私達はmodernize packageに夢を見るか feat. go/analysis, go/ast / Go Conference 2025

Go Conference 2025 の資料です

Transcript

1. 私達は modernize package に 夢を見るか feat. go/analysis, go/ast Go Conference 2025 (2025/09/28) Kaoru Muta / mentos
2. 自己紹介 2 Kaoru Muta 牟田 薫 (メントス) 生まれ育ち大阪で今も大阪にいます 🐯 株式会社BuySell Technologies でバックエンド担当 ブロンズスポンサー として協賛してるよ！ 買取・査定 買取種別に応じた最適なシステム構築 Visit -訪問買取 - Store -店舗買取 - 買取 リユースプラットフォーム Cosmos 自社開発のリユース特化業務基幹システムでありサービス群の集合体 @m_t_tion1
3. 3 と思った経験はありますか？ 会場の皆様ぜひ挙手で ✋ うわっ・・・私達の Go version 古すぎ・・・？
4. ぜひ version をあげましょう 4 Go は基本的に後方互換性が バージョン間で担保されている
5. 5 と思った経験はありますか？ 会場の皆様ぜひ挙手で ✋ うわっ・・・私達の Go の記法 古すぎ・・・？
6. 最新の記法を随時取り入れると 書き方が散らばってくるのが 若干気になる (仕方ない) 6 シュッと統一できれば と過去に夢見たり (困ってはないんですけどね )
7. そんな時に modernize package を使えば 夢を見れるかもしれない 　7 安全にかつ中身を理解しながら 使おう！という発表です
8. modernize package とは • gopls に入っている (2025/9 時点では v0.2.0) • go run コマンドで実行できる ◦ -fix で、最新の Go で取り入れられた記法を適用してくれる 8
9. modernize package とは 9 forvar (Go 1.22 ~) waitgroup (Go 1.25 ~) 他にも、efaceany (interface{} → any) など、複数のケースに対応
10. †黒魔術†では・・・？ 10
11. 内部実装見るぞ！ 11 今回は forvar の実装を みていきます
12. 前提知識 - go/ast 12 Go ソースコードの抽象構文木 (AST) を表現するためのパッケージ #1. Node AST の各要素 (ex. 文・式・変数) 文の AST Node を Stmt interface で扱う #2. Token 字句の最小要素 (ex. 演算子・リテラル)
13. 前提知識 - go/analysis 13 Go で静的解析を実装するためのフレームワーク #1. Analyzer コードの解析を行う解析器の実体 #2. Pass パッケージの解析情報を詰めたもの
14. 前提知識 - go/analysis 14 Go で静的解析を実装するためのフレームワーク #3. Diagnostic Analyzer が出力する指摘事項 #4. SuggestedFix Diagnostic に対しての修正案 (CLI で -fix option で修正を適用できる)
15. forvar - Analyzer の定義 15
16. forvar - Analyzer の定義 16 解析する上で実行が必要な 前処理のAnalyzerの定義
17. forvar - Analyzer の定義 17 実際の解析処理を記述
18. 18 やっていること #1. Go version の最小要件を確認 #2. for range を使っている箇所の検出 #3. 条件に一致した箇所を書き換え
19. 19 やっていること #1. Go version の最小要件を確認 #2. for range を使っている箇所の検出 #3. 条件に一致した箇所を書き換え
20. #1. Go version の最小要件を確認 20
21. #1. Go version の最小要件を確認 21 自動生成ファイルかどうかを検出 もしそうだった場合無視する
22. #1. Go version の最小要件を確認 22 前処理で実行した inspect.Analyzer の解析結果を受け取る
23. #1. Go version の最小要件を確認 23 最小要件が Go 1.22 のファイルを 一つずつ走査していく
24. #1. Go version の最小要件を確認 24 対象のファイル内に存在する for range 文 の stmt を一つずつ走査
25. 25 やっていること #1. Go version の最小要件を確認 #2. for range を使っている箇所の検出 #3. 条件に一致した箇所を書き換え
26. #2. for range を使っている箇所の検出 26
27. ノード を for range 文として解釈 ループ変数を宣言しているものが 対象 (ex. `for k, v := range m`) #2. for range を使っている箇所の検出 27
28. #2. for range を使っている箇所の検出 28 ループの中で、変数を同名で 再宣言しているかの判定を行う関数 (ex. k := k)
29. #2. for range を使っている箇所の検出 29 • 左項と右項が等しい • ループ変数と左項が等しい 場合以外は除外
30. 30 やっていること #1. Go version の最小要件を確認 #2. for range を使っている箇所の検出 #3. 条件に一致した箇所を書き換え
31. #3. 条件に一致した箇所を書き換え 31
32. #3. 条件に一致した箇所を書き換え 32 for range ループを1行ずつ走査 そのうち、条件に一致したものを 書き換える
33. #3. 条件に一致した箇所を書き換え 33 • 式ノードに変換 • 演算子が「 :=」 • 左項と右項が等しい • ループ変数を再宣言している
34. #3. 条件に一致した箇所を書き換え 34 • Diagnostic に解析結果をセット • SuggestedFix には、 for range で変数再宣言の 箇所を削除する修正案をセット
35. 使うにあたっての個人の意見 & 留意すべき点 • modernize は温度感高く、最新の変更に追従してくれている様子 ◦ waitgroup.Go が Go 1.25 に approve されたことを受けて 即座に対応している: https://github.com/golang/go/issues/73059 • 生成AIにコードを書かせる観点 ◦ 昔のバージョンで書いてくる場合に対応が必要 ◦ CI で modernize -test を実行して、失敗を元に修正させるとか？ • ただし、あくまで beta であり、issue もあがっている ◦ https://github.com/golang/go/issues/75358 : 実行時に panic 35
36. 夢にうつつを抜かさない 程度に使ってみるのがよさそう 36 正しい変更かは各々が 見極めましょう
37. 参考文献 • https://pkg.go.dev/golang.org/x/tools/gopls/internal/analysis/moderni ze • https://pkg.go.dev/golang.org/x/tools/go/analysis • https://pkg.go.dev/golang.org/x/tools/go/ast/inspector • https://zenn.dev/hsaki/books/golang-static-analysis • https://zenn.dev/urakawa_jinsei/articles/3efa94ac6d16e7 37
38. Thank You! 38