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問題の見方を変える「システム思考」超入門

 問題の見方を変える「システム思考」超入門

PHPカンファレンス福岡2025・前日Meetup(2025/11/07)での登壇です

「システム思考を学ぶと、オブジェクト指向を理解することや組織を動かすこと、家事を改善することのアプローチを変えられる」という内容です。

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November 06, 2025
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  1. 2 © 2012-2025 BASE, Inc. 自己紹介 • 所属: BASE株式会社(シニアエンジニア) ◦

    フロントエンドもバックエンドもPjMもやります ◦ 直近はデザインリニューアルPJのリーダーをしました • 最近ハマってるツール: Heptabase, Sunsama • 最近感動で涙したこと: さむわんへるつ(ジャンプの新連載), キミプリ LIVE • 近況: ロードスターを購入しました(納車はまだ) • 活動 ◦ 執筆 ▪ アジャイル開発をテーマに一人アドベントカレンダーを完走 ▪ 技術書典18でチーム開発の書籍を自費出版(P85) etc. ◦ 登壇: PHP Conference 2025, TSKaigi 2025 etc.(今年6回目の登壇です) プログラミングをするパンダ(X: @Panda_Program)
  2. © 2012-2025 BASE, Inc. 1.システム思考の超まとめ • 「システム思考とは、あらゆるものをシス テムとして分析することで、対象における 構造と挙動の関係を理解する、問題解決の ための考え方である」(Pandaの理解)

    • 本発表で紹介するシステム思考の特徴(一部) A. システムの構成要素: 目的/要素/繋がり B. ヒエラルキーとフィードバックの時間的 な遅れ C. ストックとフロー システム思考とは何か 77 『世界はシステムで動く ― いま起きていることの本質をつかむ考え方』ドネラ ・H・メドウズ(2015), 英治出版
  3. © 2012-2025 BASE, Inc. 2. システム思考でオブジェクト指向を理解する A. システムの構成要素: 要素・目的・繋がり ◦

    目的(機能): システムが達成しようと すること ◦ 要素: システムを構成する物事 ◦ 繋がり(関連): 情報の流れ、シグナル の発信と着信 課題: プログラムが構造化されていない 99 https://ja.wikipedia.org/wiki/スパゲティプログラム
  4. © 2012-2025 BASE, Inc. 2. システム思考でオブジェクト指向を理解する • アラン・ケイ博士のオブジェクト指向 ◦ オブジェクト指向プログラミングの構成

    要素 ▪ 目的: ソフトウェア全体の機能 ▪ 要素: オブジェクト ▪ 繋がり: メッセージ ◦ システムの機能を実現するために、個々 のオブジェクトがメッセージを送り合う ◦ 生物の細胞組織に着想を得る • Smalltalk(プログラミング言語)で実現 解決: オブジェクト指向というパラダイムを考案 10 10 パーソナルコンピュータの父アラン・ケイが選ぶ「プログラマー必読の古典本」とは? https://gigazine.net/news/20190813-alan-kays-best-classic-book-programmers/
  5. © 2012-2025 BASE, Inc. 3.システム思考で組織を動かす B. ヒエラルキーとフィードバックの時間的 な遅れ • ヒエラルキー(階層)

    ◦ システムは上位と下位に分かれる • フィードバックの時間的な遅れ ◦ システムはフィードバックに対する反 応にタイムラグがある 課題: 組織が動くのは遅い 13 13
  6. © 2012-2025 BASE, Inc. 3.システム思考で組織を動かす 課題: 組織が動くのは遅い 14 14 •

    ヒエラルキーが原因でタイムスパンに違い が出る ◦ 経営陣: 10年、5年、3年、1年の単位 ◦ マネージャー: 1年、半年、3ヶ月、1ヶ 月の単位 ◦ プレーヤー: 1週間、3日、1日、30分の 単位 • 時間軸が違うため、プレーヤーがマネー ジャーに「1年後どうなっていたいです か?」と言われて困惑するのは当たり前
  7. © 2012-2025 BASE, Inc. 3.システム思考で組織を動かす 課題: 組織が動くのは遅い 15 15 •

    フィードバックに対する変化は時間的な遅 れ(タイムラグ)がある ◦ このタイムラグを長くしたり、短くする ことでシステムの挙動が変わる ▪ 短: スタートアップ「チャンスが来た のですぐに実装する!」 • [逆] 対応が遅れると競争に負ける ▪ 長: マネージャー「この決定は全社集 会で話そう」 • [逆] すぐに共有するとハレーション が大きくなる
  8. © 2012-2025 BASE, Inc. 3.システム思考で組織を動かす 解決: 動くまでのタイムラグを短くする 16 16 •

    架空の事例1: 下から上 ◦ x月: あるインシデントの恒久対応が不十 分であることを発見、issueを立てる ◦ x+1月: 週次の1on1で「次のQで取り組 んだ方がいいですよ」と伝える ◦ x+2月: 根本対応PJが立ち上がる ◦ x+3月: 実装・リリース、解決へ • 架空の事例2: 上から下 ◦ y月: 評価者「弱みを克服しましょう」 ◦ z月: 被評価者「やっと克服できました」 • どちらもより早く動いたらみんなハッピー
  9. © 2012-2025 BASE, Inc. 4.システム思考で家事を改善する 問題: 1. 洗濯物が溜まる 2. カゴの中で衣類と下着が混ざる

    18 18 洗濯物を夜に干すのはダメ?夜の洗濯や夜干しのメリット ・デメリットを詳しく解説 https://kuratoku.lcx.mitsubishielectric.co.jp/professional/detail_2477/ C. ストックとフロー ◦ ストック: 現時点における何かの数量で ある ◦ フロー: ストックを増減させる流入・流 出である • システム思考は生活にも役立つ ◦ オレオレ洗濯フレームワークを構築した
  10. © 2012-2025 BASE, Inc. 4.システム思考で家事を改善する 解決: ストックである洗濯カゴを細分化した 22 22 •

    ストックを細分化: カゴ×2, ネット×2 ◦ 緑丸: 衣類・ズボン ◦ 青丸: パンツ・靴下(自分用と妻用) ◦ 紫丸: タオル類のみ • 条件: カゴが満杯になったら洗濯する ◦ ネット内の量は不問 • 制約: 上のカゴは浮かせているので、満杯 以上入れると重さで落ちる ◦ この制約があるから、必ず満杯の時点で 洗濯せざるを得なくなる • 洗濯後の分別が「自分のか妻のか」だけに