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FLOSS とフリーカルチャーの流れ
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Tatsuki Sugiura
October 14, 2012
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FLOSS とフリーカルチャーの流れ
Tatsuki Sugiura
October 14, 2012
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Transcript
FLOSSとフリーカルチャーの流れ Version 0.03 This work is licensed under a Creative
Commons Attribution-ShareAlike 3.0 Unported License. Tatsuki Sugiura <
[email protected]
>
Agenda • フリーソフトウェア (ストールマン) • オープンソース (レイモンド) • クリエイティブ・コモンズ (レッシグ)
• 著作権おさらいなど • その後、国内でPCL など
フリーソフトウェア
フリーソフトウェア - 概略 • 1985 年くらいから • リチャード・M・ストールマンが提唱 • 「自由な」ソフトウェア環境の実現と維持を
目指す • いわゆる「フリーソフト(無料ソフト)」と は全く関係ない
リチャード・M・ストールマン • 1971年 MIT AI 研でプログラムの ソースを公開し、誰でも改良でき るというハッカー文化を体験する • その後のソフトウェアの秘匿化、
商業化や、独占的な環境に反対 • 1983年、Unix 環境全てを自由な ソフトウェアとして開発する事を 目指し、 GNU プロジェクトを発 足 • 1985年、自由なソフトウェア環境 の発展をめざしたフリーソフト ウェア財団を設立
GNU/フリーソフトウェアの目標 • ストールマンの語る「自由」 – 0. freedom to run program 誰でも無条件にプログラムを実行する自由
(前提) – 1. freedom to help yourself 自分でプログラムに機能を追加したり、バグを直すなど、改 編する自由 – 2. freedom to help neighbor 他の人にプログラムを配布する自由 – 3. freedom to help build community 改変したプログラムを共有し、コミュニティを構築する自由 • DRM、ソフトウェア特許などには完全に反対 • 注意: 無料かどうかは全く関係ない
コピーレフトというアイデア • "Copyleft – All rights reversed." • 著作権の上に成り立つ、いわばカウンターコ ピーライト
• 「「制限する事」を禁止する」ライセンス • これにより自由な環境を維持する • 具体的さらに – バイナリの利用者にソースコードの入手を保証し ないといけない – 成果物全体にそれより厳しい制限をしてはならな い
ライセンスの策定 • GNU General Public License (1989) – コピーレフト、成果物全体(=ソフトウェア的にリンクす る範囲)に波及、ソースコード公開必須
• GNU GPL v2 (1991) • GNU LGPL v2 (1991) – 波及条項を削除したバージョン • GNU GPL v3 (2007) – DRM、特許の排除条項を追加 • GNU Affero General Public License v3 (2007) – オンラインサービス利用者にも GPL と同じ自由を保証
GNU GPL を採用するソフトウェア • Linux カーネル • GNU Compiler Collection
(gcc) • Emacs • FLOSS 全体の50%程度 • 採用するソフトウェアは減少傾向 • GPL v2 から v3 への移行に難 • マルチライセンス化も進む
批判 • イデオロギー主体過ぎる • 「自由然らずんば死を」は行き過ぎ • GNU GPL の波及条項が商業ソフトウェアに 使いにくすぎる
• ストールマンが偏屈
オープンソース
オープンソース - 概略 • 1997年くらいから • 開発手法自体はずっとその前からあるが、エ リック・S・レイモンドが論文(エッセイ)と してまとめ、命名する •
ソフトウェア開発手法として、緩いライセン スの採用し、共同開発するモデルは優れてい るからみんなやろうぜと言う主張 • 明確な「オープンソースの定義」を策定
エリック・S・レイモンド • 1997年、fetchmail を開発した 経験を元に、オープンソース開 発の論文を発表。Linux などコ ミュニティによるソフトウェア 開発を分析 •
マイクロソフトの対 Linux 戦略 に影響を与え、それをすっぱ抜 く • Netscape (現 Mozilla Firefox) のオープンソース化の引き金に なる • 1998年 Open Source Initiative を設立
レイモンド曰く... (山形浩生訳) もう 20 年以上にもわたって、ぼくはむかつかないソフトに あふれた世界に暮らすことを夢見ていた。きれいで、強力 で、信頼できて、きちんと書かれたコード、技術屋たちが愛 して誇れるコード、ボロボロで穴だらけで悲惨で罵倒するし かないような代物じゃないコードの世界だ。人々に、胃潰瘍 じゃなくて選択を与えるようなインフラ、独占によるロック
インじゃなくて、自由を与えるインフラ。そこへの道とし て、オープンソース・モデルはいちばん見込みがありそうだ と信じているし、ハッカー文化の力と自由市場が手を組め ば、それがうまくいくとぼくは信じている。
オープンソース運動 • 優れた開発手法として、共有可能なライセン ス、コミュニティベースの開発を促進する – 「目玉の数さえ十分あれば、どんなバグも深刻で はない」 • 物凄く種類のあったライセンスを分類し、基 準を策定(オープンソースの定義)
• フリーソフトウェアとは協調したり対立した り場合による
オープンソースの定義 • Debian Freesoftware Guideline がベース • オープンソースライセンスの基準になる条項を決定 – 再頒布の自由
– ソースコード入手性の保証 – 差別禁止 商用かどうか、分野、目的などを限定してはならない • これ以外にもあるので、詳しくは http://www.opensource.jp/osd/osd-japanese.html • OSI 自身は新しいライセンスを書くのではなく、こ の定義を元に大量にあるライセンスを認証してまと めている
批判 • 知財などの考え方と衝突する • フリーソフトウェアよりマシだけど、それで も商業ソフトウェアでは使いにくい • その他...
クリエイティブ・コモンズ
クリエイティブ・コモンズ - 概略 • 2001年くらいから • オープンソース運動などを参考に、法学者 ローレンス・レッシグなどにより設立 • ソフトウェア以外のフリーコンテンツをうま
く流通させる基盤整備をめざす • 条項を自由に組み合わせられるライセンスを 制定
ローレンス・レッシグ • 法学者。憲法学、サイバー 法、情報法が専門 • 2000年インターネットと法 律の関係を分析した 「CODE」を出版 • 2001年
クリエイティブ・ コモンズ設立 • 法律と現状の分析に関する 書籍を複数出版しフリーカ ルチャーの支持と著作権批 判を展開 • 2007年 著作権関連の活動 を終了し、「腐敗」の研究
レッシグ曰く... デジタルの時代において、著作権法はもはや現実とあ わなく (out of sync に) なってしまった。 われわれは、一般の家庭で何気なく行っている行為 が、いちいち著作権違反になるような現実を変えなく
てはならない。
CC ライセンス • 音楽、文章、絵などなどに幅広く使えるライセンス • レッシグの「CODE」のアイデアを元に、一般の人に 分かりやすい要約(マーク)と、実際のライセンス文を 分離 • ベースとして、再配布は自由にできる
• パブリックドメインから、きつい制限まで自由に選 べる • 以下の条項を組み合わせ – 表示: 作者表示義務 – 非営利: 使用目的を非営利に限定 – 改変禁止 (継承との組み合わせ不可) – 継承: 二次的著作物は同じライセンスを適用
著作権おさらいなど
明確なライセンスを定義する意義 • 利用時にいちいち著作者に確認しなくていい – 双方の手間が減り、著作物の利用が促進される • 利用者の権利が保証される – ライセンスを受けた時点の権利を永続的に保持す る
日本の著作権 • 大陸法の Author's rights の流れを受け、「著作者人格 権(譲渡不能)」を持つ – 日本の著作者人格権は世界的に見ても例外的に強力 •
著作者人格権は US などにはないので注意! – フリーソフトウェアやオープンソースでは考慮されていない – クリエイティブ・コモンズでは一応手当されているが • 著作物は「思想又は感情を創作的に表現したもので あって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するも の」 – アイデアは著作物ではない – 厳密にはキャラクターは著作物ではないか • ただし、いわゆる商品可能化権などでの保護はある
著作権と他の権利保護 • 著作権で保護されなくても、商法など別の法 律で制限される事がある • 著作権と特許は別
日本での派生
ピアプロ キャラクター ライセンス • それなりに自由なライセンス • キャラクターに対する物として画期的か • しかし、利用者に対する保証はほぼない –
クリプトンは無条件で条項をいつでも好きなよう に変更できる – 利用者は変更に自動的に従わなくてはならない – クリプトンはいつでも一方的にライセンスを終了 できる
ニコニ・コモンズ これはひどい
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