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RFC駆動のPHP学習術.pdf
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Takayuki Fujisawa
September 25, 2020
Programming
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RFC駆動のPHP学習術.pdf
Takayuki Fujisawa
September 25, 2020
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Transcript
#phpltjam ©2020 RAKUS Co., Ltd. RFC駆動のPHP学習術 Takayuki Fujisawa
#phpltjam Takayuki Fujisawa 所属:株式会社ラクス Twitter: @miracle_fjsw 表のおしごと:品質管理やセキュリティ・技術仕様の標準化 裏のおしごと:社内のエンジニアカルチャー醸成(勉強会イベントの主催)
#phpltjam みなさん PHPの学習って どうやっていますか?
#phpltjam - 書籍(はじめてのPHP、パーフェクトPHP、実践 〇〇、オライリー本…) - 技術系のWeb記事
#phpltjam こういうことありますよね? • 知識が陳腐化・古くなる • 学習した内容が自分自身に定着しない・曖昧な理解
#phpltjam そんなみなさんに紹介したい学習法が
#phpltjam 「RFC駆動学習」
#phpltjam RFCとは • 「Request For Comments」 • https://wiki.php.net/rfc • PHPの次期バージョンに取り込まれる新機能や改善の提案
• PHPコア開発者のコミュニティの中でメーリングリストなどで 議論・投票が行われ、採択される
#phpltjam 例えばこんなやつ https://wiki.php.net/rfc/match_expression_v2 PHP8:match式の提案
#phpltjam RFC駆動学習とは
#phpltjam RFC駆動学習とは • RFCに記載されている提案内容を理解し、
#phpltjam RFC駆動学習とは • RFCに記載されている提案内容を理解し、 記載されている課題感・背景などから
#phpltjam RFC駆動学習とは • RFCに記載されている提案内容を理解し、 記載されている課題感・背景などから 言語仕様・PHP界隈の動向への理解を深める、 というオレオレ手法
#phpltjam RFCの基本構成 • 提案内容 • 現状のPHPが抱える課題 • 提案の実装例
#phpltjam RFCの基本構成 • 提案内容 • 現状のPHPが抱える課題 • 提案の実装例 • ただ読むだけだと
「こんな新機能が増えるのか、なるほど」で終了しちゃう
#phpltjam RFCの基本構成 • 提案内容 • 現状のPHPが抱える課題 • 提案の実装例 • ただ読むだけだと
「こんな新機能が増えるのか、なるほど」で終了 RFC駆動学習は、 提案の背景・課題・周辺事項を じっくり理解し、 気付き・発見・学びを獲得 することが目的
#phpltjam なぜ RFC?
#phpltjam なぜ RFC? • 採用されるRFCは、コミュニティの中で同意を得られたもの
#phpltjam なぜ RFC? • 採用されるRFCは、コミュニティの中で同意を得られたもの • = 多くの人が課題を感じているもの、ニーズがあるもの
#phpltjam なぜ RFC? • 採用されるRFCは、コミュニティの中で同意を得られたもの • = 多くの人が課題を感じているもの、ニーズがあるもの • = 活用される可能性が高い知識領域
#phpltjam なぜ RFC? • 採用されるRFCは、コミュニティの中で同意を得られたもの • = 多くの人が課題を感じているもの、ニーズがあるもの • = 活用される可能性が高い知識領域 •
= 優先して学ぶべき・理解しておくべき領域
#phpltjam なぜ RFC? • 採用されるRFCは、コミュニティの中で同意を得られたもの • = 多くの人が課題を感じているもの、ニーズがあるもの • = 活用される可能性が高い知識領域 •
= 優先して学ぶべき・理解しておくべき領域 • ∴ あてもなく学習するよりも、 生きた知識になる確率が高く、効率が良い
#phpltjam なぜ RFC? • 提案内容が一つのTopicsとして、過去と未来がまとまっている
#phpltjam なぜ RFC? • 提案内容が一つのTopicsとして、過去と未来がまとまっている • 現状把握(過去)しつつ、知識のアップデート(未来)ができる
#phpltjam そんなRFC駆動学習について 自身の実例を ダイジェストで紹介します
#phpltjam 例1:match式
#phpltjam 例1:match式 • swtich文によく似た新しい別の記法 ◦ https://wiki.php.net/rfc/match_expression_v2 • ズバリ過去と未来が書かれているボーナスRFC
#phpltjam 例1:match式
#phpltjam 例1:match式 switch文は緩い比較を行います。 これは非常に驚くべき結果をもたらす 可能性があります。
#phpltjam そうだったのか!
#phpltjam 例1:match式(再掲) • swtich文によく似た新しい別の記法 ◦ https://wiki.php.net/rfc/match_expression_v2 • ズバリ過去と未来が書かれているボーナスRFC
#phpltjam 例1:match式(再掲) • swtich文によく似た新しい別の記法 ◦ https://wiki.php.net/rfc/match_expression_v2 • ズバリ過去と未来が書かれているボーナスRFC • switch文の条件判定は「緩い比較」が行われているという課題を、理解
していなかった
#phpltjam 例1:match式(再掲) • swtich文によく似た新しい別の記法 ◦ https://wiki.php.net/rfc/match_expression_v2 • ズバリ過去と未来が書かれているボーナスRFC • switch文の条件判定は「緩い比較」が行われているという課題を、理解
していなかった • 不十分な理解に対する「そうだったのか!」という「発見」
#phpltjam 例1:match式(再掲) • swtich文によく似た新しい別の記法 ◦ https://wiki.php.net/rfc/match_expression_v2 • ズバリ過去と未来が書かれているボーナスRFC • switch文の条件判定は「緩い比較」が行われているという課題を、理解
していなかった • 不十分な理解に対する「そうだったのか!」という「発見」 ◦ 自分自身の抜け漏れを認識 ◦ 「発見」の感覚が鮮明に記憶に残る
#phpltjam 例2:JIT
#phpltjam 例2:JIT • Just-In-Time Compiler ◦ ネイティブコードにコンパイルした結果をキャッシュすることで処理 を高速化できる新機能 ◦ https://wiki.php.net/rfc/jit
• 能動的な学習を促す良RFC
#phpltjam 例2:JIT • Just-In-Time Compiler ◦ ネイティブコードにコンパイルした結果をキャッシュすることで処理 を高速化できる新機能 ◦ https://wiki.php.net/rfc/jit
• 能動的な学習を促す良RFC • 高速化できることは書かれているが、なぜ・何が高速化されるのかは明 記されていない
#phpltjam 疑問は調べるチャンス
#phpltjam 例2:JIT(調べた結果) • 通常の処理 ◦ ソースコード → OPcode(中間言語)に変換 → ZendVMがネイティブコードに変換(解釈)して実行
#phpltjam 例2:JIT(調べた結果) • 通常の処理 ◦ ソースコード → OPcode(中間言語)に変換 → ZendVMがネイティブコードに変換(解釈)して実行
• JIT ◦ ソースコード → OPCodeに変換 → ネイティブコードに変換してキャッシュ ◦ 次にリクエストが来た時、キャッシュされたネイティブコードを実行
#phpltjam 例2:JIT(調べた結果) • 通常の処理 ◦ ソースコード → OPcode(中間言語)に変換 → ZendVMがネイティブコードに変換(解釈)して実行
• JIT ◦ ソースコード → OPCodeに変換 → ネイティブコードに変換してキャッシュ ◦ 次にリクエストが来た時、キャッシュされたネイティブコードを実行 ▪ OPcodeを解釈する時間が短縮されるため速い
#phpltjam 例2:JIT(調べた結果) • JITで速くなる理由を理解する過程で再整理された他の知識
#phpltjam 例2:JIT(調べた結果) • JITで速くなる理由を理解する過程で再整理された他の知識 ◦ PHPのソースコードが実行されるまでのコンパイルの流れ
#phpltjam 例2:JIT(調べた結果) • JITで速くなる理由を理解する過程で再整理された他の知識 ◦ PHPのソースコードが実行されるまでのコンパイルの流れ ◦ OPcache … OPCodeをキャッシュして使いまわす仕組み。
JITはOPcacheの拡張版
#phpltjam 例2:JIT(調べた結果) • JITで速くなる理由を理解する過程で再整理された他の知識 ◦ PHPのソースコードが実行されるまでのコンパイルの流れ ◦ OPcache … OPCodeをキャッシュして使いまわす仕組み。
JITはOPcacheの拡張版 ◦ Preload … PHP7.4で入ったOPCacheを起動時に作る仕組み
#phpltjam 例2:JIT(調べた結果) • JITで速くなる理由を理解する過程で再整理された他の知識 ◦ PHPのソースコードが実行されるまでのコンパイルの流れ ◦ OPcache … OPCodeをキャッシュして使いまわす仕組み。
JITはOPcacheの拡張版 ◦ Preload … PHP7.4で入ったOPCacheを起動時に作る仕組み ◦ JIT使ってもWebアプリケーションは劇的に速くはならないという事 実 ▪ I/Oのボトルネックの方が大きい
#phpltjam 例2:JIT(再掲) • Just-In-Time Compiler ◦ ネイティブコードにコンパイルした結果をキャッシュすることで処理 を高速化できる新機能 ◦ https://wiki.php.net/rfc/jit
• 能動的な学習を促す良RFC • 高速化できることは書かれているが、なぜ・何が高速化されるのかは明 記されていない
#phpltjam 例2:JIT(再掲) • Just-In-Time Compiler ◦ ネイティブコードにコンパイルした結果をキャッシュすることで処理 を高速化できる新機能 ◦ https://wiki.php.net/rfc/jit
• 能動的な学習を促す良RFC • 高速化できることは書かれているが、なぜ・何が高速化されるのかは明 記されていない • 理解する行為を通したPHP高速化周辺の一連の知識の「学び」
#phpltjam 例3:Attributes
#phpltjam 例3:Attributes • これまでPHPDocに記述していた @before などのアノテーションを、 正式にPHPの言語仕様として記述できるようにするもの ◦ https://wiki.php.net/rfc/attributes_v2 •
自身の幅を広げてくれるナイスなRFC /** * @before ←これが */ public function setupSomeFixtures(){ } ↓ #[before] ←こうなる public function setupSomeFixtures(){ }
#phpltjam 例3:Attributes • RFCに記載されている課題 doc-commentsはただの文字列でしかない。 (ライブラリ開発者がアノテーションを実装するには) 追加で文 字列を解析する処理を書かなければならない。
#phpltjam PHPUnitのコードを見てみた
#phpltjam 例3:Attributes • RFCに記載されている課題 https://github.com/sebastianbergmann/phpunit/blob/master/src/Util/Annotation/DocBlock.php
#phpltjam 例3:Attributes • RFCに記載されている課題 _人人人人人人人人人_ > 正 規 表 現 <  ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ https://github.com/sebastianbergmann/phpunit/blob/master/src/Util/Annotation/DocBlock.php
#phpltjam 例3:Attributes • おー…確かにゴリゴリ文字列解析してるなぁ…
#phpltjam 例3:Attributes • おー…確かにゴリゴリ文字列解析してるなぁ… • と同時に「意外と泥臭い仕組みで実現してるんだな」という親近感
#phpltjam 例3:Attributes • おー…確かにゴリゴリ文字列解析してるなぁ… • と同時に「意外と泥臭い仕組みで実現してるんだな」という親近感 • からの「あれ、これオレでも実装できるんじゃね?」という希望
#phpltjam 例3:Attributes • おー…確かにゴリゴリ文字列解析してるなぁ… • と同時に「意外と泥臭い仕組みで実現してるんだな」という親近感 • からの「あれ、これオレでも実装できるんじゃね?」という希望 • アノテーションを使って振る舞いを変えるというのは、一部のライブラリ開発者
だけが扱える特殊技能、という先入観がなくなり、自分が開発する際のパター ンの一つに加わった。
#phpltjam 例3:Attributes(再掲) • これまでPHPDocに記述していた @before などのアノテーションを、 正式にPHPの言語仕様として記述できるようにするもの ◦ https://wiki.php.net/rfc/attributes_v2 •
自身の幅を広げてくれるナイスなRFC
#phpltjam 例3:Attributes(再掲) • これまでPHPDocに記述していた @before などのアノテーションを、 正式にPHPの言語仕様として記述できるようにするもの ◦ https://wiki.php.net/rfc/attributes_v2 •
自身の幅を広げてくれるナイスなRFC • 学習の過程で、自分自身の引き出しが増えるという「気付き」
#phpltjam 以上、3つの事例で 「発見」「学び」「気付き」 を紹介
#phpltjam 以上、3つの事例で 「発見」「学び」「気付き」 を紹介 人によって学び・気付きの ポイントは異なると思います
#phpltjam RFC駆動学習により • 知識のアップデートが行われる • その過程で、自分自身の知識の抜け漏れが補完される • RFCはPHPerにとって共通課題であることが多く、学び効率が良い • 副次的な効果として、早期にPHPの変更点をキャッチアップできるので、PHP
バージョンアップする際、慌てないで済む
#phpltjam RFC駆動学習により • 知識のアップデートが行われる • その過程で、自分自身の知識の抜け漏れが補完される • RFCはPHPerにとって共通課題であることが多く、学び効率が良い • 副次的な効果として、早期にPHPの変更点をキャッチアップできるので、PHP
バージョンアップする際、慌てないで済む • 新機能なのでやってて楽しい、継続できる ◦ べんり!使ってみたい!というポジティブな感情が大事 ◦ 継続できれば学習のトリガは何でも良く、その一つがRFC駆動
#phpltjam どうやって始めたらいいでしょう? • PHP RFC Bot(@PHPRFCBot)をフォローする • いいねがそこそこついてるものを重点的にチェック(感覚で30くらい) • Google翻訳を駆使して読んだり、Qiita等の先人の記事を読んだり…
• RFCの読み方については、へーしゃの別のエンジニアが語った 資料があるので下記参照 ◦ RFCの歩き方:https://speakerdeck.com/ykanoh/how-to-read-php-rfc
#phpltjam RFCは学びの宝庫
#phpltjam RFC駆動学習を通じて 自身の抜け漏れを補完しつつ 知識のアップデートをしてみては?
#phpltjam ところで
#phpltjam 一人でやるのは大変ですよね!(断言)
#phpltjam 毎月勉強会をやっておりますのでLet’s JOIN! https://rakus.connpass.com/event/189017/
#phpltjam 毎月勉強会をやっておりますのでLet’s JOIN! https://rakus.connpass.com/event/189017/ おわり!