Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

競輪選手の体力を視覚化するための物体認識とデータサイエンスの融合

Sponsored · Your Podcast. Everywhere. Effortlessly. Share. Educate. Inspire. Entertain. You do you. We'll handle the rest.
Avatar for CyberAgent CyberAgent PRO
July 09, 2024
7.1k

 競輪選手の体力を視覚化するための物体認識とデータサイエンスの融合

Avatar for CyberAgent

CyberAgent PRO

July 09, 2024
Tweet

More Decks by CyberAgent

Transcript

  1. 松田 和己(まつだ かずき) • 社歴:2015年4月新卒入社 • 所属:メディア統括本部 > Data Science

    Center(DSC) • 職種:データサイエンティスト • 担当サービス:WINTICKET • 業務内容: ◦ ユーザ体験向上のためのデータ分析や機能開発 ◦ スポーツ映像テックのためのデータサイエンス ◦ データチーム(WINTICKET担当)のマネジメント ◦ 横軸組織として事業との組織連携 自己紹介
  2. • 3つの競輪場に対応 ◦ 小倉 競輪場(福岡県) ◦ 平塚 競輪場(神奈川県) ◦ 前橋

    競輪場(群馬県) • これまで通り通常の映像を選択できる オンオフ機能を搭載 • ABEMA競輪チャンネル番組でも活用 WINLIVE
  3. 2D3Dどちらも、動画像内の選手位置を推定する、というタスク 2D • IN:放送用のレース映像 • OUT:動画内の位置情報 3D • IN:専用の固定カメラのレース映像 x

    複数 (※実施時に設置・撮影) • OUT:競輪場内の3D位置情報 物体認識技術 - タスク エフェクト表示位置 レースの進捗状況 エフェクト判定 選手の体力状況 選手の3D座標
  4. 物体認識技術 - 2D 改善事例 課題 • 放送用レース映像は1カメラなので、審判台 などの障害物や選手同士の重なり時に抜け (認識漏れ)が発生しやすい 方法・結果

    • 該当フレームで認識されない選手がいた場 合、直前フレームまでの情報を用いてカルマ ンフィルタによる補完を行うことで精度改善 • 車番の誤認識についても低減 後:6番車(緑)を正しく認識し、5番車(黄)も正常に認識 前:審判台で6番車(緑)を見失い、5番車(黄)と誤認識
  5. 物体認識技術 - 3D 概要 • 2Dと同様に、動画像内の位置を推定 • 3D専用の固定カメラを複数台設置する必要有 ◦ これが対象場が限られている理由

    • 競輪場のスキャンデータを作成することで、 カメラの位置と向きを事前推定でき、動画像 内の位置を競輪場における3D座標に変換する ことも可能となる • 画角の見切れに対応するため、複数台の結果 をマージして3D座標の推測結果を得る
  6. 物体認識技術 - 3D 改善事例 課題 • 数万枚のアノテーションデータが必要となっ ていて、コスト(お金と時間)がかかる 方法・結果 •

    類似したアノテーションデータを間引く、つ まりアノテーションをする画像枚数を減らし ても精度が維持されるかどうか検証した • 結果、多様性が重要であり、1/5 に間引いた 場合でも問題ないことがわかった 評価項 目 説明 all 1/5 1/15 + aug3 1/15 Acc@1 予測した上位1つのラ ベルが正解ラベルと一 致する割合 96.453 96.673 95.729 95.041 Acc@5 予測した上位5つのラ ベルの中に正解ラベル が含まれる割合 99.938 99.972 99.910 99.924
  7. 体力を数値化するためのデータサイエンス (0,40) (0,-40) (x,y) (0,0) (40,0) (-40,0) (-40,40 ) (-40,-40)

    (40,40) (40,-40) 実際の競輪場のコースは非常に複雑な形をしていて、厳密な位置関係を求めることが難しい。 これに対して、シンプルな半円形状を仮定する、ことで計算が簡略化できると考えた。 ※画像は、静岡競輪場公式サイト( https://www.shizuoka38.jp/ )より引用 シンプル化
  8. 体力を数値化するためのデータサイエンス 0.5m 1.0m 2.0m 3.0m 1.5m 1.0m 0.5m 1.0m 0.5m

    ① 他選手との位置関係を求め、非線形な関数を定義しスリップストリーム効果を計算する
  9. 体力を数値化するためのデータサイエンス 0.5m 1.0m 2.0m 3.0m 1.5m 1.0m 0.5m 1.0m 0.5m

    ① 他選手との位置関係を求め、非線形な関数を定義しスリップストリーム効果を計算する ② 最も強い効果を、その選手が受ける効果とする
  10. 体力を数値化するためのデータサイエンス (0,40) (0,-40) (x,y) (0,0) (40,0) (-40,0) (-40,40 ) (-40,-40)

    (40,40) (40,-40) θ レースの進捗状況 • 位置関係から先頭選手が判定でき、先頭選手 の座標がつくる角度をベースに計算している エフェクト表示判定 • 計算された空気抵抗の値や、残り体力を比較 して判定している
  11. 体力を数値化するためのデータサイエンス 定量評価(テスト走行計測) • 場所:平塚競輪場 • 観点:構築した計算ロジックは、どの程度正しいのか実態と比べる方法がなかった • 方法:パワーメーター(漕ぐ力を計測する装置) を装着した自転車で実際に競輪場を走行 ◦

    特に前方に選手がいるケースで、走行速度が近しい実際のレースでの計算結果と差がないか ◦ 低速設定(35km/h)と高速設定(50km/h)の2つの状況 • 結果:以下のような結果で、実態と大きな差のないロジックとなっていることが確認できた ◦ 力の大きさの絶対値は、±20W程度 の差 ◦ 追走する選手の軽減率は、±2%程度 の差
  12. 体力を数値化するためのデータサイエンス 定性評価(一部事前) • 対象:有識者(サービスメンバーや競輪選手) • 観点:WINLIVEの映像(特に体力)について違和感ないか • 方法: ◦ サービスメンバーや競輪選手:ドメイン知識を持つ人から見ても違和感がないか

    ◦ 競輪選手のみ:(どちらかというと事前調査的な意味合いが強い) ▪ 風(空気抵抗)をどう考えているか ▪ スリップストリームの効果をどう感じているか • 結果: ◦ リリースOKとなった
  13. WINLIVE の効果検証 定量評価(プレリリース時A/Bテスト) • 期間:2023年1月小倉競輪 • 対象:約76,000ユーザ(新規ユーザ) • 観点:WINLIVEによって競輪新規ユーザの理解が促進され利用意向度が向上するか •

    方法:行動ログを用いてレース映像視聴ユーザの翌日視聴率や翌日投票率を比較 • 結果: ◦ 翌日視聴率が+3.2pt、翌日投票率が+2.9pt ◦ 参考:レース映像視聴ユーザは、両群合計で4,000弱(対象全体の5%)
  14. WINLIVE の効果検証 定性評価(プレリリース時A/Bテスト) • 期間:2023年1月小倉競輪 • 対象:約76,000ユーザ(新規ユーザ) • 観点:WINLIVEについてどのように感じているか •

    方法:アンケート ◦ 5段階評価(理解のしやすさ、面白さ、興味関心向上)、自由記述 • 結果: ◦ 未経験層で平均4程度の高い支持 を得られた ◦ 玄人層からは通常映像を求める声も ▪ オンオフ機能の初期リリース時に組み込む意思決定
  15. WINLIVE の効果検証 定量評価(リリース後) • 期間:2023年5月小倉競輪、前橋競輪 • 対象:全ユーザ(レース映像視聴ユーザ) • 観点:WINLIVEが実際にリリースされオンオフ機能が活用されているか •

    方法:行動ログを用いて新規/既存ユーザの機能オンオフ率を比較 • 結果: ◦ 既存ユーザを含めて多くのユーザがWINLIVEを利用している(今後もFBを注視していく) ▪ 新規ユーザ:85%程度のユーザがオン ▪ 既存ユーザ:75%程度のユーザがオン