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SaaSとAIエージェントは どのように「労働」を変えるのか

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October 13, 2026
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SaaSとAIエージェントは どのように「労働」を変えるのか

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Kazuyuki Suzuki

October 13, 2026

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  1. 1 序 AIエージェントは、SaaS の株価を動かすほど期待されています 「SaaS is Dead(SaaS は死んだ)」という 言葉が広がっています。SaaS は、業務ソフ

    トをネット越しに月額で貸す商売です。 2026 年 2 月初め、Anthropic が AI 「Claude Cowork」に法務のプラグイン(追 加機能)を加えると、法律情報の大手の株価 が 1 日で 13〜16% 下がりました。AIエージ ェントは、なぜここまで期待されるのでしょ うか。 ニュース SaaS is Dead AI の新機能で、ソフト株が急落 ソフトウェア株(イメージ) 期待が移る AIエージェント 考える・使う・見る なぜ、ここまで期待されるのか 「SaaS is Dead」の見出しの裏で、AIエージェントへの期待が高まっている(イメージ)
  2. 2 序 仕事の担い手が、人からエージェントへ移り始めているからです 手作業の時代、人はすべてを自分でこなしま した。SaaS の時代に仕事は速くなりました が、画面を操作するのは人でした。エージェ ントの時代には、その操作をエージェントが 引き受けます。人の役目は「任せて確かめる」 ことに移ります。

    手作業の時代 SaaS の時代 エージェントの時代 手を動かすのは 人 人 SaaS の画面を操作する エージェント SaaS を操作する 人がすること すべて自分で 入力と操作 任せて確かめる 道具 紙・表計算 SaaS SaaS + エージェント この本の地図:人の役目は「やる」から「任せて確かめる」へ
  3. 第1章 SaaS は業務の型を配った 1 SaaS は業務の型をそろえ、人の作業を速くした。それでも、操作するのは人だった。 3. SaaS の売りは、インストールも保守もいらない効率化でした 4.

    会社は業務を SaaS の型に合わせ、記録はクラウドに残りました 5. SaaS は、差がつかない汎用の業務に向くと言われてきました 6. それでも、SaaS を操作するのは人でした 1/6章
  4. 3 第1章 SaaS は業務の型を配った SaaS の売りは、インストールも保守もいらない効率化でした 2000 年ごろまで、業務ソフトは箱で買い、 自社のサーバーに入れ、新しい版が出るたび に入れ直すものでした。

    1999 年創業の Salesforce は「No Software(ソフトはいらない)」を掲げ、ブ ラウザを開けばすぐ使えるサービスを広めま した。SaaS の売りは、この手間のなさでし た。 これまでの業務ソフト 箱に入ったディスクを買う SaaS ブラウザを開けばすぐ使える 自社のサーバーに入れる 保守と更新は提供する側が担う 新しい版のたびに入れ直す どこからでも、月額で使える SaaS は「入れて、守って、更新する」手間を引き取った
  5. 4 第1章 SaaS は業務の型を配った 会社は業務を SaaS の型に合わせ、記録はクラウドに残りました SaaS には、多くの会社の業務をもとにした 「標準の型」が入っています。商談の段階、

    見込みの金額、次の予定。どこに何を書くか が決まっています。 会社は自分たちのやり方を型に合わせ、早く 安く使い始めました(Fit to Standard)。記 録は一か所に貯まり、誰でも同じ形で見られ るようになりました。 A さんの手順 B さんの手順 C さんの手順 SaaS の型 型に合わせる 商談の段階 見込みの金額 次の予定 業務をシステムの標準に合わせる(Fit to Standard) 記録 クラウドに一か所に貯まる
  6. 5 第1章 SaaS は業務の型を配った SaaS は、差がつかない汎用の業務に向くと言われてきました 型に合わせれば、やり方は他社と同じになり ます。だから SaaS は、差がつかない業務に

    向くと言われてきました。 経営思想家の Geoffrey Moore は、選ばれる 理由になる業務を「コア」、それ以外を「コン テキスト」と呼びました。コンテキストは標 準化して外に任せ、浮いた力をコアに回す、 という考え方です。 コンテキスト(差がつかない業務) 経費の精算 勤怠の管理 会計の記帳 商談の記録 → SaaS の型に合わせる コア 顧客に選ばれる理由 浮いた力を 回す 提案の中身 → 自分たちで磨く 標準化して外に任せる Geoffrey Moore のコアとコンテキストをもとに作図(業務の例は作図者による)
  7. 6 第1章 SaaS は業務の型を配った それでも、SaaS を操作するのは人でした SaaS で仕事は速くなりましたが、画面を開 いて入力し、次の画面へ移るのは人のままで した。会社が管理する

    SaaS は平均 305 本。アプリの切り替えは 1 日約 1,200 回と いう調査もあります。 料金も、使う人 1 人につき 1 席分。SaaS は 「人が使う道具」でした。 商談の記録 提案書の置き場 305 本 会社が管理する SaaS の平均(Zylo、2026 年) 営業担当 議事録 社内のやり取り 約 1,200 回 1 日にアプリやサイトを切り替える回数 (HBR に載った調査、2022 年) SaaS が増えるほど、人の行き来も増えた 労働の目で見ると:SaaS で作業は速くなりましたが、作業するのは人のままでした。
  8. 第2章 2 エージェントは SaaS を使う人の代わりに働く 型に合わせず、裏で、何体も同時に。SaaS と人の間で、仕事を吸収する層になる。 7. エージェントは、ゴールを渡すと道具を使って仕事を進めます 8.

    エージェントは、業務を型に押し込まなくても動けます 9. エージェントは裏で、何体も同時に仕事を進めます 10. エージェントは、SaaS と人の間で仕事を吸収する層になります 2/6章
  9. 7 第2章 エージェントは SaaS を使う人の代わりに働く エージェントは、ゴールを渡すと道具を使って仕事を進めます OpenAI は、エージェントをこう説明してい ます。 考える

    従来のソフトは、人がワークフローを効率化す るのを助ける。エージェントは、同じワークフ ローを人の代わりに、高い自律性でこなす。 OpenAI「A practical guide to building agents」より訳出 中身は「考える→道具を使う→結果を見る」 の繰り返しです。「A 社向けの提案書を下書き して」と頼めば、記録を読み、過去の提案書 を探し、書いて、確かめます。 ゴールに届く まで回る 結果を見る 道具を使う 提案書を頼まれたら 1 商談の記録を読む 2 過去の提案書を探す 3 下書きを書く 4 抜けがないか確かめる 迷ったら人に聞く。これもループの一部 道具=Salesforce、Google ドライブ、Notion、Slack などの SaaS
  10. 8 第2章 エージェントは SaaS を使う人の代わりに働く エージェントは、業務を型に押し込まなくても動けます SaaS は、会社のやり方を型に合わせさせま した。エージェントは普段の言葉で頼めば、 型にない例外も自分で判断して進めます。

    OpenAI は、従来の仕組みを「チェックリス ト」、エージェントを「経験を積んだ調査員」 にたとえています。判断の難しい仕事や、文 書の多い仕事に向きます。 チェックリスト型(従来の仕組み) 金額が上限以下か 必須の欄が埋まっているか 型にない例外 決まった条件で判定し、例外が来ると止まる 調査員型(エージェント) 経緯と文脈を読む 似た事例を探す 理由を添えて判断する 迷ったら、理由を添えて人に戻す OpenAI「A practical guide to building agents」のたとえをもとに作図
  11. 9 第2章 エージェントは SaaS を使う人の代わりに働く エージェントは裏で、何体も同時に仕事を進めます SaaS は、人が画面の前にいるときしか仕事 が進みません。エージェントは、人が商談に 出ている間も裏で進め、終わるとレビューを

    頼んできます(GitHub Copilot など)。 裏で動けるので、何体も同時に動かせます。 10 社分の提案書を 10 体に任せることもでき ます。Claude Code には、大きな作業を 5〜 30 体に分けて進める機能があります。 営業担当 頼む 商談 商談 移動・電話 A 社の提案書 B 社の提案書 C 社の提案書 D〜J 社の提案書(7 体) エージェント 10 体が同時に 9:00 11:00 13:00 確かめる できたら確かめる 15:00 人が商談に出ている間に、10 体のエージェントが同時に進める(イメージ) 17:00
  12. 10 第2章 エージェントは SaaS を使う人の代わりに働く エージェントは、SaaS と人の間で仕事を吸収する層になります エージェントは、SaaS を使っていた人の代 わりに

    SaaS を操作します。人は SaaS を一 つずつ開く代わりに、エージェントに頼み、 結果を確かめます。 Microsoft の CEO サティア・ナデラも、業 務のロジックは「すべてエージェントのほう へ移っていく」と話しています(2024 年 12 月)。 これまで これから 頼む・確かめる 人が一つずつ操作する エージェントの層:SaaS を操作する 商談 資料 議事録 会話 商談 資料 SaaS と人の間に、仕事を吸収する層ができる 労働の目で見ると:SaaS を操作する仕事はエージェントへ。人には、頼むことと確かめることが残ります。 議事録 会話
  13. 11 第3章 エージェントは情報に手が届くほど賢くなる 仕事の判断は、いくつもの SaaS に散らばった情報から下されます 良い提案書には、いろいろな情報が要りま す。商談の経緯は Salesforce、過去の提案書 は

    Google ドライブ、要望は Notion の議事 録、社内の相談は Slack にあります。 人はこれを一つずつ開いて集めてきました。 AI も同じで、材料がそろうほど正しく判断で きます。 Salesforce 商談の経緯・予算 Google ドライブ 過去に通った提案書 提案書 Notion 打ち合わせで出た要望 Slack 社内での相談 全部がそろって、はじめて書ける 提案書の材料は、4 つの SaaS に散らばっている
  14. 12 第3章 エージェントは情報に手が届くほど賢くなる SaaS をまたいで集めるほうが、判断の材料がそろいます SaaS 各社は自社の画面に AI を載せました。 ただ、その

    AI に見えるのは、基本的にその SaaS の中だけです。議事録の要望を知らず に書けば、ずれた提案になります。 いくつもの SaaS につながる汎用のエージェ ントなら、全部を集めてから判断できます。 業務に溶け込んでいくのは、こうした汎用の エージェントでしょう。 SaaS に載った AI AI AI 商談 議事録 AI AI SaaS をまたぐエージェント エージェント 資料 会話 それぞれ、自分の SaaS の中しか見えない 商談 資料 議事録 全部を集めてから判断する 見える範囲の違いが、判断の質の違いになる 会話
  15. 13 第3章 エージェントは情報に手が届くほど賢くなる SaaS は、AI にデータを渡す口を用意することを迫られます エージェントが仕事の入口になると、SaaS は「AI にデータを渡せるか」を問われます。 渡す口は主に

    3 つ。プログラムからつなぐ API、AI とつなぐ共通規格の MCP(公式の たとえは「AI のための USB-C」)、コマンド で操作する CLI です。Notion は公式の MCP サーバーを公開し、Salesforce も提供を始め ました。 これまで:人が画面を操作する 人 エージェント 人に頼まれて使う これから:人はエージェントに頼む 画面 API MCP SaaS データ CLI API=プログラムからつなぐ口 MCP=AI とつなぐ共通規格 CLI=コマンドで操作する口 人はエージェントに頼み、エージェントが API・MCP・CLI から SaaS を使う 労働の目で見ると:情報を探して集める仕事は、エージェントへ移っていきます。
  16. 14 第4章 仕事を分解し、確かめられる形にする 確かめる手段があると、エージェントは最後までやり切ります エージェントの「できました」は、本当にで きているとは限りません。Claude Code の 公式ガイドはこう書いています。 確かめる手段がなければ、「終わったように見

    える」ことしか手がかりがなく、あなたが確認 役になる。合否が出るものを渡せば、ループは 自分で閉じる。 Claude Code「Best practices」より訳出 作る 確かめる 合格か、不合格か 合格 完了 不合格 直す 確かめる手段がないと 「終わったように見える」で止まり、 人が確認役になる 合否が出るものを渡すと、ループが自分で閉じる
  17. 15 第4章 仕事を分解し、確かめられる形にする たとえば提案書なら、デザインをスクリーンショットで確かめます 見た目も確かめられます。デザインを作った らスクリーンショットを撮り、決めておいた 観点(ロゴの位置、文字の大きさ、はみ出し) と見比べて直します。 公式ガイドにも同じ頼み方が載っています。 観点を先に決めるほど、仕上がりは良くなり

    ます。 決めておいた観点 デザインを作る スクリーンショットを撮る ✓ ロゴの位置 ✓ 文字の大きさ ✗ 表のはみ出し ✓ 色の使い方 観点と見比べる 合格するまで、撮って見比べて直すを繰り返す 見た目も、観点を決めれば機械で確かめられる 直す
  18. 16 第4章 仕事を分解し、確かめられる形にする 仕事を分けて任せ、確かめる。これが新しい業務の流れです これからの業務は、工程に分けて任せ、工程 ごとに確かめる流れになります。進め方と合 格の条件を決めておくと、エージェントは最 後までやり切りやすくなります。 どこでつまずいたかも分かり、直すのも速く なります。

    工程 エージェントに任せること 確かめ方 1 集める 商談の記録・過去の提案書・議事録を読む すべての記述に出典がついているか 2 骨子を作る お客さまの課題と提案の筋を組む 議事録の要望をすべて拾えているか 3 書く 骨子に沿って本文を書く 数字が元の記録と合っているか 4 デザインする 社内の型でスライドにする スクリーンショットで観点と見比べる 5 見直す 最後は人が確かめて送る 別のエージェントが読み手の目で読む 提案書づくりの分け方の例(作図者による) 労働の目で見ると:人の仕事は「自分でやる」から「分けて、確かめ方を決める」へ。
  19. 17 第5章 料金の決め方と原価は、まだ動いている 料金は、利用者の数ではなく、完了したタスクで決まり始めました SaaS は、使う人 1 人につき 1 席分の料金で

    した。エージェントが人の代わりに働けば席 は減り、席で売る会社の売上も減ります。 そこで、完了したタスクの分だけ料金を払う 売り方が出てきました。Intercom の Fin は 成果 1 件 0.99 ドル。Sierra は、タスクを完 了したときだけ代金を受け取ります。 席 使った分 利用者の数で払う 会話や作業の回数で払う これまでの SaaS Agentforce の一部(報道) 結果 解決 1 件で払う Intercom Fin(0.99 ドル) Sierra 料金の基準が、「人」から「仕事の結果」へ近づいていく エージェントの料金の決め方は 3 種類が混ざっている
  20. 18 第5章 料金の決め方と原価は、まだ動いている AI の原価は、まだ読めません AI の原価は、まだ読めません。報道によれ ば、OpenAI は 2025

    年、売上約 130 億ド ルに対して約 220 億ドルを使う見込みです。 黒字化は 2029〜2030 年としています。 値段は年 9〜900 倍のペースで下がってきま した(Epoch AI)。一方で、考える量の多い モデルほど計算が増えます。今の安さが続く とは限りません。 売上 約 130 億ドル 支出 約 220 億ドル 約 90 億ドルの赤字 一方で、同じ賢さの AI の値段は年 9〜900 倍のペースで下がってきた(Epoch AI、2025 年 3 月) OpenAI の 2025 年の見込み(WSJ が入手した投資家向け資料を伝える Fortune の報道、2025 年 11 月)
  21. 19 第5章 料金の決め方と原価は、まだ動いている オープンウェイトのモデルが、約 1 年遅れで追いかけています 中身が公開された「オープンウェイト」のモ デルも育っています。DeepSeek、Qwen、 OpenAI の

    gpt-oss などです。最良の非公開 モデルに約 1 年遅れで並ぶ、という分析があ ります(Epoch AI、2024 年)。 業務には十分な賢さを持ち始め、自社で動か せるので原価も読みやすい。専門の業務に合 わせて学習させる動きもあります。 賢さ 最良の非公開モデル オープンウェイト 業務に十分な賢さ(イメージ) 約1年 時間 イメージ図。約 1 年の遅れは Epoch AI の分析(2024 年 11 月) 労働の目で見ると:どの仕事にどのモデルを使い、いくらまで払うか。それを決めるのも人の仕事です。
  22. 20 第6章 労働はどう変わるのか ソフトウェア開発では、置き換えがもう始まっています エージェントが最初に入り込んだのは、ソフ トウェア開発です。コードにはテストがあ り、正しく動くかを機械で確かめられたから です。 AI がやり遂げられる仕事の長さは、長い目で

    見ると約 7 か月ごとに 2 倍。2023 年以降は 約 4 か月ごとに 2 倍と、伸びが速まってい ます(METR、主にソフトウェアの仕事で測 定)。開発者は、書く人から確かめる人へ移り つつあります。 Claude Opus 4.5 約 320 分 8 時間 1 時間 10 分 1分 2023 o3 Claude 3.7 Sonnet 約 2 年 8 か月で約 90 倍 GPT-5 Claude Opus 4 GPT-4 約 3.5 分 2024 2025 2026 AI が 2 回に 1 回やり遂げられる仕事の長さ(人の専門家にかかる時間で測定。縦軸は、上に行く ほど倍々で長くなる目盛り) METR「Time Horizon 1.1」(2026 年 1 月)の推定値。推定の幅は大きい(Claude Opus 4.5 は 170〜 729 分)。横軸の位置は各モデルの公開時期。
  23. 21 第6章 労働はどう変わるのか 次は、ほかの仕事に広がっていきます 開発の次は、文書と判断の多い仕事です。法 務では、契約書のチェックを手伝う AI が株 価を動かしました。顧客対応では、Klarna が

    2024 年、チャットの 3 分の 2 を AI が受け 持ったと発表しています。営業の提案書や経 理の突き合わせにも、広がり始めています。 この先は、研究開発の仮説づくりや経営の計 画づくりのような、答えが一つに決まらない 高度な仕事にも広がるでしょう。 ソフトウェア開発 始まっている 法務:契約書のチェック 顧客対応:問い合わせへの返答 営業:提案書づくり 経理:書類の突き合わせ これから:答えが一つに決まらない仕事 実線=動き始めている 破線=これから 研究開発:仮説を立てて検証する 経営企画:事業計画と投資の判断 確かめ方を決められる仕事から始まり、答えが一つに決まらない仕事へ
  24. 22 第6章 労働はどう変わるのか 人の仕事は「任せる・分ける・確かめる・責任を持つ」へ移ります エージェントが作業を引き受けても、人の仕 事はなくなりません。何を任せるか選び、工 程に分け、確かめ方を決め、結果に責任を持 つ。中身がこう変わります。 エージェントにどの情報まで触らせ、どこか ら先を人が受け持つか。その線を引くのも人

    です。Klarna の CEO は、AI の対応は安い一 方で質が下がったと認めました。そこで 2025 年、「望めばいつでも人と話せる」こと を打ち出し、人の担当者を再び採用し始めま した。 これまでの営業担当の仕事 記録を入力する 情報を探して集める 提案書を書く これからの営業担当の仕事 何を任せ、どの情報に触らせるか決める 工程と確かめ方を決める 作業は エージェントへ 結果を確かめる 体裁を整える 判断に責任を持つ お客さまと話す お客さまと話す 作業はエージェントへ。人の手元には、決めること・確かめること・話すことが残る
  25. 23 まとめ 労働の価値は、働いた時間から「任せて生む成果」へ移ります SaaS は作業を速くし、エージェントは作業 そのものを引き受けます。その結果、作業の 担い手、料金の決め方、SaaS の価値の 3 つ

    が変わります。 料金体系が「利用者の数や利用量」から「完 了したタスク(成果)」に移ったように、人の 価値も、働いた時間より生み出した成果で測 られるようになります。仕事を分けてエージ ェントに任せ、確かめられる人ほど、1 人で 大きな成果を出せます。 人:任せる・分ける・確かめる・責任を持つ 任せる 結果 労働の価値 働いた時間 → 任せて生む成果 1 担い手 エージェント:作業を引き受ける 作業は人 → エージェント 2 料金 商談の記録 資料 議事録 やり取り SaaS:データを渡す 利用者の数 → 完了したタスク 3 SaaS の価値 画面 → データの渡し方 人・エージェント・SaaS の、これからの役割分担 労働の目で見ると:だから、どれだけエージェントに任せられるかが、労働の価値を決めていくでしょう。
  26. 出典 1/2 出典 取得日はいずれも 2026 年 10 月 6〜7 日。「報道」と書いた数字は、一次資料を直接確認できず、複数の報道で一致したものです。引用文は筆者による訳です。

    序・第1章 Morningstar「Thomson Reuters, RELX, and Wolters Stocks Crushed After Anthro pic Debuts Claude Legal Plug-In」(2026 年 2 月) morningstar.com(報道) Wikipedia「Salesforce」(創業と "the end of software" のキャンペーン) en.wikipedia. org 日鉄ソリューションズ「Fit to Standardとは何か?」 nssol.nipponsteel.com Geoffrey A. Moore『Dealing with Darwin』(2005 年)のコアとコンテキスト(解説記 事による) Zylo「SaaS Statistics」(1 社平均 305 本、2026 年) zylo.com Harvard Business Review「How Much Time and Energy Do We Waste Toggling Bet ween Applications?」(2022 年 8 月) hbr.org(本文は有料。数字は複数の紹介記事で一 致) 第2章 OpenAI「A practical guide to building agents」 cdn.openai.com GitHub Changelog「Copilot coding agent is now generally available」(2025 年 9 月 25 日) github.blog Claude Code「Best practices for Claude Code」 code.claude.com BG2 Pod「Satya Nadella | BG2 w/ Bill Gurley & Brad Gerstner」(2024 年 12 月) A pple Podcasts 第3章 Model Context Protocol「What is the Model Context Protocol (MCP)?」 modelcont extprotocol.io Salesforce の MCP サーバー提供(Salesforce Developers Blog ほか、報道) develop er.salesforce.com
  27. 出典 2/2 出典 取得日はいずれも 2026 年 10 月 6〜7 日。「報道」と書いた数字は、一次資料を直接確認できず、複数の報道で一致したものです。引用文は筆者による訳です。

    Epoch AI「LLM inference prices have fallen rapidly but unequally across tasks」(2 第4章 025 年 3 月 12 日) epoch.ai Claude Code「Best practices for Claude Code」(確かめる手段、スクリーンショット Epoch AI「Open models report」(2024 年 11 月 4 日) epoch.ai での確認) code.claude.com Wikipedia「Gpt-oss」 en.wikipedia.org 第5章 Sierra「Outcome-based pricing for AI Agents」(2024 年 12 月 10 日) sierra.ai Intercom「Pricing」 intercom.com Salesforce Agentforce の価格体系 concret.io、supered.io(解説記事) Fortune「OpenAI's cash burn ... financial documents」(2025 年 11 月 12 日、WSJ が入手した資料の報道) fortune.com 第6章 METR「Time Horizon 1.1」(2026 年 1 月 29 日) metr.org Klarna プレスリリース(2024 年 2 月 27 日) klarna.com/Bloomberg(2025 年 5 月 8 日) bloomberg.com(報道)