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機械学習を用いた物理シミュレーションによる合成音声技術の開発

 機械学習を用いた物理シミュレーションによる合成音声技術の開発

rtMRIやEMAのデータセットから、機械学習を用いた物理シミュレーションで音声合成する、というテーマです。

声道形状の画像を加工(フーリエ変換など)して滑らかな管としてみなし、流体シミュレーションで音声を合成します。
シミュレーションでは時間がかかる有限要素法などではなく、FNO及びPINNsを用いて高速化し、リアルタイム性を担保できればと考えています。

FNOは端的に言えば、学習データや入力を画像や音声などの離散値ではなく、連続値として扱う手法です。離散値のデータをフーリエ変換して無限次元をもつ波の集まりとみなすことで、解像度に依存しない機械学習の手法となります。これを応用したGeo-FNOは偏微分方程式のソルバーとして扱え、流体シミュレーションに使用した例があります。

PINNsは損失関数の計算の中に物理法則を記述する偏微分方程式を入れ込むことで、物理的に矛盾しない範囲での学習を行う手法です。これを物理シミュレーションベースの音声合成に使用した先行研究はありますが、一次元モデルに限られます。

もしマシンスペックなどの問題で流体シミュレーションが難しい場合、声道の動画像と音声の対応付けを学習させることでもほぼ同じことが可能ではないか?と考えています。

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松下裕也

May 15, 2026

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Transcript

  1. 1. 前提知識  現在用いられている合成音声には、主に以下のようなものがある。  単位選択型合成音声  予め録音した発音を繋ぎ合わせる、最も基本的なもの  ニューラルネットワーク合成音声

     いわゆる「AI音声」、データセットから特徴量を抽出しそれを基に音声を生成  この二つについて解説し、その問題点を述べる。
  2. 1. 前提知識  以上二つの問題点  単位選択型合成音声、ニューラルネットワーク合成音声の両方には、ある共 通点が存在する。  双方とも、話者が固定されていることを前提としており、その声質を完全に、 自由に変化させることは難しい。

     単位選択型合成音声の場合、録音された音声を用いている時点で声質は完全 に固定化されている。  ニューラルネットワーク合成音声の場合、「話者性」を表すパラメータはブ ラックボックス状態で、外部から変更するのは難しい。 話者A 話者B
  3. 3. 手法の解説-PINNs  PINNsとは?-概略 出典: https://www.msiism.jp/article/physics-informed-machine-learning2.html 入力: 座標、時刻などの変数 出力: その変数の下での偏微分方程

    式の解 損失関数: 出力が初期条件、境界条 件、偏微分方程式のそれぞれを満た しているかどうか (値が近いほど良い)
  4. 3. 手法の解説-比較  有限要素法やCNNも含めた各手法との比較検討 有限要素法など CNN PINNs FNO 原理 格子点ごとに直接

    微分方程式を計算 ピクセル間の パターンを学習 座標の入力と 物理的な損失関数 関数空間への写像を 学習 物理的妥当性 正確 なし (ブラックボックス) 高い なし or 高い (手法による、後述) 学習データ量 なし(数式のみ) 大規模 中程度 中~大規模 推論速度 非常に遅い 早い 遅い 早い 未知状態の対応 遅いが可能 困難(解像度に依存) 困難 得意 解像度の自由度 高い(再計算は必要) 固定 低い 高い 計算量 O(N・T) O(N・L) (L: 層数) O(N × Epochs) O(N logN) 逆解析 困難 困難 簡単 困難
  5. 3. 手法の解説  FNOとPINNs ・最初はPINNsをメインで用い物理的妥当性を高めようと考えていた ・汎化性能が著しく低いのを改善できなさそうなので、FNOをメイン としPINNsは補助的に用いる予定 ・PINNsの考え方を用いて、FNOの損失関数の計算に物理法則も繰り込 み、複合的に用いることを検討(Physics-informed FNO,

    PINO) (Z. Li et al., "Physics-Informed Neural Operator for Learning Partial Differential Equations" arXiv, 2021.) ・PINNsにも逆解析が得意で、特定話者の模倣には非常に適していると いう利点があるので、医療分野や話者変換などでは単体で応用可能
  6. 4. 研究の詳細  2つのアプローチの比較 FNOの使い方 声道と音声の対応を学習 偏微分方程式ソルバーとして使用 モデル学習難易度 中程度 高い

    学習データに数値シミュの結果が必要 物理的妥当性 低い 調音ベースのため単位選択型等よりは高い 高い 未知のデータへの対応度 (≒自由度) 中程度 学習データに依存 高い 完全に物理ベースであるため
  7. 4. 研究の詳細  先行研究  FNO関連  M. Deng et

    al., "Interpretable vocal tract and respiratory inversion via physics-informed neural operators" Sci. Rep., 2026.  PINNs関連  K. Yokota et al., "Physics-Informed Neural Networks for Speech Production," arXiv, 2025.  M. Lu et al., "Learning Vocal-Tract Area and Radiation with a Physics- Informed Webster Model" ICASSP, 2026.
  8. 4. 研究の詳細  このアプローチのメリットとデメリット  メリット  物理的にある程度妥当性がある  声道形状ベースで、更にPINNsの考え方を一部取り入れているため

     話者に依存しない  データさえあれば細かい感情表現などに応用可能  デメリット  学習コストが高い  データセットが少なく、取得コストが高い  MRIなどを用いるため
  9. 4. 研究の詳細  現在の進捗  まだ研究を始めたばかりなので、先日までPINNsの低い汎化性能に気づ いていなかったように、一部リサーチ不足が存在  今後の展望 

    できれば夏前には簡単なモデルを作成し、何かしらの声は合成できるレ ベルにしたい  FNOを用いるとしても、どちらのアプローチを取るかを検討  データセットが手に入れば、声道の3Dモデルを用いることも検討