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MIERUNE JCT 発表資料「宇宙から伊能忠敬ごっこ」
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じゃらしまる
June 10, 2026
Technology
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MIERUNE JCT 発表資料「宇宙から伊能忠敬ごっこ」
MIERUNE JCT での 安井秀輔の登壇資料です。
https://mierune.connpass.com/event/393897/
じゃらしまる
June 10, 2026
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Transcript
伊能忠敬から始める 合成開口レーダー入門 宇宙から、地上のミリを測る 宇宙から伊能忠敬ごっこ 安井 秀輔
自己紹介 「専門家のもの」と思われがちな衛星データを、もっと身近に届けたい 2 名前:安井秀輔 (衛星データ解析エンジニア / Space Shift Inc.) 個人活動:
Xアカウント:じゃらしまる (@emmyeil) 01 衛星画像解析 02 OSS・Osgeo活動 03 記事・技術書の執筆 04 顧問活動
足で日本地図を描いた男 伊能忠敬は「歩いて」日本全図を完成させた 立ち止まっていては地図は描けない。「動いて測る」発想が地図を生んだ 3 17年・約4万km 55歳から測量を学び、全国を歩いて測量 歩いた距離は地球一周分にあたるとも言われ、 17年をかけて日本全図『大日本沿海輿地全図』を 完成させた。 使った道具は、歩幅・方位磁針・星の
観測といった素朴なもの。 出典:Wikipedia
伊能の測量は身近な道具だった 歩幅・星・遠くの山。原理はとてもシンプル 原理は意外とシンプル。だからこそ「測量とは何か」が直感で分かる 4 01 歩測(一定の歩幅) 訓練で歩幅を一定に保ち、歩数×歩幅で 距離を測る。等間隔の積み重ねが基本 02 天体観測
北極星などの高度(角度)を測り、その 土地の緯度=絶対位置を確定させる 03 交会法(遠くの山) 遠くの山を複数地点から見る角度で、行か ずに位置関係を割り出す
伊能のすごいところ Q. 伊能忠敬の何がすごかったのか? 原理はシンプルでも、広くなればなるほど難しい 4 簡単そうで簡単ではない
伊能のすごいところ Q. 伊能忠敬の何がすごかったのか? 原理はシンプルでも、広くなればなるほど難しい 4 A. 広域の測量を安定して行ったこと 簡単そうで簡単ではない
SAR衛星のご紹介 近年の新しい測量方法の登場 宇宙からでも測量が可能に? 5 伊能忠敬(江戸時代) 17年 歩いて全国を測量。 足で測った距離は地球一周分とも 人工衛星の登場 SAR衛星は、自ら電波を発射し、
地表からの反射を捉えて観測する。 雲や夜間にも左右されず、 地表の数ミリの変化まで測れる ALOS-4 © JAXA 宇宙から測る方法
「足で測る」から「宇宙から測る」へ 17年かけて歩いた距離を、衛星は約14日で一周 やっていることの本質は同じ。舞台が「地上」から「宇宙」へ移っただけ 5 伊能忠敬(江戸時代) 17年 歩いて全国を測量。 足で測った距離は地球一周分とも 人工衛星(現代) 約14日
同じ地球を一周。電波を使い、 地上の数ミリの変化まで測る
伊能忠敬とSARは“そっくり” 動くことが解像度を生む測量思想は同じ 「動くことが解像度を生む」という測量思想が、200年を越えて共通する(無理筋) 6 伊能忠敬 合成開口レーダー 移動が前提 歩いて全国を測量 一点では地図は描けない 軌道を飛びながら観測
動くことで初めて成立する 積み上げ 導線法で点から点へ 区間の距離と方位を連ねる 移動する方向の点を組み合わせる 移動中の信号を合成する 遠方の基準 交会法で遠くの山を視準 複数地点からの角度で測る 基線差で立体・標高を取得 別位置からの観測を活用 絶対位置 天体観測で緯度を確定 外部の基準で誤差を補正 精密軌道・GCPで確定 外部の基準で誤差を補正
「合成開口」の正体 動きながら観測を“合成”して巨大アンテナを作る 名前の“合成”が、伊能忠敬の「歩いて測量を合成する」手法そのものを表している 7 小さなアンテナを動かしながら多数の観測を重ね、 巨大な仮想アンテナ(開口)を“合成”して高分解能を得る 伊能の場合 歩いて各地点の測量を重ね、 つなぎ合わせて全国の地図を“合成”した SAR(合成開口レーダー)の場合
軌道上を移動しながら観測を重ね、 信号処理で高解像度画像を“合成”する
絵にする価値 それぞれの点を上手に繋ぎ、絵にすることで意味を持つ 7 伊能の場合 各地の測量値では意味をなさない SARの場合 1つ1つの観測では意味をなさない 出典:Wikipedia
衛星画像は、まず美しい データである前に、見て楽しい データとして使う前に、まず一枚の絵として見て楽しんでほしい 10 © contains modified Copernicus Sentinel data
(2025), processed by ESA 光学画像(自然な色合い) SAR強度画像(質感・構造) 干渉画像(レインボーの縞) © Capella Space Corp, All Rights Reserved. © JAXA, METI
本題:位相という“波のズレ”を測る SARは波の山と谷のズレをミリ単位で測る 測る対象が「距離」から「位相」へ。伊能忠敬の天体観測の発想がそのまま宇宙へ 11 電波は「波」 SARが受け取る電波には、距離に応じた波の位相 (山と谷の位置)が刻まれている。 ズレ=距離の変化 2時期の波のズレ(位相差)を測れば、地表が近 づいた/離れた量をミリ単位で読み取れる。
干渉縞(フリンジ)ができるまで 2時期の位相差がレインボーの縞になる 差をとるだけで、地表の動きが色とりどりの縞模様として浮かび上がる 12 STEP 1 観測① ある時期に対象地を観測し、 波の位相を記録する STEP
2 観測② 数日〜数年後、同じ場所を同じ 条件で再び観測する STEP 3 位相差分 2時期の位相を引き算し、 変化した分だけを取り出す STEP 4 干渉縞 差がレインボーの縞に。 1縞が一定量の地表変化を表す
宇宙からの測量 2時期の差から地球を広域で測れる 広域で図示できるだけでなく、測量することができる 12 出典:国土地理院 熊本地震 ALOS-2 干渉縞 ほれほれ〜
位相差で見える地表の変化 地震・火山・地盤・インフラをミリで捉える 宇宙からの“定点観測”で、人が立ち入れない場所の異変も早期に捉えられる 13 01 地震・地殻変動 地震で地面がどれだけ・どの 向きに動いたかを面的に把 握 02
地盤沈下 都市や干拓地などの、じわじ わ進む沈下を継続監視 03 インフラ監視 ダム・橋・鉄道などの微小な 変位を遠隔でチェック 04 火山・地すべり 火山の膨張や斜面の動きを 、危険地でも安全に観測
QGISで、手軽に始められる時代へ 無償の衛星データを誰でも取得・表示できる 無償データ+無償ソフト+プラグイン。誰でも今日から衛星データに触れられる 14 01 無償の衛星データ Sentinel, Landsat, ALOS など、
世界が観測したデータが 無料で公開される時代 02 無償GISのQGISは、プラグインでデータ取得 から表示までカスタムし放題 03 無料の記事 宙畑やZenn, Qiita でも あまり技術が廃れないので 衛星データに関する無料記事がいっぱい 無償のツール
まとめ 足で測った地図から、宇宙から測る地図へ ご清聴ありがとうございました 15 測るは次の時代へ 宇宙からの測量が可能な時代へ GNSSの点のみの位置の時代からラスターデータに 精密な宇宙からのデータ SAR衛星による2時期の差分から、地震・地盤沈下・インフラの数ミリの変化まで読み取れる。 天候にも左右されない。広域で危険なエリアも
誰でも触れる 無償の衛星データとQGISがあれば、専門家でなくても今日から。 まずは綺麗な衛星画像を見て楽しむところから
イベント紹介・おわりに 16 Space Shift 主催 (エンジニアが登壇) https://www.spcsft.com/news/4785/ 登録はこちら!!
記事ツール紹介・おわりに 16 あざやか QGISプラグイン(無料) OSGeo 活動 虹色のSAR画像が簡単にQGIS上で 制作できちゃうツール https://github.com/syu-tan/azayaka Zenn
記事 個人記事(無料) GIS・リモートセンシング・衛星 コンピュータービジョンと幅広く執筆 https://zenn.dev/syu_tan Note 記事 個人記事(無料) お知らせごとや活動について https://note.com/emmyeil 宙畑記事 オウンドメディア(無料) 衛星データ処理や理論について https://sorabatake.jp/
書籍紹介・おわりに 16 『SAR衛星データ解析入門』 講談社 KS情報科学専門書(2026年2月) SARの基礎から解析の実践までを、 初学者向けにまとめた一冊 https://note.com/emmyeil/n/n2eba0e7df4f3 QGIS×衛星データ 入門書
講談社 KS情報科学専門書 (今年予定) QGISで衛星データを手軽に扱う方法を、 手を動かしながら学べる 重版決定!!