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睡眠指標計算ロジック設計:4つの指針

Takashi
September 25, 2019

 睡眠指標計算ロジック設計:4つの指針

弊社が開発しているプロダクトに使われる「睡眠指標」のロジックの設計、実装する際に気をつけたこと

https://www.neurospace.jp/

Takashi

September 25, 2019
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Transcript

  1. 睡眠指標計算ロジック設計:4つの指針
    株式会社ニューロスペース 平岡 尚

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  2. 発表者プロフィール
    平岡尚(ひらおか たかし)
    Sler, WEB開発会社, フリーランスを経て、2019年3月入社
    バックエンドエンジニア
    2つの協業プロジェクトを担当
    時差ボケ調整アプリ 睡眠可視化アプリ
    Laravel 5.x Rails 5.x

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  3. 睡眠指標とは
    ・睡眠時間
    ・深い睡眠の割合
    ・途中で起きる(中途覚醒)回数
    ・毎日どれくらい規則的に寝て、おきているか?(起床規則
    性)
    ・眠気 ...etc
    これら指標を計算する際に気をつけたことをお話しします!

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  4. 大切にしている要件
    ・計算ロジックのメンテナンス性
    ・プロジェクト間での移植性
    ・可読性
    これらをできるだけ担保できるような設計を目指した。
    変更があるからこそ、場当たり的でなく、都度しっかりと設計(モデリ
    ングを行う)し、ブラッシュアップできる状態を維持する

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  5. 4つの指針
    1. メソッドは入力に対して出力が決まるように設計する
    2. 引数には値オブジェクトを活用する
    3. 計算と永続化は分割する
    4. プロジェクト間でのロジックの流用を想定する
    あくまで指針で、前述の「大切にしている要件」を満たせるかどうかが判断軸に
    なる

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  6. メソッドは入力に対して出力が決まるように設計する

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  7. メソッドは入力に対して出力が決まるように設計する
    class SleepCalculator
    def self.adjusted_sleep_time
    (sleep_time, adjusted_minutes)
    sleep_time + adjusted_minutes
    end
    end
    [なぜ意識するのか]
    複雑な計算ロジックに進化する未来があった時、大体は複数のモデルのデータに依存する事になる
    引数で丸ごとActiveRecordを渡して、そのオブジェクトがリレーションを張っていて、
    さらにそれらを参照するコードが書かれてしまうと、 「引数からなんのデータに依存しているのか
    読み取りにくく」なる。

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  8. 引数に値オブジェクトを活用する

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  9. 引数に値オブジェクトを活用する
    値オブジェクト:ドメイン駆動設計において登場する。
    値と振る舞いを持つモノをモデルと呼んでいる。
    モデルには「エンティティ」と「値オブジェクト」がある
    エンティティ 値オブジェクト
    同一性 識別子供が同一であれば同一 保持する属性が全て同一であれば
    同一
    可変性 可変
    生成されてから、変異するとい
    うライフスパンを持つ
    不変
    生成されたら、あとは破棄されるの

    入力値が多くなるような場合に、引数に活用した

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  10. 引数に値オブジェクトを活用する
    例)時差ボケ調整アプリには、眠気予報という、トラベルの予定と実績に基づいて将来の眠
    気を予想してくれる機能があります。入力には就寝時刻、起床時刻、食事の時刻、時差情報
    など多数の入力情報を必要とする
    予定:[
    [ 就寝時刻, 起床時刻, 食事時刻, 時差情報,....] ,
    [就寝時刻, 起床時刻, 食事時刻, 時差情報,....]
    ,...]
    実績:[
    [ 就寝時刻, 起床時刻, 食事時刻, 時差情報,....] ,
    [ 就寝時刻, 起床時刻, 食事時刻, 時差情報,....]
    ,...]
    眠気予報
    計算
    Input
    Output
    Processing...
    多量の時系列のデータ

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  11. 引数に値オブジェクトを活用する
    エンティティ
    (ex. ActiveRecord)
    値オブジェクト
    Forecast
    睡眠時間
    食事時刻
    Achievement
    睡眠時間
    食事時刻
    睡眠実績
    睡眠予定
    食事実績
    食事予定
    <>
    TravelActionBase
    エンティティを値オブジェクトに変換し使用
    値オブジェクト用のクラスを定義することで比較や分岐を直感的に表現で
    きた

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  12. 計算と永続化は分割する

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  13. 計算と永続化は分割する
    class SleepCalculator
    FACTOR = 0.5
    def self.adjust_sleep_time!
    (user, adjusted_minutes)
    user.sleep_time += adjusted_minutes * FACTOR
    user.save!
    end
    end

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  14. 計算と永続化は分割する
    class SleepCalculator
    FACTOR = 0.5
    def self.adjust_sleep_time! (user, adjusted_minutes )
    result = calc_adjusted_sleep_time (sleep_time, adjusted_minutes)
    user.update!(sleep_time: result)
    end
    def self.calc_adjusted_sleep_time (sleep_time, adjusted_minutes )
    sleep_time + adjusted_minutes * FACTOR
    end
    end

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  15. 計算と永続化は分割する
    計算過程を含めた戻り値を値オブジェクト(または単純なデータ型)として返すように計算メ
    ソッドを実装して、管理画面で計算結果を CSV出力などしてトレースできる
    public static function createPredictions($trip, $now) {
    list($_, $sleepinessForecasts) = TravelPrediction::calculate($trip, $now);
    SleepinessForecast::create($trip, $sleepinessForecasts);
    }
    API呼び出し箇所
    $response = new StreamedResponse (function() use ($travel, $calculateDatetime){
    $stream = fopen('php://output', 'w');
    stream_filter_prepend($stream,'convert.iconv.utf-8/cp932//TRANSLIT');
    fputcsv($stream, ['datetime','base', 'hour','score', ....]);
    list($calcProcess, $_) = TravelPrediction::calculate($travel, $calculateDat
    計算過程CSVDL箇所

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  16. プロジェクト間でのロジックの流用を想定する

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  17. プロジェクト間でのロジックの流用を想定する
    ロジック実装の設計段階において、検討段階ではロジック部分だけ単独
    のRubyプロジェクトとしてリポジトリ管理しモデルの検証を行った

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  18. まとめ

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  19. まとめ
    複雑なロジックの可読性や保守性を維持する
    には、責務分担の設計であったり抽象度の高
    いモデリングを行うことが有効な場合がある。

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  20. まとめ
    ニューロスペースではその計算ロジック自体が
    重要な財産であるため、リリーススピードは意
    識しつつも腰を据えた設計プロセスが事業の
    長期的な成長に必要(と考えてる)。

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  21. ご静聴ありがとうございました!
    睡眠だけでなくとも、良いソフトウェアを作るプロセスにも興味ある方、懇親会でぜひお
    話しましょう!!!

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