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モヤLT_鳩山由紀夫と「政治主導」の功罪
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Transcript
1 鳩山由紀夫と「政治主導」の功罪 政権交代から鳩山退陣まで 2009(平成21)年8月~2010(平成22)年6月 2012.10.3最終更新
2 衆議院総選挙の結果 戦後初の本格的な政権交代が起こった 自民党は結党以来初めて 衆議院第一党の地位を明け渡し、 民主党による鳩山内閣が、 驚異の高支持率(80%)の中で成立した 2009年8月30日 民主党 自民党
303議席⇒119議席 112議席⇒308議席
3 支持率の急落 → 支持率が急落し、わずか8ヶ月で総辞職
4 「政治主導」と「脱官僚」を 旗印にしてきた鳩山政権・・・ しかし8ヶ月で支持率が急落した原因は 何だったのか? ⇒ 今後、安定政権を確立するためにも、 有権者は、鳩山政権という 「失敗例」から学ぶ必要がある 今回のテーマ
5 序章 民主党が壊そうとしたもの 第1章 「政治主導」をめぐる諸施策 第2章 鳩山政権における政策決定過程 第3章 事業仕分け 第4章 政治とカネ 第5章 普天間をめぐる迷走 終章 民主党が学んだもの 序章 民主党が壊そうとしたもの
6 民主党が目指したものは「政治主導」「脱官僚」 ※ 「官僚ではなく政治家が政策を決定する」ということ そもそも「政治家」と「官僚」は何が違うのか? どう役割分担がなされているのか? 民主党が目指したものとは?
7 国会議員 政治家と官僚の違い① 大臣 副大臣 政務官 事務次官 局長 課長 課長補佐
係長 立法府(国会) 行政府(省庁) 大臣 副大臣 政務官 事務次官 局長 課長 課長補佐 係長 大臣 副大臣 政務官 事務次官 局長 課長 課長補佐 係長 首相 首相を指名 首相は 国会議員等から 各大臣を指名 大臣は 国会議員等から 副大臣・政務官を指名 政治家 官僚
8 選挙で選ばれた国民の代表者。 主として国会で「立法」に携わるが、 政府(内閣)のメンバーに選ばれた場合は 官僚を指揮監督しながら「行政」に携わる。 公務員試験によって選ばれた職員。 「行政」に携わる。 省庁ごとの採用区分なので、特定の 行政分野に高い知見を持つようになる。 政治家と官僚の違い②
政治家 官僚
9 民主党は、 「自民党政権は官僚主導だった」 と批判してきた しかし、法的には各省庁のトップは大臣(政治家)であり、 官僚は大臣の下で働くわけであり、 「官僚主導」など起こり得ないはず まずは、 「自民党政権は、なぜ官僚主導に陥ったのか」 を知るために、自民党の統治構造を見ていく必要がある
自民党政権下での政官関係
10 1 大臣ポストと派閥力学
11 有力議員が総裁を目指すためには、 「子分」を増やす必要がある 派閥が生まれる 自民党総裁の選び方 長年、「自民党議員による投票」のみだった
12 領袖は、配下の議員に 資金提供やポスト斡旋を行い、 その対価として忠誠を誓わせる 領袖と各議員の関係 領袖 議員 ※ 「りょうしゅう」とは 派閥の長のこと 議員
議員 議員 議員 忠誠 資金提供 ポスト斡旋
13 総裁は、各派閥の領袖に 「今回の総裁選では譲ってほしい」と依頼する。 その対価としてポストを配分する。 譲り合いがうまくいかないと「非主流派」の派閥ができる。 総裁と各領袖の関係 総裁 総裁選で投票 閣僚ポスト を配分
厚遇 冷遇 非主流派 主流派 A派 議員 議員 議員 領袖 忠誠 資金提供 ポスト斡旋 B派 議員 議員 議員 領袖 忠誠 資金提供 ポスト斡旋 C派 議員 議員 議員 領袖 忠誠 資金提供 ポスト斡旋
14 各派は大臣ポストへの推薦名簿に 多数の議員を載せて首相に提出する ⇒ 各派の要望を満たすため、頻繁に内閣改造 ⇒ 大臣の任期は1年未満となる上、 専門的知見のない大臣が増える この構造が成り立つためには できるだけ多くの議員に大臣を経験させなければならない
15 ひどい場合は、 大臣は官僚の持ってきたものに決裁するだけ ⇒ 重要事項も全て官僚が決定することに 「門外漢」の大臣 「所管行政に全く知見のない大臣」ができる
16 2 鉄のトライアングル
17 省庁は、 ・ 所管業界に規制を加える ・ 所管業界の利益を代弁する 業界は、 ・ 省庁に陳情する ・ 省庁から天下りを受け入れる ※ 海外では対立関係にあることが多いが、 日本では高度成長時代以降、省庁主導で業界を引っ張って来たため
協力関係にあることが多い 省庁と業界団体の関係 省庁 業界団体 規制・天下り 陳情
18 業界団体にとって、もう一つの陳情窓口が国会議員 ⇒ 業界団体は、集票力や政治献金を背景に、 「国民の代表者」たる国会議員に陳情 ⇒ 特定の行政分野に強い「族議員」が誕生する 「族議員」の誕生 省庁 業界団体 規制・天下り
族議員 陳情
19 族議員は行政の特定分野に強くなり、 国会の委員会や自民党政務調査会(政調)で 強い発言権を持ち始める ⇒ 自民党政調による事前審査制があるため、 官僚が作った法案は、自民党政調を通さなければ
国会に提出できない ⇒ 官僚は族議員の顔色を窺うようになる ⇒ 族議員は、業界団体からの陳情を受け官僚に指示を出す 族議員の活動 道路族、農水族、大蔵族、etc……様々な「族」がある
20 鉄のトライアングル こうして、「鉄のトライアングル」と呼ばれる構図が出来上がった 省庁 業界団体 行政の権限を基に 規制・天下り 族議員 集票力・政治献金を 背景に陳情
委員会での発言権を 背景に指示
21 時にはトライアングルが「逆転」することも 省庁 業界団体 行政の権限を基に規制・天下り 族議員 集票力・政治献金を 背景に陳情 委員会での発言権を 背景に指示
指示通り動くことを 条件に、都合の良い 法案を通して くれるよう依頼 官僚と族議員の結び付きが強まり、 大臣が蚊帳の外に置かれることも
22 3 官僚批判の始まり
23 「鉄のトライアングル」は健全な構造か 「国民の代表者」たる政治家が、 行政府をコントロールしているという点では健全だが・・・ 「受益者である業界団体の利益が、 真に国民の利益と一致しているか」が問題 ※ 国民全体の利益よりも、 「少数だが団結しやすく集票力のある団体」
の利益が優先されてしまうのではないか?
24 と 高度経済成長の時代には… 「少数だが団結しやすく集票力のある団体」の利益 「国民全体」の利益 との間に、大きな違いはなかった…… ※ 地方の開発を推進することは、土木屋だけでなく 一般消費者の利益にもなった
25 地方の開発が飽和し、かつ過疎化が進んだ ⇒ 公共事業の多くが不要となったのに、 相変わらず大規模な開発が行われた バブル崩壊頃から様々な弊害が現れた 道路族 大蔵族 金融機関の破綻が次々起こった ⇒ 建て直しのため国費が投入されたのに、
経営の健全化は不十分だった 厚労族 高齢化に伴い医療費の国費負担が増大した ⇒ 医療報酬の見直しはなされなかった ⇒ 「鉄のトライアングル」を批判する声が高まった
26 族議員や業界団体でなく、官僚を 批判する声が最も多くなった ・国会議員と違って国民の付託を受けていないのに、 実質的に政策を決定している ・天下りを交換条件に、特定の団体の利益を図っている 官僚バッシングの高まり
27 首相や閣僚の無力 首相や閣僚が改革に意欲を示しても、「鉄のトライアングル」の 抵抗に遭い、断念する例もみられた…… ⇒ トライアングルがある限り、閣僚の権限は限定されてしまう 小泉純一郎 郵政大臣 武村正義 大蔵大臣 ※ 小泉は郵政大臣時代から郵政民営化を主張していたが、
実現できたのは首相になってからだった
28 4 小泉構造改革
29 「変人総理」こと小泉純一郎あらわる ⇒「自民党をぶっ壊す」と発言 「鉄のトライアングル」構造を破壊した なぜ構造を破壊できたのか? ⇒ 「トライアングル」が成立するための 前提条件が、小泉内閣では そもそも整っていなかった 小泉の登場
30 そもそもトライアングルが成立する前提条件とは? ⇒ 首相は各派閥の推薦に応じて大臣を選ぶ ⇒ 大臣は首相よりも出身派閥の意向に 従わなければならない ⇒ 大臣より族議員の方が強くなる ※ この大前提が崩れれば、首相や大臣の権限で
トライアングルは崩れる…… 大前提: 「総裁は自民党各派閥の支持を得て選ばれる」
31 自民党総裁選の制度変更 自民党は一般の党員を増やすため、党員による 事前選挙の結果を総裁選に反映させることを決定 ⇒ 各都道府県の議連が3票持つことに ⇒ 議員でなく党員である一般国民の票が 総裁選に影響を与えることに ※ この規定変更により、大前提が徐々に崩れ始めた…
小泉首相が登場する直前に、 自民党総裁選の制度が変更されていた……
32 小泉の改革 ⇒各派閥に相談なく一本釣り人事 ⇒大臣は出身派閥でなく小泉の意向に沿って動く ⇒族議員の権力が弱まる ⇒業界団体の既得権益を切り崩すような 新自由主義的な改革が次々と行われる ・公共事業の削減 ・道路特定財源の見直し
・医療報酬の減額 等々 小泉は、一般の党員から圧倒的な支持を得て 各派閥の支持を得ずして総裁に当選
33 小泉への支持 それまでの自民党は、業界団体の支持で成り立っていた… ⇒ 小泉は、業界団体ではなく無党派層に訴えかけ、 その熱狂的な支持を得た上で、 業界団体の不利益となる施策を次々に実行した 自民党の支持層は大きく変化した
34 郵政民営化法案については、 世論の圧倒的な支持を背景に 自民党政務調査会の了解を取らず 国会に提出した ⇒平沼赳夫「自由民主党は不自由で非民主な 党になってしまった」と批判 自民党政調の事前審査を無視
35 民主党の悲哀 ◦「自民党は一部の団体の利益ばかり図っている」 と無党派層に呼びかけることで集票を狙っていた ◦「行政のスリム化、小さな政府、市場の力を活かす」 が売り文句だった ⇒ 完全に小泉に「お株を奪われた」状態に 民主党の立場
36 民主党の党是の微妙な変化 小泉構造改革について 「新自由主義の行き過ぎが所得格差を増大させた」 と批判することで、新たなアイデンティティを確保 ⇒ 小泉路線のうち「行政のスリム化」には 賛成するものの、市場万能主義には反対し、 積極的に富の再分配を図る「社会保障重視の
福祉国家」を目指すことに ※ 「行政のスリム化」は「小さな政府」をイメージさせ、 「福祉国家」と一見矛盾するが、民主党の思想は 「行政の無駄を徹底的になくし、浮いた予算を福祉に回す」 というものであるから、必ずしも矛盾しない
37 自民党の衰退(安倍内閣時代) 小泉は、一時的に無党派層を熱狂的な支持者として 取り込んだものの、業界団体は利益を図ってもらえなく なったため、自民党から離れていった…… ⇒ 集票力のある母体がなくなった ⇒ 安倍内閣下の参院選で惨敗、 安倍辞任 安倍晋三
38 直接の原因は閣僚不祥事だが、 業界団体の集票力さえあれば、 この程度の不祥事では揺るがないはずだった ⇒ 小泉改革は、既存のトライアングル体制をぶっ壊したが、 自民党の集票力をもぶっ壊す「両刃の剣」であった
参院選惨敗の原因
39 再び自民党に票を集めるには…… ◦小泉型の「強い首相」像により、無党派層の集票を狙うか ◦「鉄のトライアングル」を復活させ、業界団体の集票を狙うか ⇒ 福田・麻生両首相は、2つの路線の狭間で揺れ動き、 有効な戦略を打ち出せなかった 自民党の暗中模索(福田・麻生内閣時代) 麻生太郎
福田康夫
40 自民党が明確な方針を打ち出せない一方で、 民主党の方針は明確だった 民主党の党是 マニフェストの5原則 1 官僚丸投げの政治から、 政権党が責任を持つ政治家主導の政治へ 2 政府と与党を使い分ける二元体制から、 内閣の下の政策決定に一元化へ 3 各省の縦割りの省益から、官邸主導の国益へ
4 タテ型の利権社会から、ヨコ型の絆の社会へ 5 中央集権から、地域主権へ
41 民主党: 308議席 自民党: 119議席 公明党: 21議席 共産党: 9議席 社民党: 7議席 みんなの党: 5議席 国民新党: 3議席 ⇒ 戦後初の本格的な政権交代 衆議院総選挙(2009.8.30)
42 序章 民主党が壊そうとしたもの 第1章 「政治主導」をめぐる諸施策 第2章 鳩山政権における政策決定過程 第3章 事業仕分け 第4章 政治とカネ 第5章 普天間をめぐる迷走 終章 民主党が学んだもの 第1章 「政治主導」をめぐる諸施策
43 1-1 政と官の在り方
44 鳩山会見(2009.8.31未明) 官僚主導の政治から、 「政治主導、国民主導の政治」 に変えていく。 政官業の利権にまみれた政治に さよならして、市民が中心となる 政治を作りだしていく。
45 鳩山、幹事長に小沢一郎を据える ⇒ マスコミ、小沢が実権を握ることを 予想して、「小鳩内閣」と揶揄 幹事長人事(2009.9.3) 小沢一郎
46 鳩山、自宅玄関前で 「今日が歴史の転換点。 行政の仕組みを根本的に変えるスタートの日」 と語る 首班指名(2009.9.16)
47 主な閣僚 総理 鳩山由紀夫 副総理 菅直人 財務相 藤井裕久 外相 岡田克也
総務相 原口一博 国交相 前原誠司 行政刷新相 仙谷由人 金融・郵政相 亀井静香 消費者相 福島瑞穂 厚労相 長妻昭 防衛相 北澤俊美 官房長官 平野博文
48 ◦「閣僚懇談会申合せ」として決定された ◦「政治家」と「官僚」の関係はどうあるべきか、 鳩山内閣の基本的な考え方を述べたもの 「政・官の在り方」の決定(2009.9.16)
49 「政・官の在り方」 その1 政策決定は、あくまで国民から選ばれた政治家が行うべき旨を強調 しかし、「調整」のうちどこまでを政治家が行うかが不明確だったため、 官僚による省庁間調整機能が働かなくなることに 政策の立案・調整・決定は「政」が責任をもって行い、 「官」は職務遂行上把握した国民のニーズを踏まえ、 「政」に対し政策の基礎データや情報の提供、 複数の選択肢の提示等、 政策の立案・調整・決定を補佐する
50 「政・官の在り方」 その2 官僚をいたずらに敵視したり排除したりせず、 信頼関係を構築する旨を記載 ⇒ しかしその後、過度に排除する場面が しばしば見られることとなる 「政」と「官」は、それぞれが担っている役割を尊重し、 信頼を基本とする関係の構築に常に努める必要がある
51 事務次官等への訓示 鳩山、首相官邸に各省事務次官等を集めて訓示 いつの間にか、優秀な官僚の皆さん方に 様々なことを丸投げしてしまう。 自分たちはポスト争いでもしていれば 良いのだと。そのような政治が国民の 皆様方に必ずしも信頼をされなくなった 大きな原因であったと思っております
52 鳩山内閣は、組閣直後から5つの施策を実施した ・ 政務三役会議の設置 ・ 事務次官等会議の廃止 ・ 官僚単独の記者会見の禁止 ・ 与党の事前審査制の廃止 ・ 政治家自身による政策調整 ⇒ 1つ1つの施策を詳細に見ていく 「政治主導」をめぐる5つの施策
53 1-2 政務三役会議の設置
54 法的には、大臣が副大臣・政務官を 選ぶことになっているが、 自民党政権下では、「派閥の論理」で選ばれていた 官僚は副大臣・政務官を軽視し、 「行政府の盲腸」と揶揄されるほど何の役目もなかった 自民党政権下での政務三役 大臣+副大臣+政務官を「政務三役」と呼ぶ ※ 政務三役は原則国会議員で、他は全て官僚
55 民主党政権では、大臣が人間関係や 専門知識の豊富さを考慮して人選 ◦各府省で「政務三役会議」を定期的に開催 ◦大臣の代理で国会答弁や記者会見に立つ場面が急増 これまで役割のなかった副大臣・政務官が活躍を始めた ※ しかし、省によっては政務三役会議に官僚の同席を 許さなかったため、しばしば混乱もみられた…… 民主党政権下での政務三役
56 1-3 事務次官等会議の廃止
57 ◦官僚のトップである事務次官等が集う会議 ◦週2回、閣議の前日に行われる ◦法的根拠はないが明治時代から行われてきた ◦ほとんどの案件は、事務次官等会議を経なければ 閣議には提出されない ⇒ 事務次官等会議の存在が、 「官僚主導の象徴」とみなされた
事務次官等会議とは
58 廃止(2009.9.18) 123年続いております事務次官等会議を 廃止いたしますことは、決して 官僚叩きだと思わないでいただきたい。 私どもの、官僚の皆さんに対する尊敬の 気持ちは変わりません。 鳩山、各省事務次官らに……
59 ◦事務次官等会議自体は、一種の儀式であり そこで激しい議論が交わされることはない ◦省庁間調整は、事務次官等会議より前に 担当者同士で終了済み ⇒ 事務次官等会議廃止に本質的な意味はなく、 象徴的な意味でしかない
廃止に意味はあるのか?
60 1-4 官僚単独の記者会見の禁止
61 厚生労働省や国土交通省の事務次官が 単独で記者会見を行い、 民主党マニフェストを酷評するなど 政治的発言を行っていた…… 自民党政権下では
62 官僚が政治家の同席なく記者会見することを禁止 ⇒官僚が政治家に相談せず意思決定して 発表することがなくなった点で、 政治主導の方向付けに資する施策であった ※一部のマスコミから「取材の自由を規制するもの」との 批判もあったが、概ねスムーズに受け入れられた 記者会見禁止
対国民向けに話をするのは政治家であるべき
63 1-5 与党の事前審査制の廃止
64 ◦民主党は「政策調査会」(自民党の「政務 調査会」と同様の組織)を持っていた ◦政務三役になれなかった民主党議員らが、 行政をコントロールできる唯一の場だった 政策調査会は廃止し、副大臣が主宰する 「各省政策会議」で与党議員らの意見を 吸い上げることに
政策調査会の廃止(2009.9.18)
65 政務三役になれなかった議員ら、不満をこぼす ◦「各省政策会議は時間が短いし、党側からの 要望聴取に過ぎない。ガス抜きだ」 ◦「大量の新人議員を始め、内閣や国会の 役職に就けない『ヒラ議員』は、 どこで政治の訓練を受ければ良いのか」
議員らの不満 2010年7月 政策調査会復活
66 民主党には、そもそも族議員として機能するための 下地(業界団体や官僚とのコネ)が薄かったため、 政策調査会の存在が直ちに族議員の専横に つながるわけではなかった 政策調査会を廃止する必要はなかった むしろ「ヒラ議員」に活躍と勉強の場を 与える意味で、政策調査会は重要だった 政調廃止の必要はあったのか
67 政策調査会が長期に渡って存続すると、 自民党と同様に族議員の専横につながるおそれがある 【理由】 議員にとって、毎回選挙に勝つためには、 特定の利益団体に支持してもらう必要がある ⇒特定の分野の政策調査会メンバーであることを背景に、 その分野の利益団体とコネができ、「族議員」となる 政調のデメリット
68 政策調査会のメンバーについて、 一定年数で入れ替えるなどすれば 癒着を防げるが、 特定の分野に詳しい議員が育たないため、 一長一短である 政調はどうあるべきか
69 1-6 政治家自身による政策調整
70 政治とは利益を配分すること 各省庁は業界の利益を代弁したり、規制したりする 調整とは 「省庁間調整」こそ行政の本質
71 民主党は 「調整を官僚主導で行っていたことこそが、 官僚依存の根源である」 と考えた 閣僚委員会や国家戦略局を設置し、 政務三役が調整を行うことを構想 民主党の構想
72 政治家による「調整」はスムーズに行われたのか? ⇒ ケースごとに検証する しかし
73 序章 民主党が壊そうとしたもの 第1章 「政治主導」をめぐる諸施策 第2章 鳩山政権における政策決定過程 第3章 事業仕分け 第4章 政治とカネ 第5章 普天間をめぐる迷走 終章 民主党が学んだもの 第2章 鳩山政権における政策決定過程
74 鳩山政権においては、 官僚でなく閣僚が政策決定を行った ⇒しかし、官僚がタッチしなかったことで、 様々な弊害も現れた 総論 1 実現可能性の吟味不足 2 議論なき閣僚間利害調整 3 政策協議上の「個人プレー」
75 2-1 実現可能性の吟味不足
76 閣僚の就任記者会見では、 新規施策について次々と 野心的な発言がなされた…… 就任記者会見
77 大胆な方針転換が打ち出され、実行された事例
78 北澤俊美防衛大臣 インド洋での給油活動は、 2010年1月の期限で終了する。 延長はしない。 ⇒ 翌年1月15日に終了となった
79 岡田克也外務大臣 1 1960年の安保改定時に交わされた核持ち込み密約 2 朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動に関する密約 3 1972年の沖縄返還時に交わされた核持ち込み密約 4 沖縄返還時の原状回復補償費の肩代わり密約 以上4項目の密約について、調査の上公表する ⇒ 調査の後公表された
80 大胆な方針転換が打ち出されながらも、 後に取り消された事例
81 前原誠司国土交通大臣 八ツ場ダムの建設中止を決定した ※ 八ツ場ダムとは 1952年に計画が発表され、反対運動もあり未だ完成せず ⇒ 2011年12月、「やはり建設を再開する」と発表
82 原口一博総務大臣 国の出先機関は原則廃止する ※ 総務省は行政管理も担当しており、 全省庁の組織・人員削減を推進している ⇒ しかしその後、廃止された出先機関はない
83 長妻昭厚生労働大臣 後期高齢者医療制度を見直す ⇒ その後「検討する」とトーンダウンし、 10月9日には「当面は存続」と事実上の撤回
84 「ミスター年金」こと長妻昭 長妻は「霞ヶ関で最も嫌われた男」とされる…… ◦「消えた年金記録」問題を発掘し、厚労省を追及 ◦「質問主意書を日本一提出した」と選挙公報に記載 2004年8月5日 細田官房長官が記者会見で… ⇒ 明らかに長妻を意識した発言だった 「1件の質問主意書で1521ページの答弁書を作成するなど、 何日も徹夜する行政官が出て阻害要因になっている。 政府の方針を聞くためでなく、単に資料集めをして
厚さ何センチの資料を出せということは控えてほしい」
85 ピッツバーグサミット(2009.9.21) 2020年までに温室効果ガスを 1990年比で25%削減する ⇒ 産業界が反発する一方、国民は支持 他国に先んじて厳しい目標を設定し、 「鳩山イニシアチブ」と呼ばれ称えられた…… ⇒ 震災後、原発の是非に係る議論も起こり、撤回を検討中 就任記者会見ではないが……
86 まとめ このように、自民党政権下から 大幅な政策変更が行われ、 迅速に実行された例がある一方で、 大風呂敷を広げた挙句に 撤回された事例もあった
87 2-2 議論なき閣僚間利害調整
88 利害調整 重要施策については、 閣僚間で直接利害調整が行われた ⇒ しかし、具体的な政策論に踏み込んだ 調整はあまり行われなかった
89 事例① 子ども手当 民主党マニフェストの最大の目玉の1つ ◦現行制度の「児童手当」は金額が少ない上、 自治体と事業主が負担することとなっていた ◦民主党は「児童手当」を廃止して新たに
「子ども手当」を設けることを予定 中学生までの全ての子どもに、月26000円 ※ 初年度は13000円 民主党マニフェスト
90 所得制限を設けるか否か しかし、財務省にとっては歳出の削減が至上命題… 国を挙げて子育てを支援するのが目的だ。 所得制限なしに給付したい 長妻厚労相 藤井財務相 支給条件として所得制限を設けることを検討したい
91 負担は国か自治体か しかし、総務省(旧自治省)にとっては、 地方財政の歳出削減が至上命題 菅副総理 原口総務相 国が決めたのだから、地方負担は認められない (自治体負担の可能性について) 可能性は排除しない
92 予算削減の方向へ ⇒ 歳出削減が命じられ、 子ども手当の全額給付は困難に 仙谷行政刷新相 鳩山首相 もっと減らす努力が必要だ 予算規模はできれば92兆円くらいで収めたい
93 裁定下る ⇒ 長妻、逆らえず 国負担による支給を断念 ※ 各閣僚は、調整を行わずそれぞれ 持論を述べたため混乱を招いた 平野官房長官 長妻厚労相
とりあえず初年度は児童手当を残し、 自治体と事業主に負担してもらってはどうか
94 結果 地方と事業主が負担する現行の「児童手当」を残し、 不足金額を「子ども手当」とする ※ 当選回数において劣る長妻が、 藤井・平野・鳩山の意向に逆らえなかった ⇒ 長妻、自治体にお詫びの文書を発出
95 事例② 生活保護の母子加算 ⇒ 財務省、半額の30億円に査定 ⇒ 長妻、藤井財務相に交渉するも失敗 母子家庭に対し、生活保護の支給額を加算する (60億円) 民主党マニフェスト
96 直訴 長妻、首相公邸に乗り込み鳩山に直談判 ⇒ 鳩山「60億円で行け」と指示 ⇒ 藤井財務相、やむなく復活要求を認める
97 事例③ ガソリン暫定税率の撤廃 ◦ ガソリン税は1974年に制定された道路特定財源で、 「暫定」と言われながら30年あまり継続していた ◦ 「高度成長の時代には必要な税だったが、今は 無駄な道路作りに使われている」と批判されていた ◦ 2008年に自民党が一般財源化したが、 民主党は 「役割を終えたのだから税自体廃止すべき」と 主張していた
ガソリン暫定税率を撤廃する 民主党マニフェスト
98 鳩山・小沢会談(2009.12.16) 小沢幹事長、国民から民主党になされた 陳情を取りまとめて政府に提出 ⇒ 「ガソリン税の暫定税率維持」が含まれていた 小沢幹事長 選挙あっての政権だ。 ぜひこういう声を聞いてほしい。 ※ 子ども手当等の財源として、小沢は
ガソリン税の継続が必要だと考えていた
99 鳩山発言(2009.12.17) 鳩山首相 暫定税率の廃止はずっと 申し上げてきた。誓いだと思っている ⇒ 小沢激怒 鳩山、慌てて前言を撤回
100 暫定税率維持(2009.12.21) 鳩山首相 地球環境や景気の問題を考えて、 税率は維持することにした。 マニフェストに沿えなかったことを お詫びしたい。
101 調整は行われたのか? 財務相 藤井裕久 幹事長 小沢一郎 総務相 原口一博 総理 鳩山由紀夫
厚労相 長妻昭 ◦ 事例1~3においては、議論らしい 議論が行われた形跡がない ◦ 政策の調整というよりも、議員の力関係に よって決定がなされたに過ぎない > > > > 当選8回 当選14回 当選7回 当選5回 当選4回
102 藤井財務相の辞任(2010.1.6) 藤井財務相、体調悪化を理由に辞意表明 ⇒ 後任財務相に、菅副総理兼国家戦略相が就任 ⇒ 後任国家戦略相に、仙谷行政刷新相が就任 新財務相 菅直人 財務相 藤井裕久 新行政刷新相
仙谷由人
103 2-3 政策協議上の「個人プレー」
104 以上見てきたように、 「議論による調整」がなされず、 「力関係による決定」がなされた例が多い ⇒ 更には、調整すら 行われなかった例もある 「調整」の不在
105 亀井郵政改革相と原口総務相が共同記者会見 経営の自由度を上げるため、 ・ゆうちょ銀行への預入限度額を1000万から2000万に ・かんぽ生命保険への加入限度額を1300万から2500万に ・日本郵政グループ内の取引については消費税免除 事例④ 郵便貯金と簡保 郵政改革法案の最終案(2010.3.24) 鳩山総理、菅副総理にもご了解いただいた 亀井郵政改革相
106 「聞いていない」(2010.3.25) 副総理兼財務相 菅直人 国家戦略相 仙谷由人 消費税免除の話は聞いていない 投資・運用の問題を 議論してからでないと
107 鳩山は 「話は聞いたが、了解したわけではない」 と亀井を突き放すが、その後 「基本的には亀井大臣の方針で進めたい」 と亀井に配慮する発言も 鳩山の態度
108 ⇒ 結局、消費税免除の話は白紙に 亀井VS菅(2010.3.28) 亀井郵政改革相 副総理兼財務相 菅直人 総理は了解したし、菅さんにも 電話で数字も全部申し上げた 数字は聞いていない テレビ出演で……
109 閣僚個人が1対1で電話し、 了解を得たつもりになっていた ⇒ 「個人プレー」ゆえに起こった問題 ⇒ 官僚組織を使って調整していれば、 文書による組織的な対応となり、 このような行き違いは起こり得なかった 原因
110 もちろん、必ずしも 「官僚組織に頼った方が内容のある政策協議ができる」 というわけではない。むしろ、 ◦国民の利害に大きく影響するもの ◦外交・安全保障など高度に政治的なもの などは政治家が主体的に決定すべきである 「調整」のあるべき姿は?
111 ◦高度に政治的で機密に関わるもの ⇒政治家が調整・決定し、官僚の関与は最小限に ◦高度に政治的でないが国民の利害に影響のあるもの ⇒調整は官僚に任せて、政治家は最終決定に関与 ◦ルーティン等軽微なもの ⇒官僚に任せる ※ 必ずしも役割分担を一意に定められるものではないが、 いずれにせよ、
「官僚を完全に排除した個人プレー」 ではミスが起こり得る あるべき役割分担
112 ◦ 鳩山ら閣僚が「個人プレー」を行い、 調整力不足が最も露呈した例 ◦ 結果的に鳩山内閣総辞職の原因となった ⇒ 詳しくは後述 事例⑤ 普天間基地移設問題
113 序章 民主党が壊そうとしたもの 第1章 「政治主導」をめぐる諸施策 第2章 鳩山政権における政策決定過程 第3章 事業仕分け 第4章 政治とカネ 第5章 普天間をめぐる迷走 終章 民主党が学んだもの 第3章 事業仕分け
114 3-1 事業仕分けとは
115 「事業仕分け」により予算を見直し、 3兆円を賄うことに 民主党マニフェスト 無駄削減により9.1兆円を捻出し、 子ども手当や高速道路無料化に充てる
116 ◦ 非営利の政策シンクタンクである 「構想日本」が考えた行政改革の手法 ◦ 2010年3月現在、6省46自治体で実施済み 事業仕分けとは
117 1 予算項目ごとに 2 そもそも必要かどうか、必要なら誰が行うのかを 3 外部の視点で 4 公開の場において 5 担当職員と議論の上 6 「不要」「民間」「国」「都道府県」「市町村」に仕分けていく 事業仕分けの手法
118 1 官僚による事業説明 5~7分 2 財務省による論点説明 3~5分 3 取りまとめ役議員による論点説明 2分 4 質疑 40分 5 評決結果発表 2分 進め方
119 仙谷行政刷新相、 事業仕分けの主担当に枝野幸男議員を指名 ⇒ 枝野、同僚議員や「構想日本」メンバーから 「仕分け人」を任命 担当者の決定 枝野幸男
120 仕分け項目の決定 ◦財務省が推薦した項目 ◦仕分け人が個別に推薦した項目 ◦会計検査院が以前に指摘した項目 等から447項目を選定 ⇒ 約7割が財務省の推薦した項目
121 十分広くて、9日間終日空いているという条件の 場所はあるのか? ※ 税金の無駄をなくすための議論の場に、 高いコストはかけられない ⇒ 市ヶ谷の国立印刷局体育館が選定される ⇒ 皮肉なことに、その体育館も仕分け対象となり、 「不要資産」と位置付けられる
場所の選定
122 3-2 経過
123 仕分け人、官僚や財団職員を厳しく追及し、 説明をたびたび遮って質問 仕分け初日(2009.11.11) 賛美の声があがる一方で、 「まるで公開処刑だ」といった否定的意見も
124 国立女性教育会館が対象 蓮舫仕分け人、神田道子理事長の説明をたびたび遮る 衝突 神田道子 蓮舫 私の話も聞いてください。 一方的にただ質問に答えろと いうのは心外です ※ 初日から担当者と仕分け人の衝突がみられた……
125 民主党の主張 蓮舫 冷たい、何様だとの指摘も多くいただいたが、 仕分け作業は事業の理念、目的、沿革を 延々と聞くものではない。 事業の理念を実現するために最適なお金の 使われ方がされているかどうかが 問われるのである 枝野幸男
(蓮舫が相手の言葉を遮ったのは)プールつきの 研修施設が必要なのか聞いているのに、 女性教育は重要だという説明がなされたからだ ※ 枝野幸男「事業仕分けの力」集英社新書より
126 携帯メールで就職相談を受ける事業に 1億3700万円が使われていた ⇒相談件数が1日2件、1件1万円と判明 ⇒結論は「廃止」に 事例
127 約7千億円を削減 ⇒ 当初目標の3兆円削減に届かず 事業仕分けの結果
128 3-3 批判と反論
129 科学技術予算が大幅に削減された ※スーパーコンピュータの予算を仕分け中…… 科学技術予算の削減 蓮舫 これ、世界一になる理由は 何があるんでしょうか? 二位じゃダメなんですか? ⇒ この発言に非難が寄せられた
130 ノーベル賞受賞者らの会見 ノーベル化学賞受賞者 野依良治 ジャーナリスト 立花隆 スパコンは一旦凍結したら 瞬く間に追い抜かれてしまう。 将来、歴史という法廷に立つ 覚悟ができているのか。
資源に乏しい日本は、科学技術による 付加価値で生きていくしかない。 バーバリアンがよってたかって 日本という国をぶっ壊しつつある。
131 スポーツ予算も大幅に削減 ※ 仕分け人の発言の中には、こんなものも…… 「リュージュ、ボブスレーというマイナーな 競技にも補助が必要なのですか?」 スポーツ予算の削減
132 オリンピックメダリストらの会見 アーチェリー 山本博選手 スピードスケート 黒岩敏幸選手 マイナースポーツこそ補助が必要。 これを切り捨てる言葉には憤りを感じる アーチェリー・山本博選手らが 抗議の記者会見
133 事業仕分けでは、本質的な議論もなされたものの、官僚を 槍玉にあげるポピュリズム的手法に頼った面も大きかった ⇒ 知名度の低い官僚や評論家では 人気を誇る民主党政権に太刀打ちできない ⇒ ノーベル賞受賞者、オリンピックメダリストらが現れ、 民主党と同じくポピュリズム的手法で
予算削減に大反対を唱えた ⇒ マスコミは、中立を保つ者と 民主党政権を叩く者とに分かれた 「ポピュリズムVSポピュリズム」の構図
134 論点1 「科学技術の優先順位が低いから切った」 という趣旨ではない。 科学技術にお金を出すことにやぶさかでは ないが、あなたのところに天下りは何人 いるんですか、という話 ◦ 理念と手段は別物 ◦
理念に反対するつもりはないが、 手段に疑問があるから削減する 民主党の立脚点 枝野の反論
135 ◦ 確かに、科学技術予算の配分については 独法のマージン等不透明な部分も多い ◦ 仕分け人は、科学技術そのものを 軽視する発言はしておらず、 「どう活かすのか」という質問をしていた ◦ 官僚・財団職員は理念ばかりを訴え、
質問に沿った回答を提示できなかった ⇒ マスコミが「民主党は科学技術を軽視した」 という論調で報道したのは、 少々事実に反する面もある 論点1に係る検討
136 論点2 ◦ スパコンは、「世界一になってどう使う のか」という説明が全然なされていない ◦ マイナーな競技に補助が必要ならそう 説明すれば良い。尋ねること自体 許されないのはおかしい ◦
事業の必要性を主張する側に立証責任がある ◦ 仕分け人から無知な質問がなされたからと いって立腹するのはおかしい 民主党の立脚点 枝野の反論
137 予算要求側に説明責任があることは間違いないが…… ◦ 査定側の無知を恥じず 「説明できなかった要求側が悪い」 とする態度には問題がある ◦ 政治家は「今後の科学技術施策は どうあるべきか」という思想を持つべき
◦ 「予算要求側がうまく説明して、無知な我々を 納得させられなければ予算はゼロにする」 という態度は、国家の理想像を考えるべき 政治家の態度ではない 論点2に係る検討
138 今回の仕分けでは、知見のない仕分け人が、 わずか1時間で結論を出すというものだった…… 分野ごとに知見のある仕分け人が、 十分な時間的余裕をもって議論すべきではないか 事業仕分けの在り方
139 大手紙の世論調査によると、 「事業仕分けを評価する」 と答えた者が8割 ⇒ 様々な批判はあったものの、 国民からは概ね支持された 事業仕分けの支持率
140 鳩山発言(2009.12.26) 財務省主導を100%払拭できたかどうか、 反省しなければならないところもある 「予算削減は、財務省の計画通りになされた」 「政治主導は名ばかりだ」 との批判もあった
141 さて…… 以上、いくつかの事例をもとに、 鳩山内閣の政策決定の在り方を見てきた…… ⇒ ここからは、鳩山内閣総辞職の原因となる ◦ 政治とカネの問題 ◦ 普天間基地移設問題 について見ていくこととしたい
142 序章 民主党が壊そうとしたもの 第1章 「政治主導」をめぐる諸施策 第2章 鳩山政権における政策決定過程 第3章 事業仕分け 第4章 政治とカネ 第5章 普天間をめぐる迷走 終章 民主党が学んだもの 第4章 政治とカネ
143 4-1 鳩山の政治資金疑惑
144 ◦友愛政経懇話会が4年間で受けた献金 2億3050万円中2177万円が偽装 (中には故人名義の献金も含まれていた) ◦母親からの資金提供11億円を不正に処理 ※ 母・安子は、ブリヂストンの 創業者石橋正二郎の娘 鳩山の偽装献金問題
145 「今後の捜査に委ねたい」 「(故人献金について) 秘書がやったこと」 衆議院予算委員会(2009.11.4)
146 鳩山の公設第一秘書・勝場啓二を在宅起訴 容疑 「鳩山安子が提供した資金を 故人献金やパーティ券収入として処理」 秘書の起訴
147 鳩山は野党時代、自民党議員の カネにまつわる疑惑を追及してきた…… 2002.5鳩山 「会計責任者の逮捕は議員本人の責任。 議員辞職が当然」 2003.7鳩山メールマガジン 「秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべき」 ⇒ 「ブーメラン鳩山」と呼ばれる 「ブーメラン鳩山」
148 「本当に全く承知していなかった」 「私腹を肥やして不正な利得を 受けたことは一切ない」 「身を粉にして使命を果たす」 緊急記者会見(2009.12.24)
149 ⇒ 鳩山、色をなして反論 「まったくの作り話だ」 「母に尋ねていただいても結構だ」 与謝野の国会質問(2010.2.12) あなたは平成の脱税王だ! あなたの弟(鳩山邦夫)は、 「兄貴がしょっちゅう母のところに行き、 子分に配る金をもらっていた」と言っている 自民党
与謝野馨
150 4-2 小沢の政治資金疑惑
151 東京地検特捜部、 陸山会(小沢の政治資金団体)の 事務所を捜索 強制捜査(2010.1.13)
152 石川知裕議員は小沢の元秘書で会計担当者 ⇒ 小沢、 「民主党を陥れるための国策捜査だ」 と主張 石川議員逮捕(2010.1.15) 民主党・石川知裕
153 小沢「徹底的に戦う。幹事長を 辞任する考えはない」 鳩山「民主党代表として小沢さんを信じて います。どうぞ(検察と)戦ってください」 ⇒ 自民党「行政府の長たる内閣総理大臣 がしてはならない発言だ」 「戦ってください」会談(2010.1.16)
154 小沢「日本の民主主義は 暗澹あるものになってしまう」 小沢グループ・森裕子議員 「官僚機構と、我々国民の代表である 民主党政権との全面戦争だ」 民主党大会(2010.1.16)
155 検察審査会では 「起訴相当」「不起訴不当」「不起訴相当」 の3種類の議決がある ※ 起訴相当の場合は 11人中8人以上の議決が必要 ⇒鳩山「不起訴相当」(2010.3.20) ⇒小沢「起訴相当」(2010.3.27) 検察審査会の判断
156 序章 民主党が壊そうとしたもの 第1章 「政治主導」をめぐる諸施策 第2章 鳩山政権における政策決定過程 第3章 事業仕分け 第4章 政治とカネ 第5章 普天間をめぐる迷走 終章 民主党が学んだもの 第5章 普天間をめぐる迷走
157 5-1 政権交代前の情勢
158 ◦米兵による女子小学生暴行事件(1995) ◦騒音問題 ◦米軍航空機墜落事件(2004) ⇒ 沖縄県民、基地撤廃を訴える 米軍普天間基地をめぐる問題 米軍航空機墜落事件(2004)
159 自民党政権下において、沖縄県名護市辺野古への 移転が決定されていた…… ※ 県内移設に反対する運動も起こっていたが、 沖縄県知事と名護市長は、 騒音問題の解決や住宅の上を 航空機が飛ばないなどの
条件付きで、辺野古移転を 容認する意向を示していた 移転計画
160 岡田克也幹事長の主張により、 「県外移設」といった言葉を避け、 言質を与えない表現に落ち着いた ※ 後に有名になる「最低でも県外」とは マニフェストに載っている文言ではない マニフェストの表現 日米地位協定の改定を提起し、 米軍再編や在日米軍基地の在り方に ついても、見直しの方向で臨む
民主党マニフェスト
161 鳩山、沖縄を訪問し 「最低でも県外(への移設)の方向で 積極的に行動したい」 ⇒ その後、衆議院総選挙で政権交代 「最低でも県外」(2009.7.19)
162 辺野古移設を示唆する発言と 県外移設を示唆する発言を交互に行い、 周囲を混乱させた 鳩山政権の担当閣僚 総理 鳩山由紀夫 外相 岡田克也 防衛相
北澤俊美 鳩山と異なり 嘉手納統合案を模索した 安全保障政策は外務省に一元化しているため、 極力発言を避けて鳩山・岡田に任せた
163 以後、鳩山の発言を に分類しながら見ていく 鳩山の発言のぶれ 辺野古移設を示唆したもの 県外移設を示唆したもの
164 5-2 迷走
165 「できるだけ早期に結論を」 「年内が一つの判断基準」 ⇒ 早めに解決することを約束 岡田外相最初の発言(2009.9.18)
166 記者「普天間の問題でマニフェストを 変更することはやむを得ないか」 鳩山「公約が時間というファクターで 変化する可能性は否定しない」 ⇒ 「結局、自民党と同じく辺野古移転か」 との憶測広がる 鳩山 最初の発言(2009.10.7) 辺野古 県外
167 鳩山「辺野古とは一言も申し上げていない」 ⇒ 「では県外移設か」との憶測広がる 翌日の修正発言(2009.10.8) 辺野古 県外
168 ゲーツ国防長官来日 岡田・ゲーツ会談(2009.10.20) 現行計画には長い時間を要した その長い間、我々は 野党として反対してきたのだ と、辺野古移転を強く主張
169 岡田外相、記者会見で 嘉手納基地との統合案を示す ※ 嘉手納基地が拡大する代わりに、 普天間基地は廃止され、 辺野古移転もなくなる ⇒ 嘉手納の地元と社民党が反発 嘉手納統合案
170 オバマ来日し、鳩山と会談 鳩山・オバマ会談(2009.11.13) 時間が経てば、解決がより難しくなる。 基本は守るべきだ。 できるだけ早く結論を出したい。 信じてほしい。 と、辺野古移転を強く主張 辺野古 県外
⇒ オバマは、「鳩山が年内に 結論を出す」と受け止めた
171 「オバマ大統領の気持ちとすれば、 日米合意が前提だと思いたいだろうが、 もし日米合意が前提ということなら、 作業部会を作る必要がない」 「年末までにあげなければいけないと 約束したわけではない」 ⇒ オバマ、「昨日の会談は何だったのか」と不快感 鳩山会見(2009.11.14) 辺野古
県外
172 「マニフェストには県外、国外という 単語は使っていない」と発言し、 相変わらず嘉手納統合案を示唆 ⇒ 地元から反発 岡田発言(2009.11.15)
173 嘉手納統合案の挫折 ⇒ 19日、岡田外相 「論理的には、あらゆる可能性がある」と 嘉手納統合にこだわらない姿勢を表明 岡田外相、沖縄を訪問(2009.11.16) 嘉手納町長 宮城篤実 統合案は呑めない
174 「もし内閣が辺野古と決定した場合、 重大な決断をしなければならない」 ※ 社民党は基地撤廃を求めており、 辺野古移転が決定されれば 連立から離脱する構えを見せた 社民党の立場 福島社民党党首の発言(2009.12.3)
社民党党首 福島瑞穂
175 作業部会(2009.12.4) ルース駐日大使、岡田外相と北澤防衛相に 「鳩山政権の対応はオバマ大統領の顔に泥を塗った」 と非難 ⇒ アメリカ側の譲歩案は一切提示されず 駐日大使 ルース
176 首脳会談拒否(2009.12.9) 鳩山「オバマ大統領と会談したい」 アメリカ報道官「作業部会を継続することが最良」 ⇒ アメリカとの関係も大きく悪化
177 「やはり、辺野古ではない地域を模索する」 鳩山発言(2009.12.15) 辺野古 県外
178 「抑止力の観点から、普天間を全て グアムに移設するのは無理」 鳩山発言(2009.12.26) 辺野古 県外
179 「(仲井眞知事に) 決断をお願いするかもしれない」 鳩山発言(2010.1.9) 辺野古 県外
180 現職の島袋吉和(移転容認派)を破り、 稲嶺進(移転反対派)が当選 ⇒ 翌25日、鳩山が 「選挙結果を斟酌する必要はない」 と発言し、名護市民ら激怒 ※ 組閣当初、70%を超えていた支持率が、 40%程度に 名護市長選(2010.1.24)
辺野古 県外
181 締切の設定(2010.1.29) 5月末までに具体的な 移設先を決定する
182 ◦ 2010.3.26の発言 「極力県外に移設させる道筋を考えてまいりたい」 「3月末までに政府案を一本化したい」 ◦ 2010.3.29の発言 「今月中でなければならないわけではない」 ⇒ 自分で決めた締切を、僅か3日後に撤回 更なる模索 辺野古 県外
183 鳩山、党首討論で…… 「腹案」発言(2010.3.31) 辺野古 県外 腹案を持ち合わせている。 現行案と少なくとも同等か、 それ以上に効果のある案だと 自信を持っている ⇒ まもなく、「腹案」は鹿児島県徳之島と
判明し、徳之島住民ら大反対
184 鳩山・オバマ会談(2010.4.12) 何も進んでいないじゃないか! ……と不快感をあらわにした ワシントン核安全サミットで、10分間の非公式会談 オバマ大統領は、
185 ワシントン・ポストが酷評(2010.4.14) 鳩山は「ルーピー」と評される ⇒ 国会で追及され 「私は確かに愚かな総理かもしれません」
186 徳之島案の挫折 主催者発表によると 参加者は1万5千人(人口の6割) ⇒ 4月20日、徳之島の3町長が 官房長官からの面会要請を拒否 徳之島で反対デモ(2010.4.18)
187 鳩山発言(2010.4.24) 辺野古 県外 辺野古の海に立って、 辺野古の海が埋め立てられることは 自然に対する冒瀆だと大変強く感じた。 現行案受け入れなどという話は、 あってはならない
188 鳩山、沖縄を訪問し…… 沖縄訪問(2010.5.4) 辺野古 県外 県民の皆さんにお詫びしなければならない。 全てを県外にというのは現実問題として難しい 学べば学ぶにつけ、(米軍が)抑止力を 維持していることが分かった」
189 5月決着は?(2010.5.13) 辺野古 県外 5月末という期限を私は作ったから、 できる限りのことはする。 しかし全てが果たせるかどうか。
190 鳩山、沖縄を再訪問し「辺野古」と伝える 最終決定(2010.5.23) 大変遺憾で、極めて厳しい 首相が県外移設を公約し、 県民の期待を高めながら、 自らそれを反故にした 沖縄県知事 仲井眞弘多 名護市長
稲嶺進
191 福島罷免 福島消費者担当大臣(社民党党首)、 閣議決定への署名を拒否 ⇒ 鳩山、福島を罷免(2010.5.28) ⇒ 社民党、連立から離脱(2010.5.30) ⇒ 与党、参議院で過半数を割る
192 琉球新報のインタビュー(2011.1.31) 自分も国外、県外と模索したが、結果として 議論が成就できないという判断になり、 辺野古しか残らなくなった。 徳之島もダメだ、辺野古となったときに 理屈付けしなければならない。 その中で抑止力という言葉を使った
193 「方便」発言(2011.2.8) 海兵隊がいるから他の米軍全体が機能する。 全体は日本に対する抑止力になっていると いう意味で抑止力と言えなくもない。 それを方便だと言われれば方便だが 記者「本音ベースで見つからなかったというのではなく、 抑止力という方便が必要だったのか」 ⇒ 大きく報道され、
沖縄県民の怒りを招く
194 5-3 普天間問題に見る「調整」
195 普天間問題はなぜ迷走したのか 1 時間軸の設定ミス 2 閣僚の個人プレー 3 鳩山のパーソナリティ
196 1 時間軸の設定ミス
197 普天間移設は、 1995年から本格的に議論が始まり、 2006年にようやく合意にこぎつけたもの ※ 仲井眞知事 「沖縄では大きな仕事は20年かかる」 ⇒ 辺野古に代わる新たな移設先を、 政権交代から半年や1年で探し出し、
合意にこぎつけるのは困難だった 短期解決は困難だった
198 真に県外移設を目指すならば、 もっと長い時間軸で臨む必要があったが、 岡田が「年内に解決」と発言してしまった (2009.9.18) ⇒ その後、鳩山が「年内」「5月まで」と 締切を区切り、自縄自縛に陥った 締切の設定
199 2 閣僚の個人プレー
200 岡田は、「年内に解決」と発言した時点では 嘉手納統合案を検討中 ⇒ 首相と意見の相違があるのに、 外相が勝手に締切を 設定すること自体、 大きな問題
岡田外相の個人プレー
201 その後も、岡田は嘉手納統合案を 主張し続け、鳩山発言との差が浮き彫りに ⇒ 外交について閣僚同士が異なる発言を しては、相手国の信頼は得られない ⇒ 政策決定プロセスの透明化を意識するあまり、 「政府としての方針が決定される前でも、 閣僚個人の考えを発表して良い」との
認識を持ってしまったのではないか 鳩山と岡田の発言の違い
202 3 鳩山のパーソナリティ
203 鳩山発言のぶれ(まとめ) 2009.7.19 2009.10.7 2009.10.8 2009.11.13 2009.11.14 2009.12.15 2009.12.26 2010.1.9
2010.1.25 2010.3.26 2010.3.31 2010.4.24 2010.5.4 2010.5.13 2010.5.23 最低でも県外 辺野古 県外 公約が時間変化する可能性あり 辺野古 県外 辺野古とは言ってない 辺野古 県外 結論は早く出す 辺野古 県外 日米合意は前提でない 辺野古 県外 辺野古以外を模索 辺野古 県外 全てグアム移設は無理 辺野古 県外 知事に決断をお願いするかも 辺野古 県外 市長選結果を斟酌する必要なし 辺野古 県外 極力県外に移設 辺野古 県外 腹案を持っている 辺野古 県外 辺野古埋め立ては自然への冒瀆 辺野古 県外 全てを県外は難しい 辺野古 県外 できる限りのことはする 辺野古 県外 最終決定 辺野古 県外
204 ◦ 「ぶれ」はなぜ起きたか? ◦ なぜ口が軽いのか? 原因
205 鳩山由紀夫の性格と信条 性格 鳩山一郎の影響を大きく受けている 信条 お人よしで人に流されやすい 「検討のプロセスをオープンにする」という信念
206 鳩山のパーソナリティによる影響 ⇒ 「目の前にいる人を喜ばせたい」という思い ⇒ 話す相手が変わると考えも変わってしまう お人よしで人に流されやすい性格 「検討のプロセスをオープンにする」という信念 ⇒ 考えたことは「プロセス」だから全て口に出す この2つが相まって、 「次々変化する思考を全て口にしてしまう」 という致命的な癖が身に付いた
207 序章 民主党が壊そうとしたもの 第1章 「政治主導」をめぐる諸施策 第2章 鳩山政権における政策決定過程 第3章 事業仕分け 第4章 政治とカネ 第5章 普天間をめぐる迷走 終章 民主党が学んだもの 終章 民主党が学んだもの
208 1 退陣
209 「官僚任せの政治じゃない、 政治主導、国民の皆さんが 主役になる政治を作ろう。 そのように思いながら、 今日まで頑張ってきたつもりです。 ただ、残念なことに、国民の皆さんが 徐々に聞く耳を持たなくなってきてしまった。 まさにそれは私の不徳の 致すところと思っています」
鳩山辞意表明(2010.6.2)
210 鳩山は、辞任の理由として ◦ 「政治とカネ」の問題 ◦ 普天間問題をめぐる迷走 の2点を挙げた…… 辞任の理由
211 鳩山 「幹事長も恐縮ですが、職を退いていただきたい」 ⇒ 小沢幹事長と抱き合い心中か? ※ 小沢が、敗北必至の参院選を 前にあえて辞任したとの説も…… 小沢も辞任
212 鳩山、6月2日夜に 「首相を辞めた人が影響力を公使してはいけない。 次の総選挙には出馬しない」 ⇒ 今期限りの政界引退を表明 ⇒ 「引き際だけは見事だ」と称賛の声が挙がる 政界引退表明
213 7月17日 「地元に相談せずに (引退を)言ったことは反省している」 10月24日 「議員を続ける方向に気持ちが傾いてきている」 12月18日 「皆さまのご期待をいただけるならば、 次の衆院選でも行動をともにしたい」 ⇒ 首相辞任後も、相変わらず発言がぶれ続ける
「やはり辞めない」
214 後継首相に菅直人 ⇒ 事実上、これまでの 「政治主導」「脱官僚」の方法論が 誤っていたことを認めた 軌道修正 官僚の力を使って政策を進めていく。 官僚を排除して政治家だけで
決めればいいということでは全くない。
215 2 今後の政治はどうあるべきか
216 鳩山政権が十分に功績をあげた分野もある ◦ 政務三役会議の設置 ◦ 事業仕分け 等々 鳩山内閣の功績
217 しかし、 ◦「政治主導」が形だけに終わったもの ◦「政治主導」にこだわるあまりに失敗したもの もみられた…… 鳩山内閣の罪悪
218 前原誠司政調会長の発言が 全てを物語っている…… 民主党は何をすべきか 野党と与党とでは見える世界が違った。 野党のときは、選挙に勝つために できるかできないか分からない 発言をしたり、約束をしたりしてしまう。 本当に政権をとったときにやれるか やれないのかをしっかり考えないと、
結果として国民にうそをついたことになる
219 なぜ民主党は 「できるかできないか分からない発言」 をしたのか ⇒ 民主党は「選挙に勝つ」までを 捉えただけで、その後のプランが 見えていなかった 無責任だった野党時代の民主党
220 1955年の自民党結成以来、10ヶ月間の例外を除き、 2009年まで自民党は政権を担当し続けた ⇒ 野党の役割は、「政権交代を目指すこと」ではなく、 「自民党を批判的に監視すること」だった ⇒ 日本では「理想的な野党の在り方」が 模索されてこなかったため、民主党のような 「無責任な野党」が力をつけてしまった 自民党長期支配の弊害
「自民党が政権を担当するのが当たり前」 の時代が長年続いた
221 保守党と労働党の2大政党 野党は「シャドウ・キャビネット」(影の内閣)を組織 ※ 「シャドウ・キャビネット」は 議会の内部組織として扱われ、 給与等の予算も計上される ⇒ 各省庁の施策に精通し、 建設的な意見を提案する
イギリスにみる野党の在り方
222 鳩山政権9ヶ月の迷走は、 「自民党長期支配のツケ」が 一気に噴出した事件であった ⇒ 今後、自民党・民主党ともに 「理想的な野党の在り方」を模索し、 責任ある政権交代を成し遂げられる政党に 成長する必要がある 理想的な二大政党制へ
223 マニフェストの「聞こえの良さ」だけでなく、 具体性はあるか、実現可能性はあるか、等を 考える必要がある 国民の責任 「今の政府がダメだから」というだけの理由で 野党に投票するのではなく、 その野党に政権担当能力はあるか、 よく考慮して投票しなければならない
224 政権交代から消費増税まで、 3年間の日本政治の軌跡を追う好著 小林良彰「政権交代」 中公新書刊 本体820円+税 おすすめ度 ★★★☆☆ 書籍紹介
225 参考文献 ◦政策決定の在り方関係 伊藤光利ほか「政治過程論」有斐閣アルマ 斉藤淳「自民党長期政権の政治経済学」勁草書房 佐々木毅・清水真人「現代日本政治」日経新聞出版社 高畠通敏「政治学への道案内」講談社学術文庫 清水真人「官邸主導」日経新聞社 内山融「小泉政権」中公新書 田中直毅「日本政治の構想」日経新聞社
中野雅至「政治主導はなぜ失敗するのか」光文社新書 山口二郎「政権交代とは何だったのか」岩波新書 飯尾潤「日本の統治構造」中公新書 御厨貴「政治主導の教訓」勁草書房 新藤宗幸「政治主導」ちくま新書 後藤田正晴「政と官」講談社 野口雅弘「官僚制批判の論理と心理」中公新書 村松岐夫「日本の行政」中公新書 古賀茂明「官僚の責任」PHP新書 大森彌「官のシステム」東大出版会 白川一郎「政権交代期の日本経済」中公新書ラクレ 牧原出「行政改革と調整のシステム」東大出版会 小林良彰「政権交代」中公新書 ◦政局関係 浅川博忠「政権交代狂騒曲」講談社文庫 日経新聞社編「政権」日経新聞出版社 読売新聞政治部「民主党 迷走と裏切りの300日」新潮社 阿比留瑠比「総理、あなたこそ復興の障害です」PHP社 上脇博之「ゼロからわかる政治とカネ」機関紙出版 佐道明広「改革政治の混迷」吉川弘文館 ◦民主党関係 伊藤惇夫「民主党」新潮新書 林芳正・津村啓介「国会議員の仕事」中公新書 野田佳彦「民主の敵」新潮新書 菅直人「大臣」岩波新書 高橋洋一ほか「鳩山由紀夫の政治を科学する」インフォレスト 佐野眞一「鳩山一族 その金脈と血脈」文春新書 長妻昭「招かれざる大臣」朝日新書 長妻昭「闘う政治」講談社 諒純也「理系のトップはなぜダメなのか」阪急コミュニケーションズ 枝野幸男「事業仕分けの力」集英社新書 若林亜紀「実録事業仕分け」ダイナミックセラーズ ◦普天間関係 守屋武昌「普天間交渉秘録」新潮社 毎日新聞政治部「琉球の星条旗」講談社 孫崎亨「日米同盟の正体」講談社現代新書 船橋洋一「同盟漂流」岩波現代文庫