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スケーラブルなチームの作り方 / How to make a scalable team?

スケーラブルなチームの作り方 / How to make a scalable team?

2021/04/15 - 16 社内テックカンファレンス「EngineRoom2021」発表資料

優勝

https://hack.nikkei.com/blog/engineroom2021/

Satoshi Okami

January 13, 2023
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Transcript

  1. スケーラブルなチームの作り方
    日経IDチーム

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  2. 1. スケーラブルなチームとスケーラブルな組織
    2. 意思決定プロセスをチームに移譲して単一障害点をなくす
    3. スクラムで仕事が分散する
    4. チームが捻出する数%の時間を未来に投資する
    5. 協力するとチームの成果は上がる
    6. スケーラビリティがアジリティを作る
    発表サマリー
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  3. スケーラブルなチームが可能にすること
    スケーラブルなチームは、個人に依存しない。
    参照:目指すチーム像について
    ● チームから抜ける際の引き継ぎがない
    ● チームにジョインするハードルが低い
    ● 一人一人の業務量に偏りがない
    ● 有休は、好きな時に好きなだけ 、1週間OK
    ● 3ヶ月、エストニア行きたい、 OK
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  4. スケーラブルな組織が可能にすること
    スケーラブルなチームの集合体は、スケーラブルな組織となる。
    スケーラブルな組織は、個人に依存しない。
    参照:目指すチーム像について
    ● メンバーのコンバートが可能?
    ● ジョブローテーションが可能?
    ● ビジネス変化による急な異動に対応可能?
    ● 従業員の意向に沿ったキャリアパス
    が可能?
    ● コラボレーションが生まれやすくなる?
    ● 他のチームに1ヶ月とか短期移籍してみる?
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  5. スケーラブルなチームを目指して始めたこと
    最終的に引き継ぎをなくしたい。属人性をなくすことから始めた。
    個人に依存したワークフローはチームの単一障害点 ex. 異動、退職
    個人に依存するとリードタイムが長くなる(傾向があるはず) ex. MTG、お休み
    業務知識の共有
    スクラム
    意思決定を話し合いで決める
    個人に紐づくワークフローの廃止 暗黙知の形式知化
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  6. チームのコアコンピタンス
    1. 意思決定プロセスは、メンバー全員で話し合って、仕組みや運用を決定
    新たに決める仕組みや運用フローも権限を個人からチームに移譲して、単一障害点をなくす。
    会議は意見を求める、意見に耳を傾けて信頼関係の構築とエンゲージメントの向上を図る。
    2. 最適解を追求しない、後でリファクタ。進捗を優先して、未来に投資
    7.8 (8) 90パーセントの解を目指す
    民間宅配業者として収益性に焦点を合わせることができ、 90%の解に最適化できる。
    その結果として、フェデラル・エクスプレス社の配送効率は非常にいい。
    できるだけ合意する
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    出典:UNIXという考え方―その設計思想と哲学 p118 第7章 さらなる10のUNIXの考え方

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  7. 他社のチーム事例紹介

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  8. ティール組織
    少数の人:職場は、自分らしさを失わず楽しく振る舞える。
    有意義な目的を目指して、同僚たちと仲間意識を育める場所
    多数の人:職場は労働を提供して、お給料をもらう場所
    従業員のエンゲージメントを高める組織運営、
    集団的知性ベースの自律的な組織運営について書いた本
    出典:ティール組織 p101 第2章 自主経営/組織構造
    集団が協調して話し合いで問題解決
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  9. ティール組織
    これの事例紹介
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  10. ティール組織 ~ビュートゾルフの事例~
    全員が賛成する完璧な解決策は存在しな
    いので、合意でなくてOK。将来、いつでも
    再提案して見直しOK
    ビュートゾルフの問題解決プロセス
    1. メンバーからの提案について議論
    2. 提案の修正や改良
    3. チームとしての判断を決定
    ビュートゾルフの看護師チームにはリー
    ダーがいない。問題は話し合いで解決。
    出典:ティール組織 p111 第2章 自主経営/組織構造
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  11. ティール組織 ~ホラクラシーワンの事例~
    目的は、完璧で確かな答えを出すことでは
    なく、実現性のある解決策を見つけること。
    必要になったタイミングですぐに修正すれ
    ばOK
    出典:ティール組織 p200 第3章 自主経営/プロセス
    ホラクラシーワンの問題解決プロセス
    1. 提案発表
    2. 問題点の明確化
    3. 反応ラウンド
    4. 修正と明確化
    5. 異議申し立てラウンド
    6. 統合ラウンド
    なるべく反対意見がなくなるまで提案の修
    正を繰り返す。
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  12. スクラムで仕事が負荷分散する話

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  13. スクラムとは
    アジャイル開発の手法の1つ。反復的に開発、反復の単位はスプリント。5つのイベント
    (会議・開発)、3つのロール(役割)、3つの作成物で構成。
    出典:アジャイル開発(アジャイルソフトウェア開発)
    プロダクトオーナー
    スクラムマスター
    開発メンバー
    プロダクトバックログ
    スプリントバックログ
    インクリメント(スプリントの成果物)
    スプリントレビュー
    スプリントレトロスペク
    ティブ
    スプリントプランニング
    デイリースクラム
    開発
    スプリントレトロスペクティブで仕組み
    を作って問題解決
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  14. 開発
    スプリントバックログのタスクを完了さ
    せる作業。
    着手中は、基本的に一人1タスク。こ
    の禁を破るとベロシティが低下する場
    合があります。
    ヒント:パート図
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  15. 着手中1つだけ縛りの効果
    タスクが分散するので、業務量の偏りがなくなる。
    仕事は抱えない。チームで対応する。手の空いた人が引き取る。
    スプリントバックログ
    プロダクトバックログ
    新しいタスクや差し込みが
    発生したら起票する
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  16. 業務知識を共有する取り組み
    普段の取り組みが将来の引き継ぎを不要にする。
    ランブック
    モブプログラミング
    ハンズオン シャドーイング
    メンバーが加入したタイミングで
    頻繁に実施。あとは要望があれ
    ば随時。できるまでやる
    ランブックは手順書。障害の対
    応方法、依頼対応など、業務遂
    行に必要なことをマニュアル
    化。暗黙知をなくす
    設計方針を話し合いながら固
    める。モブプロ段階で合意して
    いるので、PRをマージする際の
    レビューが不要になる 依頼対応など、他チームに影響があ
    りそうなことは一緒に対応する
    ● 引き継ぎ期間は忙しくなりません?
    ● 引き継ぎ後、しばらくサービスレベルが低下しません?
    スプリントレビュー
    デモをしたり、スプリントの成
    果をチームメンバーに共有
    する
    勉強会
    業務仕様
    WEB標準 etc
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  17. 業務知識を共有する副次的な効果
    ① 心理的安全性によって社員エンゲージメントが予想できることが
    わかった。続いて心理的安全性が同僚との支援関係によって高めら
    れることも明らかになった。
    出典:恐れのない組織 p72 第1部 心理的安全性のパワー 
    ② 学習や能力開発の機会は、従業員のエンゲージメントや生産性と密接な関係にあり
    ます。学ぶ機会を業務の一環として捉え、従業員の成長と能力開発を後押ししましょう。
    出典:Google re:Work 学習と能力開発 
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  18. 未来に投資する話

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  19. スプリントレポート
    累積フロー図 コントロールチャート バーンダウンチャート ベロシティトラッキング
    ● レビュー中は毎日 0に
    近いと、バーンダウン
    チャートの具合がよく
    なる
    ● タスク完了までのリー
    ドタイムの可視化
    ● リードタイムが長い場
    合はタスクの細分化を
    考える
    ● 理想線に沿わない場
    合はタスクの粒度が大
    きいかも。タスクを細
    分化しよう
    ● デイリースクラムで確
    認する
    ● スプリント毎のベロシ
    ティを可視化
    ● スプリントプランニング
    ではベロシティの平均
    値を参考にタスクを積

    参照:スクラムのデータ駆動開発
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  20. 時間を捻出して未来に投資する
    1. 兼務が多いので個人のベロシティは見ない。チーム単
    位でベロシティを安定させる。
    2. チームのベロシティ(生産性)が向上すると、自由に使
    える時間を捻出できる。
    3. チームが捻出した時間は外部発信や能力開発などの
    活動に充てることができる。
    登壇 コンテスト参加 HACK The Nikkei OSS / ツール開発
    みんなの提案。文化になった?
    自由に使える時間
    研修
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  21. 流行りを作る方法に学ぶ文化と持続性
    出典:How to Start a Movement? Leadership Lessons from Dancing Guy
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  22. 成果を最大化させる話

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  23. チームの成果を最大化させる
    ● チーム内で競争すると成果の取り合いになる
    成果主義になると献身性がなくなる
    野球やテニスでいうボール拾いをしなくなる
    結果、チームの成果は最大化されない(たぶん)
    ● 個人の成果の最大化は局所的最適解、チームの成果の最大化は大域的最適解
    競争 協力
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  24. チームでゴルディロックスを促進させる
    簡単すぎず難しすぎずのゴルディロックスの満足感を獲得するチーム
    1. 多彩なメンバーで構成されたグループを編成する。
    2. 「競争のないグループ」にする。
    競争によって刺激し高め合ってほしいと考え、同僚同士を競わせたとしても、ほとんどうまくいかないし、
    ほぼ確実に彼らの内的動機づけを損ねる。 競争ではなく、「共同」や「 協力」でいこう。
    3. 業務を移管する。
    4. 目的によって活力を与える。報酬を与えて動機づけてはいけない。
    参照:モチベーション3.0 p273 組織用ツールキット 会社、職場、グループ能力を向上させる
    9つの方法
    集団的知性と相性いい
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  25. 協力を引き出すために有効なこと
    ● 人望が集まる基礎知識②
    5. 相手の自尊心を満たせば、おのずと好意的な態度をとってくれる。
    6. 自尊心が満たされないと、他人に寛容な態度をとることは難しい。
    参照:人望が集まる人の考え方 p43 第2章 人を動かす基本的な秘訣 Part1 人間の習性をうまく活用する 
             
    ほめて、相手が好意的な反応を示す様子を観察しよう。
    どんな人でもたちまち友好的で協力的になってくれるはずだ。
    参照:人望が集まる人の考え方 p202 第12章 人間関係で奇跡を起こす方法 Part4 人々にうまく働きかける 
             
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  26. ● チーム内に序列をつくらない、意識させない
    ヒエラルキーがあると、心理的安全性は低くなる。・・・ヒエラルキーの下位
    の人は、上位の人がいるだけでストレスを感じるという。
    出典:恐れのない組織 p40 第1部 心理的安全性のパワー 
    協力を引き出す心理的安全な場所を作る
    ● 失敗を許容する、犯人探ししない
    イノベーションを起こすには、従業員が安心して発言し、リスクを恐れずに新しいアイデ
    アを試せる環境が必要・・・したがって、組織において失敗をどれだけ許容できているか
    を把握することが重要になってきます。
    出典:Google re:Work - ガイド: イノベーションが生まれる職場環境をつくる
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  27. 機能的なチームを支える献身性
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    ● 空いた穴は塞ごうと自発的に一人一人が行動する
    ● 役割を明確しない、誰もが何にでもなれる
    ● 協力会社の方は笑っているか?笑顔を引き出す
    ● 協力会社の方にとっても、エンジニアとしてスキルアップできる環境か?
    ● バカな質問をして、質問のハードルを下げる。
    ● キツイ言い方はしない。キツイ言い方をすると、発言が控える人がでる。 議論が発
    展しないし、チームは崩壊。プロジェクトも崩壊する。
    ● 普段からみんなに意見を求める。信頼が生まれる。結束も強くなる。

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  28. おさらい

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  29. 個人に依存するワークフローをなくすと、機能するチームができる。
    多くのチームが機能し出すと、人事異動に柔軟なスケーラブルな組織ができる。
    スケーラビリティが組織のアジリティを作る
    業務知識の情報共有 スケーラブルなチーム スケーラブルな組織
    スクラム
    話し合いによる意思決定
    協力会社
    協力会社さんのスケーラブルも実現可能
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  30. ただ、銀の弾丸ない。
    カスタマイズがチームに油を指す。
    チームに合わせてやり方を変えよう。
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