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モヤLT_鳩山由紀夫と「政治主導」の功罪

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January 12, 2013
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 モヤLT_鳩山由紀夫と「政治主導」の功罪

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January 12, 2013
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  1. 7 国会議員 政治家と官僚の違い① 大臣 副大臣 政務官 事務次官 局長 課長 課長補佐

    係長 立法府(国会) 行政府(省庁) 大臣 副大臣 政務官 事務次官 局長 課長 課長補佐 係長 大臣 副大臣 政務官 事務次官 局長 課長 課長補佐 係長 首相 首相を指名 首相は 国会議員等から 各大臣を指名 大臣は 国会議員等から 副大臣・政務官を指名 政治家 官僚
  2. 13 総裁は、各派閥の領袖に 「今回の総裁選では譲ってほしい」と依頼する。 その対価としてポストを配分する。 譲り合いがうまくいかないと「非主流派」の派閥ができる。 総裁と各領袖の関係 総裁 総裁選で投票 閣僚ポスト を配分

    厚遇 冷遇 非主流派 主流派 A派 議員 議員 議員 領袖 忠誠 資金提供 ポスト斡旋 B派 議員 議員 議員 領袖 忠誠 資金提供 ポスト斡旋 C派 議員 議員 議員 領袖 忠誠 資金提供 ポスト斡旋
  3. 19    族議員は行政の特定分野に強くなり、    国会の委員会や自民党政務調査会(政調)で    強い発言権を持ち始める ⇒ 自民党政調による事前審査制があるため、    官僚が作った法案は、自民党政調を通さなければ

       国会に提出できない ⇒ 官僚は族議員の顔色を窺うようになる ⇒ 族議員は、業界団体からの陳情を受け官僚に指示を出す 族議員の活動 道路族、農水族、大蔵族、etc……様々な「族」がある
  4. 21 時にはトライアングルが「逆転」することも 省庁 業界団体 行政の権限を基に規制・天下り 族議員 集票力・政治献金を 背景に陳情 委員会での発言権を 背景に指示

    指示通り動くことを 条件に、都合の良い 法案を通して くれるよう依頼 官僚と族議員の結び付きが強まり、 大臣が蚊帳の外に置かれることも
  5. 25 地方の開発が飽和し、かつ過疎化が進んだ ⇒ 公共事業の多くが不要となったのに、    相変わらず大規模な開発が行われた バブル崩壊頃から様々な弊害が現れた 道路族 大蔵族 金融機関の破綻が次々起こった ⇒ 建て直しのため国費が投入されたのに、

       経営の健全化は不十分だった 厚労族 高齢化に伴い医療費の国費負担が増大した ⇒ 医療報酬の見直しはなされなかった ⇒ 「鉄のトライアングル」を批判する声が高まった
  6. 36 民主党の党是の微妙な変化 小泉構造改革について 「新自由主義の行き過ぎが所得格差を増大させた」 と批判することで、新たなアイデンティティを確保 ⇒ 小泉路線のうち「行政のスリム化」には    賛成するものの、市場万能主義には反対し、    積極的に富の再分配を図る「社会保障重視の

       福祉国家」を目指すことに ※ 「行政のスリム化」は「小さな政府」をイメージさせ、   「福祉国家」と一見矛盾するが、民主党の思想は   「行政の無駄を徹底的になくし、浮いた予算を福祉に回す」   というものであるから、必ずしも矛盾しない
  7. 47 主な閣僚 総理 鳩山由紀夫 副総理 菅直人 財務相 藤井裕久 外相 岡田克也

    総務相 原口一博 国交相 前原誠司 行政刷新相 仙谷由人 金融・郵政相 亀井静香 消費者相 福島瑞穂 厚労相 長妻昭 防衛相 北澤俊美 官房長官 平野博文
  8. 101 調整は行われたのか? 財務相 藤井裕久 幹事長 小沢一郎 総務相 原口一博 総理 鳩山由紀夫

    厚労相 長妻昭 ◦ 事例1~3においては、議論らしい   議論が行われた形跡がない ◦ 政策の調整というよりも、議員の力関係に   よって決定がなされたに過ぎない > > > > 当選8回 当選14回 当選7回 当選5回 当選4回
  9. 125 民主党の主張 蓮舫 冷たい、何様だとの指摘も多くいただいたが、 仕分け作業は事業の理念、目的、沿革を 延々と聞くものではない。 事業の理念を実現するために最適なお金の 使われ方がされているかどうかが 問われるのである 枝野幸男

    (蓮舫が相手の言葉を遮ったのは)プールつきの 研修施設が必要なのか聞いているのに、 女性教育は重要だという説明がなされたからだ ※ 枝野幸男「事業仕分けの力」集英社新書より
  10. 130 ノーベル賞受賞者らの会見 ノーベル化学賞受賞者 野依良治 ジャーナリスト 立花隆 スパコンは一旦凍結したら 瞬く間に追い抜かれてしまう。 将来、歴史という法廷に立つ 覚悟ができているのか。

    資源に乏しい日本は、科学技術による 付加価値で生きていくしかない。 バーバリアンがよってたかって 日本という国をぶっ壊しつつある。
  11. 135 ◦ 確かに、科学技術予算の配分については   独法のマージン等不透明な部分も多い ◦ 仕分け人は、科学技術そのものを  軽視する発言はしておらず、   「どう活かすのか」という質問をしていた ◦ 官僚・財団職員は理念ばかりを訴え、

      質問に沿った回答を提示できなかった ⇒ マスコミが「民主党は科学技術を軽視した」   という論調で報道したのは、   少々事実に反する面もある 論点1に係る検討
  12. 136 論点2 ◦ スパコンは、「世界一になってどう使う   のか」という説明が全然なされていない ◦ マイナーな競技に補助が必要ならそう   説明すれば良い。尋ねること自体   許されないのはおかしい ◦

    事業の必要性を主張する側に立証責任がある ◦ 仕分け人から無知な質問がなされたからと   いって立腹するのはおかしい 民主党の立脚点 枝野の反論
  13. 137 予算要求側に説明責任があることは間違いないが…… ◦ 査定側の無知を恥じず   「説明できなかった要求側が悪い」   とする態度には問題がある ◦ 政治家は「今後の科学技術施策は   どうあるべきか」という思想を持つべき

    ◦ 「予算要求側がうまく説明して、無知な我々を   納得させられなければ予算はゼロにする」   という態度は、国家の理想像を考えるべき   政治家の態度ではない 論点2に係る検討
  14. 162 辺野古移設を示唆する発言と 県外移設を示唆する発言を交互に行い、 周囲を混乱させた 鳩山政権の担当閣僚 総理 鳩山由紀夫 外相 岡田克也 防衛相

    北澤俊美 鳩山と異なり 嘉手納統合案を模索した 安全保障政策は外務省に一元化しているため、 極力発言を避けて鳩山・岡田に任せた
  15. 203 鳩山発言のぶれ(まとめ) 2009.7.19 2009.10.7 2009.10.8 2009.11.13 2009.11.14 2009.12.15 2009.12.26 2010.1.9

    2010.1.25 2010.3.26 2010.3.31 2010.4.24 2010.5.4 2010.5.13 2010.5.23 最低でも県外 辺野古 県外 公約が時間変化する可能性あり 辺野古 県外 辺野古とは言ってない 辺野古 県外 結論は早く出す 辺野古 県外 日米合意は前提でない 辺野古 県外 辺野古以外を模索 辺野古 県外 全てグアム移設は無理 辺野古 県外 知事に決断をお願いするかも 辺野古 県外 市長選結果を斟酌する必要なし 辺野古 県外 極力県外に移設 辺野古 県外 腹案を持っている 辺野古 県外 辺野古埋め立ては自然への冒瀆 辺野古 県外 全てを県外は難しい 辺野古 県外 できる限りのことはする 辺野古 県外 最終決定 辺野古 県外
  16. 225 参考文献 ◦政策決定の在り方関係 伊藤光利ほか「政治過程論」有斐閣アルマ 斉藤淳「自民党長期政権の政治経済学」勁草書房 佐々木毅・清水真人「現代日本政治」日経新聞出版社 高畠通敏「政治学への道案内」講談社学術文庫 清水真人「官邸主導」日経新聞社 内山融「小泉政権」中公新書 田中直毅「日本政治の構想」日経新聞社

    中野雅至「政治主導はなぜ失敗するのか」光文社新書 山口二郎「政権交代とは何だったのか」岩波新書 飯尾潤「日本の統治構造」中公新書 御厨貴「政治主導の教訓」勁草書房 新藤宗幸「政治主導」ちくま新書 後藤田正晴「政と官」講談社 野口雅弘「官僚制批判の論理と心理」中公新書 村松岐夫「日本の行政」中公新書 古賀茂明「官僚の責任」PHP新書 大森彌「官のシステム」東大出版会 白川一郎「政権交代期の日本経済」中公新書ラクレ 牧原出「行政改革と調整のシステム」東大出版会 小林良彰「政権交代」中公新書 ◦政局関係 浅川博忠「政権交代狂騒曲」講談社文庫 日経新聞社編「政権」日経新聞出版社 読売新聞政治部「民主党 迷走と裏切りの300日」新潮社 阿比留瑠比「総理、あなたこそ復興の障害です」PHP社 上脇博之「ゼロからわかる政治とカネ」機関紙出版 佐道明広「改革政治の混迷」吉川弘文館 ◦民主党関係 伊藤惇夫「民主党」新潮新書 林芳正・津村啓介「国会議員の仕事」中公新書 野田佳彦「民主の敵」新潮新書 菅直人「大臣」岩波新書 高橋洋一ほか「鳩山由紀夫の政治を科学する」インフォレスト 佐野眞一「鳩山一族 その金脈と血脈」文春新書 長妻昭「招かれざる大臣」朝日新書 長妻昭「闘う政治」講談社 諒純也「理系のトップはなぜダメなのか」阪急コミュニケーションズ 枝野幸男「事業仕分けの力」集英社新書 若林亜紀「実録事業仕分け」ダイナミックセラーズ ◦普天間関係 守屋武昌「普天間交渉秘録」新潮社 毎日新聞政治部「琉球の星条旗」講談社 孫崎亨「日米同盟の正体」講談社現代新書 船橋洋一「同盟漂流」岩波現代文庫