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AIによる言語資源の利用法ー辞書データを中心にー

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September 05, 2025
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 AIによる言語資源の利用法ー辞書データを中心にー

LRW2025 言語資源ワークショップ2025 2025年8月29日 国立国語研究所(オンライン)

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Yasuhiro Kondo

September 05, 2025
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  1. 取得したCSV辞書データ 18 あい-あい,一 藹藹 劃 茂る 銳。 又、さ かんに多き貌。 詩

    經大羅「 藹藹王多吉士二 楚 辭「 讒夫 藹藹而曼著 兮」 あい-あい,一哀哀 0 深く哀しむ 貌. 詩 經小〓「哀哀父母、生我、 勞勞」 あい-あい,惑 馬にかくるかけ 聲。 太 子 傳「騒駒 屆此不進、太子加 鞭、 逡巡猶 駐、太子自言哀哀(乃イ)」 あいいく,"王憚詩「愛育總 歸君父聖、論思 つること。 一愛育 かはゆがりてそだ 不出 廟堂公こ (40, むらがり立ち" あい-うん, 謠江「〓雲をさまりて、海上に たる雲。 一 藹雲 一つの島をなせり」 いつくしみよろこ あい-えつ, 晉書温▪「見者皆愛 悅之二 ぶこと。 一愛 悅 あいえん-きえん,一愛 緣機 緣 (49 佛語。 合ふも合はぬも、 緣によるとい ふこと。 〓 轉じて、合 緣奇 緣(〓〓ニューシ)とし、 不思議なる 緣の義。 男女開また友だちの 交はり 深きにいふ。 あい-おん,一哀音 名 かなしげなる 聲 左 傳電話本社「怨而不言。社有有音音」 あい-かう,本 あい-かう,一愛幸 愛しいつくしむこ と 寵愛。 一哀泣 かなしみなくこと。 あい-きふ,後漢書 「仰仰 點屈、若哀泣之容こ あい-きゃら,[愛敬 舍 ▪ 顏色にか はゆげのあること。 あいぎやう。 宇宙集 上「いとうれしとおぼしてゑみ給へる、 いとはなやかに見まほしう、あいきやう こぼるばかりに ておはするを」 源堵案「さ しもあるまじき事に、かどかどしくくせ をつけ、あいきやうなく人をもてはなる る心あるは」 巳世 辭のよきこと。 一五 あいきゃり づきあひ 愛 敬附合 なみな のつきあひ。 深からぬ交際。 みの交際。 博を小女 郞波枕 をてき の外は、愛敬づきあひ·始末·貯ヘ」 あいきゃう-け,愛敬毛 (4) 頭髪のおくれ毛 いち、 あいきゃう-しゃうばい 一愛敬商 賣 (30) 藝妓·妓 樓·料理屋などの類。 客商 賣。 あいきゃう-づく 愛敬附 (自動日) いきやう出 で初む。 にあいきやうづき給へり」 あいきゃうの-まもり 國 緣牛丼 かくる守り札。 夫婦愛敬の守。 あいきゃう-の-あち 愛敬餅 八名 かのもちひ(三日餅)を見よ あいきゃう-び,愛敬日 (英 Britanical grace) (4) 恩惠日。 を猶豫する日 數。 あいきゃう-べに,愛敬紅 (イ) り又は耳 朶などにつくる紅。 あいきゃう-ぼくろ,愛敬 黑子 に見するほくろ。
  2. KWIC行 26 1. 臥したれば、いかさまにと思しめし【まどは】る。 (20-源氏1010_00001:#26) 2. 思したらず、さぶらふ人々の泣き【まどひ】、上も御涙の隙なく (20-源氏 1010_00001:#36) 3.

     「くれ【まどふ】心の闇もたへがたき片はしを (20-源氏1010_00001:#74) 会話 4. 消え【まどへ】る気色いと心苦しくらうたげなれば (20-源氏1010_00002:#281) 会話 5. こはいかなることぞと思ひ【まどは】るれど、聞こえむ方なし。 (20-源氏 1010_00002:#285) 6. を思ひはべるに、たぐひなく思うたまへ【まどは】るるなり。 (20-源氏 1010_00002:#297) 会話 7. をしらでその原の道にあやなく【まどひ】ぬるかな (20-源氏1010_00002:#382) 歌 1010_00004:#153) 歌
  3. プロンプトの設計 27 あなたは国語辞典の編 纂 者です。以下の**提示KWICのみ**を根拠に、見出し語の語義分 割・定義・用例抽出を行ってください。 - 外部知識・一般常識は使わない。**提示KWIC以外を根拠に推測しない**。 - **新しい例文は作らない**。各語義には**最低1件**、原文断片(KWICのnode周辺)

    と所在 (doc_id:#span_index) を必ず添える。 - 格パターン(〜が/〜に/〜を/〜と等)、活用(連用形など)、代表的コロケーション も出す。 - 語義が足りない/分割しにくい場合は、その旨を "notes" に簡潔に記す。
  4. プロンプト の設計 (JSONスキ ーマ) 28 JSONだけを返すこと。余計な文章は一切書かないこと。 { "headword": "…", "pos":

    "…", "senses": [ { "id": "1", "label": "…(語義名・短い)", "definition": "…(簡潔で用字統一)", "subcat": "自動詞/他動詞/形容詞など", "morphology": {"活用": "…"}, # 分かれば "case_patterns": ["Xが〜", "Yに〜", "Zを〜"], # 分かれば "collocations": ["…", "…"], # 分かれば "examples": [ {"quote": "…【node】…", "doc": "doc_id", "loc": "#span_index", "phase": "…"} ], "confidence": 0.0_to_1.0 } ], "notes": "不足/曖昧/分割基準など" }
  5. 生成された辞典 29 見出し語:まどふ 品詞:動詞(四段活用) ――――――――――――――――――――― 【語義1】 心が乱れて思慮を失う。取り乱す。 格パターン:を/に/て 活用:終止形(まどふ) 、連用形(まどひ)

    、連体形(まど ふる) 、已然形(まどへ) 、未然形(まどは) 、完了助動詞接 続(まどひぬ) 、尊敬補助動詞接続(まどはれたまふ) コロケーション:泣き〜、心地〜、気色〜、御心地〜、く れ〜
  6. 生成された辞典 30 【語義2】 方向・行動が定まらずにさまよう。迷い歩く。 格パターン:を/に/て 活用:連用形(まどひ) 、已然形(まどへ) 、連体形(まどふる) 、完了形(ま どひぬる)

    コロケーション:歩く〜、くれ〜、目くれ〜、道〜 notes: ・ 「心の乱れ」 「方向の迷い」の2義に整理。泣き・心地など心理動詞との結 合は語義1に、歩く・道・目くれなど物理的行動と結合するものは語義2に配 分した。 ・観察された活用形を網羅的に整理。
  7. 中納言の出 力をGPTs に入力 32 平安から江戸まで のKWIC行を中納言 で500行出力して、 GPTsに入力 うつ【打つ・討つ・撃つ・擣つ】 動詞

    文語四段活用(タ 行)/近世以降:五段活用 1. 物に力を加えて衝撃を与える。 格パターン:を/に/で 活用:打つ、打ち、打て、打た コロケーション:杖を~、石 を~、砧を~、槌を~ 用例: ・「白栲の衣【うつ】砧の音 も、かすかに…」(源氏物語 1010 夕顔 平安) ・「太刀の 峯を取り直し、文覚が刀もったるかひなをしたたかに【う つ】。」(平家物語 1250 文覚被流 鎌倉) ・「だらばこの 一念おのれらが首引き抜いて…とてこ〳〵と【打つ】槌に落 つる涙も…」(心中刃は氷の朔日 1709 近松) 2. 楽器・拍子などをたたく。 格パターン:を/に 活用:打 つ、打ち、打て コロケーション:鼓を~、太鼓を~、拍子を ~、鐘を~ 用例: ・「弁の君、扇はかなう【うち】鳴らし て…」(源氏物語 1010 若紫 平安) ・「導師には三井寺の 公顕僧正とぞきこえし。高座にのぼり鐘【うち】ならし…」 (平家物語 1250 還御 鎌倉) ・「読みやつたと、…手鼓な りとも【打つ】たがよい」(堀川波鼓 1707 近松)
  8. 33 3. 矢・弓・鉄砲などを発射する。 格パターン:を/に 活用:打つ、打ち、打て コ ロケーション:矢を~、弓を~、鉄砲を~ 4. 言葉・音・合図などを発する。 格パターン:を/て

    活用:打つ、打ち、打て コ ロケーション:手を~、合図を~、口を~ 5. 囲碁・双六などの石や駒を置く。 格パターン:を/に 活用:打つ、打ち、打 て、打た コロケーション:碁を~、双六を~、駒を~ 6. 工芸・作業においてたたいて加工する。 格パターン:を 活用:打つ、打ち、擣 ち コロケーション:槌を~、布を~、鉄を~ 7. 攻める・討つ。戦いや敵対行為をする。 格パターン:を/に 活用:討つ、討 ち、討て、討た コロケーション:敵を~、仇を~、かたきを~
  9. 34 8. 叩いて殺す・打ち倒す。 格パターン:を 活用:打つ、打ち、打て コロケーショ ン:人を~、馬を~、罪人を~ 9. 雨・風・波などが強く当たる。 格パターン:に/を

    活用:打つ、打ち コロケー ション:雨を~、風を~、波を~ 10. 強い衝撃や感情を受ける(比喩的表現)。 格パターン:に/を 活用:打つ、打 ち コロケーション:胸を~、心を~、釘を~ notes 「討つ」「擣つ」「撃つ」など異表記は「うつ」に統合。 各義で時代順(平 安 → 鎌倉 → 近世)に並べた。 各義、代表的に5例前後を配置。