なぜブロックチェーンは革新的なのか？

ブロックチェーンが創るWeb3.0の世界観についてかなり理念的な話をしています。

Transcript

1. なぜ、ブロックチェーン は革新的なのか？ CryptoAge主催大学合同Blockchain勉強会 東京大学Blockchain開発団体BitPenguin 共同代表 大森 晃太朗
2. 自己紹介 岡山県倉敷市出身 東京大学工学部システム創成学科4年 東大ブロックチェーン開発団体BitPenguin 共同代表 大学3年次冬、 ブロックチェーンに高い将来性を感じ、同期の田原と事業を起こそうと企画 するも技術面の問題から断念。しかし、そのポテンシャルの高さについては 確信し、真剣に勉強する場を作ろうと学生団体を立ち上げる。 Twitter @Mrktr729 。
3. こんなこと思ったことありませんか？ 「ブロックチェーンって何？調べたけど、ただのデータベ ースじゃね？」 「ブロックチェーンで出来ることって個人間同士の送金 ぐらいでしょ？よく分かんないしつまんなそう。」
4. 本日はこんな方に向けた話をします ブロックチェーンはWeb3.0だ！ 分散化だ！既得権益の破壊だ！って言われているけど。 なんか、みんなそれぞれ言ってること違うくね？ 結局、どういうこと？ ＼ 助けてドラ•も〜ん ／
5. ブロックチェーンがもたらす Web3.0の世界観
6. Web1.0 一方的なマスメディアの延長：新聞やチラシがそのままデータ化 ・管理者=情報の発信者、利用者 =情報の受信者 ・情報の「発信者」と「受信者」 の区別が明確 ・受信者は発信者に対してリアク ションを返せない
7. Web2.0 ウェブサイトの利用者も、情報の発信側に回れるようになった 代表:ブログ、SNSなど Twitter、Facebook
8. 一見、Web2.0は問題なさそうだが、、 ＼ Twitter楽しいンゴ！ ／
9. Web2.0の課題 1.企業の持つ個人情報 ＝ お金になったこと 2.権力や情報が一部に集中するようになったこと 3.悪さをする人の管理コストがかかり、本来の 価値とは関係ないところにリソースを割かなければならないこ と（※今日のメインの話）
10. 1.個人情報=お金問題 ・SNSや各種サイトに登録したデータ（個人情報 や購買履歴など）はマーケティングデータとして 高値で販売される →データ漏洩や不正利用の可能性。プライバシー ってなんだっけ？
11. 2.情報とそれによる権力の一極集中問題 ・情報のプラットフォームと化した企業が強すぎて、スタートア ップ企業が育たない。 Facebook、Googleが持っている個人データの数と、個人データが もたらす資本力に敵うプラットフォームは今後生まれない →価値競争によるマーケットの健全な成長がない。
12. 3.悪さを働く人の管理コスト問題 何かコミュニティ系のサービスを使うときには、必ず悪さをする人がい る。 （TwitterやFacebookでも、怪しいネットビジネスアカウント多いですよね） もっと抽象的に言えば、サービスの提供側も利用側も、 本来の価値以外の部分に労力を割いている場合がある。 次に例を挙げます。 （※分かり易さを優先したため、各例の粒度はバラバラです。）
13. 例1)ネットフリーマーケット ・本来の価値 個人が不要な私物を売買できること ＋ 違法出品物の管理（現金出品とか）
14. 例２）金融業 ・本来の価値 お金の保存 使われてないお金を融資・投資に回すことによ る通貨の流動性の管理 ＋ 電子マネーの二重支払防止の管理 お金を返さない人への取り立て
15. 例3）SEO ・本来の価値 人気・内容に信頼性のある記事が上位に挙げられる ・実際 いかにキーワードを入れたか、など対策ができ、 極端な言い方をすれば、人気・内容よりもどれだけ SEOのプロに任せるかの課金ゲーになっている。 （悪さでは決してないけど、本来の価値から外れた 労力では？）
16. こうした問題をプロトコルによって解決 サービスには必ず悪いことをする人がいる。 これに対して、 悪さをするインセンティヴ＜ルールを守るインセンティヴ になるようなプロトコル（約束事）を設計することで、 非中央集権でも、 コミュニティが健全に活性化するようになる それがブロックチェーンの強み！
17. ブロックチェーン＝P2P？ ブロックチェーンは単なるP2Pネットワーク（ノード同士 の通信プロトコル）ではない。 P2Pネットワークに加えて、 不正をするインセンティヴ＜ルールを守るインセンティヴ となるプロトコルを設計したことが革新的な点。 ※単純な分散管理システムならDNS（ググってください） が結構昔からありますよね
18. Bitcoinが革新的であった点 Proof of Workによるトランザクションの生成・認証 ＋ 計算結果が認証されることによる経済的インセンティヴ →悪意あるマイナーがトランザクションを改竄しようとすると、、 そのトランザクションは承認されず棄却され、せっかく計算 したのにビットコインが貰えない！ →じゃあどうせなら、みんなお金もらえる方を選ぶよね。 ∵P2P、暗号化技術、コンセンサスアルゴリズムに、経済的イ ンセンティヴの発想を加えたことにより、改竄不可能なP2P取 引を可能にした
19. Ethereumが革新的であった点 前述の「改竄不可能なP2P通信ができる仕組み」の上に、 チューリング完全な（何でもできる）言語でプログラムを記述できる ようにした →ブロックチェーンに組み込まれた改竄不可能なアプリケーションを 動かせるようになった！ →「改竄不可能な取引記録」から「改竄不可能なコンピュータプログ ラム」へ ∵改竄不可能で自動実行されるプログラム、スマートコントラ クトの誕生 Blockchainは世界中どこでも動く”World Computer”へ！
20. ※ちなみにBitcoinにもこの動きはアリ Root Stock(RSK) Project Bitcoinのサイドチェーン上にチューリング完全な言語で動くアプリ ケーションを構築する（Ethereumと近いことをする）というプロジ ェクトです。 Consensus2018で近々メインネットにリリースされると言われてい たようで、個人的に注目しています。
21. Ethereumの誕生により ”今まで価値を持たなかったデータ”が価値を持つよ うになった →Ethereumアプリケーション利用者コミュニティ の活性化が経済的な価値につながる、「トークンエ コノミー」の概念が生まれた
22. 今まで無価値だったデータに価値が生まれた 基本原理 「数が限られているが、人気のあるものには価値が生まれる」 →ELLE GARDENのチケット転売されてめっちゃ高くなってたよね… ブロックチェーン上に記述されたスマートコントラクトは改竄不可能 →スマートコントラクトによって規定されるデータには希少性が生まれ る Ex.)Cryptokitties(詳しくは後述します)
23. トークンエコノミーの概念の誕生 基本原理 「数が限られているが、人気のあるものには価値が生まれ る」 により、 「発行数の限られているトークン」は利用者が増えれば増え るほどその価値が上がる。 利用者が増える(＝コミュニティが活性化する)ことが経済的 な価値につながる。 会社はもともと自分たちで持っていたトークンの価値が上が るので、コミュニティを活性化することが自分たちの利益に つながる。
24. トークンエコノミーの概念 （図引用:株式会社ALIS代表取締役CEO 安昌浩氏講演資料より） 自分の保有する トークンの価値が上昇 コイン・プロダクトが 市場で認められる 自分の好きな プロジェクトに貢献
25. トークンエコノミーの概念 （引用:株式会社ALIS代表取締役CEO 安昌浩氏講演資料より） 投資家 会社員 ユーザー ゴールが異なる ゴール：会社の利益 株式会社 ユーザー 会社員 投資家 ゴールが一致 ゴール:コミュニティの価値 トークンエコノミー
26. 株式会社が時代遅れになる？？ 「利益の追求」をゴールにしていた時代から、 「コミュニティの活性化」をゴールにする時代へ 会社は利益を追い求めて”競争する”時代から、 利用者とコミュニティを”共創する”時代に
27. ブロックチェーンがもたらすWeb3.0 それは、 コミュニティの運営者がコミュニティの参加者とともに、 コミュニティの価値を上げることに専念 できるような世界観 これによって、ビジネスはよりオープンな、 純粋に世の中を良くするものになるのではないか！
28. Dappsの考え方 Dappsを見る時は、 1.悪事を働かせないためのインセンティブ設計は何か（マイナス的 観点） 2.コミュニティを”共創し”活性化させるための仕組みは何か（プラ ス的観点） で見たいところ。 ※この2つは完全に独立ではありませんが、マイナス的観点、プラス的観点と分けた方が考えや すいかなーと。必ずしも綺麗に分類できないのでその時は臨機応変に。
29. Dappsを見る時の観点1 悪意ある人は何をするのか？ ↓ その行動に対し、どのようなインセンティヴを与 えることで、非中央集権的に悪事を防ぐのか？ ↓ 非中央集権化によって抑えられる管理コストはど れほどのものか？（ここばかり注目されがち）
30. つまり、 非中央集権で管理するための利用者に対するインセンティブ設計 がうまくできないもの →中央集権で管理した方が良い という場合がある。そこには棲み分けが必要。 ※インセンティヴ設計がうまくできない要因 ・悪さをするインセンティヴ＞ルールを守るインセンティヴ ・悪事をする人の管理コスト＜ブロックチェーンの運用コスト など。 ※このインセンティヴ設計の仕方を議論するべき。
31. Dappsを考える時の観点2 そのコミュニティの中でスマートコントラクトにより設計されて いるルールは何か？ ↓ そのルールを守ることに紐付く経済的インセンティヴはどのよう なものか？ ↓ 上記２つを踏まえて、そのコミュニティが提供する価値は何か？
32. 参照 http://164s.net/956.html https://book.ethereum-jp.net/what_is_ethereum/ethereum_as_dapp_platform.html https://medium.com/@matteozago/why-the-net-giants-are-worried-about-the-web-3-0- 44b2d3620da5 https://medium.com/@matteozago/why-the-web-3-0-matters-and-you-should-know- about-it-a5851d63c949 http://blockchain.gunosy.io/entry/dapps-monetize 2/27開催 株式会社ALIS代表 安昌浩氏の講演