2021/04/15 - 16 社内テックカンファレンス「EngineRoom2021」発表資料
優勝
https://hack.nikkei.com/blog/engineroom2021/
スケーラブルなチームの作り方日経IDチーム
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1. スケーラブルなチームとスケーラブルな組織2. 意思決定プロセスをチームに移譲して単一障害点をなくす3. スクラムで仕事が分散する4. チームが捻出する数%の時間を未来に投資する5. 協力するとチームの成果は上がる6. スケーラビリティがアジリティを作る発表サマリー2
スケーラブルなチームが可能にすることスケーラブルなチームは、個人に依存しない。参照:目指すチーム像について● チームから抜ける際の引き継ぎがない● チームにジョインするハードルが低い● 一人一人の業務量に偏りがない● 有休は、好きな時に好きなだけ 、1週間OK● 3ヶ月、エストニア行きたい、 OK3
スケーラブルな組織が可能にすることスケーラブルなチームの集合体は、スケーラブルな組織となる。スケーラブルな組織は、個人に依存しない。参照:目指すチーム像について● メンバーのコンバートが可能?● ジョブローテーションが可能?● ビジネス変化による急な異動に対応可能?● 従業員の意向に沿ったキャリアパスが可能?● コラボレーションが生まれやすくなる?● 他のチームに1ヶ月とか短期移籍してみる?4
スケーラブルなチームを目指して始めたこと最終的に引き継ぎをなくしたい。属人性をなくすことから始めた。個人に依存したワークフローはチームの単一障害点 ex. 異動、退職個人に依存するとリードタイムが長くなる(傾向があるはず) ex. MTG、お休み業務知識の共有スクラム意思決定を話し合いで決める個人に紐づくワークフローの廃止 暗黙知の形式知化5
チームのコアコンピタンス1. 意思決定プロセスは、メンバー全員で話し合って、仕組みや運用を決定新たに決める仕組みや運用フローも権限を個人からチームに移譲して、単一障害点をなくす。会議は意見を求める、意見に耳を傾けて信頼関係の構築とエンゲージメントの向上を図る。2. 最適解を追求しない、後でリファクタ。進捗を優先して、未来に投資7.8 (8) 90パーセントの解を目指す民間宅配業者として収益性に焦点を合わせることができ、 90%の解に最適化できる。その結果として、フェデラル・エクスプレス社の配送効率は非常にいい。できるだけ合意する6出典:UNIXという考え方―その設計思想と哲学 p118 第7章 さらなる10のUNIXの考え方
他社のチーム事例紹介
ティール組織少数の人:職場は、自分らしさを失わず楽しく振る舞える。有意義な目的を目指して、同僚たちと仲間意識を育める場所多数の人:職場は労働を提供して、お給料をもらう場所従業員のエンゲージメントを高める組織運営、集団的知性ベースの自律的な組織運営について書いた本出典:ティール組織 p101 第2章 自主経営/組織構造集団が協調して話し合いで問題解決8
ティール組織これの事例紹介9
ティール組織 ~ビュートゾルフの事例~全員が賛成する完璧な解決策は存在しないので、合意でなくてOK。将来、いつでも再提案して見直しOKビュートゾルフの問題解決プロセス1. メンバーからの提案について議論2. 提案の修正や改良3. チームとしての判断を決定ビュートゾルフの看護師チームにはリーダーがいない。問題は話し合いで解決。出典:ティール組織 p111 第2章 自主経営/組織構造10
ティール組織 ~ホラクラシーワンの事例~目的は、完璧で確かな答えを出すことではなく、実現性のある解決策を見つけること。必要になったタイミングですぐに修正すればOK出典:ティール組織 p200 第3章 自主経営/プロセスホラクラシーワンの問題解決プロセス1. 提案発表2. 問題点の明確化3. 反応ラウンド4. 修正と明確化5. 異議申し立てラウンド6. 統合ラウンドなるべく反対意見がなくなるまで提案の修正を繰り返す。11
スクラムで仕事が負荷分散する話
スクラムとはアジャイル開発の手法の1つ。反復的に開発、反復の単位はスプリント。5つのイベント(会議・開発)、3つのロール(役割)、3つの作成物で構成。出典:アジャイル開発(アジャイルソフトウェア開発)プロダクトオーナースクラムマスター開発メンバープロダクトバックログスプリントバックログインクリメント(スプリントの成果物)スプリントレビュースプリントレトロスペクティブスプリントプランニングデイリースクラム開発スプリントレトロスペクティブで仕組みを作って問題解決13
開発スプリントバックログのタスクを完了させる作業。着手中は、基本的に一人1タスク。この禁を破るとベロシティが低下する場合があります。ヒント:パート図14
着手中1つだけ縛りの効果タスクが分散するので、業務量の偏りがなくなる。仕事は抱えない。チームで対応する。手の空いた人が引き取る。スプリントバックログプロダクトバックログ新しいタスクや差し込みが発生したら起票する15
業務知識を共有する取り組み普段の取り組みが将来の引き継ぎを不要にする。ランブックモブプログラミングハンズオン シャドーイングメンバーが加入したタイミングで頻繁に実施。あとは要望があれば随時。できるまでやるランブックは手順書。障害の対応方法、依頼対応など、業務遂行に必要なことをマニュアル化。暗黙知をなくす設計方針を話し合いながら固める。モブプロ段階で合意しているので、PRをマージする際のレビューが不要になる 依頼対応など、他チームに影響がありそうなことは一緒に対応する● 引き継ぎ期間は忙しくなりません?● 引き継ぎ後、しばらくサービスレベルが低下しません?スプリントレビューデモをしたり、スプリントの成果をチームメンバーに共有する勉強会業務仕様WEB標準 etc16
業務知識を共有する副次的な効果① 心理的安全性によって社員エンゲージメントが予想できることがわかった。続いて心理的安全性が同僚との支援関係によって高められることも明らかになった。出典:恐れのない組織 p72 第1部 心理的安全性のパワー ② 学習や能力開発の機会は、従業員のエンゲージメントや生産性と密接な関係にあります。学ぶ機会を業務の一環として捉え、従業員の成長と能力開発を後押ししましょう。出典:Google re:Work 学習と能力開発 17
未来に投資する話
スプリントレポート累積フロー図 コントロールチャート バーンダウンチャート ベロシティトラッキング● レビュー中は毎日 0に近いと、バーンダウンチャートの具合がよくなる● タスク完了までのリードタイムの可視化● リードタイムが長い場合はタスクの細分化を考える● 理想線に沿わない場合はタスクの粒度が大きいかも。タスクを細分化しよう● デイリースクラムで確認する● スプリント毎のベロシティを可視化● スプリントプランニングではベロシティの平均値を参考にタスクを積む参照:スクラムのデータ駆動開発19
時間を捻出して未来に投資する1. 兼務が多いので個人のベロシティは見ない。チーム単位でベロシティを安定させる。2. チームのベロシティ(生産性)が向上すると、自由に使える時間を捻出できる。3. チームが捻出した時間は外部発信や能力開発などの活動に充てることができる。登壇 コンテスト参加 HACK The Nikkei OSS / ツール開発みんなの提案。文化になった?自由に使える時間研修20
流行りを作る方法に学ぶ文化と持続性出典:How to Start a Movement? Leadership Lessons from Dancing Guy21
成果を最大化させる話
チームの成果を最大化させる● チーム内で競争すると成果の取り合いになる成果主義になると献身性がなくなる野球やテニスでいうボール拾いをしなくなる結果、チームの成果は最大化されない(たぶん)● 個人の成果の最大化は局所的最適解、チームの成果の最大化は大域的最適解競争 協力23
チームでゴルディロックスを促進させる簡単すぎず難しすぎずのゴルディロックスの満足感を獲得するチーム1. 多彩なメンバーで構成されたグループを編成する。2. 「競争のないグループ」にする。競争によって刺激し高め合ってほしいと考え、同僚同士を競わせたとしても、ほとんどうまくいかないし、ほぼ確実に彼らの内的動機づけを損ねる。 競争ではなく、「共同」や「 協力」でいこう。3. 業務を移管する。4. 目的によって活力を与える。報酬を与えて動機づけてはいけない。参照:モチベーション3.0 p273 組織用ツールキット 会社、職場、グループ能力を向上させる9つの方法集団的知性と相性いい24
協力を引き出すために有効なこと● 人望が集まる基礎知識②5. 相手の自尊心を満たせば、おのずと好意的な態度をとってくれる。6. 自尊心が満たされないと、他人に寛容な態度をとることは難しい。参照:人望が集まる人の考え方 p43 第2章 人を動かす基本的な秘訣 Part1 人間の習性をうまく活用する ほめて、相手が好意的な反応を示す様子を観察しよう。どんな人でもたちまち友好的で協力的になってくれるはずだ。参照:人望が集まる人の考え方 p202 第12章 人間関係で奇跡を起こす方法 Part4 人々にうまく働きかける 25
● チーム内に序列をつくらない、意識させないヒエラルキーがあると、心理的安全性は低くなる。・・・ヒエラルキーの下位の人は、上位の人がいるだけでストレスを感じるという。出典:恐れのない組織 p40 第1部 心理的安全性のパワー 協力を引き出す心理的安全な場所を作る● 失敗を許容する、犯人探ししないイノベーションを起こすには、従業員が安心して発言し、リスクを恐れずに新しいアイデアを試せる環境が必要・・・したがって、組織において失敗をどれだけ許容できているかを把握することが重要になってきます。出典:Google re:Work - ガイド: イノベーションが生まれる職場環境をつくる26
機能的なチームを支える献身性27● 空いた穴は塞ごうと自発的に一人一人が行動する● 役割を明確しない、誰もが何にでもなれる● 協力会社の方は笑っているか?笑顔を引き出す● 協力会社の方にとっても、エンジニアとしてスキルアップできる環境か?● バカな質問をして、質問のハードルを下げる。● キツイ言い方はしない。キツイ言い方をすると、発言が控える人がでる。 議論が発展しないし、チームは崩壊。プロジェクトも崩壊する。● 普段からみんなに意見を求める。信頼が生まれる。結束も強くなる。
おさらい
個人に依存するワークフローをなくすと、機能するチームができる。多くのチームが機能し出すと、人事異動に柔軟なスケーラブルな組織ができる。スケーラビリティが組織のアジリティを作る業務知識の情報共有 スケーラブルなチーム スケーラブルな組織スクラム話し合いによる意思決定協力会社協力会社さんのスケーラブルも実現可能29
ただ、銀の弾丸ない。カスタマイズがチームに油を指す。チームに合わせてやり方を変えよう。30