近年、医薬品開発の現場では、デジタル技術の急速な進展により、治験のあり方が大きく変わろうとしています。特に欧米では、DCT(Decentralized Clinical Trial:分散型臨床試験)が新しいスタンダードとして定着しつつあり、患者負担の軽減と治験効率の向上を両立する手法として注目を集めています。
日本でも2020年以降、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、DCTへの関心が急速に高まりました。しかし、日本特有の医療制度や規制環境、さらには医療文化の違いから、欧米モデルをそのまま導入することには課題も多く、「日本版DCT」のあるべき姿が模索されています。
一方で、電子同意(eConsent)、ePRO(電子患者報告アウトカム)、ウェアラブルデバイスの活用など、治験業界のDX化は着実に進んでおり、これらのデジタルツールは今後の治験に不可欠な要素となることは間違いありません。
本スライドでは、DX化が加速する治験業界の近未来を展望しながら、日本の治験環境において、DCTがどのような立ち位置で活用されていくべきなのか、その可能性と課題について考察します。従来の施設集約型治験とDCTの二項対立ではなく、ハイブリッドモデルや部分的DCT要素の導入など、日本の実情に即した現実的なアプローチについても触れていきます。
note:
https://note.com/buzzreach_note/n/nf1173f1373d5