🌏地球から🌌宇宙まで！ 〜ケプラーの法則で繋がる天体の運動〜

2025年1月22日、VRChatの学術系コミュニティイベント「ブラックホール集会」での発表予定スライドです。
天文学を専門とするBH集会主催の黒洞ひかりさんとのコラボレーション企画として、
私の専門である水文学の観点から天体の運動と地球上の水の挙動の関係性について解説します。

具体的には：
- ケプラーの第一法則に基づく天体の楕円軌道
- 地球と月のバリセンター（共通重心）を中心とした公転運動
- それらが引き起こす潮汐力と地球上の潮汐現象
について、図解を交えて説明しています。

発表資料作成にあたり、以下のRoger Williams University Open Publishingの海洋学の教科書を参考にさせていただきました。
アニメーションによる解説が非常にわかりやすく、特に潮汐力の説明部分で大いに参考となりました。

- https://rwu.pressbooks.pub/webboceanography/chapter/11-1-tidal-forces/

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This slide deck is scheduled for presentation at the "Black Hole Meeting" (BH Meeting), an academic community event in VRChat, on January 25, 2025.
As a collaboration project with Hikari Kokudo-san, an astronomer who organizes the BH Meeting, I explain the relationship between celestial motion and water behavior on Earth from my expertise in hydrology.

Specifically, the presentation covers:
- Elliptical orbits of celestial bodies based on Kepler's First Law
- Revolution around the barycenter (center of mass) of the Earth-Moon system
- Tidal forces caused by these motions and their effects on Earth's tides

These topics are explained with detailed illustrations and diagrams.

The presentation materials were developed with reference to the following oceanography textbook from Roger Williams University Open Publishing. Their animated explanations were particularly helpful, especially in explaining tidal forces.

- https://rwu.pressbooks.pub/webboceanography/chapter/11-1-tidal-forces/

Transcript

1. 🌏地球から 🌌宇宙まで！ 〜ケプラーの法則で繋がる天 体の運動〜 Sun Earth Moon
2. 自己紹介 さめ(meg-ssk) 🧑‍💻 フリーランスのソフトウ ェアエンジニア 得意分野: 📸 コンピュータビジョ ン (画像認識/点群処理) 🌍 空間情報処理 (GIS/ リモートセンシング) ☁️ クラウドインフラ設 計/IaC (AWS, GCP) GitHub YouTube Speaker Deck
3. 学生時代の専攻 💧 水文学 (Hydrology) 🌟「天文学は天の星を研究する学問」 🌏「水文学は地上の水を研究する学問」 わたしの恩師の言葉です！ 今日のBH集会は、 🌏地球のさめと、 🌟宇宙のひか りさんのコラボです！
4. ケプラーの法則とは？ 天文学者ヨハネス・ケプ ラーが発見した、天体の 運動に関する3つの法則 第一法則: 天体は楕円 軌道で公転する 今日は第一法則にフォ ーカスを当てて解説し ます！
5. ケプラーの第一法則 惑星は太陽の周りを楕円軌道で公転する 🌏地球も☀️ 太陽の周りを楕円軌道で回ってい る 🌕月も地球の周りを楕円軌道で回っている Sun Earth Moon
6. 潮の満ち引き 天体の運動に地球の水が影響される自然現象 の例として、潮の満ち引きを紹介します 同じ場所でも海面の高さが時間によって全く 異なる！ より 横須賀市公式YouTubeチャンネルの動画
7. 今回仮定すること 地球は球である 本当の地球は楕円体 さらに山や谷があってでこぼこしている 海水は完全流体である 実際の海水は粘性があり地球の自転に引き ずられる 水飴を塗ったボールを回すと、水飴がボー ルに引きずられるようなイメージ 地球の自転による遠心力を無視する
8. 地球と月のバリセンター 🌏地球と 🌕月は互いに引き合いながら共通の 重心（バリセンター）を中心に回転する バリセンターは地球の中心から約4,671 km、 地表面からは約1,700 km離れた位置にある バリセンターから最も遠い位置で「見かけの 遠心力」が最も大きくなる 384,400 km 4,671 km 地球 ⽉ バリセンター 地球の公転 ⽉の公転
9. 連星系の運動 質量比が大きいので目立たないが、 🌏地球と 🌕月は本質的には連星系として振る舞う 連星系: 2つの天体が互いに重力で引き合いな がら共通の重心で回転する 以下は質量が同じ天体の連星系の軌道の例 バリセンター Star 1 質量: M Star 2 質量: M
10. 潮汐力 🌕月の引力とバリセンターを中心とする公転 の遠心力の差が潮汐力 🌕月に近い側では月の引力が強い 🌕月の反対側ではバリセンターから最も遠い ため見かけの遠心力が相対的に大きく働く 結果として地球上の海水が卵状(潮汐バルジ)に 盛り上がる ⽉ 地球の公転 地球 バリセンター 引⼒の⽅向
11. 潮汐バルジの形成 月に最も近い点: 引力が最大、遠心力が最小 月から最も遠い点: 引力が最小、遠心力が最大 海⽔⾯ バリセンター 地球の公転 Point A Point B ⽉の引⼒ 公転による⾒かけの遠⼼⼒ 合⼒（潮汐⼒） 月の引力と遠心力の合力でバルジが形成される！
12. 🌞太陽の影響 🌕月の引力は 🌞太陽の引力と合成される 🌏地球と 🌕月と 🌞太陽が一直線に並ぶとき(満 月 🌕 or 新月 🌑)、潮汐力が最大となる (大潮) Tidal bulge Sun Earth Moon
13. 近日点での潮汐力 🌏地球が太陽に最も近い場所(近日点)にいる 🌕月と 🌏地球と 🌞太陽が一直線に並ぶ 潮汐力が最大となる！ Tidal bulge Sun Earth on perihelion Moon
14. 潮汐力の周期性 月の公転と地球の自転によって潮汐力が周期 的に変化する (M2波) 地球の自転によって太陽の引力が周期的に変 化する (S2波) 月、地球、太陽の相対的な位置関係の変化に よって様々な周期の波が発生する (O1波, K1波, Sa波...) 複数の正弦波の合成(フーリエ級数)で潮汐力の 周期性を表現できる
15. 潮位の周期変動の実例 いかにもなフーリエ級数のグラフ！ 🌤️ が公表している潮位データを利用 気象庁
16. まとめ (さめパート) ケプラーの法則に起因する天体の運動が、地 球上の自然現象に影響を与える 🌕月の引力と 🌏地球の公転による遠心力の 差が潮汐力 (の主要因) 天体の楕円軌道が地球上の潮汐現象に影響 を与えている 天体スケールの運動が地球上の身近な自然現象に 影響を与えている！ 🌌宇宙と 🌏地球の物理が様々な形で繋がっている 今日はその一例として潮汐力を紹介しました！
17. 参考文献 アニメーションによる解説がとてもわかり やすいです！ 本発表の潮汐力の説明に大いに参考にしま した より詳しく知りたい人はぜひ読んでみてく ださい！ Paul Webb, Introduction to Oceanography, Roger Williams University Open Publishing