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投資戦略202503

Pragmaworks
March 15, 2025
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 投資戦略202503

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March 15, 2025
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  1. 利下げサイクル終盤戦の投資戦略 PWのポートフォリオ構築のための投資戦略骨子を確認します。 ◦経済情勢と大局観 2024年はインフレを鎮静化させ始めた欧米各国中銀がそろって政策金利の引き下げを進めましたが、米国は利下げサイクルの終盤戦に入りつつあるようです。今後の利 下げのペースはインフレおよび労働市場を反映したものになると想定されます。また、米大統領選挙ではトランプ氏が勝利し、議会選挙も共和党が完勝したことで、2025 年以降の政策動向が注目され、米国の持続的な財政赤字(債務動向)そしてインフレが米金利のキーワードとなっていきます。中央銀行と政府が連携し、債務を制 御する計画がなければ⾧期金利高止まりが想定され、その間は債券投資の実行に有利な局面。一方で、高金利による株価のリプライシング、実体経済の悪化が顕在 化してくれば、株式・AT1(優先株式預託証券、CoCos)といったリスクアセットに好機が訪れるでしょう。ヒストリカルには種々のアセットクラスがピーク圏にあるため、ポー トフォリオのバランスをとること、およびインフレヘッジ資産(株式、不動産、金等)も考慮したポートフォリオ運営を実施することを推奨します。(2025年1月時点) 株式

    債券 通貨 オルタナティブ 1. 金利 ✓ 米10年利回りは、インフレ動向にも 左右されるが、米国債務を制限する ための施策がなければ高止まり想定。 買いの好機にも。 ✓ 市場のポジションの偏り解消による突 発的な金利低下には注意 ✓ 超⾧期については水準次第 2. クレジット ✓ ポートフォリオのインカムゲインを維持す るパーツとして利用 ✓ ⾧期の高クオリティ銘柄の活用 ✓ 景気後退時に時間分散・円ベース単 価を勘案しながらAT1を仕込む 3. デュレーション ✓ イールドカーブがスティープ化し、短期 から⾧期セクターに妙味が遷移 ✓ ポートフォリオとしては緩やかなラダーを 構成 4. セクター・エリア ✓ 新興国については、米金利の高止ま りによる相対的な魅力低下、インフレ リスク・取引コスト等の観点から引き 続き慎重な見方 ✓ 2025年はトランプの政策発動の 影響及び日銀の利上げスタンスが 注目ポイント。上下どちらにもぶれ る可能性があることを心しておく。 ✓ 一方、構造的にドル安円高が進 みにくくなっていることにも留意。 ✓ 想定レンジは140-160。この間で ボラティリティ高く上下する展開を予 想。 ✓ ドルの押し目は積極的かつ丁寧に、 タイミングを分散してドル購入を進 める。 ✓ 原則、外貨は米ドルのみで良い 1. REIT ✓ 日本は個別銘柄中心に検討。歴 史的割安水準であるが円金利上 昇リスクがあることに留意 米国はインデックス投資を推奨 2. コモディティ ✓ インフレヘッジを目的とした金投資 は検討していく 3. ヘッジファンド ✓ ヘッジファンドの銘柄を見て一部検 討 ✓ 流動性と残高に留意しつつファン ドマネージャーを吟味する 4. プライベート投資 (エクイティ、デット) ✓ プライベートデットは、有望な投資 機会につき検討する 仕組債 ✓ 円建てのニーズに対しては私募SB, CLNの活用を検討 Pragmaworksの投資戦略骨子 ✓ 10年の計で投資評価するならば 2025年の下げ相場は良い買い 場と考えるが、大統領就任2年目 となる2026年が近づいており、25 年も一定の注意を要する。 ✓ 銘柄選択の基本スタンスとしては、 構成銘柄の幅広さ、米国市場を 代表する優良銘柄の組入状況 及び過去のリスクリターンを勘案し、 S&P500指数を推奨。また、ハイ テクが集中するQQQ(ナスダック 100)にも併せて注目。 ✓ Mag7を筆頭に大型テック系企業 は2025年も相場を一定牽引す る見込み。 ✓ ハイパーグロースや赤字決算のハ イテク企業は、Fedの金融緩和に 伴い時間分散でエントリーすること を推奨(基本は押し目買い)。 但しグロース企業が須らく上昇す るわけではなく、強靭なビジネスモ デルを有する一部のグロース企業 が選好される可能性が高い。選 別が重要。
  2. 投資戦略(株式) 12 株式(Equity) ①足元のテーマ ②方向感 ③投資戦略 株式投資の原則 株式投資は、投資先の事業の中身に着目し、マーケットタイミングは考えない。ウォーレン・バフェットですらマーケットタイミングは判断できないとしており、バフェットでも実行できないことを目指すことは 合理的とは言えないのがその理由。 また、全米もしくはその一部をカバーする指数(例.S&P500)や、ファンダメンタルズが強靭な企業の株式をターゲットとするも、購入はマーケット要因あるいは個社の一過性要因などで株価が大き

    く下落したポイントや、時間分散で小刻みにエントリーすることを基本とする。 【原則】 1. 強固な参入障壁を持ち、決算が順調な会社はホールド(相場全体が崩れても、決 算に問題ない限り売却しない)。 2. もし決算をミスした場合、そのミスの内容を確認することが重要。一過性の要因で決算 が不調だった場合はホールドを継続。 3. 利下げトレンドに入っており、これは株式には強力な好材料だが、地政学リスク・米政 府財政問題・インフレ再燃リスク等には警戒を要するため、購入は時間分散を推奨。 また、景気後退懸念が顕在化した場合は、しばらく様子見を決め込み、マクロ経済 データを観察しながらエントリーポイントを探る。 4. 株式市場全体の下落に連れて優良銘柄も下落している局面は、それら優良銘柄を 購入する好機であるため積極的に購入する。 【具体的戦略】 1. チャートだけを頼りに順張りで上値を追うことなく、安値圏で推移しているタイミングで、 S&P500連動のETF購入(構成銘柄の幅広さ、米国市場を代表する優良銘柄の組 入状況、及び過去のリスクリターンを勘案)を推奨。また、ハイテクが集中するQQQ(ナ スダック100)にも併せて注目。 2. Mag7を筆頭に大型テック系企業は2025年も相場を一定牽引する見込み。 3. 利下げトレンドにおいては、強靭なビジネスモデルを有する一部のグロースは選好される 可能性が高い。個社事由とは関係なく、市場全体が大きく下がったところでは買い向か いたい。 4. 2024年はアノマリーが殆ど的中しなかったが、25年は基本に立ち返りつつ、アノマリーを 参考にしながら押し目があれば時間分散で丁寧に拾いに行くことを推奨。 ・過去のS&P500調整時のアノマリー 【SP500の押し目頻度】 ▪平均値では、331日に1度、10%下落する。 ▪107日に1度、5%下落がある。 ▪5%下落が10%下落につながるのは3回に1度で、20%下落まで行くのは11回に1度 1. Fedの利下げは株式には強力な追風であり、この先もマーケットのボラティリティは見られるであろうが、こ の様な、「Big Picture」を頭に入れておくことが重要。また、トランプは歴代大統領の中でも最も株価を 意識する大統領であることもおさえておきたい。 2. MMFは依然として高水準で推移。投資に向かう大量の実弾とも言えるが、利下げによってMMFから得 られるリターンも減少するため、投資家はよりリターンの高い他のリスク資産に目を向け始める可能性が 高い。 3. 米国10年債利回りの推移。2023年秋口に5%に瞬間タッチした後、足下では4%台前半で推移。ト ランプの政策を受けて⾧期金利が再度5%に駆け上がっていくと、株式には調整が入る可能性大。。 4. 行き過ぎたトランプトレードで短期間に株価が上昇し過ぎていたところに、関税に関する朝令 暮改な対応(関税を課すと言ったり延期すると言ったり)が投資家の視界の不透明性を高 め、リスクオフが入った状況。 5. 但し、短期的な痛みを伴う覚悟で⾧期的な財政健全化を志向しているように思われ、⾧期 目線では米株にはプラスと考える。 6. 尚、ベッセントは主要なマクロ経済データを全て注視しているとしており、足下の株価下落が 中期的な時間軸で米国経済にネガティブな影響をもたらす見通しの場合、政策変更に舵を 切る柔軟性を持ち合わせていると考える。 1. 生成AIブームは⾧期トレンドに乗る可能性が高い。その場合、生成AIを駆動 する基盤であるAI半導体は⾧期で期待できる。 2. 生成AIが企業の生産性向上を後押しする可能性が高く、この生産性向上が 上手くいけば米国経済の軟着陸(いわゆるソフトランディング)実現につながる。 3. ソフトランディングによる強い経済と利下げが同時に実現した場合、米国株式 市場には強力な追い風となる。 4. 2025年は大統領就任初年度の年。大統領選4年サイクルの中では就任初 年度の年のリターンは3番目(つまり下から2番目)。 5. 1月のS&P500指数は前月比+2.7%。January Effect(1月効果)のア ノマリーに従えば、米国株式は2025年通年ではプラスで終わる可能性が高い。
  3. 債券(Fixed Income) ①足元のテーマ ②方向感 ③投資戦略 投資戦略(債券) 債券投資の原則 債券投資は、クオリティの高い発行体を選択し、時価に一喜一憂せず、ポートフォリオの中核資産として腰を据えて維持することが基本。発行体 の信用が著しく毀損した場合や、ポートフォリオ内の著しい偏りが生じた場合などを除いては、拙速な売買は避け、中⾧期目線でキャッシュフローを しっかりと受取り、積み上げていくスタンスが肝要。

    1. 1月末のFOMC議事録が公表され、QT(量的引き締め)の一時停 止または減速が示唆された。 2. ベッセント氏:中長期債発行規模を数四半期据え置く想定。 3. トランプ氏の関税が不透明感を生み、実体経済への影響懸念が生 じた結果、リスクオフ的な相場付きとなった。金利は大きく低下。 4. 株式対比で債券の魅力度が高い状態は継続するものの、久しぶりに 若干のイールドスプレッドの修正が生じた。 5. ディスインフレ傾向であるものの、インフレ関連指標が大きな悪化を見 せない一方で、消費者信頼感は悪化。景気経由での利下げ織り込 みが年内3回以上まで進んだ。 6. イールドカーブがスティープ化し、短期から⾧期セクターに妙味が遷移。 (イールドカーブの正常化へ。) 1. 春先まで債務上限、関税、インフレ影響を見定めながらの10年債 4%+程度を中心としたレンジ想定を維持。 2. 大局的には想定レンジの中腹に戻ってきた程度、およびトランプラ リーの中腹に戻ってきた程度とも見える。本当のリスクオフでは投資 不適格債のスプレッドが大きくワイドになると想定。 3. 10年債金利が3%台を突破し、下方にレンジをブレイクするには、 雇用統計悪化、景気後退などの「懸念顕在化」が必要か。 4. 中期的にはトランププット発動(景気浮揚)、インフレ高進、債務 残高懸念が進むと、上方へのレンジブレイクリスク。 1. 質の高い発行体選択、分散(発行体・資本構成・タイミング)が重要。 ポートフォリオの中核資産として質の高い発行体のポジションを維持し、中⾧ 期目線でキャッシュフローをしっかりと受取るスタンスを維持。ポート内、ドル、 円バランスに配慮。徐々にポートの中心デュレーションを少し長めに推移さ せていくイメージでラダーポート構築を意識。 2. 金利低下時にアウトパフォームするのはIG債と想定。 シニア、劣後債を優 先的に取り組み、年限を分散したポートへ。発行体は各国トップ銀行を中 心に選択(現時点ではAT1も継続保有可)。欧州銀のハイベータネーム 新規はシニア、選択的に劣後債までが望ましい。相対的に高リスク発行体、 低弁済順位債はポート内の中短期ゾーンで活用。 3. 逆イールド形状が緩和され、短期ゾーンの妙味が後退。欧米金融IG債に 投資妙味(金利上昇が続く局面では、随時償還する短年限の債券を金 利の高い環境下で順次再投資するのが有効)。米銀なら5%台~(10 年程度の劣後債ならば5%台半ば)を目線としてエントリしたい。 4. 確定利回りの目線をそれぞれ設定し、高クオリティの投資適格債を高金利 環境下で、為替とのバランスを考慮して買い付けていくことが肝要。 5. イールドカーブの正常化および左記レンジの切りあがりの際は、10年金利節 目の水準として、年初来ピークであった①4月末の4.7%そして、③2023年 10月時点の5%近辺が意識されるため、丁寧に買い下がりたい局面。 6. ⾧期債(10年近辺)は最終利回りのみならず途中売却も視野に入れ、 直利も考慮。金利低下ベット及び為替のダウンサイドリスクには10年超~ 20年の米国ストリップス債や、ベース金利に近い(クレジットスプレッドよりも ベース金利部分の影響が大きい)ハイクオリティ銘柄、IG債が選択肢に。
  4. 通貨(Currency)/米ドル円 ①足元のテーマ ②方向感 ③投資戦略 投資戦略(為替/ドル円) 1. トランプの政策実行の影響(特にインフレに与える影響) 2. 米国景気と金利動向 3.

    日銀の利上げスタンス 1. 前回執筆時(2/18ごろ)以降、ドル安の流れが鮮明化。サポートされ ていた150円台後半や148円中盤をブレイク、レンジを切り下げた。現在 は緩やかに145円を目指す展開になっている。 2. 就任当初はマイルドと思われたトランプの政策発動も徐々に本領を 発揮。関税や政府人員の大幅削減など、市場の不安を煽る状況と なっている。その結果米国株式は値幅を伴った調整になっており、リス クオフがドル安を誘発。 3. 日銀は依然ややタカ派。⾧期金利じり高は1.5%に到達。 4. まずは145円、そこブレイクすれば140円台まで円高が進行する可能性 あり。 【Mr.FX E氏のコメント】 今回のドル安円高進行は、昨年8月の円キャリートレードの巻き戻しとは違う。ト ランプの円安牽制発言や円金利先高感を材料に投機筋が円を買い仕掛けてい るのが要因。145円前後まで円高が進む可能性はあるが、今回のセッションでは それ以上のドル安円高進行は難しそう。その水準は新たなドル買いで臨みたい。 来週19日BOJの結果を待たずして火曜日頃からドル買戻しが入るかもね。 外貨投資の原則 外貨投資においては、為替の方向感にベットして為替差益を狙うような投機的な取引はしない。あくまでも、円資産への集中リスクを回避するための⾧ 期的な通貨分散、資産分散を目的とする。 よって、マーケットタイミングを判断するよりも、購入タイミングを分散することでリスクを軽減しながら、上記目的を達成することを推奨する。 1. 原則USDポジションをキープし、USD建運用のメリットを享受。 2. 各々の資産運用プラン(例:ドル建債券の購入)を実行するため に必要なドルの手当てについては積極的に進める。その際、購入する 資産の円高抵抗力の検証をすること、及び購入タイミングを分散する ことが重要。 3. 方向性を見極めにくい環境になった。タイミング及び金額をコントロー ルしながらのドルの購入を継続。 短期的にシャープな円高が発生する可能性もあるため、50銭ごとに 指値オーダーをするなど、細やかな対応が有効
  5. Monthly Snapshot 6 資産クラス 2025/3/10 1か月前 3か月前 1年前 1年間チャート S&P500

    5,615 6,066 6,035 5,118 NASDAQ 17,468 19,714 19,687 16,019 ダウ 41,912 44,470 44,248 38,770 日経平均 37,028 38,801 39,368 38,820 VIX 27.86 15.81 14.18 15.22 Bitcoin 79,272 97,403 96,911 72,116 WTI原油 66.03 72.32 68.59 77.93 Gold 2,889 2,908 2,694 2,183 USDJPY 147.27 152.00 151.95 146.95 米金利 2025/3/10 1か月前 3か月前 1年前 1年間チャート 米2年金利 3.885 4.277 4.145 4.537 米5年金利 3.968 4.339 4.098 4.089 米7年金利 4.094 4.418 4.16 4.099 米10年金利 4.215 4.498 4.227 4.099 米20年金利 4.578 4.76 4.497 4.36 米30年金利 4.541 4.708 4.42 4.261 為替レート 2025/3/10 1か月前 3か月前 1年前 1年間チャート USDJPY 147.27 152.00 151.95 146.95 AUDJPY 92.46 95.41 96.92 97.18 EURJPY 159.54 156.67 159.97 160.55 GBPJPY 189.66 187.98 194.07 188.29 CADJPY 101.99 106.18 107.16 108.99 BRLJPY 25.15 26.27 25.17 29.52 MXNJPY 7.2341 7.3737 7.5351 8.7484 HKDJPY 18.96 19.52 19.55 18.79 CNHJPY 20.27 20.79 20.94 20.47 RUBJPY 1.6809 1.5733 1.4742 1.6247
  6. ご留意いただくポイント 〇想定リスク 各シミュレーションから算出された数値は、一定の前提条件の元で計算さ れた概算値のため、実行にあたっては、必ず金融商品取引業者等の専門 機関にご相談ください。 〇その他 本資料の内容は、2020年6月1日時点の税法、その他関連法規に準拠して います。今後の関連法規の改正等により相違が生じることがあり、対策内 容の見直しが必要になる場合があります。 今後の政治経済情勢、業界動向の変化によっては、本資料の内容が適合

    しなくなる可能性があります。 〇免責事項 本資料は、一般的な考え方の一部を参考資料として記載したものであり、 特定の取引の実現性・実効性を保証し、または実施を勧誘するものではあ りません。 弊社は、お客様に対し法律、税務、あるいは会計上の助言を供するもので はなく、本資料に関する法律、税務、あるいは会計上の十分性、適切性、有 効・妥当性について、いかなる見解を示すものでもありません。 〇その他 本資料に掲載された税務・会計・法律等に関わる事項に関しては、予めお 客様の顧問税理士、公認会計士、弁護士等の専門家にご相談のうえ、総合 的にご判断ください。 免責事項