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PoCで終わらせない。 エンタープライズRAGにおける 「権限管理」と「泥臭い実装」の全貌
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Kusukame
March 19, 2026
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PoCで終わらせない。 エンタープライズRAGにおける 「権限管理」と「泥臭い実装」の全貌
Kusukame
March 19, 2026
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Transcript
2026.1.29 株式会社DriveX CTO 楠⻲ 晃星 PoCで終わらせない。 エンタープライズRAGにおける 「権限管理」と「泥臭い実装」の全貌
2 登壇者プロフィール インフラ‧バックエンド‧Webフロント‧モバイルアプリ まで、あらゆる領域を設計から実装まで⼀気通貫で担当。 20以上のプロジェクトに携わり設計⼒を評価され、 メガバンク向けAIシステムや、toC向けSNSアプリなど、 ゼロイチ開発を数多く経験。 楠⻲ 晃星 (Kosei
Kusukame)
3 ChatGPTやCopilotなどの登場により、個々⼈のAI活⽤は普及しましたが、 企業全体の利益に資するほどのAI活⽤にはまだ程遠いのが現状です。 企業のAI活⽤が進まない現状 PoCで⽌まる: 実証実験は成功しても先に進めない。 業務に定着しない: ⼀部の部署で導⼊したが、使われなく なる。 全社展開できない:
特定のユースケースからスケール できない。 業務効果は限定的 業務効果に直結し 企業価値向上に つながる 個⼈利⽤ 企業利⽤
4 企業のAI導⼊をPoCから全社展開まで対応できる AI基盤の構築に取り組んでいます。 IntegratorXの強みまとめ PoC 本番導⼊ 運⽤‧改善 全社展開 権限制御 (データ取得元の権限を再現)
認証 データ分離‧セキュリティ コスト最⼩化 (ベクトル化‧インデックス‧API利⽤等) ⾮構造データの構造化 多数のコネクタ (和製SaaS/オンプレ含む接続コスト最⼩化)
技術Deep Dive① 権限管理との戦い
6 最初のアプローチ:SpiceDB • Google Zanzibar Inspired: GoogleDriveやYouTubeの権限管理を⽀える論⽂ベース • ReBAC: 「ロール」ではなく「データ間の関係性」で権限を定義する⽅式
• Centralized: 認可ロジックを⼀箇所に集約 • High Performance: 権限チェックに特化した分散データベース 柔軟な権限設計を⽬指し、SpiceDBを検討していました。
7 要件を分析した結果 柔軟に権限を管理できたほうが良いものの、もっとシンプルな⽅法で⼗分だと判断 • あくまで接続先の権限を踏襲するのみ • RAGは参照が主⽬的なので、参照権限があれば⼗分 • 編集等の副作⽤のある操作は接続先の認証に任せる 検索するだけであればシンプルにリレーションを貼るだけで要件を満たせます。
RAGの特性を踏まえた設計
技術Deep Dive② Salesforceの項⽬レベルセキュリティ 権限管理の⽅針は決まりましたが、 Salesforceを接続するにあたり、さらに厄介な問題にぶつかりました。
⾏(Record)は⾒せていい。 でも列(Column)は隠したい。 9 Salesforceの項⽬レベルセキュリティ Salesforceの「項⽬レベルセキュリティ」 具体例 ベクトル化する際、 「カラム単位の権限」をどう埋め込むか? RAGの課題 「社員」テーブル
→ 全員閲覧可 「給与」カラム → ⼀部の役職のみ閲覧可 No Name Age Salary 1 鈴⽊太郎 28 2 ⾼橋涼⼦ 36 3 ⽥中花⼦ 42 4 佐藤直⼦ 29 5 持⽥⾹織 40 一部の 役職の み 閲覧可
10 Salesforceの項⽬レベルセキュリティ 当初考えていたこと 検索でヒットしたオブジェクトIDをもとに、もう⼀度再取得すればいいのでは? ベクトル検索結果 ユーザーの認証情報 を使って再取得 レスポンス 危険なデータ 安全なデータ
11 Salesforceの項⽬レベルセキュリティ 推論攻撃のリスク もっと深刻な問題は、権限内の情報だけに絞っても、情報は漏れるということです。 中⾝が⾒えなくても、「検索にヒットした」という事実が、機密情報をリークする。
12 Salesforceの項⽬レベルセキュリティ 根本的な問題は、⾃分の権限外の情報がベクトルに含まれていることです。 ベクトル検索の時点で、権限外の情報が埋め込まれたベクトルが使われているため、 検索結果から情報が漏れてしまいます。
13 Salesforceの項⽬レベルセキュリティ ‧‧‧限られた期間で、セキュリティ要件を満たすにはこれしかなかった。 コスト度外視の⼒技 「ユーザー別インデックス」 ユーザーごとに ⾒られる項⽬だけで 構成された インデックス を個別に作成
解決策 コストと課題 ‧1,000⼈ユーザー = 1,000個のインデックス ‧ストレージ、埋め込みコストの増加 ‧更新処理の複雑化
14 Salesforceの項⽬レベルセキュリティ より良い⽅法を模索中です。 現状のままでは破綻してしまうため、より良い⽅法を検討中です。 権限ハッシュ化アプローチ(検討中) ユーザーが⾒られるカラムの組み合わせを正規化してハッシュを作成し、 同じハッシュ値を持つユーザーは同じインデックスを共有。 期待される効果:1000個のインデックス → 10-50個程度に削減できる可能性
検討中の課題:権限変更時の影響、インデックス更新の複雑さ 💡この⽅針が最も有望だと現在考えていますが、実装上の課題も多く、継続的な 検討が必要です。
15 Salesforceの項⽬レベルセキュリティ 試⾏錯誤の過程 共通インデックス + 動的フィルタリング(失敗) 最⼤権限で1つのインデックスを作成し、検索後に権限チェックでフィルタリング → 推論攻撃のリスクにより、セキュリティ要件を満たせない ユーザー別インデックス(現⾏)
コストは⾼いが、セキュリティ要件を満たせる唯⼀の⽅法 権限ハッシュ化(検討中) コストとセキュリティのバランスを取れる可能性 1 2 3
その他課題 まだまだ課題はたくさんあります
現実のデータ規模 17 その他課題 ベクトル化処理、保存のコストの削減 ある企業で600TBのデータが溜まっているケースがありました。 この規模のファイルを処理しようとすると、埋め込みモデルの利⽤料だけでかなり のコストになってしまいます。 • 全てをインデックスしてから「精度が出なかった」と判明するリスクを避けたい •
新しいロジックの開発等で再処理するたびにコストが発⽣してしまう • エンジニアの⼼理的安全性が損なわれる(失敗したときのリスク) 課題
課題 18 その他課題 検索精度の向上 ⼤量のデータの中から必要な情報を⾒つけるのは困難。古いファイル、重複ファイ ル、テストデータなどが検索結果に混⼊。 • 必要そうなファイルだけインデックスできる仕組みにより、ノイズを除外し検索 精度を向上。コスト削減にも直結します。 •
グラフRAGとSalesforceの可能性:参照関係をうまく扱えれば、オブジェクト ごとにインデックスを作成でき、権限管理の最適化と埋め込みパイプラインの 簡素化が同時に実現できる可能性があります。 対策
19 その他課題 データ整備によるPoC加速 問題点 • ファイル以外でも AIモデル開発では、意味のないデータや無駄なデータが 混在する問題がある • 例えばレシート画像として集められたデータでさえも、関係のない画像が
混在してしまう。 もしIntegratorXがあったら、もっと効率的にできたかもしれません。 IntegratorX経由でデータ整備ができれば、PoCを加速させることができます。 例えば、GoogleDriveとOneDriveで重複したデータの除去など、ユーザー⾃⾝が使 える機能として提供できます。
将来の展望 20 その他課題 ⼤規模なデータを使った分析、AIモデルの組み込み 検索だけでなく、データ分析や予測分析も可能に データレイクとの連携、リアルタイム処理、モデル管理 技術的課題 企業のデータは図⾯、画像、業界特有のデータなど、多様な形式があります。 IntegratorXは基本的に汎⽤的なベクトル化を⾏いますが、特化したモデルを使う⽅が効果が出 るケースもあります。
ユーザー⾃⾝が、⼀般物体認識などの既存モデルを選択し、接続しているデータの分析を⾏え る仕組みを検討中です。
21 まとめ まとめ • 検索にヒットした事実だけで情報が漏れるリスク • コスト度外視でも、ユーザー別インデックスで確実に守る • 企業の現実と向き合う「泥臭さ」と「決断⼒」が求められます。 •
SpiceDBの柔軟性より、要件に合ったシンプルさを選択 権限管理の設計判断 項⽬レベルセキュリティと推論攻撃 600TBのデータ、コスト最適化、権限ハッシュ化...
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