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褒め方の技術の誤解と本質
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kaza
December 12, 2025
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褒め方の技術の誤解と本質
kaza
December 12, 2025
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Transcript
誉め方の技術 の誤解と本質 〜とある新人リーダーの物語風〜
褒め方の技術の誤解と本質 •個人の体験談に基づく経験ベースの話で、 特に何かエビデンスがある訳ではありません •あくまで仕事など協働作業における話なので、 他のケースではまた別の捉え方が必要かもしれません •頭でっかちな筆者の 半分笑い話だと思って聞いてもらえれば幸いです 0. 前置きという名の予防線
褒め方の技術の誤解と本質 1. 褒めて伸ばすが推奨される時代 褒めて伸ばす、実践してますか? 近年推奨されることの多い「褒めて伸ばす」 。 皆さんは実践してますか?(実践できてますか?) すごい! やればできるじゃないか!
褒め方の技術の誤解と本質 1. 褒めて伸ばすが推奨される時代 この方法がよく推奨されるようになった背景には、 下記の要因が影響しているのかなと感じています。 ✔ 厳しく叱るとパワハラになりかねない (ニュースでもよく聞くので、皆自然と意識してる気がします) ✔ 昨今の若者は打たれ弱い、らしい
(自分もそう言われてきた側なので実感ないですが) ✔ 心理学・科学的にエビデンスがある (紹介している書籍や記事も増えましたね)
褒め方の技術の誤解と本質 1. 褒めて伸ばすが推奨される時代 これはそんな時代に、 仕事であるグループのリーダーを任された とある人物の失敗と学びの物語です。
褒め方の技術の誤解と本質 2. グループリーダーになったK その人物の名を仮にKとしましょう。 Kに与えられたポジションは、 チームを三分割した1グループのリーダーでした。 また、その際に求められた役割・スキルは、 “コーチング”(指導で後輩をレベルアップさせて欲しい) でした。
褒め方の技術の誤解と本質 Kは学生時代に心理学を学んでいました。 そのため、叱るより褒める方が良いとされる 実験結果を知っていました。 また、自分の性格から言っても、 その方が合っていると考えました。 2. グループリーダーになったK
褒め方の技術の誤解と本質 2. グループリーダーになったK C r e a t e d
b y N a n o B a n a n a P r o
褒め方の技術の誤解と本質 2. グループリーダーになったK 先輩エンジニアから紹介してもらった コーチングの本を読んだKは、 ひとまず“褒めて伸ばす”をやってみようと考えます。 グループの雰囲気が良くなって 後輩がぐんぐん成長したらいいな
褒め方の技術の誤解と本質 2. グループリーダーになったK xxの作成、 完了しました! お、いい感じだね。 yyの部分が 特にいいね。
褒め方の技術の誤解と本質 2. グループリーダーになったK はあ…… そうっすか? (あれ…… 全然響いてない……)
褒め方の技術の誤解と本質 2. グループリーダーになったK 何度かチャレンジしてみるも、 一向に“褒めて伸ばす”に手応えを感じません。 何が いけないんや……
褒め方の技術の誤解と本質 色々調べてみた結果、 褒めるに関する「方法」や「技術」といった 書籍がたくさん出ていることを知りました。 2. グループリーダーになったK 技術を駆使すれば 人を良い方向に 導くことがきっと できるんだろう
なるほど。 自分には 技術がなかったのか
褒め方の技術の誤解と本質 こうして様々な褒め方の「方法」 「技術」に関する 書籍を色々と読んでみることになります。 2. グループリーダーになったK これで今度こそ グループの雰囲気が良くなって 後輩がぐんぐん成長したらいいな
褒め方の技術の誤解と本質 褒め方の「方法」 「技術」に関する書籍を読み、 いくつかの具体的なノウハウを学びました。 3. 褒め方というラビリンスに突入 ✔ どこがどう良かったのか、具体的な情報を示した方が良い ✔ 結果だけでなくプロセスにも着目する
✔ 本人がいない場所でも褒める ✔ 悪いところより良かったところを先に伝える ✔ やっぱり、という前置きを使うと日頃から思っている感が出る ✔ etc......
褒め方の技術の誤解と本質 しかし一向に状況は改善しません。 むしろ後輩がたまに半笑いになる時点で、 「褒めようとしているのがバレてそう」です。 3. 褒め方というラビリンスに突入 はは、そうっすね。 あざまーっす! (全く 響いてない……)
褒め方の技術の誤解と本質 自分も頭では分かっています。 「そりゃそうや」 相手がやたらと褒めようとしてればすぐ分かるもの。 そういうのは透けて見えてしまいますよね。 しかし褒めないほうがいいとも思えない。 褒められると嬉しい場面ももちろんある。 じゃあ、いったい自分の何が問題なんだろう? 3. 褒め方というラビリンスに突入
褒め方の技術の誤解と本質 様々な書籍に答えを求め続け、 各書籍の情報を整理しながらあれこれ考えていたところ、 ふとある共通点があることに気づきました。 3. 褒め方というラビリンスに突入
4. 褒め方の共通点 褒め方の技術の誤解と本質 褒めるということは、 すなわち感謝を伝えること。
褒め方の技術の誤解と本質 どの本でも、もちろん先程挙げたような “褒め方”というアプローチの記述はたくさんありました。 が、そのアプローチの本質をまとめていくと、 「ありがたいと感じたことをどう伝えるか」という 共通点が見えてきました。 4. 褒め方の共通点
褒め方の技術の誤解と本質 仕事において「褒める」ということは、 つまり自分にとってありがたいと思える何かを 誰かがしてくれたということ。 4. 褒め方の共通点 お、いい感じだね。 yyの部分が 特にいいね。 この場合、
何らかの成果物を 良い形で 出してくれた
褒め方の技術の誤解と本質 それを褒めるということは、すなわち、 「それをやってくれてありがとう」 を伝えるということ。 4. 褒め方の共通点 こんなクオリティ高いも の作ってくれたんだ。 ありがとう お、いい感じだね。
yyの部分が 特にいいね。 前提として この気持ちが あるからこそ 褒めたいという 欲求が出てくる
褒め方の技術の誤解と本質 そのように「褒める」という行為を捉え直すと、 褒め方というものの見え方もガラッと変わりました。 4. 褒め方の共通点 ✔ どこがどう良かったのか、具体的な情報を示した方が良い ✔ 結果だけでなくプロセスにも着目する ✔
本人がいない場所でも褒める ✔ 悪いところより良かったところを先に伝える ✔ やっぱり、という前置きを使うと日頃から思っている感が出る ✔ etc......
褒め方の技術の誤解と本質 褒め方とはつまり、 相手を意のままにコントロールしようとするテクニック ではなく、 感謝を100%伝えるためのコミュニケーションとしての努力 なのだと感じるようになったのです。 4. 褒め方の共通点
褒め方の技術の誤解と本質 例:どこがどう良かったのか、具体的な情報を示した方が良い 4. 褒め方の共通点 お、いいね。 ありがとう お、この部分が特に 分かりやすくていいね。 ありがとう こちらの方が
ただありがとうと 伝えるより、 何に感謝しているかが きちんと伝わる <シンプル感謝パターン> <具体的感謝パターン>
褒め方の技術の誤解と本質 振り返ってみると、 自分が行なっていた褒めるアプローチは、 自分の思惑で人をコントロールしようとする行為でした。 5. 誤解から生じた失敗 お、いい感じだね。 yyの部分が 特にいいね。 この動きを推奨して
後輩を成長させよう 自分の思い通りに しようとする動き
褒め方の技術の誤解と本質 だからこそ、 相手が思うように動いてくれないことに 困ってしまったんですね。 5. 誤解から生じた失敗 はあ…… そうっすか? (あれ…… 全然響いてない……)
褒め方の技術の誤解と本質 5. 誤解から生じた失敗 ですが、当然相手からすれば、 自分を意のままに操ろうとしているなんて 気持ちの良い話ではありません。 自分の都合で私を コントロールしようと してるな?
褒め方の技術の誤解と本質 5. 誤解から生じた失敗 つまり、褒め方を単なる技術と誤解していたが故に、 相手をリスペクトし対等な関係で誠実に向き合う というコミュニケーションの基本を守れていなかった訳です。 対等な関係なくして 相手の心にしっかり 届く言葉を 紡げる訳がなかった
ことにようやく 気づいた
褒め方の技術の誤解と本質 褒めると感謝は別物のように思えるかもしれませんが、 実はどちらも同じ目的を達成することができます。 6. 褒めると感謝の共通点と違い なるほど、この動きは プロジェクトの 貢献に繋がるんだ ここで動いてくれたの、 めちゃくちゃ助かったよ。
ありがとう! 良い行動の促進、 自然な学習の発生
褒め方の技術の誤解と本質 6. 褒めると感謝の共通点と違い ここで動いてくれたの、 めちゃくちゃ助かったよ。 ありがとう! それ、 めっちゃいいじゃん! 助かるぅ〜! 忘れないよ、
感謝の正拳突き! ポジティブな サイクルの構築
褒め方の技術の誤解と本質 一方で、感謝は褒めると違い、 対等な立場でのコミュニケーションです。 6. 褒めると感謝の共通点と違い 感謝(フラット) 褒める(上からっぽくなりがち)
褒め方の技術の誤解と本質 もちろんケースバイケースで、 褒めるという行為が絶対的に悪いという訳ではありません。 しかしながら仕事のような協働作業の場合、 年齢的には後輩でもめちゃくちゃ優秀とか、 先輩のミスを後輩がフォローするなんてことは ままある話です。 誰だって完璧ではないのですから。 6. 褒めると感謝の共通点と違い
褒め方の技術の誤解と本質 結局のところ場面次第で、 ある時は助ける側、ある時は助けられる側になります。 6. 褒めると感謝の共通点と違い フォローありがとう。 おかげで顧客を 怒らせずに済んだよ そんなアイディアが? すごい、
自分にはない発想だ! 先輩 後輩 先輩 後輩 こんな風景は 良くあること
褒め方の技術の誤解と本質 組織という構成上、 どうしても上下関係の役割を持つことはあるかもしれませんが、 そこに絶対的な関係性はない訳です。 6. 褒めると感謝の共通点と違い
褒め方の技術の誤解と本質 褒めるだと上から目線と誤解されるリスクがあります。 が、感謝であれば自然体でフラットに向き合えます。 そういう意味ではコミュニケーション取る側としても ハードルが低いというのも魅力的です。 6. 褒めると感謝の共通点と違い 褒める(上からっぽくなりがち) 褒めるアプローチの場合、 この上からっぽくなりがち問題を
配慮・工夫する必要がある
褒め方の技術の誤解と本質 また、個人的に一番嬉しいと感じたのは、 自信を持って相手と向き合えるということです。 6. 褒めると感謝の共通点と違い
褒め方の技術の誤解と本質 これまではテクニックとして褒めていた、つまり、 さすがに嘘をついている訳ではありませんでしたが 思っている以上に過剰に伝えている場面もありました。 6. 褒めると感謝の共通点と違い すごいじゃん! (やる気出してもらいた いから少し飾って 言っておこう)
褒め方の技術の誤解と本質 そのため、 「褒めようとしている」が見透かされると、 まるで嘘ついているかのような気まずさがありました。 6. 褒めると感謝の共通点と違い はあ…… そうっすか? やべ、 見透かされてる。
きまず……
褒め方の技術の誤解と本質 しかし感謝は、 「ありがてえ……!」と感じたら ただそれを言葉にするだけで良いのです。 そこに嘘は全くありません。 6. 褒めると感謝の共通点と違い え、まじ!? ありがとう! 特にこの部分、
すげえ助かるぅ〜!
褒め方の技術の誤解と本質 もし仮に相手が「褒めようとしてるのかも?」と うがった見方をしてきたとしても、 嘘ではないのだから自信を持つことができます。 6. 褒めると感謝の共通点と違い はあ…… そうっすか? どう受け止められたとしても、 自分が本当に思ったこと
なんだから何も悪くない。 自信を持とう!
褒め方の技術の誤解と本質 この結論に辿り着いたことで、 自分は一気に肩の荷が下りたような気がしました。 6. 褒めると感謝の共通点と違い
褒め方の技術の誤解と本質 技術が足りないんだ、頑張りが足りないんだと、 自分を追い詰める必要がなくなり、 シンプルに真っ直ぐ人と向き合えばいい と思えるようになったからです。 6. 褒めると感謝の共通点と違い とにかく「ありがてえ」を ちゃんと伝えよう
褒め方の技術の誤解と本質 まあ、つまり、 何が言いたいのかというと…… 7. 結論 ダララララララララン……(ドラムロール)
褒め方の技術の誤解と本質 7. 結論 自分、これ 好きっす!
褒め方の技術の誤解と本質 クラベスにはBigUp文化があります。 称賛・感謝・励まし、何でもOK! タグをつけて明示的に気持ちを伝える文化です。 7. 結論 Hey Yo! You やるじゃん
Yo!!
褒め方の技術の誤解と本質 この文化のおかげで、 社内で自然体で感謝のサイクルが生まれていると感じています。 7. 結論 ここで動いてくれたの、 めちゃくちゃ助かったよ。 ありがとう! それ、 めっちゃいいじゃん!
助かるぅ〜! 忘れないよ、 感謝の正拳突き!
褒め方の技術の誤解と本質 自分が思い悩んで辿り着いた結論に、 当たり前のように会社の文化が対応している。 入社して一番感動した出来事でした。 7. 結論
褒め方の技術の誤解と本質 感謝を伝えることには とても強いパワーがあると思います。 もし周りとの接し方に悩んだり、 自分のように上辺の技術だけ駆使して失敗してしまったり している人がいれば、 感謝というアプローチで 周囲と向き合ってみてはどうでしょうか? 7. 結論
褒め方の技術の誤解と本質 そしてもし少しでも努力してみようと思うなら、 自分の感謝を100%伝えるためにはどうすれば良いか という観点で伝え方を工夫してみると良いと思います。 7. 結論 ✔ どこに「ありがてえ」があったのか、具体的に伝える ✔ 「ありがてえ」のアンテナを張って(※)
、 見過ごしている「ありがてえ」がないか考えてみる ✔ etc...... ※ありがてえの基準、仕事に求めるレベルは人それぞれなので、 無闇やたらと何でも感謝しようということではありません。 「めちゃめちゃ厳しい人達が不意に見せた優しさ」スタイルもありだと思います。 ただ、本当は「ありがてえ」のに伝え忘れることがないように、という意図です
褒め方の技術の誤解と本質 その行動・工夫が関係性や立場により、結果的に見れば、 「褒めている」ように見えることもあるかもしれません。 7. 結論 xxの作成、 完了しました! え、まじ!? ありがとう! 特にこの部分、
すげえ助かるぅ〜! この関係が先輩・後輩なら、 はたから見ると「褒めている」ように見えるかも
褒め方の技術の誤解と本質 しかしその奥底にちゃんと相手への感謝があれば、 決して上から目線になることはないですし、 嘘じゃないから自信を持って伝えることができます。 7. 結論 xxの作成、 完了しました! え、まじ!? ありがとう!
特にこの部分、 すげえ助かるぅ〜! 感謝(フラット)
褒め方の技術の誤解と本質 感謝とそれを伝えるための努力・工夫。 それこそが褒め方の技術の本質なんじゃないか というのが自分の結論 & 伝えたい話でした。 7. 結論 Hey Yo!
マジで感謝してる Yo! だから何度でも言う Yo!!
THANK YOU!! ご清聴いただきありがとうございました!