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JaSST’25 Kyushu - QAチームの士気の源泉

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October 24, 2025
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JaSST’25 Kyushu - QAチームの士気の源泉

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October 24, 2025
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  1.   2 ◆(これまでのfreeeでの)担当プロダクト:会計帳簿と固定資産、外 部連携、freeeカードUnlimited、小口現金管理のQAエンジニア/会 計全体、入出金管理、オファー型融資、資金調達、福利厚生、支出 管理のQAオーナー 
 ◆趣味:酒を飲む、ギターの練習をする 
 ◆経歴:1991年4月から社会人

    
 → 工作機器メーカーで原価管理システム受入テスト 
 →テスト担当者(主に財務会計ソフト) 
 →テストリード(主にプリンタドライバー) 
 →テストコンサルタント(主に携帯、オーディオ) 
 →テストツールプリセールス(主にテスト管理ツール) 
 →テストマネージャー(国際案件のAPJ担当など) 
 →保険会社のテスト部署の課長(合併案件のTM兼任) 
 →2019年7月〜 freeeのQAエンジニア 
 →2022年1月〜 freeeのQAマネージャー 
 →2025年7月〜 freeeの横断QA部長 
 ◆好きな食べ物:日本そば 
 ◆最近あった嬉しかったこと:上の2人の子供が大学卒業して、末娘 が大学入学したので学費が半額になること 
 ◆最近あった悲しかったこと:個人的に持ってるmiroのアカウントで 誤って30万円近い請求がきたこと 
 湯本 剛(ymty:ゆもつよ) 
 QA品質企画/SEQ JM 
 Tsuyoshi Yumoto 

  2. • イントロダクション 
 
 • フリーについて/フリーのQA組織 
 
 • JSTQB

    ALTM v3.0 第3章「チームのマネジメント」の概要 
 
 • 「価値」:QAの存在意義をどう示すか 
 
 • 「地図」:スキル分類と見立て 
 
 • 「学び」:学びを通じて士気を高める 
 
 • まとめとアクションへのヒント 
 アジェンダ 

  3. • 今日の講演内容は次のとおりです 
 ◦ テストマネージャー/QAマネージャーにむけたチームマネジメントの話 
 ▪ チームメンバーや他メンバーとの関わり方 
 ▪

    チームの士気への影響 
 
 • 次の内容を織り交ぜて話をしていきます 
 ◦ JSTQB ALTM v3.0をベースにした基本的なチームマネジメントの考え方 
 ◦ フリーのQAマネージャーとして取り組んだ事例 
 
 • 今日の内容は、私自身も出来てないことも多く、悩んでいることも多いですが、その ような中でもどうやればよいのかと考えていることを話します 
 イントロダクション 

  4. 管理に相当する英語は3つある 
 • マネジメント(management) 
 ◦ 仕事を上手くやりとげるためにやること全般 
 
 •

    コントロール(control) 
 ◦ 仕事を期待通りにやってもらうこと全般 
 
 • アドミニストレーション(administration) 
 ◦ 仕事をしていくための手続き業務 
 マネジメントは、日本語だと「管理」だけど... 

  5. パスポート管理といっても3つは全然違います 
 • パスポートマネジメント 
 ◦ どのような人に発行するか決めたり、どこの国で使えるか他国と 
 調整したりすること 


    
 • パスポートコントロール 
 ◦ 空港の出入国時に、パスポートが有効か、本人か、ビザは 
 正しいものを取得しているかといった基準をチェックすること 
 
 • パスポートアドミニストレーション 
 ◦ パスポートセンターの窓口での発行業務などのこと 
 パスポート管理を例にしてみます 

  6. • 第1章:テスト活動のマネジメント 
 ◦ 変化する「動く標的」としての品質をとらえて、計画、進捗、報告など、テスト活動そのものを設計 し、成果を確実に出すためのプロセスマネジメント 
 ▪ キーワード:テストプロセス、テスト戦略、リスクベースドテスト など
 


    • 第2章:プロダクトのマネジメント 
 ◦ テスト対象を理解し、どの品質をどこまで確認すれば十分かを判断するプロダクトマネジメント 
 ▪ キーワード:メトリクス、見積もり、欠陥マネジメント など
 
 • 第3章:チームのマネジメント 
 ◦ メンバーのモチベーションとスキルを引き出し、持続的に成果を出せるチームを育てるピープルマ ネジメント 
 ▪ キーワード:メンバースキル、品質コスト など
 
 JSTQB ALTM v3.0で書かれてる3つのマネジメント 
 ここに絞って話します 

  7. • QAマネージャーに求められるもの 
 ◦ チームの士気を高める役割 
 ▪ 士気が高い → 学びが加速

    → 価値につながる 
 ◦ メンバーの士気が低いと成果も出ない 
 ▪ 「忙しい」より「行き先が見えない」方がつらい 
 • 例:目的がわからないままひたすらテストケースを消化 
 • 地図、学び、価値の循環が士気を生む 
 ◦ 士気は循環の原動力であると同時に、循環が新しい士気を生み出す 
 QAマネージャーに期待される姿 
 マネージャーの役割 = 循環を仕組みにする 

  8. 価値
 地図
 学び
 地図 → 学び :スキルの現在地が分かるか ら、効果的な学びを設計できる
 学び →

    価値 :学びによって 個人やチームの力が高まり、 ユーザーに価値を届けられる
 価値 → 地図: 届けたい価値 があるから、必要なスキルや 能力が明確になり、地図の更 新が必要になる
 士気はサイクルの原動力 であり、循環 によってさらに高まる

  9. • 全体構成
 ◦ 第1章:テスト活動のマネジメント(750分) 
 ◦ 第2章:プロダクトのマネジメント(390分) 
 ◦ 第3章:チームのマネジメント(225分)

    
 
 • 改定ポイント 
 ◦ 役職(Test Manager)ではなく活動(Test Management) にフォーカス 
 ◦ 前バージョンより、第3章の『人と関係性』に関する学習時間が厚くなった 2.1 第3章の位置づけ 
 
 
 テストマネジメントは、マネージャーだけではなく、 
 誰かが担う活動 
 
 Test Management = Process × Product × People
  10. • チームメンバーに求められる4つのスキル 
 ◦ 専門的能力(テスト技術、業務知識など)  
 ◦ 方法論的能力(分析力、判断力など) 
 ◦

    社会的能力(コミュ力、対立解決、チームワークなど) 
 ◦ 個人の能力(自己管理、責任感、モチベなど) 
 • コンテキスト分析に基づくスキル判断 
 • 人材育成のアプローチ(教育、コーチング、OJT、自己学習、キャリアパスなど) 
 • モチベーション理論(上げる要因、下げる要因) ALTM-3.1 テストチーム 
 不確実な状況でも、スキルの多様性がチームを前に進める 
 何を知っているか/できるか 応用して未知の課題に対応できるか まわりとどう関わるか 自分をどう律し、成長させるか
  11. • 品質コストの4カテゴリー 
 ◦ 予防(教育、改善) 
 ◦ 評定(テスト設計、テスト実行) 
 ◦

    内部失敗(テストで見つかった不具合対応) 
 ◦ 外部失敗(リリース後の不具合対応) 
 • 費用対効果の提示 
 ◦ 平均節約額、ROI 
 ▪ QAを「コスト」ではなく「投資」と説明する力 
 
 ALTM-3.2 ステークホルダーとの関係 
 ステークホルダーとの信頼関係を築くために、 
 数字で示し、対話で伝える 
 欠陥を埋め込まないためのコスト 欠陥を見つけるためのコスト リリース前の欠陥の修正コスト リリース後の欠陥による損失額
  12.   電⼦稟議 経費精算 債権債務 管理 ⼈事労務 電⼦契約 固定資産 請求管理 会計

    ⼯数管理 販売管理 会計‧⼈事労務‧販売管理を核とした 統合型経営プラットフォーム
  13. 22 スモールビジネスの ⼈事管理市場において  売上⾦額シェアNo.1(3) スモールビジネス向けに統合型クラウド(1)ERPを提供 注: 1. クラウドサービス:ソフトウェアやハードウェアを所有することなく、ユーザーがインターネットを経由して ITシステムにアクセスを行えるサービス 2.

    リードプラス「キーワードからひも解く業界分析シリーズ:クラウド会計ソフト編」( 2022年8月) 3. 「freee人事労務」は ITRが今年調査発行した「 ITR MARKET VIEW:人事・給与・就業管理市場 2022」の人事管理市場において、従業員 100人未満および従業員 100~300人未満の企業で売上金額シェア No.1(2020年度)を獲得しています。 統合型クラウド会計ソフト 統合型クラウド⼈事労務ソフト その他サービス 2013年3⽉〜 請求書 経費精算 決算書 予実管理 ワークフロー 内部統制 勤怠管理 ⼊退社管理 給与計算 年末調整 マイナンバー 管理 2014年10⽉〜 2022年11⽉〜 ⽇本のクラウド 会計ソフト市場  シェアNo.1(2) 統合型クラウド販売管理ソフト 【国内初】 クラウド会計ソフトと ⼀体型で使える 販売管理サービス ⽀出管理 ⼈事労務 ⼯数管理‧労務費管理 福利厚⽣ 申告書作成 ⾒積‧発注‧請求 法⼈⼿続き クレジットカード 開業⼿続き 電⼦契約
  14. 2019年 6月期 2020年 6月期 2017年 6月期 2018年 6月期 2021年 6月期

    有料課⾦ユーザー企業数(件) 有料課⾦ ユーザー企業数(1)は 約 60万事業所 2022年 6月期 45.1万 2023年 6月期 ※(1) 2025年3⽉末時点。有料課⾦ユーザー企業数には個⼈事業主を含む 37.9万 29.3万 22.4万 16万 12.1万 8.3万 ユーザー基盤拡⼤に向けた取り組み 54.7万 2024年 6月期
  15. 25 フリーのQA体制 エンジニアリング基盤事業部 プロダクト組織 プロダクト組織 XX開発部 横断QA部 プロダクトQA ‧品質可視化‧課題特定 ‧リスク管理

    ‧テスト設計/実⾏ 品質企画&SEQ ‧開発全体でやるべきこ とをQAでやるべきことに 解釈して横展開(AI駆動 QA etc) ‧採⽤、育成、評価  プロダクトQA(基盤) ‧品質可視化‧課題特定 ‧リスク管理 ‧テスト設計/実⾏    同じOKRを追って、理解しあった上で最適なアプローチを考えていく
  16. 仮説定義 課題整理 設計 実装 テスト コード レビュー リリース 効果測定 振り返り

    QA テスト フィードバック フィードバック フィードバック フィードバック QAテストもフィード バックの⼀つ もっと速く、 もっと⼿前で!! freee QA

  17. QAが「OKだ!」と⾔えるためにやること ひとつめ
 仮説定義 課題整理 設計 実装 テスト コード レビュー リリース

    効果測定 振り返り QA テスト フィードバック フィードバック フィードバック フィードバック QAテストも フィードバック の⼀つ 成果物が「定めたレベルの出来栄え」に到達する/していることが わかるよう仕組みを作って遵守できるようにする ...例えば • 起きたらいけないこと(リスク)をみんなで意識合わせする • 要件(PRD)、設計(DesignDoc)をチームで愛でる • PRにユニットテストの結果が書いてないとマージできないような仕組みを運⽤する • ぽちぽち会‧UXぽちぽち会を開く • ⾃動テストを使ったリグレッションテストを⾏ってから本番にリリースしている ◦ もっと速く、 もっと⼿前で!
  18. QAが「OKだ!」と⾔えるためにやること ふたつめ
 仮説定義 課題整理 設計 実装 テスト コード レビュー リリース

    効果測定 振り返り QA テスト フィードバック フィードバック フィードバック フィードバック QAテストも フィードバック の⼀つ 「仕組みの品質」と「お客さんに使ってもらうプロダクトの品質」 を確認する。 ...例えば • 要件、設計をレビューして修正するまでを確認 • 開発者⾃⾝によるユニットテストをコードカバレッジなどで定量的に確認 • テスト環境で統合テスト、システムテストをして、ハッピーがあれば修正をしてリリースOKかを確認 ◦ テスト結果はリリースOKかを確認をするための(とても鮮度の良い)基礎データとなる • ハッピーを分類して件数を計測し続けて、傾向を確認 ◦ ハッピーは品質を改善するための基礎データとなる もっと速く、 もっと⼿前で!
  19. freee QAのミッション‧ビジョン 仮説定義 課題整理 設計 実装 テスト コード レビュー リリース

    効果測定 振り返り QA テスト フィードバック フィードバック フィードバック フィードバック QAテストも フィードバック の⼀つ ミッション ◦ 起こしちゃいけないハッピーが起きにくい体質にすることでマジ価値※を継続的に届け続け る ※マジ価値:ユーザーにとって本質的に価値があると自信を持って言えること ◦ ▪ 込めた意志 • 当たり前品質にフォーカス。品質という⾔葉は広くいろいろやると中途半端に なってしまうので、どこに⼒を⼊れていくかが重要 • 起きにくくするために品質をプロセスやマインドに組み込むのが重要 • リリーススピードにこだわりたい。継続的にマジ価値を届けていくことが重要 ビジョン ◦ 当たり前品質の⾼速フィードバックの実現 ▪ どのフェーズでも⽬指すべき品質とのGAPを⾼速フィードバックすることで、⼿戻り がなく⾼頻度にユーザに価値を届けられるようにしていく もっと速く、 もっと⼿前で!
  20. freee QAの活動の特徴 仮説定義 課題整理 設計 実装 テスト コード レビュー リリース

    効果測定 振り返り QA テスト フィードバック フィードバック フィードバック フィードバック QAテストも フィードバック の⼀つ ※重篤度:Severity ➢ 事象のひどさであり、ユーザーのもと で発⽣してはいけない度合いを⽰す • リリース頻度が⾼いので、リスクベースドテストを中⼼に⾏っている ◦ 各プロダクト、サービスごとに重篤度:Severity※を定め、開発チーム全体で認識をあわせている ◦ 重篤度が高い事象が起きる可能性(リスク)があるかを話し合い、高いリスクを確実に潰すようにテストする • アジャイル開発しているチームが多く、QAエンジニアも上流⼯程から参加している ◦ QAエンジニアが各開発チームにアサインされているため、企画段階から関わり、さまざまな意見を言い合える環境がある ◦ ドメイン知識のない領域にチャレンジするメンバーも少なくないため、開発チームで勉強会を開催するなど、チームで知識 を高めていく活動も盛ん • リグレッションテストを⾃動化し、QAエンジニアも⾃動テストをコーディングして活⽤し ている ◦ Playwrightなどいくつかのオープンソースを活用してfreee独自のテストフレームワークを構築している もっと速く、 もっと⼿前で!
  21. freee QAの軌跡 - QAチーム誕⽣ - ⾃動E2Eテスト運⽤開始 - 不具合データをJIRAに⼀ 元化 -

    品質KPI誕⽣ - リスク洗い出し会の運⽤ 開始 - 網羅的テストから⽬的重 視のテストチャーターへ - 全プロダクトの重篤度を 定義 - SEQチーム誕⽣ - ジュニア採⽤と育成体制構築 - QAテストプロセス標準化 - グローバルQA誕⽣ - 新卒QA採⽤開始 仮説定義 課題整理 設計 実装 テスト コード レビュー リリース 効果測定 振り返り QA テスト フィードバック フィードバック フィードバック フィードバック QAテストも フィードバック の⼀つ もっと速く、 もっと⼿前で!
  22. 仮説定義 課題整理 設計 実装 テスト コード レビュー リリース 効果測定 振り返り

    QA テスト フィードバック フィードバック フィードバック フィードバック QAテストも フィードバック の⼀つ freee QAの現状の課題 • ⽬指すべき品質のブレ ◦ プロダクト増、組織拡大に伴って、みんなが同じ品質目標に向かってるとはいえない 当たり前なことかもしれないが、これが難しい。みんな一丸となって品質目標に向かっていけるようにしたい • ⼈材の育成と流動性 ◦ 最低限の育成体制は構築したが、育成のPDCAを回せておらず、QAのキャリアパスもこれから定義する段階 ◦ 1チーム1人QAの体制が多く、属人性が強い組織になっている ◦ 人材の流動を容易にすることで、変化に強い、チャレンジしやすい組織にしていきたい • テストアーキテクチャの最適化 ◦ 統合ERPでは連携機能が多く、機能開発時の影響範囲も広い ◦ このままだとテスト工数も増えていき、スピードのある開発が難しくなってくる。今は、ユニットテスト、統合テスト、システム テストが個別に設計しているので、テスト全体で最適化をしていきたい もっと速く、 もっと⼿前で!
  23. • 顧客にとって:安心して使える品質のプロダクトを届ける 
 
 
 • 組織にとって:リスク低減、開発速度との両立 
 
 


    • チームにとって:達成感、信頼関係の源泉 
 組織にQAがいることによってどのようないいことがあるのか? 
 QAの価値は立場によって見え方が違う 

  24. 「価値をコストやROIの観点で説明する」ことをシラバスでは推奨 
 • ALTM V3.0 第3章 3.2「品質コスト」の4カテゴリー 
 ◦ 予防・評定・内部失敗・外部失敗

    
 ◦ 費用対効果(ROI)で説明 
 → 価値を「コスト最適化」や「リスク低減」で説明する枠組み 
 • ALTM V3.0 第1章 1.2「ステークホルダーマトリクス」 
 ◦ 経営層へはROI、チームへは改善スピード、顧客へは安心感 
 → 価値は受け手に合わせて伝えることが必要 
 
 ALTM V3.0 シラバスでの価値の枠組み 
 経営層にはROIで伝え、チームにはフィードバック速度で伝え る、といった使い分けが必要 
 ALTM 1.2.2より引用

  25. • QAの価値は相手ごとに「見え方」が違う 
 ◦ 同じQAの活動でも、相手によって価値の表現を変えないと伝わらない 
 • QAマネージャーがやるべきこと 
 ◦

    「テストケースを1,000件実行」「バグを30件発見」では伝わらない 
 ▪ 経営層には数字(コスト、リスク削減)に翻訳 
 ▪ 開発には安心感(リリースして大丈夫)に翻訳 
 
 
 • チームにとって:達成感、信頼関係の源泉 
 QAマネージャーは価値の翻訳者になろう 
 QAの仕事=「品質に関する事実(生のデータ)」を集める 
 QAマネージャーの仕事=そのデータを「ステークホルダーが理 解できる言葉」に翻訳する 

  26. • Trust(信頼):ブランドや顧客満足の基盤 
 ◦ 安心して使える品質のプロダクトを顧客へ届ける 
 
 • Efficiency(効率):生産性、コスト削減 


    ◦ 適切なテスト工数に収めるスキルを発揮する 
 
 • Growth(成長):人材育成、組織学習、継続的改善 
 ◦ 同じ間違いを繰り返さないようにフィードバックする 
 QAにとっての価値の3つの判断軸 
 QA活動はコストではなく投資であることをQAマネージャーは伝 える必要がある 

  27. QAがどのような価値を提供するのかを宣言する 
 • フリーの事例 
 ◦ 信頼
 ▪ 「起こしちゃいけない不具合 


     が起きにくい体質」 
 ◦ 効率
 ▪ 「当たり前品質の高速フィードバック」 
 ◦ 成長
 ▪ 「障害から学ぶサイクル」 
 「可視化による文化形成」 
 QAマネージャーはミッション/ビジョンを作ろう 
 ミッション/ビジョンはチームメンバーへのメッセージ 

  28. 40 Act faster, Align earlier! Val. Hyp. Design Dev. Testing

    Code Review Release Impact Msmt. &Retro. QA Testing Feedback Feedback Feedback Feedback QA testing is a form of Feedback Act faster, Align earlier!
  29. ロードマップは「ミッション:存在意義」と「ビジョン:未来像」をつなぐ道筋 
 • QAマネージャーは価値をステップごとに実現していくプロセスを示すことが重要 
 
 
 
 
 


    ミッション 
 QAマネージャーはロードマップも作ろう 
 ロードマップ
 価値実現を具体的なステップにする
 
 
 
 
 
 ビジョン
 短期(1年):自動テスト比率を向上
 中期(2〜3年):品質メトリクスを標準化
 長期(3〜5年):組織的に品質改善が回る文化を定着

  30. • 個人とチームのスキルを「可視化」するもの 
 ◦ 現在地と目指す場所がわかるようになると、暗中模索でなくなり士気を上げることができる 
 
 • キャリアアップやアサイン判断の 座標軸

    になる 
 ◦ スキルをどう活かすかで「活動」が変わり、活動は最終的に「価値」としてステークホルダーに届く 
 • オンボーディングのベースとなり、育成施策に直結する 
 ◦ 仲間を増やしていくときに、チームに溶け込んでいくスピードをあげられる 
 QAチームにおける『地図』とは 
 分類=スキルを整理する 
 見立て=現状を診断し、将来へのパスを描く 

  31. ALTM V3.0 第3章 3.1「4つの能力領域」とQAの実務への対応 
 
 
 
 
 •

    シラバスは「必要なスキル領域」を示している 
 ◦ マネージャーは具体的な実務に当てはめ、メンバーアサインや育成を考える 
 ALTM V3.0 シラバスとの関連 
 シラバスの「分類」を使い、現場での「見立て」に活用する 
 シラバスの4能力領域 
 QA実務、スキルでの例 
 専門的能力(テスト技法、レビュー技法、業務知識)
 テスト設計技法、レビュー技法、ドメイン知識、ITアーキテクチャー知識
 方法論的能力(分析力、判断力、問題解決力) 
 テストマネジメント(戦略・計画・優先度付け)、リスクマネジメント、品質改善
 社会的能力(コミュ力、チームワーク、対立解決) 
 チーム調整、ふりかえりなどのファシリテーション、ステークホルダー調整
 個人の能力(自己管理、柔軟性、モチベーション)
 自律性、学習意欲、変化適応力

  32. • JaSST’23Niigataでの講演「 QA組織に仲間を増やすときに大事なこと 」
 ◦ スキルラダー、スキルアセスメントシートの設計 
 ◦ セルフスキルアセスメントの定期的な実施 


    ▪ これまでに5回実施(2025年10月時点) 
 
 • 背景:QA人員の急増 
 • (2021年当時の)課題:QA共通の枠組みがない 
 ◦ 標準プロセス、標準成果物を定義 
 ▪ アウトプットを標準化(ここ大事!) 
 フリーのQA組織での地図に関する取り組み事例 
 経験やバックグラウンドが異なるメンバーを受け入れるために、 共通の「地図」が不可欠だった 

  33. • メンバーのスキルアップに活用する 
 ◦ セルフスキルアセスメント+マネージャーフィードバックで整合性を取る 
 
 • チームの強み弱みを理解する 


    ◦ チーム単位で「ミドルのスキルセットをカバーする」方針 
 ◦ メンバーの移動方針(どのチームのスキルセットをカバーするか) 
 ◦ 採用方針(どのチームにどのような人を入れたいか) 
 
 QAマネージャーは地図をどう活用するか? 
 チームにとってもメンバーにとっても良いことの決断に使う 

  34. 学びは認められて活かされることで士気につながる 
 • 学びがある → 成長を実感できる → 士気が上がる 
 •

    士気が高い → 学びが加速 → 価値につながる 
 ◦ 学びを実務で試せない/認められない → 士気が下がる 
 ▪ 学び習得したスキルを実践で使う機会を作る 
 ▪ 活動→価値になった成果をチームで共有し、評価することが士気を高める 
 • QAマネージャーの役割: 
 ◦ 学び → 実践の場を用意 
 ◦ 実践成果を適切に評価し、今後に向けたフィードバックを行う 
 ▪ 良かったことは褒める、良くなかったことは「その事実」を伝える 
 ◦ QAメンバー間で学びあうことで、刺激を与えあう機会を作る 
 学びと士気の関係 

  35. 評価の鍵は「スキルを学んだ」で止めないこと 
 • 「そのスキルでどんな価値を生んだか」を明示して評価する 
 ◦ 例:
 ▪ スキル:テスト設計技法 →活動へ

    
 ▪ 活動:新しい観点でレビュー →価値へ 
 ▪ 価値:重篤な不具合を防ぎ、顧客信頼を守った 
 ◦ QAマネージャーの役割: 
 ▪ 適切に評価できるよう自組織のミッション、ビジョンの解像度をあげる 
 ▪ ステークホルダーにメンバーの評価結果を自信持って伝える 
 スキルと価値をつなげて評価する 

  36. ALTM V3.0 第3章 3.1「テストチーム」 
 • 学びのアプローチ 
 ◦ 教育/コーチング/OJT/自己学習/キャリアパス

    
 
 ALTM V3.0 第3章 3.1「モチベーション理論」 
 ◦ 上げる要因:承認・責任・成長機会・達成感 
 ◦ 下げる要因:行き先不明・不公平・過度なマネジメント・疎外感 
 ALTM V3.0 は学びとモチベーションを重視 
 チームの学びと士気を仕組みにする 

  37. • JaSST’23Niigataでの講演「 QA組織に仲間を増やすときに大事なこと 」
 ◦ 中途入社向けQAオンボーディング導入 
 • その他の取り組み 


    ◦ QA横展開bi-weekly 
 ▪ チームを跨いだ成果の共有 
 ◦ QAオフサイト 
 ▪ 年に2〜3回、QA社員全員集まって、1つのテーマを決めて取り組む 
 • これまでの開催時のテーマ「ワクワク健康的に働くためにはディスカッション」「ハッピー分析 ワークショップ」「QAのOKRを自分ごとにするためのディスカッション」「テスト分析ワーク ショップ」「playwrightワークショップ」「AI駆動QAワークショップ」など 
 ◦ 1on1
 ▪ マネージャーと定期的に行う 
 フリーのQA組織での学びに関する取り組み事例 

  38. • 育成サイクルの停滞 
 ◦ オンボーディング以降のフォローが学びの仕組みとして機能してない 
 ◦ ミドル、シニアへの成長に対する仕組みができてない 
 


    • 属人化による流動性不足 
 ◦ 1チーム1QAエンジニア体制が多く、知識の共有やメンバー入れ替え時の再現性 が難しい
 
 • スキルアセスメント項目Xオンボーディングの定期見直しができてない 
 ◦ 技術の進化に合わせられていない(形骸化してしまう) 
 
 フリーQAマネージャーとして直面している課題 

  39. • マネージャーの役割 = 価値→地図→学びのサイクルを仕組みにする 
 ◦ 「価値」:QAの存在意義をどう示すか 
 ▪ ミッション、ビジョン、ロードマップ

    
 • 行き先が見えないと士気は下がる 
 • 行き先が見えるだけでは士気は上がらない、地図と学びと繋げていく 
 ◦ 「地図」:スキル分類と見立て 
 ▪ スキルラダー、アセスメントシート 
 • 現在地がわかるだけでは士気は上がりも下がりもしない、学びと価値へ繋げていく 
 • 標準化は一歩間違えると過度なマネジメントになり士気を下げる 
 ◦ 「学び」:学びを通じてモチベーションを高める 
 ▪ オンボーディング(仲間入り)、オフサイト(仲間とのつながり)、横展開(成果の共有) 
 • スキル→活動→価値になった成果をチームで共有し、評価することが士気を高める 
 • 的外れな励ましや賞賛は士気を下げる/的がわからないと士気を高められない 
 まとめとアクションのヒント 

  40. 価値
 地図
 学び
 地図 → 学び :スキルの現在地が分かるか ら、効果的な学びを設計できる
 学び →

    価値 :学びによって 個人やチームの力が高まり、 ユーザーに価値を届けられる
 価値 → 地図: 届けたい価値 があるから、必要なスキルや 能力が明確になり、地図の更 新が必要になる
 士気はサイクルの原動力 であり、循環 によってさらに高まる