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Burnoutとの「対話」 〜 アジャイルコーチングを活用した、燃え尽き症候群を克服するスキル...

Burnoutとの「対話」 〜 アジャイルコーチングを活用した、燃え尽き症候群を克服するスキル 〜 / Dialogue with Burnout by Using Agile Coaching Skills

2025年10月4日(土)の「スクラム祭り2025」(https://www.scrummatsuri.org/) 広島トラック(https://agile-hiroshima.connpass.com/event/368554/) での登壇資料です。

当資料では、アジャイルコーチングの知識・スキルを活用して、Burnoutから身を守る方法を、実例込みで紹介しています。

より具体的には、Burnoutを引き起こす要素を (1) 価値、(2) 効率、(3) 能力の3つに分解し、
これらに対するアジャイルコーチングの観点からのアプローチとその有効性を説明しています。

加えて、組織力学の課題に対して、Systems Coaching、システム思考、および組織に対する傾聴を活用し、組織全体を一つのシステムとみなすアプローチとその有効性についても説明しています。

なおセッションの詳細については、講演情報(https://confengine.com/conferences/scrummatsuri/proposal/22672/burnout) も併せてご覧ください。

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Hiroyuki Ito (TheHiro)

October 04, 2025
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Transcript

  1. (参考)Burnoutの国内動向 5 0 50 100 150 200 250 300 年

    2001 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 休業者の推移(単位: 万人) 厚生労働省 『令和6年版 労働経済の分析』より、休業者に絞って表示 新型コロナ で一時急増 2011年は データ無し
  2. (参考)Burnoutのグローバル動向 Burnoutに関する記載のあるレポート・トレーニングコンテンツ • 『Accelerate State of DevOps Report 2024』 •

    『How to Avoid Burnout from Scrum Fatigue』 • 『Agile Burnout: Why Some Agile Orgs May Lack Work-Life Balance』 • 『Introduction to Agile Coaching』 6
  3. Burnoutの事例の抽出 以下を対象とします 1. 『Accelerate State of DevOps Report 2024』 (以下『DevOpsレポート』と表記)

    2. 『London Times‘ Agile Business Report』 (以下『アジャイルビジネスレポート』と表記) 3. 講演者自身の体験談 13
  4. 抽出したBurnout事例一覧 • 自分は価値ある仕事に時間を割けているか?という疑問 • 組織の優先順位の頻繁な変更/不安定化 • ユーザー価値につながらない仕事の増加 • 「マネージャーのための共通化」を優先する組織文化 •

    マネージャーによる過度なマイクロマネジメント(Imperial Control) • ユーザー価値に貢献できない組織・仕組み • 「効率化」のための「効率化」 • 恐怖に根差した文化 • 自分は「価値ある存在」として扱われているか?という疑問 • チームメンバーの能力不足によるしわ寄せ • 「空中戦」 17
  5. 関連するもの同士をまとめてみると… • ユーザー価値につながらない仕事の増加 • ユーザー価値に貢献できない組織・仕組み • 自分は価値ある仕事に時間を割けているか?という疑問 • 自分は「価値ある存在」として扱われているか?という疑問 •

    「効率化」のための「効率化」 • 「マネージャーのための共通化」を優先する組織文化 • マネージャーによる過度なマイクロマネジメント(Imperial Control) • 組織の優先順位の頻繁な変更/不安定化 • 恐怖に根差した文化 • チームメンバーの能力不足によるしわ寄せ • 「空中戦」 18
  6. 関連するもの同士をまとめてみると… • ユーザー価値につながらない仕事の増加 • ユーザー価値に貢献できない組織・仕組み • 自分は価値ある仕事に時間を割けているか?という疑問 • 自分は「価値ある存在」として扱われているか?という疑問 •

    「効率化」のための「効率化」 • 「マネージャーのための共通化」を優先する組織文化 • マネージャーによる過度なマイクロマネジメント(Imperial Control) • 組織の優先順位の頻繁な変更/不安定化 • 恐怖に根差した文化 • チームメンバーの能力不足によるしわ寄せ • 「空中戦」 19 価値 効率 能力
  7. (1) ユーザーの価値 29 • 自分は、誰かの役に立ちたい • 自分は、世の中の役に立ちたい • 現在の組織や仕組みを変えたい(が変えられない) •

    組織を「ユーザー中心アプローチ」に変える • ユーザーからの肯定的なフィードバックを直接受け取れる 仕組みを作る アプローチ
  8. • 自分の能力や貢献を認知して欲しい • 自分の意見を十分に聴いて欲しい (3) 自分自身の価値 37 • 傾聴 •

    評価や判断をされることなく、 自分の意見を十分に聴いてもらえる体験自体が有効 • お互いに感謝や称賛の気持ちを伝え合う(例: Kudo Cards) アプローチ
  9. 背景としての「組織の課題」 50 「効率化」それ自体の「目的化」 「マネージャー視点」に基づく組織と文化 恐怖に根差した組織文化 「効果」を考慮せず「効率化」の追求が加速する ビジネスではなく マネージャーを評価する 改善提案がマネージャー批判と捉えられる Status

    quo/現状維持 発言をためらう組織文化になる 組織の優先順位の 頻繁な変更/不安定化が起こる マネージャーの管理の しやすさを優先する Systems Diagram Reinforcing Circle Diagram (書籍『学習する組織』より)
  10. アプローチ: 「組織力学へのコーチング」 • Systems Coaching • 「システム思考」に基づいて、 組織全体を一つのシステムに見立ててアプローチします • マネージャーおよび組織に対して問いかけを行い、

    各々の考え・思い・背景を傾聴します • システム全体への影響・インパクトを考慮しながら、 マネージャーおよび組織の自発的な 課題発見・成長・改善アクションを支援します 52
  11. 組織力学へのコーチングイメージ 54 「効率化」それ自体の「目的化」 「マネージャー視点」に基づく組織と文化 恐怖に根差した組織文化 「効果」を考慮せず「効率化」の追求が加速する ビジネスではなく マネージャーを評価する 改善提案がマネージャー批判と捉えられる Status

    quo/現状維持 発言をためらう組織文化になる 組織の優先順位の 頻繁な変更/不安定化が起こる マネージャーの管理の しやすさを優先する ユーザー価値への観点から、 チーム単位で評価するようにする
  12. 組織力学へのコーチングイメージ 55 「効率化」それ自体の「目的化」 「マネージャー視点」に基づく組織と文化 恐怖に根差した組織文化 「効果」を考慮せず「効率化」の追求が加速する ビジネスではなく マネージャーを評価する 改善提案がマネージャー批判と捉えられる Status

    quo/現状維持 発言をためらう組織文化になる 組織の優先順位の 頻繁な変更/不安定化が起こる マネージャーの管理の しやすさを優先する ユーザー価値への観点から、 チーム単位で評価するようにする ユーザー価値への貢献を、判断の前提とする
  13. 組織力学へのコーチングイメージ 56 「効率化」それ自体の「目的化」 「マネージャー視点」に基づく組織と文化 恐怖に根差した組織文化 「効果」を考慮せず「効率化」の追求が加速する ビジネスではなく マネージャーを評価する 改善提案がマネージャー批判と捉えられる Status

    quo/現状維持 発言をためらう組織文化になる 組織の優先順位の 頻繁な変更/不安定化が起こる マネージャーの管理の しやすさを優先する ユーザー価値への観点から、 チーム単位で評価するようにする ユーザー中心アプローチで 組織の優先順位を安定化させる ユーザー価値への貢献を、判断の前提とする
  14. 組織力学へのコーチングイメージ 57 「効率化」それ自体の「目的化」 「マネージャー視点」に基づく組織と文化 恐怖に根差した組織文化 「効果」を考慮せず「効率化」の追求が加速する ビジネスではなく マネージャーを評価する 改善提案がマネージャー批判と捉えられる Status

    quo/現状維持 発言をためらう組織文化になる 組織の優先順位の 頻繁な変更/不安定化が起こる マネージャーの管理の しやすさを優先する マネージャーに寄り添い 傾聴を活用して不安を特定する ユーザー価値への観点から、 チーム単位で評価するようにする ユーザー中心アプローチで 組織の優先順位を安定化させる ユーザー価値への貢献を、判断の前提とする
  15. 組織力学へのコーチングイメージ 58 「効率化」それ自体の「目的化」 「マネージャー視点」に基づく組織と文化 恐怖に根差した組織文化 「効果」を考慮せず「効率化」の追求が加速する ビジネスではなく マネージャーを評価する 改善提案がマネージャー批判と捉えられる Status

    quo/現状維持 発言をためらう組織文化になる 組織の優先順位の 頻繁な変更/不安定化が起こる マネージャーの管理の しやすさを優先する マネージャーに寄り添い 傾聴を活用して不安を特定する ユーザー価値への観点から、 チーム単位で評価するようにする ユーザー中心アプローチで 組織の優先順位を安定化させる ユーザー価値への貢献を、判断の前提とする 提案をユーザー価値への貢献と見做し、 組織全体として推奨する
  16. 組織力学へのコーチングイメージ 59 「効率化」それ自体の「目的化」 「マネージャー視点」に基づく組織と文化 恐怖に根差した組織文化 「効果」を考慮せず「効率化」の追求が加速する ビジネスではなく マネージャーを評価する 改善提案がマネージャー批判と捉えられる Status

    quo/現状維持 発言をためらう組織文化になる 組織の優先順位の 頻繁な変更/不安定化が起こる マネージャーの管理の しやすさを優先する マネージャーに寄り添い 傾聴を活用して不安を特定する ユーザー価値への観点から、 チーム単位で評価するようにする ユーザー価値に貢献できる 組織・文化・仕組みになる ユーザー中心アプローチで 組織の優先順位を安定化させる ユーザー価値への貢献を、判断の前提とする 提案をユーザー価値への貢献と見做し、 組織全体として推奨する
  17. 組織力学へのコーチングイメージ 60 「効率化」それ自体の「目的化」 「マネージャー視点」に基づく組織と文化 恐怖に根差した組織文化 「効果」を考慮せず「効率化」の追求が加速する ビジネスではなく マネージャーを評価する 改善提案がマネージャー批判と捉えられる Status

    quo/現状維持 発言をためらう組織文化になる 組織の優先順位の 頻繁な変更/不安定化が起こる マネージャーの管理の しやすさを優先する マネージャーに寄り添い 傾聴を活用して不安を特定する ユーザー価値への観点から、 チーム単位で評価するようにする ユーザー価値に貢献できる 組織・文化・仕組みになる ユーザー中心アプローチで 組織の優先順位を安定化させる ユーザー価値への貢献を、判断の前提とする ユーザー価値への効果に根ざした効率の追求 ユーザー中心の視点に基づく組織と文化 心理的安全性に根ざした、学習できる組織文化 提案をユーザー価値への貢献と見做し、 組織全体として推奨する
  18. こんなことありませんか? • メンバーの能力が、職務を遂行できるレベルに達していない • (参考)講演者が実際に遭遇した例 • 代入やforループを知らない「Javaプログラマー」3年目 • スクラムイベントを知らない「スクラムマスター」 •

    組織が、上述のような能力不足のメンバーばかり集めてくる • メンバーがTeachableではない • ペアプロ・モブプロによる学習が効果を発揮しない • 自律的なチームの前提が成り立たない 65
  19. 今後の展望 • 組織力学へのアプローチ方法のさらなる整理・体系化 • Systems Coaching/システム思考 • 書籍『学習する組織』の知見が大いに役立ちそう • コーチングのアプローチの周知・一般化

    • コーチングを知らずに「アジャイルコーチ」を 名乗るケースが多い(例: 数年前までの講演者 ) • 上記をリードする「変革リーダー」の必要性とスキルの整理 92