Developers.IO 2021 Decade https://classmethod.jp/m/devio-2021-decade/
【概要】 昨今LookerなどのBIツールは第3世代BIと呼ばれることもありますが、第1世代~第3世代のどのBIツールでも共通して「ダッシュボードを作ったけどユーザーに使われない」という課題があると感じています。そこで、このセッションでは私のこれまでの経験に基づいた「ユーザーにちゃんと使用されるダッシュボード」についてまとめ、お話します。
俺が考える「ユーザーにちゃんと使用されるダッシュボード」について語ります2021/10/13アライアンス統括部相樂悟
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2自己紹介氏名相樂 悟 (サガラ サトシ)所属アライアンス統括部(社歴1年2ヶ月目)主な担当モダンデータスタックのプロサービス・プリセールス
3本セッションで「話す」こと”事業会社での運用”と”コンサル業務”の経験に基づいた「ちゃんと使われるダッシュボード」のために必要なこと・どのBIツールでも共通する考えについて話します・下記のような悩みがある方に向けた内容です- BIツール入れたけど、どういうダッシュボードを作ればよいのか- 継続的にダッシュボードを使用して貰うにはどうすればよいのか
4本セッションで「話さない」こと・各BIツールの機能に関しては、Developers.IOを是非ご覧ください!・Lookerに関する記事一覧・Tableauに関する記事一覧❌「Looker・Tableauのこの機能を使いましょう」というダッシュボード作成時に”各BIツールで使うべき機能”
5アジェンダ1.ダッシュボードが使われない問題と解決案・問題の概要・相樂の考える解決案・事例紹介2.解決案に伴う5つの施策について・5つの施策を紹介3.まとめ
6ダッシュボードが使われない問題とは「俺が考えた最強のダッシュボード」を作ったが、継続的に使用してもらえない作成直後 一週間後作成者閲覧ユーザー予測機能も入れて、色も凝った、最強のダッシュボード出来たー!わー!すごーい!!作成者閲覧ユーザーさて、閲覧数は…?全然閲覧されていない!?俺の労力は無駄だったのか…?あー、あんなグラフあったなー
7頑張ってダッシュボード作ったのに…どうすれば使ってもらえるの…?
8「確認➟分析➟アクション」の循環が確立されたダッシュボードであること相樂の考える解決案(結論)
9「確認➟分析➟アクション」の循環?どういうこと?ダッシュボードを定期的に確認する現状把握&分析して施策を考える考えた施策を実行する「確認➟分析➟アクション➟確認…」この循環が出来るようにダッシュボードを作成する
10「確認➟分析➟アクション」の循環を一般化してみるダッシュボードを定期的に確認する現状把握&分析して施策を考える考えた施策を実行する例:家計簿アプリのダッシュボード(収支分析画面)さて、先月は何にお金使ったかな…うわっ…私の衣類費、高すぎ…?今月は服を買うのは我慢するか…
11でも、家計簿アプリは最初からダッシュボードが用意されているし…「確認➟分析➟アクション」の循環が確立されたダッシュボードを作るには、具体的にどうすれば…
12ダッシュボード作成&運用で必要な5つの施策1.5W1Hに基づいた設計をしよう2.アクションに繋がる指標を可視化しよう3.ユーザーへの負荷が少ない設計を心がけよう4.数値に異常があれば最優先で対応しよう5.ユーザーへの普及活動も欠かさずに
13ダッシュボード作成&運用で必要な5つの施策1.5W1Hに基づいた設計をしよう2.アクションに繋がる指標を可視化しよう3.ユーザーへの負荷が少ない設計を心がけよう4.数値に異常があれば最優先で対応しよう5.ユーザーへの普及活動も欠かさずに
145W1Hに基づいた設計をしようダッシュボードにおける「5W1H」とは・When、Where、Who、What、Why、Howをまとめた略称5W1Hを定義することで、可視化すべき指標や目的が明確になる・When:”いつ”使用される?・Where:”どこで”使用される?・Who:”誰が”使用する?・What:”何を”確認・分析する?・Why:”何のため”に使用される?・How:”どのように”使用される?
155W1Hに基づいた設計をしよう 例(例)家計簿アプリ・When:毎月1日・Where:家でアプリを開いて・Who:自分が・What:「先月の支出」をカテゴリ別に・Why:支出が大きいカテゴリを確認して、今月の支出を抑えるために・How:先月と先々月で「支出」をカテゴリ別に比較して
165W1Hに基づいた設計をしよう 注意点5W1Hを定義するときの注意点・自分の妄想で5W1Hを決めたダッシュボードは使う人&場面が考えられていないので、ほぼ使用されなくなりますそのため…・「Who:誰が」が自分以外の場合は、Whoに定めた人に対して必ずヒアリングをして、残りの4W1Hを決めましょう・リリース後も定期的にWhoに定めた人にヒアリングをしましょう!- ダッシュボードを使うことを改めてユーザーに意識付けできます
17ダッシュボード作成&運用で必要な5つの施策1.5W1Hに基づいた設計をしよう2.アクションに繋がる指標を可視化しよう3.ユーザーへの負荷が少ない設計を心がけよう4.数値に異常があれば最優先で対応しよう5.ユーザーへの普及活動も欠かさずに
18アクションに繋がる指標を可視化しよう「アクションに繋がる指標」とは・ダッシュボードを見ることで、「具体的なアクション」に紐づく指標「具体的なアクション」の例・前回のやり取りから一ヶ月経過した顧客への連絡・異常値が出たサーバーやソフトウェアのリカバリー作業・マーケティング施策の効果を見て、施策の拡大・縮小の判断
19アクションに繋がる指標を可視化しよう 悪い例可視化する指標の「悪い」例・今あるデータから算出できる指標をがむしゃらに可視化- ダッシュボード上で可視化する指標が増えすぎると、どこを見てよいかわからず使用されなくなります・「売上」「利益」といったKGIに該当する指標だけを可視化- KGIだけを載せたグラフはアクションに紐づきづらいです※KGI・KPIについての詳細は次頁
20アクションに繋がる指標を可視化しよう 良い例可視化する指標の「良い」例・値を見て、”誰がどんなアクションをするか”明確な指標を可視化- 事前の5W1Hの明確な定義がやはり重要です・KPIツリーを構築し、KGI達成に向けたKPIを可視化※用語説明・KGI:Key Goal Indicatorの略、組織レベルで掲げる”最終目標・ゴール”・KPI:Key Performance Indicatorsの略KGIへの過程となる”中間目標”実際の値を見てアクションに繋がる指標が望ましいKGI売上KPI会計単価KPI会計数KPI来店数KPI会員数KPI購入点数例:小売業のKPIツリー
21ダッシュボード作成&運用で必要な5つの施策1.5W1Hに基づいた設計をしよう2.アクションに繋がる指標を可視化しよう3.ユーザーへの負荷が少ない設計を心がけよう4.数値に異常があれば最優先で対応しよう5.ユーザーへの普及活動も欠かさずに
22ユーザーへの負荷が少ない設計を心がけよう「ユーザーへの負荷が少ない設計」とは・ユーザーがダッシュボードの内容を容易に理解することができるように、ダッシュボードを設計することなぜ「ユーザーへの負荷が少ない設計」が必要か?・人間がダッシュボードを閲覧して内容を理解することは、少なからずエネルギーを消費する行為である・エネルギーの消費が少ないダッシュボード➟抵抗感が減るつまり、ダッシュボードを使い続けてくれる可能性が高まる
23ユーザーへの負荷が少ない設計を心がけよう 例1例1 東北地方の県別の売上比較グラフ良い例 悪い例良い例のポイント・棒グラフの色はグレー1色に・軸目盛りは最小限に・値を示すラベルは横書きに・県はJISで定められた順番に
24ユーザーへの負荷が少ない設計を心がけよう 例2例2 Linkedln Sales Navigator スターター ※Tableau公式引用元:https://www.tableau.com/ja-jp/products/dashboard-startersこのサンプルの良い点・重要指標➟各詳細値がZ型の導線に沿って配置されている・分類ごとの色を全グラフで統一・1行で今日の実績~過去実績まで確認できるレイアウト・1画面に収まるサイズ感
25ダッシュボード作成&運用で必要な5つの施策1.5W1Hに基づいた設計をしよう2.アクションに繋がる指標を可視化しよう3.ユーザーへの負荷が少ない設計を心がけよう4.数値に異常があれば最優先で対応しよう5.ユーザーへの普及活動も欠かさずに
26数値に異常があれば最優先で対応しよう「数値の異常」とは?・ダッシュボードで表示している数値が正しくない状態- 例:本来「100」と出す所、ダブルカウントで「200」と表示・数値が間違っていると、ユーザーは一瞬で興味を失います- 特に、ダッシュボードやBIツールの社内展開期では、「なんだこれ、使えん!」とユーザーから切り捨てられることも- 業務に根付いていたら、ユーザー側から連絡があるかもしれないしかし、すぐに対応しないと信頼はガタ落ちです
27数値に異常があれば最優先で対応しよう 防止策1どうやって「数値の異常」を防ぐ?~データフロー編~・BIツールの参照先のデータが作られるまでの、各種処理を行う際にデータ異常がないかチェック処理を入れましょう(下図の赤矢印 )・「異常なデータがあったら処理停止&通知」が基本ですデータソース データレイク データウェアハウス BIツール, etc, etc, etc
28数値に異常があれば最優先で対応しよう 防止策2どうやって「数値の異常」を防ぐ?~BIツール編~・参照するテーブルは正しい値であっても、BIツール上で定義したロジックが間違ってはいけません・見るべきポイント- 集計方法は合っていますか?(合計、平均、etc)- 計算ロジックを書いている場合、そのロジックは正しいですか?(過去実績値があれば比較しましょう)LookerTableau
29ダッシュボード作成&運用で必要な5つの施策1.5W1Hに基づいた設計をしよう2.アクションに繋がる指標を可視化しよう3.ユーザーへの負荷が少ない設計を心がけよう4.数値に異常があれば最優先で対応しよう5.ユーザーへの普及活動も欠かさずに
30ユーザーへの普及活動も欠かさずになぜ「ユーザーへの普及活動」が必要なのか?・導入した人は「渾身のダッシュボード作ったぞ!」と思っていても、ユーザーからすると「なにそれ?」で終わっていることが多いです理想 現実ツール導入者一般ユーザーBIツール導入しました!ダッシュボードも作りました!BIツール!?ダッシュボード!?気になる!使ってみよう!!一般ユーザーBI…?また何か入れたのか、まあ私には関係ないか…ツール導入者BIツール導入しました!ダッシュボードも作りました!
31ユーザーへの普及活動も欠かさずに 具体例「普及活動」って何をすればいいの?・「導入したぞ!」ということを関係者へ周知、説明会を実施・とにかくユーザーの目に触れさせる- 例:Slackで定期配信、オフィスにモニター設置し常時投影・ユーザーが作成した事例があれば、社内で共有して評価しましょう- 「ダッシュボードとBIツール、役立つのか!」という意識付け・ユーザーへの定期的なヒアリング- 活用できているか?データ基盤へのリクエストは?
32アジェンダ1.ダッシュボードが使われない問題と解決案・問題の概要・相樂の考える解決案・事例紹介2.解決案に伴う5つの施策について・5つの施策を紹介3.まとめ
33まとめ:ダッシュボードを使ってもらうには…ダッシュボードを定期的に確認する現状把握&分析して施策を考える考えた施策を実行する「確認➟分析➟アクション➟確認…」この循環が出来るようにダッシュボードを作成する
34まとめ:ダッシュボード作成&運用に伴う5つの施策1.5W1Hに基づいた設計をしよう2.アクションに繋がる指標を可視化しよう3.ユーザーへの負荷が少ない設計を心がけよう4.数値に異常があれば最優先で対応しよう5.ユーザーへの普及活動も欠かさずに
35最後にダッシュボードやBIツールの導入&展開、大変な業務です・企業の文化、そして人の意識を変える必要があるので、大変です・一方で、「Excel&PowerPoint時代から○○時間、工数が減った!」「データに基づき根拠のあるアクションができるようになった!」と、活用されることで大きなメリットを得ることも出来ます・愚直な活動が多く辛い時もありますが、頑張っていきましょう!(私も、登壇やブログ、技術支援を通してサポートしていきます)
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