(1)オントロジーとは (2)言語的オントロジー (3)オントロジーと推論 (4)オントロジーの構築と学習
オントロジーの概要基本から推論・構築まで第2回 B3勉強会2019/1/17長岡技術科学大学自然言語処理研究室 吉澤 亜斗武
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参考文献・資料書籍[1] 溝口理一郎:オントロジー工学,オーム社(2005)[2] 古崎晃司,來村徳信,笹島宗彦,溝口理一郎:オントロジー構築入門,オーム社(2006)[3] 兼岩憲:記述論理とWebオントロジー言語,オーム社(2009)[4] 來村徳信:オントロジーの普及と応用,オーム社(2012)資料[5] 古崎晃司:オントロジー工学に基づく知識の体系化と利用https://www.slideshare.net/KoujiKozaki/ss-353739622
Contents(1) オントロジーとは(2) 言語的オントロジー(3) オントロジーと推論(4) オントロジーの構築と学習3
(1) オントロジーとはオリジナルの意味:存在論(哲学用語)コンピュータ科学:対象世界の概念や概念間の関係を明示的に記述したもの対象世界に「何が存在しているか」を明確にした上でモデルを構築4オントロジー工学では,対象世界の基本概念 や概念間の関係を土台にして世界に関するモデルを記述する
オントロジーの利用・意味共有 :知的システムの使いやすさの向上・検索 :検索結果の意味的な構造化・分析・抽出・推論 :情報推薦システムなどの実現・変換・統合 :異種の知識を一括して利用できる5(1) オントロジーとは
オントロジー構築の目的・知識の共有 :人やシステム間で情報を共有し,連携して作業・知識の再利用:知識ベースを別の用途に再利用するそのためには基本的な概念やモデル化方法を一致させる必要がある対象世界の概念等を明確に定義する必要がある6(1) オントロジーとはオントロジーは概念,階層構造が明確な指針に基づき設計されている
オントロジーの種類・ドメインオントロジー(domain ontology)特定の分野の異なるタスクでも使えるオントロジー・タスクオントロジー(task ontology)異なる分野の同じタスクに使えるオントロジー・上位オントロジー(upper ontology)様々な対象の抽象的な概念体系を扱うオントロジー7(1) オントロジーとは
オントロジーの記述オントロジーは,単なる語彙集合,辞書,概念階層ではない8(1) オントロジーとは乗り物-陸上車-車-船-…-飛行機-…(a)単なる概念構造乗り物-種類-陸上車-機能-人を運ぶ-属性-大きさ(b)オントロジーのイメージ
記述レベルでの分類レベル1:概念の切り出しと,概念間の関係のみを記述概念のラベル(名前)と階層構造だけが存在するレベル2:各概念の意味定義や,関係の記述が加えられたもの記述された性質に関して,コンピュータが答えられるレベル3:オントロジーとして記述されたものだけでなく,問題解決システムの振る舞いや質問応答ができる9(1) オントロジーとは
オントロジーの構成要素・クラス・インスタンス・意味リンク・個数制約・ロール概念10(1) オントロジーとは乗り物二輪車車輪人間正の整数車輪_1前輪ロール_1subclass-ofrel:所有者attribute-of:重さ(kg)part-of , 2instance-of前輪(ロールホルダー)rel:前後関係
意味を含んだ自然言語処理を行おうとすると,意味情報を収集・整理した語彙資源が必要となる.言語的オントロジーは,言語表現が指示する概念・意味関係を整理した資源語彙概念関係には,例えば下のような関係も含まれる.含意関係:下位クラスに因果関係がある.様態関係:「スキップする」は「歩く」の特殊な様態11(2) 言語的オントロジー
語彙資源の例・WordNet タイプの語彙資源単語の意味を他の単語との関係によって表現SUMOとの対応や,OntoWordNet の構築がされている・語彙概念構造(LCS)タイプの語彙資源単語の意味を意味概念の組み合わせで表現意味的な類似性や含意関係が自然に表現できる12(2) 言語的オントロジー
語彙資源の例・生成語彙論(GL)タイプの語彙資源コアとなる意味から文脈に応じた多様な意味の生成を表現クオリア構造によって意味を多次元的に表現・FrameNet タイプの語彙資源フレーム意味論に基づいたフレーム構造による表現関係をネットワークとして構造化し,世界知識も表現13(2) 言語的オントロジー
オントロジーはその目的から,できるだけ多くの種類の推論エンジンに対応できるように記述されることが求められるが,現実的にはいくつかの推論に限定して効率の良い推論を実現させる.推論の例・記述からの帰結の推論・近似的な推論・二つの記述の同一性の判定/類似度の計算14(3) オントロジーと推論
推論手法の例・記述論理による推論OWLは記述論理へ変換でき,包含関係などを推論・ベイジアンネットワークへの変換による確率推論因果関係のあるイベント/タスクオントロジーを変換・依存型意味論(Dependent Type Semantics)による推論近年の研究で,自動推論には至っていない15(3) オントロジーと推論
オントロジーの構築の手法・人手・構造情報資源を利用したオントロジー学習・半構造情報資源を利用したオントロジー学習・フリーテキストを利用したオントロジー学習オントロジー学習:(半)自動的にオントロジーを構築16(4) オントロジーの構築と学習
人手によるオントロジー構築の手順1. スコープの決定利用目的,利用者,保守者,網羅すべきドメインの決定2. 再利用の検討利用可能なオントロジーがあれば,それを基礎として開発3. 用語の列挙その分野の重要な用語を列挙し,リストを作成する.17(4) オントロジーの構築と学習
4. クラスの定義階層関係をsubclass-of 関係で定義する5. プロパティの定義内因性,外因性,全体-部分関係,他の個体との関係を定義6. 制約の定義定義域,値域,個数制約などの制約を定義7. インスタンスの作成18(4) オントロジーの構築と学習
オントロジー学習の概要・構造情報資源を利用したオントロジー学習複数のオントロジーからオントロジー写像によって生成・半構造情報資源を利用したオントロジー学習Wikipedia, Folksonomy などの利用・フリーテキストを利用したオントロジー学習現状では,高精度で大規模なオントロジーの構築が困難19(4) オントロジーの構築と学習
オントロジー学習の限界と注意点・不要な用語,関係が含まれており,正答率と再現率はトレードオフの関係であるので吟味する必要がある・入力・参照リソースに依存するので,専門家の手動による概念や関係の追加・修正が必要になる・公理の定義が難しく,ヘヴィウェイトオントロジーの構築は困難である20(4) オントロジーの構築と学習