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攻撃者視点で考えるDetection Engineering

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攻撃者視点で考えるDetection Engineering

EDR や SIEM などのセキュリティ製品を導入していても、なぜ攻撃が成功してしまうのか。
Red Team テストを実施するだけでは、なぜ監視・検知力が上がらないのか。
本資料では、「攻撃者視点で考える Detection Engineering」を軸に、従来の対策の限界と、次に取り組むべき継続的なパープルチーム演習、検知ロジックの設計について解説します。

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Ruslan Sayfiev

June 19, 2026

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Transcript

  1. ⾃⼰紹介 Ruslan Sayfiev / サイフィエフ ルスラン Principal Consultant / Red

    Team Architect ̶ Fujitsu Uvance Wayfinders OSEE OSCE3 OSCP GXPN 略歴 「Red Teamテスト=防御態勢再設計の起点」を軸に、重要資産を 守り抜く防御変⾰を推進 15年以上にわたり、オフェンシブセキュリティ領域に従事。300件を 超える実戦プロジェクトを経験し、国内における関連サービスの⽴ち 上げ・運⽤をリード Red Teamを単なる侵⼊検証にとどめず、攻撃者視点とビジネスリス クに基づく防御態勢・検知設計・対応⼒の再設計を⽀援 2026年より富⼠通 Uvance Wayfinders に参画し、実戦的なサイ バー抵抗⼒の構築と新たな実践型セキュリティサービスの創出を推進 専⾨分野 ・Red Teaming / Adversary Simulation ・ペネトレーションテスト ・Exploit開発 / リバースエンジニアリング ・脆弱性リサーチ (CVE発⾒実績あり) ・Offensive R&D / ツール開発 ・Detection Engineeringとの連携設計 ・OffSec公式トレーナー (CODE BLUE) LinkedIn: https://www.linkedin.com/in/ruslan-sayfiev/ X: @cryptopeg
  2. Red Team 攻撃者の視点で、 最⼤のビジネスリスクにつながる攻撃経路を実証する 攻撃経路 / 防御ギャップ / ビジネスインパクト Threat

    Hunting / 脅威ハンティング 仮説をもとに、 まだアラート化されていない脅威の痕跡を探す 仮説検証 / 痕跡探索 / 新しい検知候補 Detection Engineering 攻撃シナリオをもとに、 次に同じ攻撃が来た時に気づける仕組みを設計する ログ設計 / 検知ロジック / アラート品質 / 対応設計 Purple Team 攻撃と防御を同じ場で検証し、 検知・対応・防御を改善する 検知検証 / チューニング / プレイブック改善 ⽤語の定義と概念整理︓似ているが、役割が違う それぞれ役割は異なるが、攻撃者視点の防御⼒を⾼める上で、どれも重要である
  3. 対策の有無ではなく、「攻撃の流れ」が⾒えているか EDRがある ≠ 攻撃全体が⾒える EDRは端末の可視化に強い。 しかし、認証・SaaS・VPN・権限悪 ⽤は範囲外になりやすい。 Red Team演習 ≠

    次回は気づける 演習はスナップショット。 設計・検知・運⽤を変えなければ、 同じギャップが残る。 CSF準拠 ≠ 攻撃経路を⽌められる フレームワークはベースライン。 ⾃社固有の攻撃経路は別途設計する 必要がある。 よくある誤解
  4. フレームワークはベースライン。⾃社の攻撃経路は別途設計が必要。 CSF が提供するもの • ⼀般的な管理策の指針 • リスク分類の枠組み • セキュリティ成熟度の評価軸 •

    コンプライアンス対応の基盤 CSFだけでは具体化できないこと • ⾃社固有の攻撃経路 • 必要なログソースの優先順位 • どこで攻撃者を⽌めるべきか • 検知ルールの具体的な設計 なぜCSF準拠だけでは⼗分ではないのか CSFをベースに、⾃社固有の重要資産・攻撃経路・検知要件を具体化する必要がある
  5. 演習はその時点のスナップショット。攻撃⾯は毎⽇変わる Red Team演習は継続的に安全を保証するものではない • ビジネスリスクはスコープに強く依存する • 報告書で終わると、効果は残らない • 個別の脆弱性を修正しても、攻撃経路や設計上の問題は残りうる •

    修正できない問題でも、監視・検知は設計できる • 新しいSaaSや例外設定により、攻撃⾯は変わり続ける • 攻撃者の⼿法も変わるため、検知も継続的に更新が必要 なぜRed Team演習だけでは⼗分ではないのか 重要なのは、演習結果を環境設計・運⽤・検知設計に変換すること
  6. 攻撃は端末だけで完結しない。認証・SaaS・VPN/ZTNA・権限の可視化が必要。 EDRの主な可視範囲は 端末 認証 IdP / AD データアクセス SaaS /

    DB / ファイルサーバ 接続 VPN / ZTNA / SASE 横展開 ネットワーク / 端末 / サーバ 権限悪⽤ IdP / AD / PAM なぜEDRがあっても侵害されるのか EDR (回避されても)で⾒えない攻撃経路を他のログソースと相関して確認する仕組みが必要
  7. 攻撃者モデルをそろえる Initial Access Broker 漏洩・弱い認証情報 リモートアクセス(VPN) フィッシング 外部公開サービス Ransomware Operator

    短期間(最⼤影響) データ窃取 暗号化 業務停⽌ APT 標的型・⻑期侵⼊ ゼロデイ攻撃 ステルス・OPSEC 複数回の試⾏ 内部犯罪 正規アクセス 検知が極めて難しい ・「誰を想定するか」を明確にする ・攻撃者モデルごとに、必要なログソースと検知粒度は異なる ・内部犯罪の対策には正規操作のベースライン化が必要 攻撃者によって、狙い⽅も必要な検知も変わる Detection Engineering視点
  8. 外から会社はどう⾒えるか 攻撃者は「⼊⼝」を探して、外から⾒える情報だけで攻撃計画を作れる 公開情報 ドメイン/サブドメイン IdP/SSO VPN/ZTNA/SASE SaaS/外部サービス 採⽤情報(製品・スキルセット等) 導⼊事例(製品情報)/技術記事(プロセス等) グループ・⼦会社(同ネットワーク)

    サプライチェーン/パートナー企業 社員情報/メールアドレス Detection Engineering視点 ・外部公開資産を継続的に棚卸しする ・IdP / VPN / SaaS など「⼊⼝」のログを優先的に確認する ・外から⾒える攻撃経路を、検知シナリオに変換する
  9. ⼩さな例外、過剰共有された情報、⾒えていないログがつながると、攻撃経路になる 攻撃シナリオ ︓全体概要 OSINT 認証情報漏洩 情報収集 外部監視 → 2 3

    IdP/SSO 設定不備 IdPログ → M365リソース 内部情報収集 M365監査ログ 5 → リモートアクセス 設定不備 VPN/SASEログ → 7 特権アカウント AD / 特権操作ログ 業務影響への道 前提︓仮定した防御状況 • EDR︓導⼊済み • IdP︓MFA / アクセス条件付きポリシー導⼊済み • リモートアクセス︓ID/PW + MFA(形式上はMFA) 1 2 3 4 5
  10. 攻撃シナリオ①︓認証情報漏洩が攻撃の起点になる 漏洩情報と推測可能なパスワードパターンから、有効な認証情報が特定される OSINT 攻撃者の⾏動 ・漏洩DBから、認証情報を発⾒(デフォルトパスワー ドに類似したもの、使い回しのもの) ・パスワードスプレー攻撃⽤のリストを構築 ・有効なアカウントを発⾒ よくある防御ギャップ ・漏洩情報の継続的な監視がされていない

    ・デフォルトや推測可能なパスワードの使⽤ ・パスワードスプレー攻撃の検知閾値が設定されていない ・失敗ログインを監視していない ・多数の失敗 → 1件の成功 ・珍しいコンテキストからの初回ログイン Detection Engineering視点 ・漏洩情報の定期的なモニタリングと、該当アカウントの迅速なリセット ・IdPログから短時間の複数認証失敗を検知するルールを設計 ・同⼀IPからの複数アカウントへのログイン試⾏を相関検知
  11. 攻撃シナリオ②︓信頼された条件は抜け道になる 例外ルールでアクセス条件付きポリシーを回避し、M365リソースに不正アクセス IdP / SSO 攻撃者の⾏動 ・アクセス条件付きポリシーの判定条件を分析 ・特定のデバイスを偽装することでアクセス条件付き ポリシーを回避 ・MFA回避でM365リソースへのアクセスに成功

    よくある防御ギャップ ・アクセス条件付きポリシーがUser-Agentなどの容易に 偽装可能な条件に依存 ・デバイス準拠状態やカスタムパラメータの検証不⾜ ・ポリシー回避の試⾏をログとして記録・監視していない Detection Engineering視点 ・IdPログから想定外のIPアドレス、User-AgentやOS情報を検知するルールを設計 ・⾒慣れない Client ID / App IDやMFAが要求されない許可のログインパターンを検知 ・ アクセス条件付きポリシーの判定結果(許可/拒否)を定期的にレビューし、例外パターンを発⾒ ・同⼀ユーザの異なるデバイスプロファイルからのアクセスを相関検知
  12. 攻撃シナリオ③︓M365は攻撃者の地図になる 過剰に共有されたドキュメントから、内部システムの構成と認証情報が漏れる M365リソース 攻撃者の⾏動 ・外部サービスの情報を発⾒ ・平⽂で記載された認証情報を発⾒ ・リモートアクセスや内部環境に関連する情報を発⾒ よくある防御ギャップ ・機密情報を含むドキュメントが全社員に公開されている ・認証情報がドキュメント内に平⽂で記載されている

    ・SharePointやOneDrive上の⼤量ファイルアクセスが監 視されていない Detection Engineering視点 ・M365監査ログから短時間の⼤量ファイルアクセスを検知 ・DLP(情報漏洩防⽌)でパスワード・証明書を含むドキュメントを検出 ・SharePointやOneDriveの共有範囲を定期的に棚卸し、過剰共有を発⾒
  13. 攻撃シナリオ④︓正規接続は正規ユーザを意味しない 取得した証明書と認証情報でVPN接続が確⽴され、内部ネットワークへ侵⼊ リモートアクセス 攻撃者の⾏動 ・取得した情報元にリモートアクセスを確⽴ ・デバイス準拠やカスタムパラメータの検証がなく、 接続に成功 ・攻撃者の端末から内部ネットワークへ直接アクセス が可能に よくある防御ギャップ

    ・デバイスポスチャ(準拠状態)チェックがない ・証明書とパスワードの「形式上のMFA」が実質的に機能 しない ・新規デバイスからのVPNやSASE接続が監視・アラート 化されていない Detection Engineering視点 ・VPNやSASEログから未登録デバイス・新規デバイスの接続を検知 ・証明書のシリアル番号と発⾏元を照合し、想定外の証明書を検出 ・ VPNやSASE 接続元のIP/地理情報とユーザの通常パターンを⽐較 ・証明書はCAだけでなくCN(Common Name)でも検証し、想定外の値は検知する
  14. 改めて、なぜEDRがあっても侵害されるのか EDR は重要。しかし、攻撃経路全体を⾒るには他のログソースとの相関が必要 攻撃ステップ ログソース EDRだけでは不⼗分な理由 パスワードスプレー攻撃 IdPログ クラウド認証イベントは端末外で発⽣する アクセス条件付きポリシー回避

    IdPログ クラウド認証イベントは端末外で発⽣する M365リソース探索 M365監査ログ クラウド上の操作イベントは端末ログだけでは追えない リモートアクセス VPN / SASEログ 攻撃者の端末に EDRがない ドメイン管理者権限の悪⽤ AD / 特権操作ログ 認証成功だけではアラートになりにくい 攻撃のステップによって確認すべきログソースは異なる
  15. 改めて、なぜRed Team演習だけでは⼗分ではないのか 演習結果を継続的な検知・運⽤に変換しないと、ギャップが残る Red Team は「侵⼊できること」を⽰す。Detection Engineering は「次回は気づけること」を作る。 Red Team

    テスト実施 報告書 受領 指摘事項を 対応 攻撃 シナリオの レビュー 必要なログ/ テレメトリ の再定義 検知 ロジックの 作成 テスト/ チューニング Red Team Detection Engineering
  16. まとめ CSF、EDR、Red Team演習はいずれも重要です。 しかし、それぞれ単独では攻撃経路全体を⾒切れません。 今⽇のポイント • CSFはベースラインを⽰すが、⾃社固有の攻撃経路までは具体化しない • EDRは端末を可視化するが、認証・SaaS・VPN・権限悪⽤までは⾒切れない •

    Red Teamは攻撃経路を明らかにするが、結果を運⽤に落とし込まなければ継続的な防御⼒に はならない • 攻撃者は、⼩さな例外・過剰共有・⾒えていないログをつなげて攻撃経路を作る 重要な考え⽅ 必要なのは、個別の対策を増やすことだけではなく、攻撃シナリオをもとに、必要なログ・検知・ 相関・運⽤を設計することです。