 4 0 ′ − 0 2 + 42 cos2 2 82
これをグラフにすると = 100, 0 = 0 ′ = 5, =
0.1 83 E
これをグラフにすると = 100, 0 = 5, 0 ′ = 5.1
= 0.1 84 E
まとめ • 1粒子強束縛模型のハミルトニアンを対角化 し、エネルギー固有値と固有状態を求めた。 • 強束縛模型上の多電子状態のハミルトニア ンを生成消滅演算子で表した。 • その他の例として、第2隣接まで考えた場合 や、とびうつり積分が偶奇で異なる模型など
も扱った。 85