Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
マイクロサービスアーキテクチャのトレードオフとコンポーネント増加について〜Yahoo!ニュース〜
Search
LINEヤフーTech (LY Corporation Tech)
PRO
December 16, 2025
Technology
0
19
マイクロサービスアーキテクチャのトレードオフとコンポーネント増加について〜Yahoo!ニュース〜
2025年12月1日に開催された「LINEヤフー Developer Meetup #1 in Tokyo 紀尾井町LT忘年会2025」での発表資料です。
LINEヤフーTech (LY Corporation Tech)
PRO
December 16, 2025
Tweet
Share
More Decks by LINEヤフーTech (LY Corporation Tech)
See All by LINEヤフーTech (LY Corporation Tech)
AIプラットフォームにおけるMLflowの利用について
lycorptech_jp
PRO
2
220
MLflowダイエット大作戦
lycorptech_jp
PRO
1
190
4%ルールとN1思考──不確実性に対抗するディスカバリー検証
lycorptech_jp
PRO
1
140
初めてのOSS貢献の雑ガイド
lycorptech_jp
PRO
1
47
LINEスタンプ開発の日常
lycorptech_jp
PRO
1
620
LINEスタンプサーバーサイド
lycorptech_jp
PRO
0
610
Yahoo!ファイナンスにおける生成AIを活用した新機能紹介
lycorptech_jp
PRO
0
660
LINEギフト開発の裏側
lycorptech_jp
PRO
0
650
Python 3.14 Overview
lycorptech_jp
PRO
1
140
Other Decks in Technology
See All in Technology
Introduction to Sansan Meishi Maker Development Engineer
sansan33
PRO
0
330
Digitization部 紹介資料
sansan33
PRO
1
6.4k
AI: The stuff that nobody shows you
jnunemaker
PRO
1
150
Bedrock AgentCore Evaluationsで学ぶLLM as a judge入門
shichijoyuhi
2
320
歴史から学ぶ、Goのメモリ管理基礎
logica0419
10
2k
Oracle Cloud Infrastructure:2025年12月度サービス・アップデート
oracle4engineer
PRO
0
190
All About Sansan – for New Global Engineers
sansan33
PRO
1
1.3k
ECS_EKS以外の選択肢_ROSA入門_.pdf
masakiokuda
1
120
2025年のデザインシステムとAI 活用を振り返る
leveragestech
0
680
マーケットプレイス版Oracle WebCenter Content For OCI
oracle4engineer
PRO
5
1.5k
Cloud WAN MCP Serverから考える新しいネットワーク運用 / 20251228 Masaki Okuda
shift_evolve
PRO
0
130
『君の名は』と聞く君の名は。 / Your name, you who asks for mine.
nttcom
1
140
Featured
See All Featured
The Pragmatic Product Professional
lauravandoore
37
7.1k
Put a Button on it: Removing Barriers to Going Fast.
kastner
60
4.1k
"I'm Feeling Lucky" - Building Great Search Experiences for Today's Users (#IAC19)
danielanewman
231
22k
Sharpening the Axe: The Primacy of Toolmaking
bcantrill
46
2.6k
実際に使うSQLの書き方 徹底解説 / pgcon21j-tutorial
soudai
PRO
196
71k
RailsConf & Balkan Ruby 2019: The Past, Present, and Future of Rails at GitHub
eileencodes
141
34k
Joys of Absence: A Defence of Solitary Play
codingconduct
1
260
The Success of Rails: Ensuring Growth for the Next 100 Years
eileencodes
47
7.9k
Keith and Marios Guide to Fast Websites
keithpitt
413
23k
Docker and Python
trallard
47
3.7k
Between Models and Reality
mayunak
1
150
Building Better People: How to give real-time feedback that sticks.
wjessup
370
20k
Transcript
マイクロサービスアーキテクチャの トレードオフとコンポーネント増加について 〜Yahoo!ニュース〜 2025/12/01 後藤 拓実
自己紹介 後藤 拓実 2012年にヤフー株式会社に新卒で入社。社内向けツールの開発後、 Yahoo!ニュースのコメント機能の運用・開発を担当しつつ、2017年頃よ りニュース全体の技術刷新のテックリードとしてグランドデザインの策定 を行い、2022年頃にNEWSWEB SREの立ち上げを行う。記事入稿システ ムチームのリーダーを経て、2025年4月よりYahoo!ニュース開発部長。 2025年10月よりニュース領域アーキテクト。
システムや組織などの構造と、それらが生み出す影響やトレードオフを考 えるのが好き。
話すこと • コンポーネント(デプロイ単位)が多い。 • どうしてこうなったのかを考えた。 • 役に立つ知見というよりは事例紹介的な内容
Yahoo!ニュースにおける マイクロサービス
全社視点とニュース視点 • 全社視点 ◦ トップページ, 天気, ニュース... と巨大なドメインの中に「ニュース」がある。 • ニュース視点
◦ さらにその中にサブドメインと、それに対応するチームが存在 ▪ フロント: NewsWeb、NewsApp ▪ サブドメイン: コメント、エキスパート、トピックス、記事・媒体等 • 規模感 ◦ Yahoo!ニュース領域だけで 100以上のデプロイ単位(コンポーネント) が存在。 ※例外的にWebのみサブドメインを管掌する各チームが共同開発している
歴史的経緯に基づくMSA • 戦略的設計ではなく歴史的経緯 ◦ 意図的な設計戦略に基づいたMSAではない。結果としてMSAで説明できる形になった ◦ ニュースの各領域が増える際に、既存システムへの追加改修ではなくチーム・システムが増 えるようなタイミングが幾度かあった • 組織とシステムの相関
◦ 組織構造がシステム構造に反映されている。 ◦ 5年前頃の技術刷新のタイミングでWebのみ統合をして共同開発の形にした
サブドメインを管掌するチームの特徴 各チームの独立性 • 各チーム(コメント、トピックス、記事、etc.)が独立したバックログを持つ。 ◦ 実体としては約8個の開発チームが存在 • 各チームがサブドメインに対応するシステムを管掌する ◦ 例外もあり、複数管掌したり分割して管掌するチームも存在する
• 設計・マネジメント・技術選定に裁量(自由)がある ◦ 言語など全社で決められている部分もある • 職能横断型(エンジニア、デザイナー、企画が1チーム)。
現状の構造のメリット • 認知コストの低減 ◦ 各チームはドメインに従った領域(システムと責務)を管掌するため、 担当範囲に集中できる。 • 意思決定のスピード ◦ ステークホルダーが明確(コメントならコメントユーザー等)なため、
コミュニケーションや優先順位付けの負担が減る。 • 施策実行の速度 ◦ 必要な職能がチーム内に揃っているため、立案から実施までがスムーズ。 • 挑戦のしやすさ ◦ チームごとに自由度が高く、領域ごとの改善が進みやすい。
現状の構造のデメリット • 全体最適の難しさ ◦ ニュース全体での優先順位に基づいた施策実施が難しい(チームごとに事情や忙しさが異なる)。 ◦ チーム毎の管掌領域があるため、稼働状況関係なくどのチームがやるか決まったり、決まらなかったり。 • 人員数変化に弱い ◦
チーム機能維持に最低人数が必要となり、人員変化への弾力性が弱い。一方で機能が増えても新チームを簡 単には作れない。 • サイロ化しやすい ◦ 隣のチームが「別組織」のような感覚になりやすい。独自の文化・マネジメントスタイルにより、チーム間 異動の学習コストが高い。 • 全体視点を持ちづらい ◦ メンバーにとって「管掌システム=世界」になりやすく、ニュース全体を意識できる人が育ちづらい。
問題意識:コンポーネント数が多い
問題の焦点 コンポーネント数が非常に増えてしまっている • 1つのサービス領域(ニュース)で100以上のデプロイ単位が存在。 • これにより保守コストが増大している。 • フレームワークやライブラリの定期的なアップデート追従や脆弱性対応等
なぜ増えたのか(要因分析) 現状のMSAの状態を踏まえると、単に「分けすぎた」のではなく、歴史的・構造的な理由がありそう。 • 過去の開発スタイルの名残 ◦ 新規施策を「プロジェクト」として切り出し、新規システムとして開発する文化があった。 • 既存機能への当てはまりにくさ ◦ 既に機能単位でシステムが細分化されているため、既存の機能に当てはまらない新機能は「新規デプ
ロイ単位」として増やすしか選択肢がない。 • 「中心となる部分」の不在 ◦ 「ニュースバックエンド」と呼べるコアシステムが存在しないため、機能を増やすときに分けざるを 得ない。 • リスク回避としての分割 ◦ 「障害時の影響範囲を限定的にできる」というメリットが、分割することへの抵抗感を下げている。
新たな変数の登場:生成AI 生成AIの登場により、従来よりも低コストで柔軟な機能開発が可能になった。 技術的容易さが招く複雑性 • 既存の枠組みに収まらないコンポーネントを安易に増やす誘惑が強まっている。 • これまで以上にシステムが断片化しやすい土壌ができつつある。
所感 - 問題(コンポーネント増加)に対して表面的にはコンポーネントの統廃合が まず手段として出てくる - 深堀ると、コアとなるシステムがないことや、コミュニケーションコスト回 避やリスク回避という原因も見えてくるため、こういった部分にも対処が必 要そうということが分かる(分かってきた) - 今のメリデメを踏まえつつどうアプローチしていくかはよく考えたい
終