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GA technologiesでのAI-Readyの取り組み@DataOps Night

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September 29, 2025

GA technologiesでのAI-Readyの取り組み@DataOps Night

下記イベントの登壇時の発表資料です。

DataOps Night #8 ~スケーラブルでAI-Readyなデータ基盤の最前線~
https://finatext.connpass.com/event/365995/

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September 29, 2025
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Transcript

  1. GA technologiesでの
 AI-Readyの取り組み 
 ~不動産投資の面談データを例に ~
 @DataOps Night #8
 GA

    technologies Data本部 Applied ML部 
 酒井悠斗 Data Scientist
 2025/09/29

  2. 1. 登壇者紹介 / 会社紹介
 2. GA technologiesのData Architecture紹介
 3. なぜいまAI

    ready?AI Readyとは?
 4. 面談データ活用を例とした課題と解決策 
 5. まとめ・Takeaway
 アジェンダ 

  3. 登壇者紹介 
 酒井 悠斗 / Yuto Sakai
 職歴:外資保険会社 → 2024年

    GA technologies
 所属:Data本部 Applied ML部 データサイエンティスト 
 
 社内での取り組み:
 ・デジタルマーケティング領域の出稿割合の最適化 
 ・セールス領域の行動とKPIの関連性可視化・分析
 ・社内でのLLMアプリ作成ツール導入による LLMの民主化

  4. なぜいまAI-Readyなのか?
 LLMの本格活用に向けて、その準備に焦点があたっている 
 AIエージェント時代におけるデータの整備 
 〜このままではAgentforceが困っちゃう!?
 いま整えるべきデータの話〜 
 https://www.snowflake.com/ja/product/features/cortex/ SnowflakeではCortex

    AIが続々登場
 OpenFlowなどデータ連携ツールも登場 SalesforceではAI Agent活用を見据え、 データ準備をテーマにコンペを開催 https://successjp.salesforce.com/trailblazer/sfugcup2025 AI ready自体はLLMがこれほど注目される前からある言葉だが、 LLM活用という文脈で 
 言葉の意味が広くなり再注目されるように
  5. AI-Readyとは?
 文脈や視点により定義は異なるが、主に以下の 5つに大別できる 
 戦略 データ インフラ 人・文化 ガバナンス 経済産業省

    総務省 AI事業者ガイドライン AIの活用に関する経団連の考え方 Arm AI Readiness Index 等 経営層レベルの
 スポンサーシップ 包括的なAI戦略 スケーラブルな
 アーキテクチャ LLMフローの迅速 な開発・リリース 適切な権限管理 データ品質管理
 プロセス データの鮮度 組織全体の
 AIリテラシー 人材育成のため
 の計画 AI専門家と
 事業部門との連携 倫理/セキュリティ 等リスク評価 LLMのバイアス
 への対処 適切なLLM プロバイダの選定 LLMフローの管理 適切な予算とKPI
 の設定
  6. お客様が投資用不動産を購入するまで 
 Webでの問い合わせから成約までの一連のフローは以下の通り 
 Contract
 契約手続き
 Field Sales
 オンライン面談
 Inside

    Sales
 電話面談
 Web
 問い合わせ
 この範囲は人が多く関わる領域で、非構造化 データも多く、分析や施策の実施に課題が あった AI活用の余 地が大きい!
  7. 課題1: そもそもデータがない! 
 データが全て DWHに連携されているとは限らない、足りないデータは追加する 
 面談のメタデータはDWHに連携されていたが、面談の会話内容自体は Zoomの中にしか保存され ておらず、そのままでは分析などに使用することができなかった 


    課題
 Zoomの書き起こしをSnowflakeに連携するためにAPIを呼 んで1件1件連携するタスクを作成 
 
 Zoom Revenue Acceleratorの機能がまだ出たばかりで他 社のユースケースも少ない 
 →ひたすらドキュメントを読み込む 
 
 Zoomのチーム割当がCRMのチーム割当と異なる 
 →更新の担当者を集約して齟齬が出ないように 
 解決策
 Snowflake
 内製CRM
 データ インフラ 戦略 人・文化 ガバナンス New!
  8. 課題2: アーキテクチャの悩み 
 ユースケースに合わせてアーキテクチャを検討する必要がある(十社十色) 
 リアルタイム性が求められるユースケースも出てきた、現在の仕組みだと連携に時間がかかり要求 に答えられない
 課題
 Snowflakeにバッチで連携するフローとは別に、リ アルタイムでZoomの面談データを受けて処理する

    フローも作成
 
 アーキテクチャが複雑になるが、どちらのユース ケースにも答えられる幅のあるアーキテクチャに なった
 
 ※Dynamic Tableの案もあったが主にコスト面で不 採用
 解決策
 n8n
 Snowflake
 Dify
 Slack
 バ ッ チ 処 理 W ebhook など Tableau
など インフラ 戦略 データ 人・文化 ガバナンス
  9. 課題3: データが繋がらない! 
 使いやすいデータ整備のために、プロダクトやユーザーの理解・協力が必要 
 社内のSFAシステムは自社開発しているもので、 Zoomとの紐付きは想定されておらず、 
 書き起こしデータと面談のメタデータ(担当者・面談結果など)を紐付けられない 


    課題
 ある程度ロジックでカバーして紐付け(例: 10時に始 まったAさんの面談は、SFAにもZoomにも1件ずつ だからこれが紐づく) 
 
 CRM開発側に面談データ作成時に Zoomの Meetingも作成してもらうように開発してもらう 
 
 プランナーにもZoom自動発行を積極的に使用して もらうように周知
 解決策
 データ インフラ 戦略 ガバナンス 人・文化
  10. 課題4: データの品質が不十分 
 可能な限りデータ品質を高める一方で、他でのカバーも模索 
 文字起こしの精度も完璧ではなく、録音環境や話者による差もある (一般的には固有名詞や短い 単語は誤認識されやすい) 
 課題


    LLMに渡す際にPromptでカバーする
 LLMへのPromptにはメインの命令だけ でなく用語集やビジネス背景、出力フォー マットなど様々な補足情報を追記している 
 
 ※文字起こしを社内で別途行う案も出た が、アーキテクチャがさらに複雑になるこ とや、LLMでのカバーである程度うまく いったのでこちらは不採用 
 解決策
 … [プランナーA] リノシーご存じですか? [顧客B] レノシー よく広告見ますよ。 … <instruction> 議事録を作成してください。 </instruction> <glossary> 1. GA technologies(ジーエーテクノロジーズ ) 我々の会社名 2. RENOSY(リノシー ) GA technologiesのブランドの 1つ … </glossary> … … 顧客はRENOSYのブランドを広告で既に 認知していた。 ... 文字起こし
 議事録
 Prompt
 データ 戦略 インフラ 人・文化 ガバナンス
  11. 課題5: LLMアプリ開発は複雑すぎる! 
 LLMアプリ自体の開発は、適切なガバナンスのもと各事業部で主体的に行ってもらう 
 ビジネス要件を満たす LLMアプリを高速にたくさん作成するのは大変 
 事業部の数が多く中央集権的に開発を行っていると間に合わない 


    課題
 Dify(ノーコードLLMアプリ作成ツール)を導入し、データ以 外のメンバー(現場のメンバー /PdMの担当者など)が主体 的にLLMアプリを作成できる環境を整備 
 →セールスだけでなく様々な事業部で LLMアプリの開発が 活発に行われるように( LLMの民主化の実現)
 
 LLMアプリもDify側でコントロールすることでガバナンスを 担保
 ・管理者:適切なLLMだけAPI接続
 ・利用者:設定された LLMの中で自由に選択
 解決策
 インフラ 人・文化 ガバナンス 戦略 データ
  12. 課題6: LLMの出力は本当に正しい? 
 Benchmarkを見るだけでなく、手元のユースケースで LLMの入出力を人間がチェック 
 LLMが本当に面談を理解しているのか、どれくらい理解できているのかはっきりわからない 
 課題
 


    例えば、社内で定義している面談中の主要アクショ ン(キーアクション)を例に、 LLMがキーアクションの 実施有無をどの程度正確に判断しているのか目視 チェック
 →結果は正解率9割以上でこのユースケースでは 十分な精度だった
 
 他のユースケースでもこのような精度チェックを複 数実施
 解決策
 データ ガバナンス 戦略 インフラ 人・文化
  13. 課題7: アプリが使われているか分からない! 
 適切なロギング、モニタリングが大切 
 作成したアプリがどれだけ使用されているかわからない 
 課題
 
 ログを取得する追加開発も行い、プランナーの使用

    状況を可視化
 
 ・毎日使ってくれる人 
 ・日によって使ったり使わなかったりの人 
 ・特定の面談種別の時だけ使ってくれる人 
 
 →導入のための検討素材の重要なパーツに 
 解決策
 人・文化 戦略 ガバナンス データ インフラ
  14. 課題8: 新しいツールを現場に浸透させるのは大変 
 使ってもらえない原因のヒアリング、その FBがより良いアプリのアイディアに 
 作成したばかりの新しいアプリは認知度・使用率ともに低く、 
 浸透させるまでには苦労を要する 


    課題
 
 リリース直後は、毎朝プランナーの面談予定を チェックしてその直前で声かけや FBを集めるた めに、デスクにいき1人1人に声かけを行ったり 
 
 部長・本部長レベルでも作成したフローをどの ように使うか、どう改善すればもっと使っていけ るか方針の相談
 解決策
 戦略 人・文化 データ インフラ ガバナンス
  15. 現在の話
 いまでは様々な LLMアプリが面談まわりだけでも動いています(引き続き改善中) 
 面談内容の 
 定量的な分析 
 事前準備の自動化 フォローアップ

    
 メールの自動化 
 面談の内容を LLMの力で 簡単にチェックするツール 
 面談の準備として、過去 の面談記録から 
 事前準備書類を作成 面談内容のフォローアップ 資料をLLMで作成し 
 メールで顧客に送信
  16. まとめ・Takeaway
 1つでも参考になれば幸いです 
 1. AI Readyはゴールではなく、プロセス 
 a. 活用されるケースを見据えて、逆算していく 


    b. 今回もデータを活用するユースケースがある程度見えていたのでデータ取得から頑張 れた(周りも協力してくれる) 
 2. 答えは1つではない 
 a. 大枠は共通点も多いが、具体的なアプローチは会社によって様々になるはず 
 b. 会社の状況に合わせて最適な方法を模索する必要がある 
 3. 不完全なデータを恐れない 
 a. テクノロジーで補ったり、運用でカバーすることも選択肢に考える 
 b. 完璧なデータがないと動けないのはもったいない 
 4. 現場との対話が重要 
 a. 現場とのコミュニケーション、フィードバックは大切 
 b. 使われて初めて価値を生む 

  17. ▶ポジション概要
 • 生成AIや機械学習を活用し、事業成長と社内業務効率化を推進するAIソリューションエンジニアを募集。CDO直下の組織で裁量大きく、スピー ディーに開発・改善に携わり、不動産テック領域の変革を牽引します。
 ▶ミッション
 • セールス生産性向上:面談データ活用、AIロールプレイング、自動申し送り書作成、リアルタイムサポートなど
 • マーケティング効率化:LTV予測、ROAS最適化、生成AIによる広告クリエイティブ自動化など
 •

    物件情報活用:物件紹介文自動生成、空室・設備故障リスク予測など
 • コミュニケーション効率化:AIチャットボットによる問い合わせ対応自動化
 • 全社的な生産性向上:テストコード自動生成、バックオフィス業務自動化など
 ▶スキル
 • ノーコード・ローコードツール(Dify, n8n等)活用経験
 • Python/SQLを用いたAI開発経験
 • 非エンジニアとのビジネス連携・要件定義支援経験(ネイティブレベルの日本語必須)
 • プロジェクト推進・完遂経験
 • システム運用・効果測定経験
 ▶魅力
 • 膨大な実データ(年間10万件の面談データ等)を保有
 • CDO直下組織での大きな裁量と迅速な意思決定
 • 「まず試す」文化と高速な改善サイクルと事業貢献への強い手触り感
 • 幅広い領域・フェーズ(toC/toB、グローバル)での経験
 • 福利厚生充実(住宅・家族・保育手当、フルフレックス、自己研鑽制度など)
 ▶待遇
 • 給与:年収800万〜1,200万円
 • 勤務地:東京都港区六本木(六本木一丁目駅直結)
 • 勤務体系:ハイブリッドワーク(週3日出社目安)、フルフレックスタイム制
 • 休日:完全週休2日制(土日祝)
 募集要項例 / AIソリューションエンジニア 
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