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SIRモデルにおける新型コロナウイルス感染予測
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tadahikos
March 08, 2020
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SIRモデルにおける新型コロナウイルス感染予測
tadahikos
March 08, 2020
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Transcript
SIRモデルにおける新型コロナウイルス感染予測 第一生命情報システム株式会社 柴田 忠彦 1
本プロジェクトの目的 1. 背景 2019年12月に中国武漢で発生した新型コロナウイルス(COVID-19)の日本 における感染者数が増えている。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染予 測には、SIRモデルと呼ばれる疫学感染の数理シミュレーションモデルが用いられ ている。このモデルによる国内感染状況は政府専門家会議等を通じて情報が定 期的に発信されてはいるが、計算プロセスや意味は詳細に説明されておらず、接 触8割減が必要な理由等、一般人に理解しやすい状況とは言えない。また、新 型コロナウイルスは世界全国で感染が拡大されているが、各国の感染予測を比
較した情報も政府や厚生労働省を通じて正式に発表されておらず、感染が終息 し始めている国の対策に対し、日本国の対策で効果が出ているのかわかりづらい 状況でもある。 2. 目的 インフルエンザ, AIDS, SARS,今回のCOVID-19、これら感染病がどのように 人間集団の中で拡大していくかそのプロレスを理解することは、予防接種の設定、 感染者の隔離などの保健政策の効果を確認するためにも重要である。そこで、 SIRモデルを使った世界各国感染予測モデルを作成し、一般人も簡単にその予 測が行える仕組みを構築し、現在の日本国における感染状況を把握する。 2
エグゼクティブサマリー 1. 目的 SIRモデルを使った世界各国感染予測モデルを作成し、一般人も簡単にその予 測が行えるよう仕組みを構築し、現在の日本国における感染状況を把握する。 2. 分析結果 ・アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学の世界感染状況データを使用 ・上記データは国別の感染者、回復者、死亡者の情報であり毎日更新 ・感染予測には疫学数理シミュレーションモデルであるSIRモデルを使用
3
SIRモデルとは SIRモデルは、伝染病の流行プロセスを説明する基本モデル。モデルの名称は、モ デルの変数名のSusceptible, Infectious, Recoveredの頭文字に起因す る。1927年 W.O. KermackとA.G. McKendrickの論文で初めて紹介され た。
SIRモデルでは、全体人口を次の集団に分類し、時間に関する各集団の人口増 減を微分方程式で表す。 - S(Susceptible) : 伝染病に対する免疫がない。 - I Infectious):感染により発病し、感染可能者(S)への伝染可能な者。 - R (Removed) : 発病から回復し、免疫を獲得したもの。あるいは発病から 回復できず死亡した者。 4
SIRモデルとは SIRモデルの各人口は以下の微分方程式で表される 5
SIRモデルとは (モデルを使った計算例) 人口1,000名の集団に対し、初期に感染者が1名がいたと仮定。 感染率を0.2/1000に、除去率を0.1と設定。 6 1,000名の集団に1名の感 染者が発生した場合、最終 的に800名程度が感染。 感染のピークは約70日辺りで 発生し、その後は感染が収束。
感染病に関するパラメータを 利用し、感染病が人口集団 に及ぼす影響を評価すること が可能。
使用したデータセット ・ジョンズ・ホプキンズ大学が提供 ・COVID-19について、最も引用されているオープンデータセットの1つ ・世界中の疫学者、ジャーナリスト、統計学者が、このデータセットをCOVID-19 の感染拡大に関する正規データソースの1つとして使用 ・感染者、回復者、死亡者の3つのデータセット(国別情報) ・毎日更新 ジョンズ・ホプキンズ大学提供のデータ構造 7
分析のためのデータ前処理 ・ジョンズ・ホプキンズ大学の感染者、回復者、死亡者の3つのデータを結合 ・上記データには人口情報がないため以下のHPより各国人口情報を参考とし付加 Wikipedia | List of countries and dependencies
by population ・国数が多いため、一部の国に限定して分析(日本、アメリカ等の9か国) 前処理実施後の分析に使用したデータ構造 8
感染者の推移 ・感染者の推移をグラフ化(4/25時点) ・オーストラリア、ドイツ、フランス、イタリアはピークアウト。以外は上昇局面。 9
パラメータ(感染率β、除外率γ)の推定 ・パラメータの推定のため、SIRモデルの微分方程式を活用する 10
パラメータ(感染率β、除外率γ)の推定 ・前頁より、x,y,zのデータが得られるのであれば ・(4)を用いてρ=γ/βを推定 ・(5)を用いてγを推定 ・βはβ=γ/ρで推定 ⇒よって、いづれのパラメータも回帰分析で推定可能 11
パラメータ(感染率β、除外率γ)の推定 ・国別にパラメータβ、γを推定(βとγには相関はないと仮定) ・直近90日分のデータを使用し、線形回帰の最小二乗法で推定 ・パラメータ推定結果をプロット。日本は(まだ現時点では)β、γ共に低い 12
将来予測 推定されたパラメータとSIRモデルを用いて、各国の感染者数(人口比) の推移を予測。推定誤差の影響を考慮して、下記の5つのシナリオを想定 ①「ベースライン」:推定値そのまま ②「β高、γ高」:betaは95%信頼区間の上限値、gammaは上限値 ③ 「β高、γ低」: betaは95%信頼区間の上限値、gammaは下限値 ④ 「β低、γ高」:
betaは95%信頼区間の下限値、gammaは上限値 ⑤ 「β低、γ低」: betaは95%信頼区間の下限値、gammaは下限値 13
将来予測 これらのパラメータを用いて、現時点の最新のy,zを初期値と与えたときの、 300日後までの推移をシミュレーションにより算出 14
分析結果 ・オーストラリア、ドイツ、フランスは感染者ピークアウトにより、効果の高い 感染対策を講じれば(感染率βの低下)終息する予測値が得られる ・イタリア、日本、イギリス、アメリカは同様の予測傾向であり、アメリカは7月 頃、他は10月頃に感染者のピークを迎える ・β(感染率)が低いと感染者が増えるスピードが遅くなるため、集団免疫 を獲得するまでに時間がかかる。そのため、例えば日本とアメリカでβ( 感染率)に差があるため、ピークアウトする時期が異なっている。 ・γ(除外率)が高ければ感染者は減っていくが、日本においては治療薬 があるわけでもないため他国と比べて高い値にはなっていない。
・データは検査により確認された感染者数をそのまま用いているため、各国 で検査に関わる方針に差がある場合、それがβの推定値に影響してる 可能性がある。よって、真の感染者数がより多い場合は、その分ピークを 迎える時期が早まる可能性はある。 15
提言 分析結果を踏まえ、以下を提言する。 (政府専門家会議等の説明であまり現在の状況を理解できてない一般国民に向けて) ①日本は今後、アメリカやイタリアのように感染者の爆発的増加の可能性が 考えられる。政府が提言している接触8割減の要請は感染率βの低下 によるピーク時を遅らせる目的があり、現在逼迫している医療崩壊を防ぐ ためである。β下限、γ上限であればピークを遅らせることができそうであることは シミュレーション結果にも出ているため、新薬開発等までの間は自粛に応じる べきである。 ②外出自粛等の効果により、今後、感染率βが低下し感染者が減少に転
じたとしても、ピーク時が遅れるだけで感染の流行は数か月は続く可能 性が高い。よって、急激なコロナ終息を前提にするのではなく、暫くはこ のウイルスと共存する前提で各人(会社経営者、従業員、医療従事 者等)どうすべきかを今から考え始める必要がある。With コロナの精神! 16
提言 参考までに、政府専門家会議より提示されている対策図を添付する。 ↓政府専門家会議、感染対策の状況分析・提言(2020/5/1版より) 17
分析プロジェクトを通じての今後の展望 ・SIRモデルには、それを応用した別のモデルも存在する。例えば潜伏期間 を考慮したSEIRモデル、さらに隔離効果を考慮したGSEIR等。今回の プロジェクトでは最も基本的で説明しやすいSIRモデルを使用したが、これ ら応用モデルを使用すればより精緻で細かい分析も可能かもしれない。 (その分、モデルの中身は複雑になるので解釈しにくいという面もあるが) ・SIRモデルは、疫学感染に端を発したモデルであるが、このモデルは情報の 流行状況等を予測することにも応用されている。例えば、Twitterである ツイートがリツート等を通じて爆発的に広がる様子(よくバズると言われる )を感染症のパンデミックにあてはめ、SIRモデルを使って情報の拡散を
予測するという応用例があり、汎用性や発展性は非常に高い。 18
参考(R言語分析時プログラムソース) 19
参考(R言語分析時プログラムソース) 20
参考(R言語分析時プログラムソース) 21
参考(R言語分析時プログラムソース) 22
参考(R言語分析時プログラムソース) 23
参考(R言語分析時プログラムソース) 24
参考(R言語分析時プログラムソース) 25