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なぜAIは組織を速くしないのか 令和の腑分け
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su8 / denchu
February 23, 2026
Technology
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なぜAIは組織を速くしないのか 令和の腑分け
2026年2月26日「開発生産性のその先へ、AI生産性について語りたい」発表資料
https://forkwell.connpass.com/event/384640/
su8 / denchu
February 23, 2026
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Transcript
© LayerX Inc. なぜAIは組織を速くしないのか ~令和の腑分け~ 2026年2⽉26⽇ 開発⽣産性のその先へ、AI⽣産性について語りたい 杉野 和⾺
2 © LayerX Inc. ⾃⼰紹介 ~ いま話している⼈ ~ 名前 杉野
和⾺ すぎの かずま @__su888 趣味 読書 電柱 職業 ソフトウェアエンジニア ⾦属腐⾷愛好家もどき
3 © LayerX Inc. ⾃⼰紹介 ~ いま話している⼈ ~ 名前 杉野
和⾺ すぎの かずま @__su888 職業 ソフトウェアエンジニア ⾦属腐⾷愛好家もどき 趣味 読書 電柱
4 © LayerX Inc. ⾃⼰紹介 ~ いま話している⼈ ~ 名前 杉野
和⾺ すぎの かずま @__su888 趣味 読書 電柱 職業 ソフトウェアエンジニア ⾦属腐⾷愛好家もどき
⽉毎‧週毎‧⽇毎に様変わりするAI界隈 最近の出来事を⼀つとりあげてみる
© LayerX Inc. 6 1771年 杉⽥⽞⽩ 腑分けに⽴ち会う 梅⼲しじゃないよ 千住⼩塚原の刑場で⼈体解剖(腑分け)に⽴ち会った ⼿元にはオランダ語の医学書「ターヘル‧アナトミア」
⼨分違わない臓器配置の図版に衝撃を受ける それまでの⽇本の医学書が描いていた五臓六腑図は抽象 的で実際の⼈体とは対応していなかった
© LayerX Inc. 7 1771年 杉⽥⽞⽩ 腑分けに⽴ち会う 五臓六腑図 国⽴科学博物館所蔵 千住⼩塚原の刑場で⼈体解剖(腑分け)に⽴ち会った
⼿元にはオランダ語の医学書「ターヘル‧アナトミア」 ⼨分違わない臓器配置の図版に衝撃を受ける それまでの⽇本の医学書が描いていた五臓六腑図は抽象 的で実際の⼈体とは対応していなかった
杉⽥⽞⽩に倣いAI時代の⽣産性を腑分けし ⾼解像度のモデル(解剖図)を描くことを試みてみる
いいじゃん
© LayerX Inc. 10 AI開発の現在地 AI投⼊解剖図 熱狂と齟齬 AI⽣産性の”解体新書” AI⽣産性の”基礎診断” まとめ
© LayerX Inc. 11 AI開発の現在地 AI投⼊解剖図 熱狂と齟齬 AI⽣産性の”解体新書” AI⽣産性の”基礎診断” まとめ
まずはサンプルから。⼀体全体なにが起きているのか? 国内外の事例を集めてみた
スナップショットとしてご理解ください AIエコシステムの急速な発展により前のめりな情報の陳腐化が稀によくあります
© LayerX Inc. 14 AI開発の現在地 国内外 40超 の事例を調査すると特徴的なカテゴリが⾒えてきた エージェント型開発の台頭 Copilot/Tabnine
→ Cursor → Claude Code/Devin → Bolt/Lovable 「⼈間が書きAIが補う」から⾃律実⾏へ。Kiroは上流への進出(萌芽的) 品質‧計測領域の動き 品質:Qodo / Greptile / Snyk 計測:LinearB / Faros AI / DORA 2024, 2025 / GitClear AIがAIを書く Anthropic 70-90% / Microsoft ~30% / Salesforce ~30% / Google全域 Boris Cherny:1⽇22-27 PR、2ヶ⽉以上⼿動コーディングなし ⼤規模エンタープライズ Goldman Sachs:46,000⼈展開、S-1 filing(SEC提出書類)95%をAI⽣成 Booking.com:+16% / Intercom: 41%時間節約
こうした事例を構造的なモデルのなかで捉えたい ⾃分たちの組織は、どこに⽴っているのか
事例を⽣産性向上への投資と捉え 投資領域の相対的な位置をモデル化してみる
© LayerX Inc. 17 AI開発の現在地 AI投⼊解剖図 熱狂と齟齬 AI⽣産性の”解体新書” AI⽣産性の”基礎診断” まとめ
© LayerX Inc. 18 AI開発の現在地 AI投⼊解剖図 熱狂と齟齬 AI⽣産性の”解体新書” AI⽣産性の”基礎診断” まとめ
19 © LayerX Inc. AI投⼊解剖図 事例の相対位置を⽐較可能にするには、共通の座標軸が要る 分類を試みると、2つの⾃然な軸が浮かび上がる 縦 戦略 要件定義
設計 実装 テスト‧QA デプロイ 運⽤ 横 個⼈ GitHub Copilotは個⼈のコーディングを速くする チーム Qodoはチームのレビュー品質に効く 組織 Goldman SachsのAIエージェント群は組織全体の開発⼒を底上げする ライフサイクル⼯程 スコープ(誰の⽣産性か)
20 © LayerX Inc. AI投⼊解剖図 軸をもとに事例をプロットすると、実装 × 個⼈が突出している AI投⼊解剖図:収集した事例をプロットしたヒートマップ 個⼈
チーム 組織 戦略 要件定義 設計 実装 テスト‧QA デプロイ 運⽤
薄い⾯の事例を探すことは可能だが ⽇々流れる空気感‧体感に合っている
22 © LayerX Inc. AI投⼊解剖図 熱狂の中⼼は「設計~テスト‧QA」と「個⼈~チーム」 AI投⼊解剖図:収集した事例をプロットしたヒートマップ 個⼈ チーム 組織
戦略 要件定義 設計 実装 テスト‧QA デプロイ 運⽤
23 © LayerX Inc. AI投⼊解剖図 数字でみる現在地 Anthropic CEO の Dario
Amodei は「90%のコードは AI が書くようになる」と予測する。Stack Overflow 2025 では開発者の 85%が AI を⽇常利 ⽤、51%が毎⽇使うと回答した。先に触れた Boris Cherny の 1⽇ 22〜27 PR は、この未来がすでに⼀部で現実になっていることを⽰す。 ツール進化の構造 近傍のコンテキストから次の⾏を予測するコード補完に始まり、リポジトリ全体を⾒渡してファイル横断で編集する IDE 統合へ。さらに⼈間の指 ⽰に基づき計画から実装‧テストまでを⾃律実⾏するエージェント、複数タスクを同時に処理して PR として提出する並列実⾏へと進んでいる。 開発⽅式の分化 SDD(Spec-Driven Development)は仕様書を起点に AI が実装を⽣成する。Kiro がこの⽅式を採⽤した。TDD with AI はテストを先に書き、AI にテストを通す実装を書かせる。だが、多くの開発者が暗黙に採⽤しているのは対話型反復だ。⽅針を伝え、出⼒を⾒てフィードバックし、精度 を上げていく。Sub-agents や Background Agents の登場で、タスクを投げて結果だけを受け取る⾃律実⾏も現実的になった。
この熱狂⾃体は問題ではない だが、この熱狂の裏で異変が報告されはじめた
© LayerX Inc. 25 AI開発の現在地 AI投⼊解剖図 熱狂と齟齬 AI⽣産性の”解体新書” AI⽣産性の”基礎診断” まとめ
© LayerX Inc. 26 AI開発の現在地 AI投⼊解剖図 熱狂と齟齬 AI⽣産性の”解体新書” AI⽣産性の”基礎診断” まとめ
© LayerX Inc. 27 熱狂と齟齬 複数の独⽴した調査が同じ逆説的な現象を報告しはじめる 開発者の体感と実態 負の相関 AI導⼊に対してデリバリー安定性は負の相関 DORA
2025 / 約5,000名調査 -19% AIを使うと実際には遅くなった 主観は+20% METR RCT / 16 名の経験豊富な OSS 開発者に 246 タスク +98% 個⼈PR数↑だが組織デリバリー横ばい Faros AI / 10,000⼈超 5.7% コードチャーン率(3.1%→倍増) コピペによるコードの複製は 1.5倍に拡⼤ GitClear / 2億1,100万⾏ 80%~ CEO‧CFO「AIは⽣産性に影響を与えていない」 NBER 2026年2⽉ / ⽶英独豪 約6,000名 CEO‧CFO コードの量と質 経営層の視点
個⼈は速くなった(と感じている) しかし、組織は速くなっていない
© LayerX Inc. 29 AI開発の現在地 AI投⼊解剖図 熱狂と齟齬 AI⽣産性の”解体新書” AI⽣産性の”基礎診断” まとめ
© LayerX Inc. 30 AI開発の現在地 AI投⼊解剖図 熱狂と齟齬 AI⽣産性の”解体新書” AI⽣産性の”基礎診断” まとめ
© LayerX Inc. 31 AI⽣産性の”解体新書” AI投⼊解剖図は「どこに投⼊したか」しか教えてくれない AI投⼊解剖図:収集した事例をプロットしたヒートマップ 個⼈ チーム 組織
戦略 要件定義 設計 実装 テスト‧QA デプロイ 運⽤
© LayerX Inc. 32 AI⽣産性の”解体新書” 投⼊の結果として組織がどの状態にいるのか⾒る必要がある 戦略 要件 設計 実装
テスト‧QA デプロイ 運⽤ → 個⼈ チーム 組織 組織の状態 INPUT OUTPUT
© LayerX Inc. 33 AI⽣産性の”解体新書” 投⼊の結果として組織がどの状態にいるのか⾒る必要がある 戦略 要件 設計 実装
テスト‧QA デプロイ 運⽤ → 個⼈ チーム 組織 組織の状態 INPUT OUTPUT
© LayerX Inc. 34 AI⽣産性の”解体新書” 組織の⽣産性(状態)を6つのレイヤーに分ける L6 事業価値層 L5 組織デリバリー層
L4 チーム‧プロセス層 L3 接続‧調整層 L2 個⼈⽣産性層 L1 ツール導⼊層
© LayerX Inc. 35 AI⽣産性の”解体新書” さきほどの図にあてはめると... 戦略 要件 設計 実装
テスト‧QA デプロイ 運⽤ → 個⼈ チーム 組織 組織の状態 INPUT OUTPUT
© LayerX Inc. 36 AI⽣産性の”解体新書” OUTPUT(出⼒)側に組織の⽣産性が描かれる 戦略 要件 設計 実装
テスト‧QA デプロイ 運⽤ → 個⼈ チーム 組織 INPUT OUTPUT L6 事業価値層 L5 組織デリバリー層 L4 チーム‧プロセス層 L3 接続‧調整層 L2 個⼈⽣産性層 L1 ツール導⼊層
© LayerX Inc. 37 AI⽣産性の”解体新書” 多くの組織は L2(個⼈の⽣産性)までは到達した 戦略 要件 設計
実装 テスト‧QA デプロイ 運⽤ → 個⼈ チーム 組織 INPUT OUTPUT L6 事業価値層 L5 組織デリバリー層 L4 チーム‧プロセス層 L3 接続‧調整層 L2 個⼈⽣産性層 L1 ツール導⼊層
⼼当たりはないだろうか • ⾃分は確かに速くなった。だがチームの出荷ペースは変わらない • PRはすぐ出せるのに、マージまでが遠い • デプロイの準備はできているのに、承認が降りない • リリース頻度は上がったのに、ユーザーの反応は変わらない •
ここだけの話、燃え尽きかけてる
⼼当たりはないだろうか • ⾃分は確かに速くなった。だがチームの出荷ペースは変わらない • PRはすぐ出せるのに、マージまでが遠い • デプロイの準備はできているのに、承認が降りない • リリース頻度は上がったのに、ユーザーの反応は変わらない •
ここだけの話、燃え尽きかけてる 胸の動悸が...
⼼当たりはないだろうか • ⾃分は確かに速くなった。だがチームの出荷ペースは変わらない • PRはすぐ出せるのに、マージまでが遠い • デプロイの準備はできているのに、承認が降りない • リリース頻度は上がったのに、ユーザーの反応は変わらない •
ここだけの話、燃え尽きかけてる 胸の動悸が... ただの不整脈なのに
© LayerX Inc. 41 AI⽣産性の”解体新書” 各層間には抵抗があり、⾃動的にシフトするわけではない L6 事業価値層 × 速く届ける
≠ 正しいものを届ける L5 組織デリバリー層 × チームの速度 ≠ 組織の速度 L4 チーム‧プロセス層 × 接続改善 ≠ チームの成果物 L3 接続‧調整層 × 個⼈の速さ ≠ 接続の質 L2 個⼈⽣産性層 × ツール利⽤量 ≠ ⽣産性 L1 ツール導⼊層
© LayerX Inc. 42 AI⽣産性の”解体新書” 抵抗の正体を抽象化すると、脳裏にあてはまるケースが思い浮かぶ L6 事業価値層 × 速く届ける
≠ 正しいものを届ける L5 組織デリバリー層 × チームの速度 ≠ 組織の速度 L4 チーム‧プロセス層 × 接続改善 ≠ チームの成果物 L3 接続‧調整層 × 個⼈の速さ ≠ 接続の質 L2 個⼈⽣産性層 × ツール利⽤量 ≠ ⽣産性 L1 ツール導⼊層 効率と有効性は独⽴した変数である サブシステムの速度はシステム全体の速度を決めない インターフェースの改善は構造の改善ではない 部分の⾼速化は接続点の負荷を増⼤させる ⼊⼒の量は出⼒の質を保証しない
© LayerX Inc. 43 AI⽣産性の”解体新書” 多くの組織にとって、接続‧調整層(L3)を天井に感じている L6 事業価値層 × 速く届ける
≠ 正しいものを届ける L5 組織デリバリー層 × チームの速度 ≠ 組織の速度 L4 チーム‧プロセス層 × 接続改善 ≠ チームの成果物 L3 接続‧調整層 × 個⼈の速さ ≠ 接続の質 L2 個⼈⽣産性層 × ツール利⽤量 ≠ ⽣産性 L1 ツール導⼊層 効率と有効性は独⽴した変数である サブシステムの速度はシステム全体の速度を決めない インターフェースの改善は構造の改善ではない 部分の⾼速化は接続点の負荷を増⼤させる ⼊⼒の量は出⼒の質を保証しない
AI投⼊解剖図をまんべんなく濃くすればいい? そうしたら上位レイヤーに到達できる?
© LayerX Inc. 45 AI⽣産性の”解体新書” そう単純ではない 戦略 要件 設計 実装
テスト‧QA デプロイ 運⽤ → 個⼈ チーム 組織 INPUT OUTPUT L6 事業価値層 L5 組織デリバリー層 L4 チーム‧プロセス層 L3 接続‧調整層 L2 個⼈⽣産性層 L1 ツール導⼊層 ダメヨ ×
© LayerX Inc. 46 AI⽣産性の”解体新書” AI投⼊⾯だけではない ─ なにが重なっているのか? 戦略 要件
設計 実装 テスト ‧QA デプロイ 運⽤ → 個⼈ チーム 組織 INPUT OUTPUT L6 事業価値層 L5 組織デリバリー層 L4 チーム‧プロセス層 L3 接続‧調整層 L2 個⼈⽣産性層 L1 ツール導⼊層 ? ×
© LayerX Inc. 47 AI⽣産性の”解体新書” 共通の軸をもつ、組織の”基礎体⼒”が多⾯的に掛け合わさる 戦略 要件 設計 実装
テスト ‧QA デプロイ 運⽤ → 個⼈ チーム 組織 INPUT OUTPUT × ⾃動化 CI/CD, テスト⾃動化, IaC 等 プロセス設計 アジャイル, WIP制限 等 組織設計 チーム構造, 知識共有 等 計測 DORA Metrics, VSM 等 組織の基礎体⼒ など … L6 事業価値層 L5 組織デリバリー層 L4 チーム‧プロセス層 L3 接続‧調整層 L2 個⼈⽣産性層 L1 ツール導⼊層
© LayerX Inc. 48 AI⽣産性の”解体新書” 共通の軸をもつ、組織の”基礎体⼒”が多⾯的に掛け合わさる 戦略 要件 設計 実装
テスト ‧QA デプロイ 運⽤ → 個⼈ チーム 組織 INPUT OUTPUT × ⾃動化 CI/CD, テスト⾃動化, IaC 等 プロセス設計 アジャイル, WIP制限 等 組織設計 チーム構造, 知識共有 等 計測 DORA Metrics, VSM 等 組織の基礎体⼒ など … L6 事業価値層 L5 組織デリバリー層 L4 チーム‧プロセス層 L3 接続‧調整層 L2 個⼈⽣産性層 L1 ツール導⼊層
49 © LayerX Inc. AI投⼊解剖図 ⾃動化 CI/CD パイプライン、テスト⾃動化、Infrastructure as Code
などは、AI 登場以前から⽣産性向上の主軸であり、多くの組織で⼀定の蓄積がある プロセス設計 スクラム、カンバン、WIP 制限、バッチサイズの縮⼩といった⽅法論は、チーム‧プロセス層への到達に直接効く 組織設計 Team Topologies、職能横断チーム、知識共有の仕組みは、接続‧調整層(L3)の摩擦を構造的に下げる 計測 DORA Metrics やバリューストリームマッピングは、どのレイヤーで詰まっているかを可視化する⼿段
© LayerX Inc. 50 AI⽣産性の”解体新書” 先駆者はAI活⽤だけでなく、複数の投⼊⾯が厚かった Booking.com — スループット +16%
• 計測(DORA Metrics + VSM) • プロセス設計(リーンな改善サイクル) • ⾃動化(成熟したCI/CD) • AI活⽤(3,500⼈超へ展開) 複数⼯程にわたって 計測‧プロセス設計‧⾃動化が厚く敷かれていた チーム‧プロセス層(L4)に到達
© LayerX Inc. 51 AI⽣産性の”解体新書” AI投⼊だけが濃い組織は、他の⾯の薄さに引っ張られる 戦略 要件 設計 実装
テスト ‧QA デプロイ 運⽤ → 個⼈ チーム 組織 INPUT OUTPUT × ⾃動化 CI/CD, テスト⾃動化, IaC 等 プロセス設計 アジャイル, WIP制限 等 組織設計 チーム構造, 知識共有 等 計測 DORA Metrics, VSM 等 組織の基礎体⼒ など … L6 事業価値層 L5 組織デリバリー層 L4 チーム‧プロセス層 L3 接続‧調整層 L2 個⼈⽣産性層 L1 ツール導⼊層
© LayerX Inc. 52 AI⽣産性の”解体新書” AIはミラーとマルチプライヤーである — DORA 2025 AI
は組織の基礎体⼒を映す鏡だ。 プロセス設計、組織設計、計測といった基盤が厚い組織に AI を重ねると、掛け合わ せが正の⽅向に作⽤し、レイヤーの到達が加速する。 だが基盤の薄い組織に AI だけを重ねると、既存の問題を増幅する。レビュープロセ スが機能していなければレビューキューが膨れ上がるだけだし、テスト⾃動化が不 ⼗分ならコードチャーンが増えるだけだ。
強い組織はAIによってさらに強くなり 弱い組織はAIによってさらに弱くなる
ところで
ここまで組織の基礎体⼒として⾒てきたのは 開発プロセスの中の投⼊⾯だった ⾃動化 CI/CD, テスト⾃動化, IaC 等 プロセス設計 アジャイル, WIP制限
等 組織設計 チーム構造, 知識共有 等 計測 DORA Metrics, VSM 等 組織の基礎体⼒ など … これ
開発領域以外にも組織の基礎体⼒ってあるんじゃ? ⾃動化 CI/CD, テスト⾃動化, IaC 等 プロセス設計 アジャイル, WIP制限 等
組織設計 チーム構造, 知識共有 等 計測 DORA Metrics, VSM 等 組織の基礎体⼒ など … これ
あるよ
開発の外側にある 組織全体のシステムにも⽬を向けるんじゃ
外部環境 市場, 技術, 競合, 規制 等 経営層インターフェース 技術投資の意思決定。AI活⽤⽅針の明⽂化と全社共有。 CEO, CTO,
VPoE, CFO リーダー⾃⾝のシステム リーダシップスタイル エネルギー管理 戦略‧計画‧価値観 診断 -> 基本⽅針 -> ⾏動 コミュニケーション 社内コミュニケーション ネットワーク 組織運営システム ミーティング, プロセス 検証を伴う信頼, 基準調整 ⼈材ライフサイクル 採⽤ -> OB -> 成⻑ -> 評価 -> 退職 測定‧フィードバック 全レイヤーのミスマッチを可視化 ⾃分のための測定, ステークホルダー向けの測定
経営層インターフェース 技術投資の意思決定、AI活⽤⽅針の明⽂化と全社共有、CTOやVPoEが経営層と開発現場の橋渡しをどう設計するか 戦略‧計画‧価値観 ユーザー中⼼のフォーカスがなければAI導⼊がパフォーマンスを低下させる(DORA)、何を作るかの意思決定がすべての投⼊⾯の前提 コミュニケーション 知識共有、接続‧調整層の摩擦に直結、社内コミュニケーション設計、プレゼンス構築、組織間のネットワーク 組織運営システム プロセス設計の前提、ミーティング体系、意思決定の基準調整、検証を伴う信頼の構築 ⼈材ライフサイクル 採⽤〜退職までの全過程、AIスキルの獲得‧定着は採⽤と成⻑の設計に依存する
測定‧フィードバック 計測の前提、ここが回っていなければどの投⼊⾯が薄いかすら⾒えない
© LayerX Inc. 61 AI⽣産性の”基礎診断” 異なるスケールの⼊⼒⾯を多⾯的‧多層的に認識する 戦略 要件 設計 実装
テス ト ‧QA デプ ロイ 運⽤ 個⼈ チーム 組織 INPUT OUTPUT ⾃動化 CI/CD, テスト⾃動化, IaC 等 プロセス設計 アジャイル, WIP制限 等 組織設計 チーム構造, 知識共有 等 計測 DORA Metrics, VSM 等 組織の基礎体⼒ など … L6 事業価値層 L5 組織デリバリー層 L4 チーム‧プロセス層 L3 接続‧調整層 L2 個⼈⽣産性層 L1 ツール導⼊層 外部環境 経営層インターフェース リーダー⾃⾝のシステム 戦略‧計画‧価値観 コミュニケーション 組織運営システム ⼈材ライフサイクル 測定‧フィードバック 組織のシステム構造 規模:⼩ 規模:⼤
© LayerX Inc. 62 AI開発の現在地 AI投⼊解剖図 熱狂と齟齬 AI⽣産性の”解体新書” AI⽣産性の”基礎診断” まとめ
© LayerX Inc. 63 AI開発の現在地 AI投⼊解剖図 熱狂と齟齬 AI⽣産性の”解体新書” AI⽣産性の”基礎診断” まとめ
いっぱい図が出てきたので おさらい
© LayerX Inc. 65 AI⽣産性の”基礎診断” 出⼒側のモデルは⼀貫した⽣産性レイヤー構造 戦略 要件 設計 実装
テス ト ‧QA デプ ロイ 運⽤ INPUT OUTPUT ⾃動化 CI/CD, テスト⾃動化, IaC 等 プロセス設計 アジャイル, WIP制限 等 組織設計 チーム構造, 知識共有 等 計測 DORA Metrics, VSM 等 など … 外部環境 経営層インターフェース リーダー⾃⾝のシステム 戦略‧計画‧価値観 コミュニケーション 組織運営システム ⼈材ライフサイクル 測定‧フィードバック ? ? L6 事業価値層 L5 組織デリバリー層 L4 チーム‧プロセス層 L3 接続‧調整層 L2 個⼈⽣産性層 L1 ツール導⼊層 ?
⼊⼒側はスケールに応じてモデルが変化する
© LayerX Inc. 67 AI⽣産性の”基礎診断” 最も狭い⼊⼒(投⼊⾯)は、AI投⼊解剖図 AI投⼊解剖図だけでは説明できなかった 戦略 要件 設計
実装 テス ト ‧QA デプ ロイ 運⽤ 個⼈ チーム 組織 INPUT OUTPUT ⾃動化 CI/CD, テスト⾃動化, IaC 等 プロセス設計 アジャイル, WIP制限 等 組織設計 チーム構造, 知識共有 等 計測 DORA Metrics, VSM 等 など … 外部環境 経営層インターフェース リーダー⾃⾝のシステム 戦略‧計画‧価値観 コミュニケーション 組織運営システム ⼈材ライフサイクル 測定‧フィードバック ? ? L6 事業価値層 L5 組織デリバリー層 L4 チーム‧プロセス層 L3 接続‧調整層 L2 個⼈⽣産性層 L1 ツール導⼊層
© LayerX Inc. 68 AI⽣産性の”基礎診断” 視野を拡げると、複数の投⼊⾯が⾒えてくる AIは投⼊⾯の⼀つに過ぎない。開発プロセスにおける組織の”基礎体⼒”が掛け合わさる 戦略 要件 設計
実装 テス ト ‧QA デプ ロイ 運⽤ 個⼈ チーム 組織 INPUT OUTPUT ⾃動化 CI/CD, テスト⾃動化, IaC 等 プロセス設計 アジャイル, WIP制限 等 組織設計 チーム構造, 知識共有 等 計測 DORA Metrics, VSM 等 組織の基礎体⼒ など … 外部環境 経営層インターフェース リーダー⾃⾝のシステム 戦略‧計画‧価値観 コミュニケーション 組織運営システム ⼈材ライフサイクル 測定‧フィードバック ? L6 事業価値層 L5 組織デリバリー層 L4 チーム‧プロセス層 L3 接続‧調整層 L2 個⼈⽣産性層 L1 ツール導⼊層
© LayerX Inc. 69 AI⽣産性の”基礎診断” さらに視野を拡げると、組織全体のシステム構造が⾒えてくる 開発チームの外側にある組織全体を構成する要素が、投⼊⾯の厚みそのものを規定する 戦略 要件 設計
実装 テス ト ‧QA デプ ロイ 運⽤ 個⼈ チーム 組織 INPUT OUTPUT ⾃動化 CI/CD, テスト⾃動化, IaC 等 プロセス設計 アジャイル, WIP制限 等 組織設計 チーム構造, 知識共有 等 計測 DORA Metrics, VSM 等 組織の基礎体⼒ など … L6 事業価値層 L5 組織デリバリー層 L4 チーム‧プロセス層 L3 接続‧調整層 L2 個⼈⽣産性層 L1 ツール導⼊層 外部環境 経営層インターフェース リーダー⾃⾝のシステム 戦略‧計画‧価値観 コミュニケーション 組織運営システム ⼈材ライフサイクル 測定‧フィードバック 組織のシステム構造
© LayerX Inc. 70 AI⽣産性の”基礎診断” さらに視野を拡げると、組織全体のシステム構造が⾒えてくる 開発チームの外側にある組織全体を構成する要素が、投⼊⾯の厚みそのものを規定する 戦略 要件 設計
実装 テス ト ‧QA デプ ロイ 運⽤ 個⼈ チーム 組織 INPUT OUTPUT ⾃動化 CI/CD, テスト⾃動化, IaC 等 プロセス設計 アジャイル, WIP制限 等 組織設計 チーム構造, 知識共有 等 計測 DORA Metrics, VSM 等 組織の基礎体⼒ など … L6 事業価値層 L5 組織デリバリー層 L4 チーム‧プロセス層 L3 接続‧調整層 L2 個⼈⽣産性層 L1 ツール導⼊層 外部環境 経営層インターフェース リーダー⾃⾝のシステム 戦略‧計画‧価値観 コミュニケーション 組織運営システム ⼈材ライフサイクル 測定‧フィードバック 組織のシステム構造 × × 規模:⼩ 規模:⼤
以上 おさらい
これらの解剖図をもとに介⼊点を特定する
© LayerX Inc. 73 AI⽣産性の”基礎診断” 診断 -> 構造化 -> 介⼊点
-> レバレッジ設計 1 現状の診断 3つのスケールの⼊⼒を重ね どの投⼊⾯が薄く、どのレイヤーで詰まっているかを可視化 2 問題の構造化 ボトルネックはマトリクスの中か外か、投⼊⾯の薄さなのか バリューストリームで「作業」か「待ち」かを判別 4 レバレッジの設計 単⼀⾯ではなく複数⾯の掛け合わせで上位レイヤーへの到達を 設計する。重要なのは制約は移動すること。⼀つのボトルネッ クを解消すれば次のボトルネックが出現する。 3 介⼊点の選択 介⼊には深さがある。ツール追加する(浅い)→チーム構造を 変える(中間)→評価制度‧前提を変える(深い)。最⼤の抵 抗の位置を⾒極めて、介⼊の質を決める。
© LayerX Inc. 74 AI⽣産性の”基礎診断” 現状の診断 INPUT / OUTPUT の現状を観察‧分析する
戦略 要件 設計 実装 テス ト ‧QA デプ ロイ 運⽤ 個⼈ チーム 組織 INPUT OUTPUT ⾃動化 CI/CD, テスト⾃動化, IaC 等 プロセス設計 アジャイル, WIP制限 等 組織設計 チーム構造, 知識共有 等 計測 DORA Metrics, VSM 等 組織の基礎体⼒ など … L6 事業価値層 L5 組織デリバリー層 L4 チーム‧プロセス層 L3 接続‧調整層 L2 個⼈⽣産性層 L1 ツール導⼊層 外部環境 経営層インターフェース リーダー⾃⾝のシステム 戦略‧計画‧価値観 コミュニケーション 組織運営システム ⼈材ライフサイクル 測定‧フィードバック 組織のシステム構造
© LayerX Inc. 75 AI⽣産性の”基礎診断” 現状の診断 AIへの投⼊状況、開発プロセスの基礎体⼒、組織全体のシステム構造のどのあたりが薄いのかを探る 戦略 要件 設計
実装 テス ト ‧QA デプ ロイ 運⽤ 個⼈ チーム 組織 INPUT OUTPUT ⾃動化 CI/CD, テスト⾃動化, IaC 等 プロセス設計 アジャイル, WIP制限 等 組織設計 チーム構造, 知識共有 等 計測 DORA Metrics, VSM 等 組織の基礎体⼒ など … L6 事業価値層 L5 組織デリバリー層 L4 チーム‧プロセス層 L3 接続‧調整層 L2 個⼈⽣産性層 L1 ツール導⼊層 外部環境 経営層インターフェース リーダー⾃⾝のシステム 戦略‧計画‧価値観 コミュニケーション 組織運営システム ⼈材ライフサイクル 測定‧フィードバック 組織のシステム構造
© LayerX Inc. 76 AI⽣産性の”基礎診断” 現状の診断 組織の⽣産性レイヤーのうち”詰まり”をひしと感じるところを探る 戦略 要件 設計
実装 テス ト ‧QA デプ ロイ 運⽤ 個⼈ チーム 組織 INPUT OUTPUT ⾃動化 CI/CD, テスト⾃動化, IaC 等 プロセス設計 アジャイル, WIP制限 等 組織設計 チーム構造, 知識共有 等 計測 DORA Metrics, VSM 等 組織の基礎体⼒ など … L6 事業価値層 L5 組織デリバリー層 L4 チーム‧プロセス層 L3 接続‧調整層 L2 個⼈⽣産性層 L1 ツール導⼊層 外部環境 経営層インターフェース リーダー⾃⾝のシステム 戦略‧計画‧価値観 コミュニケーション 組織運営システム ⼈材ライフサイクル 測定‧フィードバック 組織のシステム構造
© LayerX Inc. 77 AI⽣産性の”基礎診断” 現状の診断 たとえば、次の箇所が課題なのではなかろうか、と診断されたとすると 戦略 要件 設計
実装 テス ト ‧QA デプ ロイ 運⽤ 個⼈ チーム 組織 INPUT OUTPUT ⾃動化 CI/CD, テスト⾃動化, IaC 等 プロセス設計 アジャイル, WIP制限 等 組織設計 チーム構造, 知識共有 等 計測 DORA Metrics, VSM 等 組織の基礎体⼒ など … L6 事業価値層 L5 組織デリバリー層 L4 チーム‧プロセス層 L3 接続‧調整層 L2 個⼈⽣産性層 L1 ツール導⼊層 外部環境 経営層インターフェース リーダー⾃⾝のシステム 戦略‧計画‧価値観 コミュニケーション 組織運営システム ⼈材ライフサイクル 測定‧フィードバック 組織のシステム構造
© LayerX Inc. 78 AI⽣産性の”基礎診断” 問題の構造化 たとえば、価値を⽣んでいる時間と、ただ待っている時間の⽐率から制約を構造的にとらえる ⾃動化 バリューストリームを描くと、作業時間よりも「待ち時間」が⽀配的になっている区間が⾒える。その区間が、成果物の流れを律速している。 組織設計
ひとつの機能を届けるために何チームの調整が必要かを数えると、その数がそのままデリバリーのリードタイムに⽐例している。 組織運営システム 「作れる状態」から「届けられる状態」までの間に何段階の承認‧会議体が挟まるかを数えると、開発速度とは独⽴した律速が⾒える。
© LayerX Inc. 79 AI⽣産性の”基礎診断” 介⼊点を特定する パラメータの調整は最も効果が薄く、システムルールや⽬的の転換が最も効果が⼤きい ⾃動化 ⼿作業をスクリプトに置き換えるのではなく 「なぜその⼿作業が存在するのか」を問い直す。待ちの発⽣源そのものを設計から除去できないかを検討する。
組織設計 チーム間の調整の質を上げるのではなく、調整が不要になるようにチーム境界を引き直す。⼀つの機能を⼀つのチームで届けられるかを問う。 組織運営システム 承認プロセスを速くするのではなく、「なぜその承認が必要なのか」の前提を問い直す。 承認を、検証を伴う信頼に置き換えられないかを検討する。
© LayerX Inc. 80 AI⽣産性の”基礎診断” レバレッジを設計する 制約を1箇所解消しても、次の制約が現れる。複数⾯の掛け合わせと、制約を追い続けるリズムを設計する ⾃動化 CI/CD ×
テスト⾃動化 × 計測を同⼀⼯程に重ね、コード⽣成の⾼速化がコードチャーンではなくデリバリーに変換される経路を設計する。 組織設計 チーム境界の再設計 × 知識共有の仕組み × AI活⽤を重ね、個⼈の速さがチームの速さに変換される接続層(L3)の天井を引き上げる。 組織運営システム 意思決定の分権化 × 計測の定期化 × 診断サイクルの組織リズム化。 ⼀度の改善で終わらせず、制約が移動するたびに次の介⼊点を選べる状態を維持する。
© LayerX Inc. 81 AI⽣産性の”基礎診断” 診断 -> 構造化 -> 介⼊点
-> レバレッジ設計 1 現状の診断 3つのスケールの⼊⼒を重ね どの投⼊⾯が薄く、どのレイヤーで詰まっているかを可視化 2 問題の構造化 ボトルネックはマトリクスの中か外か、投⼊⾯の薄さなのか バリューストリームで「作業」か「待ち」かを判別 4 レバレッジの設計 単⼀⾯ではなく複数⾯の掛け合わせで上位レイヤーへの到達を 設計する。重要なのは制約は移動すること。⼀つのボトルネッ クを解消すれば次のボトルネックが出現する。 3 介⼊点の選択 介⼊には深さがある。ツール追加する(浅い)→チーム構造を 変える(中間)→評価制度‧前提を変える(深い)。最⼤の抵 抗の位置を⾒極めて、介⼊の質を決める。
© LayerX Inc. 82 AI開発の現在地 AI投⼊解剖図 熱狂と齟齬 AI⽣産性の”解体新書” AI⽣産性の”基礎診断” まとめ
© LayerX Inc. 83 AI開発の現在地 AI投⼊解剖図 熱狂と齟齬 AI⽣産性の”解体新書” AI⽣産性の”基礎診断” まとめ
(初版が)誤訳だらけですまんかった しかし、誤訳をおそれず真実を追求するこ とを忘れないでほしいんじゃ
May the Force be with you.
fin