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AWS認定資格は本当に意味があるのか?

 AWS認定資格は本当に意味があるのか?

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April 19, 2026

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Transcript

  1. 1 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 自己紹介 ◼

    2000年 4月 NRIネットコム株式会社入社 ◼ 現在 執行役員 デジタルソリューション事業本部長 クラウドテクニカルセンター センター長 佐々木拓郎 ◼ 執筆
  2. 2 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. AWS認定試験と私 01

    AWS認定資格は本当に意味があるのか? 02 個人の学びを組織のクラウド対応力に変える 03 マネージャーが推進する資格活用戦略 04 まとめ 05
  3. 4 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 私がAWS認定試験を最初に受けた日 2013年6月5日

    日本語でAWS認定試験を受けられるようになった初日 @AWS Summitの会場 AWS の無料クラウドカンファレンス 「AWS Summit Tokyo 2013」開催レポートより引用 https://aws.amazon.com/jp/summit2013-report/ ※消滅したページ
  4. 5 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 私のAWS認定試験の受験履歴 31

    受験回数 26 合格 5 不合格 2013〜 初受験 日本語でAWS認定試験を受けられるようになった初日(2013年6月5日)から受験。 参考書もなく、どんな問題が出るかも解らない時代。 AWS Summitの会場で「負けられない戦い」でした。 ※ 不合格の内訳:ビッグデータ、DevOps再認定、Machine Learning、アドバンスドネットワーク×2 — Specialty は本当 に難しい
  5. 6 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. AWS認定試験に、合格するには? 試験ガイドを読む

    試験ガイドをしっかりと読んで 、試験範囲を把握する。何が 問われるか理解することが第 一歩。 基本概念+ハンズオン 対象サービスの基本概念を理 解し、ハンズオンで実践する。 手を動かした経験が理解を 深める。 WAFの原則で答える Well-Architected Frameworkの原則に沿って 答える。AWSの設計思想を 理解することが近道。 この3つを徹底しておけば、合格できます。 ただし —「合格すること」と「実務で使えること」は同じなのか?
  6. 8 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 私の社会人経験 2000年4月〜

    2012年3月 2012年4月〜 2024年3月 2024年4月〜 エンジニア 12年 マネージャー 12年 役員 3年
  7. 9 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. AWS認定資格は本当に意味があるのか? よく聞く「否定的な声」

    エンジニアから 実務では役に立たない。暗記中心で意味がない 。 試験対策が高度化して、勉強だけで受かってしま う。 全冠取得者が増えすぎて、特別感がなくなった。 マネージャーから 資格取得を推進しても、設計や運用の改善につ ながらない。 取得したメンバーの実力が、期待ほど変わらない。 投資(時間・費用)に対するリターンが見えにく い。 これらの声は、決して間違っていません。では、資格に意味はないのか?
  8. 10 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. AWS認定試験の価値 エンジニア→マネージャー→役員を経験した立場から

    体系的な知識の証明 対象分野に対して、体系的 な知識を持っている可能性が 高い。断片的でなく、全体像 を把握している。 一定レベルのスキル保証 その分野に対して、一定レベ ルのスキルを持つ可能性が高 い。基礎力の担保になる。 学習意欲の表れ 試験を受けようという意欲が ある。自己研鑽を続ける姿勢 そのものが価値。 ただし注意:資格を持っていることは重要だけど、それだけでは判断しない。 資格を取った結果より、「なぜ取ったのか」のストーリーの方が気になる。
  9. 11 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 資格取得と実務のギャップ 試験対策の学び

    実務で求められる力 知識の性質 体系的・網羅的な知識 文脈に応じた判断力 問題の形 選択肢から正解を選ぶ 正解がない中で最善を選ぶ スコープ 個人の知識 チームでの設計・運用 期待される成果 合格 ビジネス課題の解決 このギャップを埋めるのが、「資格で終わらせない学び」と「組織としての仕組み」。 次のセクションで、具体的な方法を見ていきます。
  10. 13 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 試験対策で終わらせない学び方 試験ガイドから

    「実務知識」を抽出 試験範囲=AWSが重要と考 えるスキルセット。出題の背景 にある設計思想を理解する。 WAフレームワークを 実務の判断基準に 試験の正解の根拠=設計の ベストプラクティス。レビューやア ーキテクチャ議論で活用する。 ハンズオンで 「触って理解」を習慣化 座学だけでなく実際に構築・ 検証。失敗から学ぶ経験が 最も定着率が高い。 「試験に受かるための勉強」と「実務に活かすための勉強」は、実はほとんど同じ。 学び方の意識を変えるだけで、同じ時間で得られる成果が大きく変わる。
  11. 14 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 知識をクラウド設計・運用に活かす 設計判断の「根拠」を持てるようになる

    「なんとなく」から「WAフレームワークの原則に基づいて」 へ。資格で学んだ知識が設計レビューの共通言語にな る。 運用改善のアイデアが広がる 試験で知ったサービスを実環境に適用する発想。コスト 最適化・セキュリティ強化の引き出しが増える。 障害対応力が上がる サービスの仕組みを体系的に理解していると、トラブル シューティングの精度とスピードが向上。 Before → After Before 「S3に入れておけばいいんじゃないですか? 」 After 「WAFのコスト最適化の柱を考慮して、S3 Intelligent-Tieringを採用し、ライフサイク ルポリシーでGlacierへの移行も設計しましょ う」
  12. 15 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 学びを組織の標準・設計方針に昇華させる 資格取得

    → 実務適用 → ナレッジ共有 → 標準化 → 組織の力 アウトプットで ナレッジ変換 社内勉強会・LT・技術ブログ でのアウトプット。取得者同 士のコミュニティで知見を共有 。 設計ガイドラインへ 反映 資格学習で得たベストプラク ティスを設計規約に組み込む 。WAFレビューを組織の定期 プロセスに。 共通の知識基盤で 議論の質向上 チーム全員が共通の知識基 盤を持つことで、設計議論の 質が上がる。「WAFでいうと… 」が共通言語に。
  13. 17 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. マネージャーが直面する3つの課題 01

    取得しても 成果が見えない 資格取得を推進しているが、 実際の設計や運用の改善に つながっていない。 → 学びの「出口」を設計する 02 個人の学びが 組織に還元されない 取得者は増えても、ナレッジ が属人化したまま。チーム全 体のレベルアップに繋がらない 。 → 共有の「仕組み」を作る 03 モチベーションの 維持が難しい 最初は意欲的でも、日常業 務に追われて学習が後回しに 。 → 小さな成功体験を設計す る
  14. 18 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. 資格取得を「成果」につなげる仕組み ✓

    学習時間の公式な確保 業務時間内に学習時間を設ける。「個人の趣味」にし ない。 ✓ 取得後のアウトプットを義務化 社内LT・ブログ・勉強会で学びを共有。取得がゴールに ならない。 ✓ WAレビューへの参加機会 取得者に設計レビューの機会を与え、知識を実践で使 わせる。 ✓ チーム目標への組み込み 個人目標ではなくチーム目標に。「みんなで底上げ」の 文化を作る。 ✓ 段階的なロードマップ CLF → SAA → SAP と段階を設計。小さな成功体験 を積み重ねる。 マネージャーの役割は 「環境を整える」こと ✓ 学ぶ時間を作る ✓ 使う場面を用意する ✓ 共有する仕組みを作る ✓ 成果を可視化する 技術力を上げるのはメンバー自身。 マネージャーは「仕組み」で支援する。
  15. 19 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. NRIネットコムでの取り組み事例 組織的なAWS認定取得推進

    全冠取得者を多数輩出。Japan AWS Top Engineer / Ambassadorを継続的に輩出し、組織と してのクラウド対応力を証明。 学びを組織力に変えるサイクル 資格取得→実務適用→ナレッジ共有→標準化のサ イクルを回す。個人の成長が組織のクラウド対応力に 直結する仕組み。 アウトプット文化の醸成 技術ブログ・登壇・書籍執筆を推奨。学んだことを発 信することで、知識が定着し組織に還元される。 成果を生んだポイント 「取れ」ではなく「一緒に」 マネージャー自身も受験。率先垂範が文 化を作る。 学びの「出口」を明確に 取得後のアウトプット先(ブログ・LT・レビ ュー)を予め用意。 外部発信で組織ブランドに 個人の成長が組織の評価に。 Ambassador・Top Engineerの輩出。 成功体験の連鎖 先輩の取得体験が後輩のモチベーション に。自走するサイクルへ。
  16. 21 Copyright(C) NRI Netcom, Ltd. All rights reserved. AWS認定資格は「意味がある」。ただし、活かし方次第 個人として

    学びを実務力に 体系的な知識の習得とスキ ルの証明になる。試験対策で 終わらせず、WAフレームワーク を軸に実務で使える知識にす る。 組織として 学びを組織の力に 個人の学びを組織のクラウド 対応力に変える仕組みが鍵 。設計標準・ナレッジ共有・ WAレビューを定着させる。 マネージャーとして 仕組みで支援する 学ぶ時間・使う場面・共有す る仕組みを整える。「取得さ せる」のではなく「活かせる環 境を作る」。 資格は「ゴール」ではなく「スタートライン」 学び続ける文化と、それを組織に還元する仕組みを作ろう