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AI時代に、なぜエンジニアはまだ集まるのか
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wabi
July 24, 2026
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AI時代に、なぜエンジニアはまだ集まるのか
wabi
July 24, 2026
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Transcript
大吉祥寺 . p m 2 0 2 6 | w
a b i 時代に、 なぜエンジニアはまだ集まるのか AI
自己紹介 wabi 名古屋市在住 株式会社ココロザシ / SWE 吉祥寺.pm 初登壇 & 初30分トーク
2
自己紹介 俺の勉強会・フロントエンドカンファレン ス名古屋 オーガナイザー 2024〜2025年にオフラインイベント46回 参加 登壇回数もそこそこ 参加者・登壇者・運営者として、コミュニ ティに関わってきた いちコミュニティが好きな人間として話さ
せてください 3
今日いちばん持ち帰ってほしいこと コミュニティはあなたが主役 4
目次 人が技術コミュニティに集まる理由 2. “参加”のなかで、何が起きているのか 3. 変わるもの、変わらないもの 4. みんな必要 1. 5
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 目次 人が技術コミュニティに集まる理由 2. “参加”のなかで、何が起きているのか 3. 変わるもの、変わらないもの 4. みんな必要
1. 6
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 で、情報を得るコストは下がった AI 技術記事、動画、Podcast、検索、そして AI 実装方法・要約・一般的な答えは、一人でも手に入る 情報へたどり着くまでの時間と手間が劇的に減った 7
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 それなのに、めちゃくちゃ集まっている 件 10,832 年 1/1〜7/10 の connpass 掲載イベント数(1日あたり約57件)
2026 connpass の検索結果画面の件数を 2026-07-10 に集計(検索上限のため期間を分割して合算)。connpass 掲載分のみの参考値 8
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 集まりは減っていない ChatGPT も Claude もなかった 2018年の同じ期間(1/1〜7/10)と比べると... 年 connpass
掲載イベント 10,368件 うち「カンファレンス」を含む 253件 2018 年 10,832件 約1.04倍=減っていない 532件 約2.1倍 2026 情報収集がこれだけ楽になったのに、集まりは減っていない connpass の検索結果画面の件数を 2026-07-10 に集計(期間を分割して合算)。「カンファレンス」は本文も含む検索のため、関連イベントも数に入る9
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 なぜ、情報収集がこんなにしやすくなった現代で、 私たちは時間とお金を使ってコミュニティに参加して いるのか? 10
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 聞いてみた コミュニティでよくお会いする 25人 に質問 「あなたがコミュニティに参加する理由はなんですか?」 皆さんお忙しいなか回答してくださいました。 本当にありがとうございました!! 11
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 人の回答から、8つの理由が見えた 25 ① その場にいること自体が楽しいから ② 人とつながり、支え合い、刺激を受けたいから ③ 外に出て、視野を広げたいから
④ 一人では得にくい情報や、現場の知恵に触れたいから ⑤ 発信と対話で、学びを深めたいから ⑥ 受け取ったものを返し、場を次につなぎたいから ⑦ その場に居合わせないと、出会えないものがあるから ⑧ 仕事だから 12
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 ① その場にいること自体が楽しいから 一言で「コミュニティ活動が楽しい、コミュニティを育てるのも楽しい」からです ね!! 「仕事であると同時に趣味の場所でもあるから」です。 仕事も職場も上下関係も何も考える必要の無い、純粋な技術好き話してるだけで楽 しい仲間の集まる場所。最高じゃないですか! 車好きが集まるコミュニティ、同じ推しの人が集まるコミュニティのように技術好
きコミュニティは話しているだけで楽しい場所。と気付いてからはいける範囲で行 くようになりました。 13
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 ① その場にいること自体が楽しいから 参加するのも、主催として動くも、どっちも「自分が楽しいから!!」 技術オタクを全開にして飲み会で話しても、引かれるどころか盛り上がるから 今ではもう人生の一部で、映画を観に行くくらいの気持ちで足を運んでいます。 自分だけで学ぶのはしんどいが、誰かと一緒なら楽しんで学べるから 14
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 ② 人とつながり、支え合い、刺激を受けたいから 私にとってコミュニティとは、技術を通じてお互いを支えあえる場所だと思ってい ます。特に、周りに女性エンジニアが少ない環境で仕事をしている私にとっては、 仲間を見つけられる大切な場所でもあります。 自分に自信がなく、何もできないと思っていた私を外の世界へ連れ出し、エンパワ ーメントしてくれたのも、ひとえにコミュニティを通じて色々な人に出会えたおか げです。
技術の話をしながらお酒を飲むのが好きな人たちに会えることが、自分にとってと ても貴重で、新鮮な体験でした。IT業界に長くいますが、仕事上ではそういう人た ちに出会うことがありませんでした。 15
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 ② 人とつながり、支え合い、刺激を受けたいから 自分の悩みを話したり、共感したりできる場所があると安心するから すぐ解決できなくても、上司でも後輩でもない存在だからこそ話せる、分かち合え ることもある 人が話して人が聞く場でこそ生まれる共感やシナジー、そして広がっていくつなが りはコミュニティにしかない価値だと思います。 16
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 ② 人とつながり、支え合い、刺激を受けたいから 人が好きだから 人に触発されて頑張るタイプだから 己の現在地点が何となく分かる気がする つえーひとみるのたのしい 気持ちは孫悟空。ただし言っていることが理解できるとはいっていない コミュニティに誘ってもらった当初は「軽く情報収集できれば」くらいの気持ち
で、深い意図はもっていなかったんだけれど、続けているうちに「人との関わり」 がモチベーションになってきて、気づいたらより主体的に参加するようになった感 じです! わびさんがいるからです!! 17
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 ② 人とつながり、支え合い、刺激を受けたいから コミュニティで目指したいエンジニアと出会えた みんないきいきと技術の話を楽しそうにしていたのが衝撃的だった。この時ぐらい から不安よりも、技術の話を楽しそうに話すプロフェッショナル的な人たちへの憧 れみたいなものでコミュニティに顔を出すようになってきた気がする。 学生の頃の私にとって、技術の世界は何もわからない真っ黒な地図でした。その地 図を少しずつ描けるようにしてくれたのが、テックコミュニティで出会った人たち
です。 自分がこうありたい、と思える先人に出会えるから 18
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 ③ 外に出て、視野を広げたいから 会社と家の往復だと会社での価値が自分の価値のように思ってしまうから 同じ組織にずっといると、そこの考えに偏ってしまう気がするから 自分の知らない世界をもっと知りたいから 会社だけだと会社が全てになってしまう 今までや今の会社で体験できないことを聞けると世界が広がる 知見の共有、持ち帰って実践
→ ガラパゴス化の回避(新陳代謝) 19
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 ③ 外に出て、視野を広げたいから 会社の中だけで生きてると同じ気質の人や考え方、運用の仕方、扱うサービスに偏 りが出るので 視野や価値観を広く持ちたくて勉強会に参加してます 意見は異なる視点に触れることで深まり、技術は他の技術との組み合わせでさらな る発展の可能性に出会い、自分自身もまた様々な技術者との対話の中で磨かれてい く。そのことをコミュニティへの参加を通じて実感しています。
俺より強い奴に会いに行く …自分の想定・経験・知識等の外側に出ていかなければならない 20
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 ④ 一人では得にくい情報や、 現場の知恵に触れたいから 教科書や論文、技術ブログから得られにくい「実際どうなん?」が聞けるから。公 に発表する綺麗な内容ではなくて、実際に手を動かして出てくる細やかな知見・悩 み事・上手いツールの使い方など、泥臭いところを聞けるから エンジニアリングの楽しさ、「怠惰」であること、無駄のない無駄な動き(趣味開 発)など、エンジニアリングの源流に触れられた
RFCや草案、Docsや開発チームのやり取りを追っている人から最新の情報をサマ ってもらえる、行くだけで学び 21
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 ④ 一人では得にくい情報や、 現場の知恵に触れたいから 自分の悩みが意外と皆も悩んでることだと知れたのがデカイ 経験少ないから持ってるものだと思ってたけど、直接会話して「みんな工夫してる んだな~」と分かり自信が持てた 悩みに対して「難しいね」じゃなくて、うちはこういう考えでこうしてるよ、みた いな情報がありがたい
個人的な知的好奇心を満たすため 個人的に解決したいことのヒントが見つかるかもしれないと考えているため 優秀な人たちが今何に興味があるか、最も早く、最も本音に近いところが聞けるか ら 22
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 ⑤ 発信と対話で、学びを深めたいから 発表することの「楽しさ」に気づいた...発表の準備をする中で「どうすれば興味を 持ってもらえるか」「何を持ち帰ってもらうか」を考えるようになりました。 自己中心的なアウトプットから「聞いてくれる人の目線を意識する」ことで、自身 の発表のレベルアップにつながったと感じています。 23
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 ⑤ 発信と対話で、学びを深めたいから 自分の学びを整理して発表することで、他者の学びになり、その反応がまた自分の 学びになる。 コミュニティで学び合うことで、刺激を受ける。 その刺激が、自分の思いや行動を後押しするきっかけになる。 24
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 ⑥ 受け取ったものを返し、場を次につなぎたいから 学生の頃に受けた恩恵や良い影響の還元 コミュニティがなかったらSWEになれていなかった 次の世代にも還元、伝えるために主催業をしている コミュニティに助けられたからこそ、今の私は恩返しをしたいと思ってコミュニテ ィに参加しています。それは必ずしもコミュニティの中の人だけに恩返しをしたい ということではありません。
たとえば、コミュニティのために作った資料を公開することで、コミュニティの外 にいる人にも楽しんでもらえることがあります。 25
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 ⑥ 受け取ったものを返し、場を次につなぎたいから コミュニティーに参加する、発表する、人を誘うといったことを通して、「誘って よかった」と思ってもらえたら少しでも恩返しになるかな?と思っています。 恩返しがしたい、もっと高みに行きたい、もっと技術を楽しみたい——参加する理 由を挙げればキリがありません。過去の私のような人を1人でも多く増やしたく て、時間と体力の許す限り運営や登壇、参加を続けています。 いっぱい情報はいるから
そんでいつかは還元したい 僕が持っている知識やノウハウがもし誰かの役に立つなら放出する 26
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 ⑥ 受け取ったものを返し、場を次につなぎたいから そんな"縁"をつないでくれる場が、コミュニティ。 身近な地元で"縁"をつなぎたい、だから参加する。 元々は独学で限界を感じてたけどそのうち同じことに興味関心ある仲間作りをして 地元を盛り上げたかったと言ったところですかねー 分野自体を盛り上げたいから。人が集まって、「いいね、それやろう!」となった り、「これからのこの分野はこうあるべきだ!」と語り合ったりしているところ
に、新しい人が来ると良いコミュニティだな、入りたいなとなって裾野が広がる あと自分自身が愛知をあんまり好きじゃなくて、でも住まなきゃいけない、じゃあ 好きな理由を作るか!って感じです 27
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 ⑦ その場に居合わせないと、出会えないものがあるから 発表や雑談を通して気づいていなかったり勘違いしていた面白い部分を知ることが できることに価値を感じています。一人でいるとどうしても自分の関心領域しか深 掘りしないけれど、コミュニティにいると全然知らなかった分野の話が聞けて、好 奇心が喚起される瞬間がある。そういった偶発的な広がりは、AIには今のところ代 替しにくいんじゃないかなと感じています。 使っている技術や本の著者に会って、本人に感謝を伝えるきっかけができるから
28
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 ⑦ その場に居合わせないと、出会えないものがあるから 行けば何かある" それが技術的な学びなのか、新しい出会いなのか、人生の転機なのかは毎回違いま す。 私がコミュニティに行くのは、自分一人では起こせないことを起こしたいからで す。一人で読んで分かった気になることと、誰かと同じ瞬間に何かが動く実感は、 まったく別のものです。
未知とは、見知らぬ人であり、情報であり、場所であり、物質でもある。 それらの未知に対して、私の体の一部である五感を通して、一次情報を直に感じ取 る。 役に立つとか立たないとか、それは蓋を開けてみないと分からない。 " 29
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 ⑧ 仕事だから 私は、「仕事」として開発者コミュニティに参加しています。 現在はDevRelとして、開発者コミュニティや開発者の方々との関係づくりを仕事と しています。前職では編集者として、著者さん探し、ネタ探しを仕事としていまし た。 交流が増えて新たな仕事やイベントが生まれる 会社(特にエンジニア陣)に役立つ情報や考えを持ち帰るため
一緒に働く仲間を見つけるため 逆に一緒に働く仲間として見つけてもらうという面もある 新しい共同研究テーマの種が転がってるから 30
1. 人が技術コミュニティに集まる理由 共感できるもの、ありましたか? 参加する理由は人それぞれ 8つの理由は、社会学者たちが何十年も追ってきた研究に通ずる 31
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ 目次 人が技術コミュニティに集まる理由 2. “参加”のなかで、何が起きているのか 3. 変わるもの、変わらないもの 4.
みんな必要 1. 32
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ 実践共同体 あるテーマにかんする関心や問題、熱意などを共有し、その分野の知識や技能を、 持続的な相互交流を通じて深めていく人々の集団 エティエンヌ・ウェンガー、リチャード・マクダーモット、ウィリアム・M・スナイダー『コミュニティ・オブ・プラクティス』 p.33 33
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ 実践共同体の3つの構成要素 領域=みんなが関心を持つ、学ぶテーマ Perl、TypeScript、AWS、機械学習、EM…… 共同体=相互に関わり、心理的なつながりを持つ人々 集まり、聞き、質問し、感想を交わし、懇親会やSNSでやり取りするみな さん 実践=みんなで活動すること+そこから生まれた成果物
LT・登壇・記事・Podcast、そして「この設計はつらかった」 「うちではこ う運用している」という言葉や知見 34
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ 領域があり、共同体があり、実践がある... 技術コミュニティ=実践共同体 35
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ 実践共同体で大事なのは「参加」 参加=メンバーとして学習活動に取り組みながら、共同体にとって「なくては ならない人」になっていく過程 ただ出席することではなく、関わることすべて 例) 話を聞く、感想を書く、質問する、登壇する、誰かを迎える 36
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ 正統的周辺参加 「いてもよいと認められた場所で(正統的)、 最初は簡単な仕事から(周辺)、 実践を通じてその一員になっていく(参加)」ことで学びが起こる 松本雄一『学びのコミュニティづくり』p.31 この「一員になっていく過程」は、アイデンティティの形成過程でもある 知識の獲得だけでなく、アイデンティティの構築こそが学習であるという考
え方 37
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ 正統的周辺参加をコミュニティに当てはめてみる 受付で名札をもらった瞬間、Discord で挨拶した瞬間 → それだけで「正統」 に参加したことになる そこから、できることに少しずつ関わっていく(周辺)
登壇を聞く → 感想を書く → 登壇者に質問する → 自分で登壇する → 運営を手 伝ってみる こうして一段ずつ、共同体の一員になっていく(参加) 38
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ 関わり方が変わるごとに、できることと自分が変わっ ていく 感想を書くつもりで聞くと、より深く理解しようとする 質問しようとすると、わからない点を言葉にしようとする 登壇すると、自分の経験を人に伝わる形に整理することになる 運営に回ると、イベント運営の知見や人とのつながりが深まる 参加歴が長くなると知識も深まり、高度な議論や解説をしたり、新しく来た
人を助けたりするようになる 39
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ 関わり方が変わるごとに、できることと自分が変わっ ていく こうした変化を繰り返すうちに、自分は何に関心があって、どんなエンジニ アでいたいのか、エンジニアとしてどう振る舞って生きていくのか、というア イデンティティが構築されていく 知識が増えることだけでなく、この変化の道のり全体を「学習」と呼ぶ そしてこの種類の「学習」は、人や実践への「参加」のなかで起きる
40
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ 複数の回答からも、「参加」を通した「学習」が見てとれた 私に自信を与え、技術の楽しさを教え、職を与えてくれたのはコミュニティです。 コミュニティは私をエンジニアにしてくれました。人間としても成長させてくれま した。 コミュニティがなかったらSWEになれていなかった 自分自身もまた様々な技術者との対話の中で磨かれていく。 愛知をあんまり好きじゃなくて、でも住まなきゃいけない、じゃあ好きな理由を作
るか!って感じです コミュニティの運営に関わることで登壇者だったり優秀なエンジニアの人と話す機 会が増えてきて沢山刺激を受けて一気に成長できた気がする。 41
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ 「AI時代に、なぜエンジニアはまだ集まるのか」とい う問いを立てた 42
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ 「集まる」は、「参加」の形の一つ 名札をもらう、聞く、感想を書く、登壇するといった技術コミュニティでの振 る舞いは、どれも「参加」だった 43
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ だから、タイトルの問いはこう変えられるのでは? 「AI時代に、なぜエンジニアはまだ“参加”するのか」 44
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ つの理由を、 「参加」の中で起きていることとして 読み直してみる 8 正統的周辺参加が教えてくれたのは、参加すること自体が学習になり 得るということ ここからは学習に関する研究の成果を借りて、8つの理由を読み直し
てみる 45
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ ① その場にいること自体が楽しいから 「楽しい」が、参加と学習を続ける動機になっている 自分が楽しいから!! 役に立つかどうかより先に、「楽しい」が足を運ばせ、参加を続けさせている 大人が学びを続ける動機はいろいろある。その中の2つが、 学ぶこと自体が楽しい
充実志向 と、みんなと一緒だから続けられる 関係志 向 46
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ ② 人とつながり、支え合い、刺激を受けたいから 職場の外に、悩みを話せる関係や目標にできる人がで きている 上司でも後輩でもない存在だからこそ話せる、分かち合えることもある コミュニティで目指したいエンジニアと出会えた 職場でも家でもない居場所(サードプレイス)に、失敗や迷いを口にしても
大丈夫だと思える関係ができている。試行錯誤が促進される いきいき学ぶ人の姿を間近で見ること自体が、学習のモチベーション サードプレイス自体は学習を強く意識した語ではない ※ 47
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ ③ 外に出て、視野を広げたいから 会社の外の視点から、自分と会社の考え方を客観視し ている 会社だけだと会社が全てになってしまう 組織の外に出て学ぶことで、普段の仕事や前提が揺さぶられる(越境学習) その結果、会社の視点と外の視点の両方で自分と会社を見比べられるように
なる(複眼的学習) 外に出て、ものの見方や自分自身が変わっていける——実践共同体の大きな 価値 48
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ ④ 一人では得にくい情報や、現場の知恵に触れたいから 実践から生まれた知見が、場に蓄積され共有されてい る 教科書や論文、技術ブログから得られにくい「実際どうなん?」が聞けるから。 「うちではこう運用している」「この設計はつらかった」、という文書になっ ていない知恵が、人づてに共有されている
実践から生まれ、共同体で共有されるこの資源を 共有されたレパートリー と 呼ぶ。マニュアル化しにくい現場の勘(暗黙知)の共有は、実践共同体が得 意とするもの 49
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ ⑤ 発信と対話で、学びを深めたいから 発表と反応のやり取りを通じて、学びが循環している 自分の学びを整理して発表することで、他者の学びになり、その反応がまた自分の 学びになる。 現場の学びを場に持ち込んで発表し、反応を受け、持ち帰ってまた実践する ループが回っている
実践共同体の学習スタイルとして 循環的学習 と呼ばれる 50
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ ⑥ 受け取ったものを返し、場を次につなぎたいから 迎えられた人が迎える側に回り、共同体が維持されて いる コミュニティに助けられたからこそ、今の私は恩返しをしたいと思ってコミュニテ ィに参加しています。 周辺から関わり始めた人が中心へ動き、今度は新しい人を受け入れる側に回
る 受け取った人が渡す側になるこの循環は 共同体の再生産 と呼ばれる。 この循環が回り続けることで、共同体は維持されていく 51
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ ⑦ その場に居合わせないと、出会えないものがあるから 普段は接点のない人や分野との出会いが生まれている 行けば何かある 未知との邂逅を楽しみにしている 大規模で、いつもと違う人が集まる場ほど、予期しない出会いや越境が起きや すい。こうした場は
交流型実践共同体 と呼ばれる 予期しない出会いは、新しい関心・仲間・活動が生まれる入り口になる 今日の大吉祥寺.pmはまさにこれ 52
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ ⑧ 仕事だから コミュニティと外の組織のあいだで、人と知識が行き 来している 私は、「仕事」として開発者コミュニティに参加しています。 企業・媒体・研究とコミュニティのあいだに立ち、人と知識を運ぶ人がい る。越境を促進するこの役割は
ブローカー と呼ばれる ブローカーがいるから、この場の知見が外へ届き、新しい仕事やイベントが この場から生まれる ブローカーは仕事で参加する人全員を指す言葉ではない ※ 53
参加”のなかで、何が起きているのか 2. “ エンジニアが求めていたのは、 情報だけではなかった 人との関係、実践の知恵、ものの見方、そして自分自身が変わること 8つの理由が示していたのは、学びそのものと、 それを生み、支え、次へつなぐ「参加」だった 54
3. 変わるもの、変わらないもの 目次 人が技術コミュニティに集まる理由 2. “参加”のなかで、何が起きているのか 3. 変わるもの、変わらないもの 4. みんな必要
1. 55
3. 変わるもの、変わらないもの が変えたのは、情報と成果物のコスト AI 実装方法・要約・一般的な答えは、一人でも速く手に入るようになった コードやドキュメントといった成果物を作るスピードも劇的に上がった 56
3. 変わるもの、変わらないもの 「参加」は、AIには代替できない 情報や成果物は、AIが作って渡してくれる 共同体に関わり「なくてはならない人」になっていく過程は、自分にしかでき ない 時代であっても、AIとコミュニティは共存していくと思っています。求めるもの が、そもそも違うからです。 AI 57
3. 変わるもの、変わらないもの は、情報と成果物のコストを変えた それでも、「参加」の価値は変わらない AI だから、AI時代にもエンジニアは集まる 58
4. みんな必要 目次 人が技術コミュニティに集まる理由 2. “参加”のなかで、何が起きているのか 3. 変わるもの、変わらないもの 4. みんな必要
1. 59
4. みんな必要 実践共同体は、誰が欠けても成り立たない 聞く人がいなければ登壇は成り立たない 場を整える人がいなければ集まれない 新しく来る人がいなければ、共同体はやがて消える 参加者・登壇者・運営者の誰が欠けても、この場は続かない 60
4. みんな必要 それぞれが、実践共同体を動かしている 参加者: 聞く・問う・感想を伝える・持ち帰る。学びを循環させる 登壇者: 実践を言葉にして共有する。この場の知恵(レパートリー)を生む 運営者: 場とコミュニティのリズム(定期的な開催)を保ち、次の人を迎え る。共同体を再生産する
どの役割にも優劣はない 役割は行き来してよいし、重ねてもよい(重なることも多い) 61
4. みんな必要 だから、コミュニティはあなたが主役 あなたはこの共同体を維持し、誰かの学びを促進している その自負を持ってほしい 62
4. みんな必要 私がコミュニティに参加し続けているのは、 人と関わり、自分も変わっていける 「学習の場」だと思っているから 63
4. みんな必要 あなたの実践を、話してほしい 登壇はもちろんのこと、カンファレンスの廊下で、懇親会で 完成された正解じゃなくてもいい。試行錯誤や失敗談も誰かの学び 登壇を聞くこと、感想を書くこと、質問すること、誰かを誘うことも参加 64
4. みんな必要 持ち帰って、生かして、また持ってくる 今日得たものを、現場へ持ち帰って生かしてほしい また学びを得たら、みんなのところへ持ってきてほしい この繰り返しが、技術コミュニティを良いものにし続ける 今日の大吉祥寺.pmも、もっと楽しく、学びの深い場になるはず 65
4. みんな必要 コミュニティは、あなたが主役です。 66
4. みんな必要 ここで一句 持ち帰り また持ち寄って 場は続く 67
(敬称略・順不同) Special Thanks! モブエンジニア(Masaki Okuda) とぴ ふみふみ okku@とある田舎のphper murasuke かーでぃ
たけ ichien ikeko あおい(Aoi) inao Kaitou sora miso_taku KMiura Wonder || せきしょ〜 did0es スタヰル 山本一将|焚き火を愛するエンジ ニア hisayuki かわうら goma ken7253 ムツミックス Keisuke Ikeda 68
Thank you! 69
参考文献 エティエンヌ・ウェンガー、リチャード・マクダーモット、ウィリアム・M・ スナイダー 著、野村恭彦 監修、櫻井祐子 訳『コミュニティ・オブ・プラクテ ィス―ナレッジ社会の新たな知識形態の実践』翔泳社、2002年 松本雄一 著『学びのコミュニティづくり―仲間との自律的な学習を促進する 「実践共同体」のすすめ―』同文館出版、2024年
エイミー・C・エドモンドソン 著、野津智子 訳、村瀬俊朗 解説『恐れのない 組織―「心理的安全」が学習・イノベーション・成長をもたらす』英治出版、 2021年 ジーン・レイヴ、エティエンヌ・ウェンガー 著、佐伯胖 訳『状況に埋め込ま れた学習―正統的周辺参加』産業図書、1993年 70