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投資戦略202507

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July 09, 2025
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 投資戦略202507

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  1. 利下げサイクル終盤戦の投資戦略 PWのポートフォリオ構築のための投資戦略骨子を確認します。 ◦経済情勢と大局観 2024年はインフレを鎮静化させ始めた欧米各国中銀がそろって政策金利の引き下げを進めましたが、米国は利下げサイクルの終盤戦に入りつつあるようです。今後の利 下げのペースはインフレおよび労働市場を反映したものになると想定されます。また、米大統領選挙ではトランプ氏が勝利し、議会選挙も共和党が完勝したことで、2025 年以降の政策動向が注目され、米国の持続的な財政赤字(債務動向)そしてインフレが米金利のキーワードとなっていきます。中央銀行と政府が連携し、債務を制 御する計画がなければ⾧期金利高止まりが想定され、その間は債券投資の実行に有利な局面。一方で、高金利による株価のリプライシング、実体経済の悪化が顕在 化してくれば、株式・AT1(優先株式預託証券、CoCos)といったリスクアセットに好機が訪れるでしょう。ヒストリカルには種々のアセットクラスがピーク圏にあるため、ポー トフォリオのバランスをとること、およびインフレヘッジ資産(株式、不動産、金等)も考慮したポートフォリオ運営を実施することを推奨します。(2025年1月時点) 株式

    債券 通貨 オルタナティブ 1. 金利 ✓ 米10年利回りは、インフレ動向にも 左右されるが、米国債務を制限する ための施策がなければ高止まり想定。 買いの好機にも。 ✓ 市場のポジションの偏り解消による突 発的な金利低下には注意 ✓ 超⾧期については水準次第 2. クレジット ✓ ポートフォリオのインカムゲインを維持す るパーツとして利用 ✓ ⾧期の高クオリティ銘柄の活用 ✓ 景気後退時に時間分散・円ベース単 価を勘案しながらAT1を仕込む 3. デュレーション ✓ イールドカーブがスティープ化し、短期 から⾧期セクターに妙味が遷移 ✓ ポートフォリオとしては緩やかなラダーを 構成 4. セクター・エリア ✓ 新興国については、米金利の高止ま りによる相対的な魅力低下、インフレ リスク・取引コスト等の観点から引き 続き慎重な見方 ✓ 2025年はトランプの政策発動の 影響及び日銀の利上げスタンスが 注目ポイント。上下どちらにもぶれ る可能性があることを心しておく。 ✓ 一方、構造的にドル安円高が進 みにくくなっていることにも留意。 ✓ 想定レンジは140-160。この間で ボラティリティ高く上下する展開を予 想。 ✓ ドルの押し目は積極的かつ丁寧に、 タイミングを分散してドル購入を進 める。 ✓ 原則、外貨は米ドルのみで良い 1. REIT ✓ 日本は個別銘柄中心に検討。歴 史的割安水準であるが円金利上 昇リスクがあることに留意 米国はインデックス投資を推奨 2. コモディティ ✓ インフレヘッジを目的とした金投資 は検討していく 3. ヘッジファンド ✓ ヘッジファンドの銘柄を見て一部検 討 ✓ 流動性と残高に留意しつつファン ドマネージャーを吟味する 4. プライベート投資 (エクイティ、デット) ✓ プライベートデットは、有望な投資 機会につき検討する 仕組債 ✓ 円建てのニーズに対しては私募SB, CLNの活用を検討 Pragmaworksの投資戦略骨子 ✓ 10年の計で投資評価するならば 2025年の下げ相場は良い買い 場と考えられ、まさに足下の暴落 は絶好の買い場である。 ✓ 一方で、トランプ任期中のマーケッ トリスクは極めて大きい(経済合 理性の観点が皆無)。 ✓ 26年は大統領選挙サイクルアノマ リー2年目の年であり、今から高値 を狙うのは非常にリスクが大きい。 ✓ 銘柄選択の基本スタンスとしては、 構成銘柄の幅広さ、米国市場を 代表する優良銘柄の組入状況 及び過去のリスクリターンを勘案し、 S&P500指数を推奨。また、ハイ テクが集中するQQQ(ナスダック 100)にも併せて注目。 ✓ Mag7を筆頭に大型テック系企業 は2025年も相場を一定牽引す る見込み(年後半に期待)。 2
  2. 投資戦略(株式) 12 株式(Equity) ①足元のテーマ ②方向感 ③投資戦略 株式投資の原則 株式投資は、投資先の事業の中身に着目し、マーケットタイミングは考えない。ウォーレン・バフェットですらマーケットタイミングは判断できないとしており、バフェットでも実行できないことを目指すことは 合理的とは言えないのがその理由。 また、全米もしくはその一部をカバーする指数(例.S&P500)や、ファンダメンタルズが強靭な企業の株式をターゲットとするも、購入はマーケット要因あるいは個社の一過性要因などで株価が大き

    く下落したポイントや、時間分散で小刻みにエントリーすることを基本とする。 1. 生成AIブームは⾧期トレンドに乗る可能性が高い。その場合、生成AIを駆動する 基盤であるAI半導体は⾧期で期待できる。 2. トランプ任期中のマーケットリスクは極めて大きい。ボラティリティが非常に高く、⾧期 投資家には居心地の悪い相場が続くものの、”Stay Invested”, “Stay Market”が結局は最良の方法であることを再確認したい。 3. 2025年は大統領就任初年度の年。大統領選4年サイクルの中では就任初年度 の年のリターンは3番目(つまり下から2番目)。 4. 1月のS&P500指数は前月比+2.7%。January Effect(1月効果)のアノマ リーに従えば、米国株式は2025年通年ではプラスで終わる可能性が高い。 【原則】 1. 強固な参入障壁を持ち、決算が順調な会社はホールド(相場全体が崩れても、決 算に問題ない限り売却しない)。 2. もし決算をミスした場合、そのミスの内容を確認することが重要。一過性の要因で決算 が不調だった場合はホールドを継続。 3. 利下トレンドに入っており、これは株式には強力な好材料だが、地政学リスク・米政府 財政問題・インフレ再燃リスク等には警戒を要するため、購入は時間分散を推奨。また、 景気後退懸念が顕在化した場合は、しばらく様子見を決め込み、マクロ経済データを 観察しながらエントリーポイントを探る。トランプリスクにも要注目。 4. 株式市場全体の下落に連れて優良銘柄も下落している局面は、それら優良銘柄を 購入する好機であるため積極的に購入する。 【具体的戦略】 1. チャートだけを頼りに順張りで上値を追うことなく、安値圏で推移しているタイミングで、 S&P500連動のETF購入(構成銘柄の幅広さ、米国市場を代表する優良銘柄の組 入状況、及び過去のリスクリターンを勘案)を推奨。また、ハイテクが集中するQQQ(ナ スダック100)にも併せて注目。 2. Mag7を筆頭に大型テック系企業は2025年も相場を一定牽引する見込み(年後半 に期待) 。 3. 利下げトレンドにおいては、強靭なビジネスモデルを有する一部のグロースは選好される 可能性が高い。個社事由とは関係なく、市場全体が大きく下がったところでは買い向か いたい。 4. 2024年はアノマリーが殆ど的中しなかったが、25年は基本に立ち返りつつ、アノマリーを 参考にしながら押し目があれば時間分散で丁寧に拾いに行くことを推奨。 5. 2026年は大統領選挙サイクルアノマリー2年目の年であり、4年任期の中で最もパ フォーマンスが悪いことで知られる。実際、2018年・2022年はいずれも就任2年目の 年であったが、S&P500の2018年パフォーマンスは▲4.23%、2022年は ▲18.04%とマイナスに終わっている。つまり、今から高値を狙うのは非常にリスクが大 きいため、この先は相場が大きく下落したところだけを丁寧に拾いにいきたい。 3 1. Fedの利下げは株式には強力な追風であり、この先もマーケットのボラティリティは見られ るであろうが、この様な、「Big Picture」を頭に入れておくことが重要。一方で、トランプ 大統領はマーケットを破壊する言動が目立ち、その点甚大なリスクも併せて抱えている 状況。 2. MMFは依然高水準。投資に向かう大量の実弾とも言えるが、利下げによってMMFか ら得られるリターンも減少するため、投資家はよりリターンの高い他のリスク資産に目を向 ける可能性が高い。 3. 米国10年債利回りは2023年秋口に5%に瞬間タッチした後、足下では4%台前半 で推移。関税絡みで再び5%を目ざす展開になれば株式には下押し圧力となる可能 性大だが、その水準が⾧期化する蓋然性は現時点では低い。その理由は、財政赤字 拡大の危険からトランプ大統領は⾧期金利の水準を非常に気にしていることにある。 4. 4月以降、関税がもたらすネガティブインパクトの不透明さから米国資産離れが発生し たが、SP500の第1四半期利益の前年同期比成⾧率は足下で13.3%増と報告さ れており、3月末時点の予想値7.2%を大幅に上回る水準。また、SP500の78%が 第1四半期のEPS予想を上回っており、5年平均の77%と10年平均の75%を上回 る高水準。株式には引き続き強気の姿勢を維持したい。
  3. 投資戦略(債券) 債券(Fixed Income) ①足元のテーマ ②方向感 ③投資戦略 債券投資の原則 債券投資は、クオリティの高い発行体を選択し、時価に一喜一憂せず、ポートフォリオの中核資産として腰を据えて維持することが基本。発行体 の信用が著しく毀損した場合や、ポートフォリオ内の著しい偏りが生じた場合などを除いては、拙速な売買は避け、中⾧期目線でキャッシュフローを しっかりと受取り、積み上げていくスタンスが肝要。

    1. ムーディーズが米国の信用格付けを「Aa1」へと格下げAaa格を失う も大きな混乱は無し。 2. FOMCが重視しているのはハードデータ。通商政策の方向性が明確に なるまで、利下げを急がない考えを明示。静観の構え。 3. 労働市場は緩やかな減速を示しつつも依然として底堅く、経済指標も 現時点で決定的なハードデータの軟化は見られていない。関税の影 響が顕在化するまでは方向性を見出しづらい。 4. 米英や米中による相互関税の対立軟化がポジティブ要因。米国際貿 易裁判所がトランプ関税措置の多くに違法判断(これに対して連邦高 裁が効力停止を決定)など引き続き不透明。 5. 大規模減税案が下院を通過。米国の財政赤字の拡大及び債務持続 性に対する懸念が燻る。 1. 質の高い発行体選択、分散(発行体・資本構成・タイミング)が重要。 ポートフォリオの中核資産として質の高い発行体のポジションを維持し、 中⾧期目線でキャッシュフローをしっかりと受取るスタンスを維持。ポート 内、ドル、円バランスに配慮。徐々にポートの中心デュレーションを少し 長めに推移させていくイメージでラダーポート構築を意識。 2. 金利低下時にアウトパフォームするのはIG債と想定。 シニア、劣後債を 優先的に取り組み、年限を分散したポートへ。発行体は各国トップ銀行、 生損保を中心に選択(現時点ではAT1も継続保有可)。欧州銀の ハイベータネーム新規はシニア、選択的に劣後債までが望ましい。相対 的に高リスク発行体、低弁済順位債はポート内の中短期ゾーンで活用。 3. 逆イールド形状が緩和され、短期ゾーンの妙味が後退。欧米金融IG 債に投資妙味(金利上昇が続く局面では、随時償還する短年限の債 券を金利の高い環境下で順次再投資するのが有効)。現状の為替水 準を考えると6%前後を目線としてエントリしたい。 4. 確定利回りの目線をそれぞれ設定し、高クオリティの投資適格債を高金 利環境下で、為替とのバランスを考慮して買い付けていくことが肝要。 5. AT1のスプレッドはタイト化し、一旦妙味低下。未だIG債優先は変わ らないが、市場混乱時に買い下がれるよう準備を整えたい。 6. ⾧期債(10年近辺)は最終利回りのみならず途中売却も視野に入 れ、直利も考慮。金利低下ベット及び為替のダウンサイドリスクには10年 超~20年の米国ストリップス債や、ベース金利に近い(クレジットスプレッ ドよりもベース金利部分の影響が大きい)ハイクオリティ銘柄、IG債が選 択肢に。現状は超長期金利のボラティリティが高く少し手を出しづらい 環境か。夏の突発的な金利急騰に備えたい。 1. 関税の影響を受けた「インフレの度合い」とそれに対するFRBの考え方 (インフレと景気後退の対応でどちらを優先するか)に応じて、金利は 上下まったく異なる方向へ動くと想定。現状は方向感の出づらい展開。 2. 極端なインフレ到来の場合は、FRBはインフレ対応優先。金利上昇。 3. 超長期主導でスティープニング。30年債利回りが一時5%近辺まで 上昇するなど「インフレと供給リスクに対するプレミアム」を要求している。 4. スプレッドタイトニングと金利上昇が同時進行するという、リスクオン時の 平時の相関を取り戻しつつある 5. クレジットスプレッドはタイトニングを継続。金利・クレジットともに夏のボ ラティリティに備えたい。 4
  4. 通貨(Currency)/米ドル円 ①足元のテーマ ②方向感 ③投資戦略 投資戦略(為替/ドル円) 1. トランプ関税が米国景気に与える影響 2. 米国金融政策の動向 3.

    米国通貨政策 1. 6月中旬以降のドル円市場は上値トライも下値トライも共に失敗、結局 レンジ内の動きに終始し膠着感を強めた。広く見ると142.50-148.00 のレンジだが、ほぼ143-145に滞留。 2. 米国の利下げ見通し及びトランプリスク全般はドル安円高要因、一方、 株式市場を中心とするリスクオン基調と日銀の金融引き締め先送りはド ル高円安要因。ただし双方ともに決め手に欠ける状況。米⾧期金利上 昇は、その上昇要因やその時のムードによりドル高、ドル安、どちらの要因 にもなりうることに留意。 3. ドルと円が最弱通貨の座を争っており膠着状態の継続がメインシナリオ。 ややドル売り材料の方が優勢と見るが、円ロングポジションが大量に積み あがっていることから円高スピードも緩やかになりそう。 外貨投資の原則 外貨投資においては、為替の方向感にベットして為替差益を狙うような投機的な取引はしない。あくまでも、円資産への集中リスクを回避するための⾧ 期的な通貨分散、資産分散を目的とする。 よって、マーケットタイミングを判断するよりも、購入タイミングを分散することでリスクを軽減しながら、上記目的を達成することを推奨する。 1. 原則USDポジションをキープし、USD建運用のメリットを享受。 2. 各々の資産運用プラン(例:ドル建債券の購入)を実行するため に必要なドルの手当てについては積極的に進める。その際、購入する 資産の円高抵抗力の検証をすること、及び購入タイミングを分散する ことが重要。 3. 142.50円をバックにドルの押し目買いを推奨 【Mr.EのFXコメント】 トランプ関税の交渉の過程で対ドルでのEUR買いが、対円でも入ったこと が足元のドル高円安進行の理由の一つだと思う。投機筋の円買いポジ ションもゆっくり減少(円安要因)している。ただ、このままドル高の流れが 続くとは思わない。引き続き144円±3円のレンジ相場内を予想するが、 ドルの押し目はしっかりドル買いで臨みたい。 5
  5. ご留意いただくポイント 〇想定リスク 各シミュレーションから算出された数値は、一定の前提条件の元で計算さ れた概算値のため、実行にあたっては、必ず金融商品取引業者等の専門 機関にご相談ください。 〇その他 本資料の内容は、2020年6月1日時点の税法、その他関連法規に準拠して います。今後の関連法規の改正等により相違が生じることがあり、対策内 容の見直しが必要になる場合があります。 今後の政治経済情勢、業界動向の変化によっては、本資料の内容が適合

    しなくなる可能性があります。 〇免責事項 本資料は、一般的な考え方の一部を参考資料として記載したものであり、 特定の取引の実現性・実効性を保証し、または実施を勧誘するものではあ りません。 弊社は、お客様に対し法律、税務、あるいは会計上の助言を供するもので はなく、本資料に関する法律、税務、あるいは会計上の十分性、適切性、有 効・妥当性について、いかなる見解を示すものでもありません。 〇その他 本資料に掲載された税務・会計・法律等に関わる事項に関しては、予めお 客様の顧問税理士、公認会計士、弁護士等の専門家にご相談のうえ、総合 的にご判断ください。 免責事項 7