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Fun Done Learn 1.5

Satoshi Okami
January 18, 2023

Fun Done Learn 1.5

レジリエンス・エンジニアリングを利用した Fun / Done / Learn の振り返り方を提案します。

レジリエンス・エンジニアリングの考え方を取り入れることで「うまくいくこと」が増えるように振り返ることができます。

Satoshi Okami

January 18, 2023
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Transcript

  1. 日経IDチーム - Satoshi Okami Fun / Done / Learn 1.5

    レジリエンス・エンジニアリングで振り返るレトロスペクティブ
  2. Safety-IとSafety-IIの違い 4 どんなインシデントが、なぜ起こったのか? を明ら かにする 事後対応で、再発防止の方法論 失敗を減らすのが目的 従って、KPTやポストモーテムと相性がよい 従来の安全管理方法 (Safety-I)

    レジリエンスエンジニアリング (Safety-II) どんなパターンが、どのように発生しているか? を分析してプラクティスを抽出する 事前対応で、未然防止の方法論 うまくいくことを増やすのが目的 従って、ポジティブな振り返り手法の Fun/Done/Learnと相性がよい
  3. Doneできた要因からプラクティスの抽出 6 Done できた要因は何だったか?何がよかったのか? ex) サポートしてくれたとか、モブプロ・ペアプロのお陰だっ た、レビューが早かったから、など • いつもはサポートが遅いのか? •

    遅いなら早くするためにはどうしたらよいか? • レビューの早さを維持する方法はないか? のように、チームへの質問を繰り返して、良い状態を維持 するためのプラクティスを抽出する
  4. Fun | Learn を Done に変えてスプリントゴール スクラムチームは、ゴールを達成し、お互いにサポートするこ とを確約する。 7 •

    タスクに関することなら Done できなかった要因は何か? • サポートが遅かったからか? • そもそもフォローしてもらえなかったからか? • スプリントタスクの粒度が見積もりより大きかったことがわかっ た、など スクラム公式ガイド:スクラムの価値基準 Ken Schwaber & Jeff Sutherland 理由が、サポートが遅かったなら、迅速なサポートはどうしたら実 現できそうか? スプリントタスクが大きかったなら、タスク分解し て、スプリントゴールの再設定を POと交渉すべきだった、など
  5. Fun を維持してパフォーマンスに転化させる 8 ものすごく集中して何かをやっているとき、自分の存在は、一時的に横に置かれる(フロー 状態)のです。 チャレンジ度もスキルも普通より高いときにフローに入ります。ただし、自分 が本当にしたいことをやっているとき です。 TED ミハイ・チクセントミハイ

    : フローについて モチベーション 3.0 持続する「やる気 !」をいかに引き出すか 人が何をコントロールしたいと感じるのかは、本当に人それぞれです。ですから、自律の なかで一番重要な側面は、誰にとっても同じではないと思います。 人によってそれぞれ異 なる欲求がある ので、雇用主にとってもっとも有効な戦略は、 従業員一人ひとりにとって 何が大切なのかを理解する ことではないでしょうか 人は自分の好きなことに取り組んでいるときにこそ最高の仕事をする 、ということを Facebookは心得ているからだ。社員が毎日楽しく心踊らせて出社できる可能性を最大限 に高めるための選択肢を、彼ら自身に与えているのだ。 ユニコーン企業のひみつ p69 4章 トライブでスケールさせる どこに Fun の要素が あったのか? Fun の状態を維持する ためにできることはない か? チームメンバーや担当システムは変化する。レジリエンスエ ンジニアリングで、柔軟に変化に対応する。 Fun要素はチームメンバーのモチベーションを向上させる。メンバー のチームに対するエンゲージメントが向上する。 なぜならば、 Fun は、このチームに居たい理由になる から。
  6. Learn をモチベアップとプロダクトアップデートに 9 ものすごく集中して何かをやっているとき、自分の存在は、一時的に横に置かれる(フロー 状態)のです。 チャレンジ度もスキルも普通より高いときにフローに入ります。 ただし、自分 が本当にしたいことをやっているときです。 TED ミハイ・チクセントミハイ

    : フローについて Learn要素はチームメンバーのスキルアップや生産性向上に転化で きる。新しい技術の導入などの学びをメンバーのスキルアップとシス テムアップデートに還元できる。 ・良いDeveloperはこうしたことにきちんと目を光らせており、より良いソリューションがあ るならばその適用を同時に検討する。 ・例えば、以下のような提案をリファインメントの際に行う 「最近出た〇〇という技術を適用すれば、今後も同様の開発が必要になったと きに簡単に追加できそうですよ。今やりませんか?」 ・これらの振る舞いにより、プロダクトはレガシーになることなく、常に進化し続けることが できる。 良いScrum Developer についてふりかえってみた
  7. 全体最適化のシステム思考も忘れずに 10 これまでのような個別のインシデントへの対症療法では、問題が解決しないどころ か、かえって物事を複雑にする可能性があり ます。例えば、病棟への薬剤の搬送 回数を増やすとか、調剤や搬送状況が電子カルテ上で分かるなどといった、 モグラ たたきではないシステム全体から見た改善策が求められる わけです。そうすれば、 現場も仕事がやりやすくなり、安全性も向上するはずです。システムの中のつなが

    りを理解し全体最適化を図る、 つまりシステム思考が必要なのです。 看護管理 Vol.29 No.12 2019年 12月号 チームやシステムは、様々なチームやシステムと連携している(独立していない)の で、ときには、他のチームやシステムを改善した方が、 無駄な仕事の削減や物事が 簡略化する可能性がある。 システム思考も忘れずに
  8. Fun / Done | Fun / Done / Learn を目指して振り返る

    11 開発者チームの存在意義は、スプリントゴールすること。 Fun 要素は、メンバーのエンゲージメントを向上させる。 Learn 要素は、メンバーのスキルアップだけではない。改善すべき 問題点の知見が含まれる。継続的なプロダクトアップデートや、より 機能するチーム作りに役立つ。 スプリントを重ねる度に、スプリントタスクの Fun / Done や Done / Learn、Fun / Done / Learn が増えるように振り返ると良いので はないでしょうか?
  9. 参考文献 [1] Safety-IからSafety-IIへ ―レジリエンス工学入門― Erik Hollnagel [2] 看護管理 Vol.29 No.12

    2019年 12月号 [3] レジリエンス・エンジニアリング理論の医療安全への適用可能性について 12