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スケーラブルなチームの作り方 / How to make a scalable team?

59b9954b914fda860b6f8a3511e9f041?s=47 Satoshi Okami
October 01, 2021
240

スケーラブルなチームの作り方 / How to make a scalable team?

XP祭り2021で発表したスライドです。

目次

1. スケーラブルなチームとスケーラブルな組織
2. 3種類の属人化の解消と他社事例紹介
3. 協力するとチームの成果は最大化する
4. チームの未来に資する活動
5. 人材の流動性とダイナミック・ケイパビリティの関係
6. 属人化の解消が生み出す競争優位性

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Satoshi Okami

October 01, 2021
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Transcript

  1. XP祭り2021 スケーラブルなチームの作り方 NIKKEI - Satoshi Okami

  2. 1. スケーラブルなチームとスケーラブルな組織 2. 3種類の属人化の解消と他社事例の紹介 3. 協力するとチームの成果は最大化する 4. チームの未来に資する活動 5. 人材の流動性とダイナミック・ケイパビリティの関係

    6. 属人化の解消が生み出す競争優位性 発表サマリー 2
  3. スケーラブルなチームが可能にすること 3 柔軟にメンバーの増減に対応できる。特定の個人に依存しない。 • メンバーが離脱しても引き継ぎ業務が発生しない • 新メンバーは、すぐに開発できる • 急なお休みがあっても、他のメンバーが 業務を引き継げる

    • 有休は好きな時に好きなだけ。1週間でも1ヶ月でもOK
  4. スケーラブルな組織が可能にすること スケーラブルなチームの集合体は、スケーラブルな組織となる。 スケーラビリティは、組織の人材の流動性を高める。 • メンバーのコンバートができる • ジョブローテーションができる • ビジネス環境の変化による急な異動に対応できる •

    従業員の意向に沿ったキャリアパス を実現できる • 他のチームに1ヶ月とか短期移籍できる 4
  5. 人材の流動性が高くなると離職率が低下する 5 “テック企業の組織構造は流動性がとても高い。こう した組織の再編成は頻繁に行われている。メンバー が転職せずにすぐれた仕事を続けてくれる可能性が 高くなるのは、内容をよく理解した仕事を自分で選 び、気に入った人たちと一緒に仕事している場合だ ということだ。” ユニコーン企業のひみつ p68

    4章 トライブでスケールさせる
  6. スケーラブルなチームを目指して始めたこと その人しかできない業務があるから、引き継ぎが発生する。 属人性を解消することから始めた。 ① ワークフローの属人化 ② 業務知識の属人化 ③ 役割の属人化 6

  7. PRの承認、予算の承認の承認者がスケールしないこと。 特定のメンバーに承認権限を限定すると、単一障害点になる。 承認者を複数人にして解決。 • 承認者が離脱すると、メンテナンスが発生する • 休み、MTGでリードタイムが長くなる • 承認者の要件定義が必要になる ①

    ワークフローの属人化 7 例えば、PRはチームメンバー2名が承 認したらマージOK レビュー依頼
  8. ② 業務知識の属人化 業務を遂行するために必要な知識だけど、あの人しか知らないといったこと。 8 スプリントバックログ プロダクトバックログ 新しいタスクや差し込みが 発生したら起票する 日経IDチームの開発プロセス

  9. 業務知識を共有する取り組み 長い期間の中で、メンバー離脱のイベントは起こる。 業務知識を個人ではなくチームに残せば、引き継ぎ業務はなくなる。 ランブック モブプログラミング ハンズオン シャドーイング メンバーが加入したタイミングで 頻繁に実施。あとは要望があれ ば随時。できるまでやる

    ランブックは手順書。障害の対 応方法、依頼対応など、業務遂 行に必要なことをマニュアル 化。暗黙知の形式知化。 設計方針を話し合いながら 固める。モブプロ段階で合意 しているので、 PRをマージす る際のレビューが不要 依頼対応など、他チームに影響があ りそうなことは一緒に対応する スプリントレビュー スプリントの成果をチー ムメンバーに共有 勉強会 業務仕様 WEB標準 etc 9
  10. 業務知識を共有する副次的な効果 “心理的安全性によって社員エンゲージメントが予想できることがわかった。 続いて心理的安全性が同僚との支援関係によって高められる ことも明らかに なった。 ” “学習や能力開発の機会は、従業員のエンゲージメントや生産性と密接な関係にあります。 学ぶ機 会を業務の一環として捉え、従業員の成長と能力開発を後押ししましょう。 ”

    Google re:Work 学習と能力開発  10 恐れのない組織 p72 第1部 心理的安全性のパワー  
  11. ③ 役割の属人化 11 リーダーやファシリテーターといった担当の固定化のこと。 リーダーとフォロワーの関係 全員がリーダー “ファシリテーターはシェアすればいい。 ” “解決策は、チームリーダーではない メンバーにプロ

    ジェクトリーダーをアサインする。” “プロジェクトリーダーを増やして、リーダーをスケー ルさせる。”
  12. シェアド・リーダーシップ(SL)と自己組織化 12 世界標準の経営理論 p333 第3部 ミクロ心理学ディシプリンの経営理論 “もしグループにSLがあるなら、そのメンバー全員がリーダーと しての役割・当事者意識をもてる。” “「従来型の垂直的リーダーシップよりも、SLの方がチームの 成果を高める」という結果が多く示されている。”

    SLとは、チームのメンバー全員がリーダーシップを発揮すること。 自己組織化とは、問題の解決方法をチームが自分たちで決めること。 一方通行のフォロー 相互フォロー
  13. 属人化を解消する本質的な習慣 1. 意思決定プロセスを個人からチームに移譲。全員が話し合いで決める。 新たに決める仕組みや運用フローも権限を個人からチームに移譲して、単一障害点をなくす。 会議は意見を求める、意見に耳を傾けて信頼関係の構築とエンゲージメントの向上を図る。 2. 最適解を追求しない、後でリファクタ。進捗を優先して、未来に投資する “民間宅配業者として 収益性に焦点を合わせることができ、 90%の解に最適化できる。

    その結果として、フェデラル・エクスプレス社の配送効率は非常にいい。 ” 13 UNIXという考え方―その設計思想と哲学 p118 第7章 さらなる10のUNIXの考え方
  14. 他社のチーム事例紹介

  15. ティール組織 多数の人:職場は労働を提供して、お給料をもらう場所 少数の人:職場は、自分らしさを失わず楽しく振る舞える。 有意義な目的を目指して、同僚たちと仲間意識を育める場所 従業員のエンゲージメントを高める組織運営、 集団的知性ベースの自律的な組織運営について書いた本 ティール組織 p101 第2章 自主経営/組織構造

    集団が協調して話し合いで問題解決 15
  16. ティール組織で紹介される組織モデル 進化型モデルの事例紹介 16 現在の組織は5つのモデルに分類できる。

  17. ティール組織 ~ビュートゾルフの事例~ 全員が賛成する完璧な解決策は存在しな いので、合意でなくてOK。将来、いつでも 再提案して見直しOK ビュートゾルフの問題解決プロセス 1. メンバーからの提案について議論 2. 提案の修正や改良

    3. チームとしての判断を決定 ビュートゾルフの看護師チームにはリー ダーがいない。問題は話し合いで解決。 ティール組織 p111 第2章 自主経営/組織構造 17
  18. ティール組織 ~ホラクラシーワンの事例~ 目的は、完璧で確かな答えを出すことでは なく、実現性のある解決策を見つけること。 必要になったタイミングですぐに修正すれ ばOK ティール組織 p200 第3章 自主経営/プロセス

    ホラクラシーワンの問題解決プロセス 1. 問題と解決策の提案 2. 質疑応答による問題点の明確化 3. 反応ラウンド 4. 1の提案の修正 5. 異議申し立てラウンド 6. 統合ラウンド(提案の修正) なるべく反対意見がなくなるまで提案の修 正を繰り返す。 18
  19. 成果を最大化させる話

  20. “お互い協力する方が協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、 協力しない者が利益 を得る状況では互いに協力しなくなる 、というジレンマである。 ” 囚人のジレンマ - Wikipedia   成果主義のジレンマ 20

    機能的でなかったチーム 機能的だったチーム 意思決定 誰かが決定 みんなで話して決定 話し合い 意見の不一致で衝突 意見の不一致を解決 HRT 建前としてのHRT ちゃんとしたHRT (私の経験では)成果主義では、 競争になった。チーム内外で成果の取り合いになった。 一人ひとりが利己的になると、献身性がなくなる。ボール拾いをしなくなる。 deprecate recommend
  21. 協力が成果を出すチームを作る 21 Norming(統一期) “Resolved disagreements and personality clashes result in

    greater intimacy, and a spirit of co-operation emerges. (意見の不一致と性格の不一致が解決は、より親密な関係を もたらし、協力の精神が現れる。) ” Tuckman's stages of group development - Wikipedia タックマンモデル 競争? 協力?
  22. チームでゴルディロックスを促進させる 簡単すぎず難しすぎずのゴルディロックスの満足感を獲得するチーム 1. 多彩なメンバーで構成されたグループを編成する。 2. 「競争のないグループ」にする。 競争によって刺激し高め合ってほしいと考え、同僚同士を競わせたとしても、ほとんどうまくいかないし、 ほぼ確実に彼らの内的動機づけを損ねる。 競争ではなく、「共同」や「協力」 でいこう。

    3. 業務を移管する。 4. 目的によって活力を与える。報酬を与えて動機づけてはいけない。 モチベーション3.0 p273 組織用ツールキット 会社、職場、グループ能力を向上させる 9つの方法 22
  23. 協力を引き出す効果的な方法 “5. 相手の自尊心を満たせば、おのずと好意的な態度をとってくれる。 6. 自尊心が満たされないと、他人に寛容な態度をとることは難しい。” 人望が集まる人の考え方 p43 第2章 人を動かす基本的な秘訣 Part1

    人間の習性をうまく活用する            “ほめて、相手が好意的な反応を示す様子を観察しよう。 どんな人でもたちまち友好的で協力的になってくれるはずだ。” 人望が集まる人の考え方 p202 第12章 人間関係で奇跡を起こす方法 Part4 人々にうまく働きかける            23
  24. ① チーム内に序列をつくらない、意識させない “ヒエラルキーがあると、心理的安全性は低くなる。・・・ ヒエラルキーの下位の人は、 上位の人がいるだけでストレスを感じる という。 ” 協力を引き出す心理的安全な場所を作る ② 失敗を許容する、犯人探ししない

    “イノベーションを起こすには、従業員が安心して発言し、 リスクを恐れずに新しいアイデアを試せる 環境が必要・・・したがって、組織において 失敗をどれだけ許容できているかを把握することが重要に なってきます。 ” 24 Google re:Work - ガイド: イノベーションが生まれる職場環境をつくる 恐れのない組織 p40 第1部 心理的安全性のパワー 
  25. より広いスケールで最適化する 25 ユニコーン企業のひみつ p38 3章 スクワッドに権限を与える 会社全体の成果の最適化する チームの成果を最適化する 個人の成果を最適化する 局所的最適解

    局所的最適解 大域的最適解 “定期的に自分たちの仕事を脇に置いて、他の大事な取り組みも支援すべきだ。スクワッドは自分 たちにとっての最善だけでなく、会社全体にとっての最善のために仕事をする 。 ”
  26. 未来に資する活動

  27. テック企業の従業員の情熱の生み出し方 “「ハックウィーク」とは、エンジニアが通常業務を脇に置いて、 自分の好 きなことをなんでもやれるイベント だ。 ” “ハックデイ、ハックウィーク、20%ルール。呼び名はどうあれ、テック企 業は従業員に探索の余地を与えている。その理由は活力を生むから だ。 ”

    ユニコーン企業のひみつ p104 7章 生産性向上に投資する  27
  28. 時間を捻出してチームの未来に投資する 1. 個人のベロシティは見ない。チーム単位で ベロ シティを安定させる 2. チームのベロシティ(生産性)が向上すると、自由 に使える時間を捻出できる 3. 捻出した時間は外部発信や新技術導入などの チャレンジングな活動に充てることができる

    登壇 コンテスト テックブログ OSS / ツール開発 研修 28 新技術の導入 自由に使える時間 ベロシティトラッキング
  29. 流行りを作る方法に学ぶ文化を作る価値 文化がレジリエントなチームを作る。 • ハンズオン • モブプログラミング • ランブック • シャドーイング

    • 勉強会 • チャレンジングな活動 How to Start a Movement? Leadership Lessons from Dancing Guy 29
  30. ダイナミック・ケイパビリティ

  31. ダイナミック・ケイパビリティを向上させる “企業は技術、人材、ブランドなど、様々なリソース(=経営資源)を持つ。ケイパビリティとは、「 様々 なリソースを組み合わせ直す企業の能力 」である。 ” “現実に、多くの歴史あるグローバル企業は、 事業環境に合わせて大きく業態を転換し、生き残り、 繁栄してきた。 ”

    (例)東レ、富士フィルム、IBM 世界標準の経営理論 p301 第2部 マクロ心理学ディシプリンの経営理論 31 「元チームAメンバー」と「〇〇技術」が 組み合わされると新しい価値が生まれるかも これを絶えず繰り返す
  32. おさらい

  33. チーム開発における属人化を解消すると、スケーラブルなチームができる。 多くのチームがスケーラブルになると、人事異動に柔軟な流動性の高い組織になる。 属人化の解消が人材の流動性を作る スケーラブルなチーム 流動性の高い組織 33

  34. 人材の高い流動性が生み出す企業の競争優位性 34 ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか? - Wikipedia 1. 離職率が低下する 2. 人的リソースの再配置が容易になるので、ダイナミック・ケイパビリティが向上する ユニコーン企業のひみつ

    p68 4章 トライブでスケールさせる 世界標準の経営理論 p301 第2部 マクロ心理学ディシプリンの経営理論
  35. 35 “プロダクト開発にベストプラクティスなど存在しません。特定の環境で有効な手法だ けがあります。” “”守”は、ルールを守って基本を知る。”破”は、ルールを破って状況に合わせる。” 離”は、卓越性をもち自分のやり方を見つけることです。” 大規模スクラム アジャイルとスクラムを大規模に実装する方法 p6 2.1.2 実験,

    ガイド, ルール, 原理・原則 “もちろん「銀の弾丸」は存在しない。複雑な問題への簡単な答えなんてものはない。 他所でやっているからといって、そのままコピーしてはだめだ。” ユニコーン企業のひみつ p160 10章 レベルを上げる:ゆきてかえりし物語
  36. 幸せなエンジニアリング組織を作る 仲間を募集しています。 https://hack.nikkei.com/jobs/