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電子カルテ_更新前完全ガイドブック

CLINICS
May 12, 2023
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 電子カルテ_更新前完全ガイドブック

CLINICS

May 12, 2023
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  1. 目次: はじめに P2 1. 電子カルテの普及状況 P3 2. クラウド時代の到来 P5 3.

    スムーズに電子カルテの入れ替えを行うには P6 4. 現システムの「不満」の明確化 P7 5. 同じ轍を踏まないための4つのチェックポイント P9 6. 電子カルテは完全コンバートを目指さない P11 7. 電子カルテの入れ替えスケジュール P12 8. まとめ               P13 (CLINICSカルテへ入れ替える時の利点) P14 別添:電子カルテ入れ替えチェックシート P15 1
  2. 電子カルテの普及状況 電子カルテは、1999年に厚生省(現厚生労働省)より「診療録等の電子媒体による保存につ いて【医政局通知】」が出され電子カルテの使用が認められたことを境に、多数のメーカー から発売が開始されました。それから早20年が経とうとしています。これまでに、以下のよ うな通知を経て、電子カルテを利用する医療機関は年々増加してきました。 電子カルテ普及に関連する主な通知等 1999年  カルテの電子化に関する通知 (診療録等の電子媒体による保存について「厚労省通知」) 2001年 医療IT化に関するグランドデザイン 第1弾

    (保険医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン) 2002年 電子カルテの外部保存に関する通知 (診療録等の保存を行う場所について「厚労省通知」) 2004年 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 2005年 医療IT化に関するグランドデザイン 第2弾 (医療・健康・介護・福祉分野の情報化グランドデザイン) 2006年 レセプトのオンライン請求の義務化 2010年 電子カルテの外部保存に関する通知の一部改正(クラウド解禁) (診療録等の保存を行う場所について「厚労省通知」) 2016年 診療情報提供等の文書の電子的な送受に関する記載の明確化 3
  3. クラウド時代の到来 インターネットやスマートフォンの普及が進み、現在は「クラウドサービス」が様々な分野 で普及しています。クラウドサービスとは、従来は利用者が手元のコンピュータで利用して いたデータやソフトウェアを、ネットワーク経由で、サービスとして利用者に提供するもの です。利用者側が最低限の環境(パーソナルコンピュータや携帯情報端末などのクライアン ト、その上で動くWebブラウザ、インターネット接続環境など)を用意することで、どの端 末からでも、さまざまなサービスを利用することができます。これまで、利用者はコン ピュータのハードウェア、ソフトウェア、データなどを、自身で保有・管理し利用していま した。しかしクラウドサービスを利用することで、これまで機材の購入やシステムの構築、 管理などにかかるとされていたさまざまな手間や時間の削減をはじめとして、業務の効率化

    やコストダウンを図れるというメリットがあります。わたしたちは、メール、カレンダー、 SNS、路線案内、地図アプリなど、1日に何度もクラウドサービスを使用しています。これ らのクラウドサービスのおかげで、わたしたちの生活は格段に便利になりました。 医療分野において、クラウドサービスが利用できるようになったのは、2010年にさかのぼり ます。厚生労働省が「電子カルテの外部保存に関する通知」の一部改正を行いました。この 通知では、これまで医療機関あるいは医療機関に準ずる場所(医師会や自治体)とされてき たサーバの置き場所を、一定の基準を満たした企業のサーバセンターに置くことを認めたの です。これがいわゆる「医療分野のクラウド解禁」です。 当初は、病院内にサーバを保有する「オンプレミス型」が主流で、医療情報のような機微情 報はインターネット上で扱うことが難しいと考えられてきましたが、クラウド解禁から9年 が経過し、近年ではセキュリティ技術の向上やガイドラインの整備に伴い、医療業界でもク ラウドサービスを安全に活用することができるようになってきました。 そし​ て、2016年には、診療状況提供書等の書類について、ネットワーク上で送受信すること が認められるとともに、検査や画像のネットワーク上でのやり取りが診療報酬で評価されま した。2025年の地域包括ケアシステムの完成に向け、ネットワークを活用したシステム( ICT化)の普及を政府が後押ししています。2019年現在では、クラウドタイプの電子カルテ が多数出現し、端末が自由に選べることや低価格を魅力に、一気に普及に拍車がかかりそう な状況です。 5
  4. スムーズに電子カルテの入れ替えを行うには 電子カルテの発売から20年が経過し、様々なメーカーから電子カルテが発売され、今では 多くの医療機関で稼働するようになりました。 現時点では、「オンプレミス型」と「クラウド型」の2種類の方式の電子カルテが存在して います。電子カルテの普及が進み選択肢が増えたことで、以前に導入した電子カルテを入れ 替えたいと考える医療機関が増えてきています。 これまで長年使ってきた電子カルテをいざ入れ替えるのは、かなりの勇気が必要です。電子 カルテは入れ替えが難しいシステムですから、よっぽどな理由がなければ、入れ替えをため らってしまう気持ちはよくわかります。(ここでいう入れ替えとは、メーカーを変えること で、同一メーカーのモデルチェンジによる入れ替えではございませんのでご注意くださ

    い。) 入れ替えが難しい理由はいくつかあります。 1. 現時点では、電子カルテの標準化が進んでおらず、データの移行、引継ぎが完全に はできないこと 2. メーカーごとに操作性が異なるため、せっかく覚えた操作を放棄して、新たに操作 を覚える必要があること 3. 電子カルテを単独で使うことが少なく、何らかの周辺システム※と連携を行ってお り、それをやり直す必要があること ※ここでいう周辺システムとは、画像ファイリング(PACS)や診療予約システム、順番管理 システム、診察券発券機、オンライン診療システム、自動精算機(セルフレジ)、 院内の検査機器など、電子カルテと連携して使用するシステムを指しています。 これらのハードルも徐々に緩和されつつありますが、よりスムーズに電子カルテの入れ替え を行うにはどうすれば良いのでしょうか。順を追って確認していきましょう。 6
  5. 現システムの「不満」の明確化 電子カルテの入れ替えという決断をしたクリニックへ調査すると、入れ替える理由の第一位 は「サポート体制」でした。現時点で多くの電子カルテユーザーがそのまま使用している状 況をみると、これらの体験をした方は、サポートに対する相当な不満を抱えているのだと思 います。特に、多額の保守契約を結び、十分なサポートを期待していたにも関わらず、結局 は何もしてくれないとなると、そのような気持ちになることはもっともだと言えます。 図 入れ替える理由 また、別の理由としては「価格に関する問題」も多くのクリニックから上げられています。 電子カルテは診療所が継続する間ずっと使用するものですから、システムの継続使用のため に一定の費用が必要なことは想定内でしょう。しかしながら、いざその継続使用のための契

    約更新を行おうとすると、思ったよりもメーカーから提示される金額が高いため、びっくり されるケースがあるようです。さらに、また次回の更新時にも同じ金額がかかるのかと思う と、入れ替えについて躊躇するというのが本音と言ったところでしょう。そして、このこと を事前に十分にアナウンスして欲しかったというところも不満のポイントとなっているよう です。 7
  6. 最近では、クラウドタイプの電子カルテなどは、更新時にハードウェアのみの買い替えで済 むものが出てきています。電子カルテの継続使用が前提となっているためです。 たとえば、当社が発売提供している「CLINICSカルテ(​ https://clinics-cloud.com/karte/ )は、以下のような環境を推奨しております。 • Windows、Mac、Linux搭載のパソコン • ブラウザ:Google Chrome

    最新版 • ディスプレイ解像度:1920×1080以上 • インターネット回線(実効速度2Mbps以上、10Mbpsを推奨。光ファイバーなど、持続 的に高速な実効速度が得られる環境をご利用ください) 上の推奨環境であれば、原則機種によらずお使いいただくことができますので、契約更新時 にハードウェアの買い替えも必須ではありませんし、契約更新の費用もかかりません。 入れ替えを検討する際には、現システムの不満をまとめておくことが大切です。この「不満 を明確化」する作業が、スムーズな入れ替えにつながります。 8
  7. 同じ轍を踏まないための4つのチェックポイント 電子カルテの入れ替えを勇気をもって決断したとしましょう。しかしながら、次のメーカーでも 結局同じことが起きるかもしれません。同じ轍を踏まないためにはあらかじめ、どのような点に 注意すれば良いか考えてみましょう。 ポイントは、​ 「コスト」「サポート」「操作性」「機能」​ の4点です。 コスト 新しい電子カルテと現在の電子カルテのコスト比較を行うにはどうすれば良いでしょうか。ま ず、現在の電子カルテの入れ替え後のトータルコスト(イニシャル+ランニング)に対して、新

    しい電子カルテのトータルコスト(イニシャル+ランニング)とデータ移行やシステム連携にか かる費用を加えて考える必要があります。 データ移行については後述しますが、移行レベル(どの程度の情報をどこまで移行するか)に よって価格が大きく異なります。また、画像ファイリングシステムや診療予約システムの連携な ど周辺システムについては、そのまま連携できる場合と新たにシステムの変更が必要になるケー スがありますので、注意が必要です。 現在、電子カルテを単独で使用することはほとんどありませんので、電子カルテを変えること は、診療所のシステム全体にかかることであるという視点は忘れてはならないポイントです。 サポート 新しい電子カルテメーカーのサポートが良いかどうかは、それは導入してみなければわからない ものです。基本的にサポート体制というものは、会社​ の体制と担当者の問題ですが、会社の体制 が良ければ、自ずと担当者のレベルに差はなくなります。担当者に依存しない、サポート体制を どのように構築しているかは重要なポイントです。最新の技術を活用した「チャットサポート」 や「遠隔サポート」は新たなサポートの在り方を提案している例と言えるでしょう 当社の「CLINICSカルテ」は、ソフトウェアの障害から使い方のサポートまですべてをオンライ ン上で完結できる体制になっています。クリニックに駆けつけて対応する場合と比べ、問題が発 生した際にオンラインから直接サポート担当者にリアルアイムチャットで連絡を行うことができ るため、問題解決までの時間を格段に短縮することができています。 操作性 「入れ替えたら、前より使いにくくなった」のでは、当然また不満が溜まってしまいます。そう ならないためにも、入れ替え前に、十分にシステムを触ってしっかり確認してください​ 。操作性 とは、「直感的に操作が行えるか」という問題と同じ意味です。医師の思考を十分に理解した直 感的なユーザーインタフェイスを実現するためには、医師の開発への関与が重要になります。そ れを目指した開発になっていれば、自ずと機能と操作が一致し、医師が期待する操作性になって いることでしょう。 9
  8. 電子カルテは完全コンバートを目指さない 実は、入れ替え時のコツとして最も重要なことがあります。それは、完全なデータのコンバート を目指さないことです。 これまで使用してきた電子カルテから新しい電子カルテにデータを移行できるかは、たいへん重 要な問題です。しかしながら、先述したようにこれまでに発売されてきた電子カルテはデータの 共通化・標準化があまり進んでいないが現状です。 したがって、残念ながら完全にデータ移行(コンバート)するのは難しくなっています。そこ で、電子カルテのデータがどこまで移るかを確認するために、コンバートの可能の有無を「頭書 き(患者情報)」「カルテ」「レセプト」「検査結果」「文書(紹介状や診断書など)」「病 名」と一つずつ確認してください。導入後に、「実はデータが引継ぎできません」では、もう後

    の祭りです。 標準化が進んでいない電子カルテにおいては、特に『2号用紙の移行』はハードルが高いので、 無理に移行することは考えず専用のデータビューワーを用いるなどのツールを併用しても良いか も知れません。 このコンバートツールは、過去のカルテや紹介状、検査結果などのデータをPDF形式やJPEG形式 でアウトプットし、そのデータをビューアで確認できるものです。このビューアは新しい電子カ ルテと連携(ID連携:カルテを開く同時に起動する)させて使用することができます。これは 「あえて完全コンバートを目指さない」という発想の転換により開発されたシステムです。この システムを利用することで、過去の電子カルテをいちいち立ち上げる必要はなくなります。ちな みに、カルテの保存義務は治癒から5年間ですから、過去の電子カルテは半永久的に取っておく 必要があります。 図 電子カルテのコンバート 11
  9. 電子カルテの入れ替えスケジュール 最後に、電子カルテの入れ替えを行う場合の作業スケジュールについて解説します。 「コスト」「サポート」「操作性」「機能」​ の4つのチェックが終わったら、いよいよ電子カル テの入れ替えに移ります。電子カルテの入れ替えを進めるにあたり、モデルスケジュールを明示 しますので参考になさってください。 1. 新旧の比較チェックに抜けがないか確認する (コスト、サポート、操作性、機能の観点からチェック表を作成) 2.

    新しい電子カルテと契約を結ぶ (見積り、契約書を確認し、新規に契約を結ぶ) 3. 新しい電子カルテのセッティングを行う (マスタやセット、周辺システムとの連携を行う。連携できない場合は周辺システム野 買い替えも視野に入れて考える) 4. 過去カルテから新しい電子カルテへデータ移行を行う (先述したツールなどを利用してデータ移行する。移行に時間がかかる場合もあ るので、余裕を持ったスケジュールを立てる) 5. 新しい電子カルテの操作指導を受ける (新しいシステムの操作を覚えるために指導を受ける。操作性に差が少ない場合は、差 分だけの確認で済む) 6. 新しい電子カルテでシミュレーションを行う (実際の診療シーンを想定して、シミュレーションを繰り返し行う。この際に気づいた 点は、メーカーと相談して運用をどうするか話し合っておく) この1~6の流れは、同時並行であったり、順番が前後したりすることもありますので、あくま で参考として考えてください。 図 電子カルテの入れ替え手順 12
  10. まとめ 現在、わたしたちは様々なクラウドサービスを利活用することで多くの便益(ベネフィッ ト)を享受することができ、そのおかげで生活スタイルは変貌を遂げています。いまではク ラウドサービスなしでは生活が成り立たないと言っても過言ではありません。 医療の世界でもクラウドサービスは普及が始まっており、電子カルテ等の医療システムにつ いても、多数のクラウドサービスが生まれることで、システムの選択肢が増えていると言え るでしょう。 そのような時代の変化の中で、電子カルテの入れ替えについて、「電子カルテ入れ替え前に 考えて欲しいこと」、「電子カルテ入れ替えのコツ」について、本書では順を追って解説し てきました。

    電子カルテの入れ替え前に、「コスト」「サポート」「操作性」「機能」の4つ視点ごと に、チェックして欲しい内容について解説いたしました。継続的利用を意識した価格設定や 新たなサポート体制としての「チャットボット」や「クラウドサーバがもたらすフォロー体 制」がサポートの在り方を変えようとしていることが分かっていただけたことと思います。 現在のシステムに対する不満を解消することができ、新たな電子カルテとともに歩んで行く ためには、必ず確認していただきたいポイントです また、電子カルテの入れ替えのコツとして、電子カルテの標準化が進んでいない現在では 「完全なデータ移行」の実現が難しいため、市販のデータビューワーなどのツールを併用す ることで移行に関するハードルが下がることをお伝えしました。 最後に、電子カルテの入れ替えを検討されている皆様にとって、本書を活用いただくこと で、2度と同じ轍を踏まずに新しい電子カルテとともに歩んで行くご支援になれば幸いで す。 13
  11. (「CLINICSカルテ」へ入れ替える時の利点) 当社のCLINICSカルテは「コスト」面では、従来のオンプレミス型とは異なり、更新時に多額の費用 は掛かりません。継続的な使用を想定して価格設定がされており、更新時にはソフトの更新はかから ず、使用期間が長くなるほどコストが削減できることが見込めます。ハードウェアの入れ替えにかか る費用だけととなっています。 「サポート」については、従来の電話やメールのサポートのほかに、最新の技術を活用した「チャッ トボット」によるサポートを行っています。操作などで困ったことを時差なくリアルタイムにサポー トを行うことが可能です。また、そもそも電子カルテ及びレセコンがクラウドにあるため、何かしら のトラブルがあった際にも、スムーズにトラブルの原因究明、解決が可能です。 「操作性」については、医師の思考に合わせた「直感的な操作性」を実現するために、社内に複数の

    現役医師が常駐し、開発チームと連携してクライアントからの要望を反映させるシステムをとってい ます。医師の操作性に対する様々な要望を速やかに吸収できる体制があります。 また、クラウド型にもかかわらず電子カルテと画像ファイリングなどの周辺システムとの連携を随時 おこなっており、様々な周辺システムとの連携が可能となっています。さらに、古い電子カルテから 新しい電子カルテへのデータ移行に関しても、徐々に様々なメーカーに対応できるようになっていま す。 14
  12. 別添:電子カルテ入れ替えチェックシート ☑ チェックポイント 1 □ □ □ 現システムに対する不満はどのようなものでしょうか。 サポート面の不満 価格面の不満

    その他の不満(                             ) 2 □ □ □ 新システムと現システムとの「コスト」を比較しましたか。 イニシャルコスト(初期導入費用) ランニングコスト(利用料・保守費用) 更新コスト 3 □ □ 新システムの「サポート」体制を確認しましたか。 日ごろの質問の対応方法 トラブル時の対応方法 4 □ □ □ 新システムの「操作性」を確認しましたか。 十分にデモンストレーションなどで確認しましたか。 直感的な操作が可能ですか。 随時、ユーザーの要望を取り入れる体制がありますか。 5 □ 新システムと現システムの「機能」の比較をしましたか。 「機能」に関する比較表を作成しましたか。 6 □ □ 新システムと周辺システムの「連携・接続」を確認しましたか。 現在使用中の画像ファイリング、予約システムなどがそのまま利用できますか。 利用できない場合の代替方法を確認しましたか。 7 □ □ □ 現システムから新システムのデータ移行について確認しましたか。 データ移行の範囲について確認しましたか。 データ移行できない部分の対応方法を確認しましたか。 データ移行にかかるコストを確認しましたか。 15