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柏原正樹氏の業績 代数解析編

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October 06, 2018

柏原正樹氏の業績 代数解析編

MATHPOWER2018での講演スライド。チャーン賞受賞の柏原正樹氏の代数解析における業績紹介。

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October 06, 2018
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Transcript

  1. 線型微分方程式の解: -加群: 対応 何がうれしいのか? 1. 微分方程式の具体的表示から解放される b函数の研究(根の有理性の証明など) (ある意味での)線型微分方程式系の分類(佐藤・河合と共同、E加群を使う) D加群を調べると 微分方程式が分かる!

    形は違うが本質的に同じ方程式D加群では同型 行列理論 線型微分方程式 抽象線型代数 D加群 4/9 2. 代数的に微分方程式の不変量(特性多様体など)を定義可能 代数的に線型微分方程式系を扱う枠組み D加群理論の創始
  2. 1970年 修論 構成可能層:空間を分割すると 各部分多様体上で局所系 1975年 柏原の構成可能性定理 1978年頃 大島・河合と共同 1984年(1981年の河合との 共同研究の結果も用いる)

    1:1 6/9 リーマン・ヒルベルト対応 モノドロミー表現を層で言い換えたもの  P. Deligne,1970年:確定特異点型可積分接続と局所系の間の 1対1対応として高次元複素多様体に拡張  柏原はリーマン・ヒルベルト問題をD加群に拡張して対応を証明
  3. リーマン・ヒルベルト対応 1970年 修論 1975年 柏原の構成可能性定理 1978年頃 大島・河合と共同 1984年(1981年の河合との 共同研究の結果も用いる) 1:1

    6/9 Kazhdan–Lusztig予想の証明(Brylinskiと共同) 要するに全部やった 構成可能層:空間を分割すると 各部分多様体上で局所系 モノドロミー表現を層で言い換えたもの  P. Deligne,1970年:確定特異点型可積分接続と局所系の間の 1対1対応として高次元複素多様体に拡張  柏原はリーマン・ヒルベルト問題をD加群に拡張して対応を証明
  4.  1982年ごろからのP. Schapiraとの共同研究において実多様体上 の層のマイクロ台を導入し体系的に調べた 超局所=点の周りだけでなく方向も考える マイクロ台を使うと 「層に対する臨界点集合」を定義できる 「層係数のモース理論」が展開できる 最近では •

    シンプレクティック幾何・ミラー対称性 • パーシステントホモロジー との関わりが盛んに研究されている 8/9 層のマイクロ台:切断が同型にのばせない(伝播しない)方向を表す集合 の方向に のばせる? のばせない? 超局所層理論
  5. 9/9  Ind層理論(P. Schapiraと共同,2001年) 層の理論で増大度条件付きの函数を扱える  ハミルトンアイソトピーの層量子化(S. Guillermou, P. Schapiraと共同,2012年)

    超局所層理論のシンプレクティック幾何への応用  Irregularなリーマン・ヒルベルト対応(A. D’Agnoloと共同,2016年) 1次元の場合の非確定特異点型常微分方程式の理論のD加群版 近年の主な仕事とまとめ
  6. 9/9 柏原先生が創った代数解析・超局所層理論は大変魅力ある分野です が、日本ではこの分野があまり理解されなかったり若い研究者が育っていないように 思います この魅力ある分野への様々な人の理解・参入・支援を期待しています 要するに柏原正樹という人は代数解析のほとんど全部 をやって今も第一線で活躍しているということ 近年の主な仕事とまとめ  Ind層理論(P.

    Schapiraと共同,2001年) 層の理論で増大度条件付きの函数を扱える  ハミルトンアイソトピーの層量子化(S. Guillermou, P. Schapiraと共同,2012年) 超局所層理論のシンプレクティック幾何への応用  Irregularなリーマン・ヒルベルト対応(A. D’Agnoloと共同,2016年) 1次元の場合の非確定特異点型常微分方程式の理論のD加群版