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技術ブログをオウンドメディアとして機能させるために

 技術ブログをオウンドメディアとして機能させるために

技術的な取り組みや成果、知見等を発信するために技術ブログを立ち上げている、あるいは立ち上げようとしている会社や団体は多いかと思います。
最初は「知見のアウトプット場所」だけのつもりで始めた(る)のかも知れませんが、せっかくやるからには会社やサービスの「事業」目的と紐付けたオウンドメディアとして運用しませんか?
そのためのヒントやアイデアの一端を紹介していますので、よかったらご覧ください。

この資料は「DevRel Meetup」と「オウンドメディア勉強会」のコラボイベントである「DevRel/Collaboration #1 w/ オウンドメディア勉強会」でLT登壇した際に紹介した内容と同じものです。
https://devrel.connpass.com/event/224409/

taro-is(Taro Isowa)

October 08, 2021
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Transcript

  1. オウンドメディア勉強会 自己紹介 • 磯和 太郎(id:taro-is) • サービス・システム開発本部 第2グループ プロデューサー • はてなブログMedia(企業オウンドメディア向けCMS)

    /メディア編集チーム担当 •大学卒業後、SIerやITベンチャー、フリーランスなどでの開発・Webディレクション を経て、2012年インフォバーン入社。企業のオウンドメディア構築やコンテンツマー ケティングを推進。 •2017年はてな入社後は「はてなブックマーク」「はてなブログ」のプロデューサーを 担当。 •現在は企業向けオウンドメディアCMS「はてなブログMedia」およびはてなのブロ ガーリソースなどを活用したコンテンツ制作支援を含むコンテンツマーケティング サービスの開発・運用を統括。 2
  2. オウンドメディア勉強会 自己紹介おまけネタ • 新人エンジニア時代 ◦ 入社2年目、インターネットに公開する Webサーバーを立ち上げた時の回線は OCN エコノミー128Kbps ◦

    フロントエンドエンジニアとして担当した時代のブラウザは Netscape4で、グラフを表 示するのに使っていたのはJava1.1で動くJava Appletで、サーバーとは CORBA/IIOPで通信 ◦ Linux上で動くRDB(DB2)同士のレプリケーションを検証した際のディストリビュー ションはTurbo Linux3 • 割と最近の話題 ◦ 2016年頃AWS Lamdaが面白いと思って今でいうヘッドレス CMS的な仕組み(APIで 取得した情報+JSON化したコンテンツをS3に静的HTMLとして投入)を企画し、実 際に某放送局で運用 ◦ 自分の360°写真を取り込んでGPUを積んだIaaSサーバーに3Dオブジェクトをレン ダリングさせ、mikumiku danceで踊らせる仕組みを実現 3
  3. オウンドメディア勉強会 オウンドメディアに含まれるもの 6 狭義 広義 企業や団体が運 営する記事型の Webメディア コーポレートサイ トやサービスサイ

    ト 法人 ブログ フリーペーパー や企業の機関 誌 メルマガ 特定テーマによ る企業イベント 技術 ブログ 特定目的の サテライト店 舗 はてして技術ブログはオウンドメディアなのか オンライン オフライン 企業の公式 ソーシャル アカウント
  4. オウンドメディア勉強会 技術ブログとは • はてなでのプラン上の定義 ◦ 法人が、自社の技術的な取り組みや成果、知見等を発信するブログ ◦ プログラミング・ソフトウェア開発に関する法人技術ブログ ◦ 主たる記事内容が、ソフトウェア開発に関することや技術的な取り組みなど、

    情報の発信により技術の発展や技術者の支援につながるものであること • 一般的には ◦ (技術知識の定着やブランディングなどを目的として)個人or組織に所属する エンジニアが技術情報を発信する形で運用されるブログ 7
  5. オウンドメディア勉強会 組織のメンバーとして技術について書く意味 11 自分が「書ける」こと • スキル • 経験 • ノウハウ

    会社が「伝えたい」こと • ビジョン・思想 • サービス内容 • 自社の環境 読者が「読みたい」 「知りたい」こと • 経験則 • ノウハウ • トレンド ここが広いと 嬉しい 期待される成果(Outcome) • 仕事の引き合い • 共創的コラボレーション • サービス認知・利用 • 採用(学生) • 採用(中途) ここだけで考えない
  6. オウンドメディア勉強会 参考:コンテンツマーケティングのゴール設定例 12 2021年度
 2020年度
 1. ブランド認知度の向上 
 81%
 84%


    2.信頼関係の構築
 76%
 65%
 3.読者/ユーザーへの啓発 
 71%
 75%
 4.既存顧客のロイヤリティ向上 
 70%
 55%
 5.購読者を増やす
 55%
 38%
  ❶ 企業が達成した目標TOP5(詳細は後述)
 「第11回 BtoCコンテンツマーケティングに関する調査結果 by CMI」より • 「ブランド認知」「信頼」
 「ロイヤルティ」といった言葉が重 視されている状況
 • 「売上」への直接貢献はコンテンツ マーケティングやオウンドメディア では求められないことが多い

  7. オウンドメディア勉強会 コンテンツマーケティングとは 「コンテンツマーケティングは、明確に定義されたオーディエンスを引き付けて維持し、最終的には(企業に とって)有益な顧客行動を促進するために、(読み手にとって)価値があり、関連性があり、一貫性のあるコ ンテンツを作成および配布することに焦点を当てた戦略的マーケティングアプローチです。」 13 “Content marketing is a

    strategic marketing approach focused on creating and distributing valuable, relevant, and consistent content to attract and retain a clearly defined audience — and, ultimately, to drive profitable customer action.”
 What Is Content Marketing? /Content Marketing Institute
 コンテンツマーケティングの考え方を取り入れて技術ブログをうまく運営していくことで、 採用や案件獲得などにつなげていける、と言えるが、 そのためには読み手にとって価値のある内容を提供しないとダメ、とも言える
  8. オウンドメディア勉強会 コンテンツマーケティングの先輩アドバイス(1) (企業が発信する)コンテンツの作り方で気をつけたいこと: 1)それ自体で楽しんでもらえること、 2)それを他の人に勧めてもらえること、 そしてその上で、 3)企業のブランディングやマーケティングに貢献すること 14 コンテンツマーケティングやブランデッドコンテンツの作り方で気をつけたいこと(読了に必要な時間 1分>でも考えたくなる時間は無限)/高広伯彦のmediologic:

    note支店 https://note.com/mediologic/n/n06240377c29e 技術に関する記事では必ずしも「 FUN」であ る必要はなく「INTEREST」であればよい 自分の所属する会社やサービスの進む未来 や信頼性、思想などをアピールできる内容か どうかを意識できれば無理に「ブランディン グ」「マーケティング」といった単語を意識する 必要はない
  9. オウンドメディア勉強会 実際に技術分野で「書く」際の注意点 • 読者の「読後感」としてどう思って欲しい? ◦ わかる ◦ なるほど ◦ そうじゃない

    18 技術分野の記事ではライフハックや時事問題の様に分かりやすく「役に立った」「面白い」 といった感想はなかなか持たれないですよね、という前提 読み手の読後感まで意識して書く内容を考えられると、それは「書き留めた」以上のコンテ ンツ資産になりうる
  10. オウンドメディア勉強会 「わかる」とは • シンプルに「読んで共感できる」 ◦ 「そうだよね」 ◦ 「自分も似た経験ある」 ◦ 「同意」

    ◦ 「納得感がある」 ◦ Qiitaでいう「LGTM」、noteでいう「♡(スキ)」 まずはこう思われるところを目指す、というのが常道 新人エンジニアのチャレンジ記事などはこれに当てはまりやすい 19
  11. オウンドメディア勉強会 「なるほど」とは • 評価を保留した態度である。良いとも悪いともいわなくて、ただそのテキストを受け 入れましたという状況(弊社編集担当談) • 自分の中にまだ評価軸がない • 知らない知識が書いてあり、リアクションがしたいがまだ学習の途中 •

    今後業務で必要そうだから知っておかなければならない • はてなブックマークでいう「あとで読む」 「重要そうなことが書いてある」ということでとにかく注目している状態 技術系の記事ではこの評価がポジティブな連鎖を生むことも多い 20
  12. オウンドメディア勉強会 3者のバランスによる評価の違い • 理想 ◦ 「わかる」+「なるほど」のバランスに、少しの「そうじゃない」が含まれる ◦ どんなスタンスの人からも何かしらの反応が得られる結果に • ベター

    ◦ とにかく「わかる」or「なるほど」どちらかの積み重ねを目指す ◦ トップエンジニアによる「正しい」講釈的解説記事など • NG ◦ 無反応 ◦ 「そうじゃない」ネガティブな反応のみが並ぶ 22
  13. オウンドメディア勉強会 読み手からの評価はどう可視化するか • Google Analytics・・・PV、直帰率などの基本指標 • サーチコンソール・・・検索やDiscoverからのアクセス状況 • MS Clarity・・・読了(記事の最後まで読んでくれているか)状況

    ◦ ヒートマップ+ユーザーの行動が動画レコーディングで見える • はてなブックマーク・・・ブックマーク数、コメント内容 ◦ 検索画面をぜひ活用してください 23
  14. オウンドメディア勉強会 さらに「好奇心」を刺激するには • 知識を与えすぎないで余白を残す ◦ 好奇心は「情報の空白」に対する反応である = 知りたいことと、既に知ってい ることとの間に空白があると好奇心を抱く(ローウェンシュタイン) ◦

    自分でも試してみたい→行動喚起→更に試した人からの引用参照 ◦ 自分ならこう考える→コメント付きのシェア ◦ もっと知りたい→別の記事閲覧→著者への興味増進→イベント参加 • 満腹になり過ぎると読者の反応は活性化しにくい ◦ 長文のノウハウ系記事からはバズやコンバージョンが生まれにくい ◦ 関連記事として「more like this」で内容の似た記事を並べても次に読まれにく い 24
  15. オウンドメディア勉強会 その先は何を目指すか • 記事の反応を著者やテーマごとに定量的に評価する ◦ SNSごとの反応傾向 ◦ 読了や滞在時間 ◦ 記事を読んだ人の再訪問

    ◦ 採用応募者に記事の閲覧有無を聞いてみる • 記事執筆の振り返りを行い成功パターンを蓄積、横展開していく • 執筆者を増やし組織化していく 25 ここまでくればもう立派な「オウンドメディア」と言えますね
  16. オウンドメディア勉強会 「強い」オウンドメディアの共通点 • 徹底的に「読者・ユーザー」目線 • 運営企業やサービスの理念・ビジョンの体現・具現 • 担当者の熱量とその言語化 • 振り返りと改善のプロセスの実施

    • コンテンツが資産として機能(長期的なSEO効果など) • キーマンが経営層と合意形成できている • 社内にも味方やファンがたくさんおり、何かしらシナジーを出せている 「強い」オウンドメディアは 「続く」サスティナビリティの視点でも「強い」ことに注目 26
  17. オウンドメディア勉強会 まとめ • まずは熱量のある人が「とにかく書いてみる」でOK
 • 次に、誰に向けて書いてる?を意識する
 • 読んだ人がどう思ってくれるか、まで考えてみる
 • 実際の反応を定量的に評価していく


    • チームや社内の人が同じプロセスを辿れるように道筋を整理する
 
 ここまでくれば
 「技術ブログ」はコンテンツ資産を持った「オウンドメディア」
 28
  18. オウンドメディア勉強会 はてなでは技術ブログを応援しています はてなブログ for DevBlog 法人が、自社の技術的な取り組みや成果、知見等を発信するブログに限定したプランです。資本金や設立経過年による制限なくご 利用いただけ、また、「はてなブログBusiness」プラン相当の機能を個人向けの有料プランと同じ価格でご利用いただけます。有料 の機能が不要な場合には、無料でもご利用いただくことが可能です。 • ブログタイトルを、一見して企業が技術について書いているブログであることがわかるものにしてください(例:◯◯社技術ブロ

    グ、◯◯ Creative Blog等) • 主たる記事内容が、ソフトウェア開発に関することや技術的な取り組みなど、情報の発信により技術の発展や技術者の支援 につながるものであること ◦ 開発体験の向上に関することや、学会や会議での発表のレポート、技術者支援の取り組みな、エンジニア文化に関す ることなど、コーディング以外の内容であっても、特に問題ありません • 自社の製品の紹介や採用に関する発信を主とする利用はお控えください。当該プランの主旨を満たし、技術情報の発信が主 となるようお願いいたします ◦ 自社がメインでメンテナンスしているOSSや、自社製品のSDK・APIに関する技術的な発信は特に問題ありません ◦ 技術情報の末尾に、採用情報*1や自社製品の紹介を付加するようなご利用であれば、主従の関係が保たれていると 判断し、特に問題ありません 29