本書は「インタビュイー(インタビューに応じてくれる協力者)のお願いの仕方」についてのマニュアルです。
インタビュイーを依頼する時、うまくいく一定の「型」があります。これをまとめたものが「依頼マニュアル」です。次の「雛形文」の虫食い部分を埋めて、テキストエディターなどであらかじめ依頼文章を作っておき、コピペして利用すると、失敗せずに、効率的に依頼ができます。
1デザインスプリント:インタビュー協力者へのお願いの仕方マニュアル本書は「インタビュイー(インタビューに応じてくれる協力者)のお願いの仕方」についてのマニュアルです。インタビュイーを依頼する時、うまくいく一定の「型」があります。これをまとめたものが「依頼マニュアル」です。次の「雛形文」の虫食い部分を埋めて、テキストエディターなどであらかじめ依頼文章を作っておき、コピペして利用すると、失敗せずに、効率的に依頼ができます。デザインスプリントのインタビューは、必ず1対1で行います。30分~1時間程度かけて、1人づつ同じ内容を聞いていきます。お願いする人数は3人以上、5人未満です。なるべく5人になるようにお願いと時間確保を行いましょう。依頼する人全員が承諾するとは限らないので、1人2人断られても良いように、依頼人数は、6~8人程度にしましょう。お願いする人は、顧客セグメントに適合していても、あなたの家族や親しい同僚は避けましょう。馴れ合いで、都合の良いコメントになってしまう可能性があります。全く見ず知らずの方ではなく、あなたから少し遠い存在の人ーつまり、知り合いのそのまた知り合いとか、同僚のお友達(社外の)ーなどの「つて」を辿って協力者を探しましょう。Ver. 2.0
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2どんな検証でも、顧客セグメントにおけるプロダクトの有効性を確かめたいので、インタビュイーは、すべて同じ属性の方を集めるよう、気をつけてください。どうしても揃わない場合は、顧客セグメントから多少保ずれていても構いません。その場合「プロダクトを買ってくれる見込みがあるか」、「興味を持ってくれそうか」という視点で選定をしてください。インタビュイーは、なるべくプロダクトの情報を持っていない状態、事前情報のない状態、つまりプロダクトについては全くの初心者であることが望まれます。インタビューに来ていただく前になるべくプロダクトの情報をうっかり語ってしまわないように気をつける必要があります。うっかり情報を喋ってしまうと、事前にその関連の情報をネットで調べたりして「知ったふり」で来られる方がいるからです(本人に悪気はないのですが)。お願いをする時は電話ではなく、できるだけ文字で伝えるようにします。電話だと、会話の流れから、相手がいろいろ周辺情報を聞きやすくなるからです。
3「雛形」は、絶対これでなければならない、というものではありません。状況や相手に合わせてニュアンスを変えて送っていただいて結構です。◆謝礼について一般的には、2、3千円から数千円、または商品券などのお礼をインタビュー終了後に急な依頼のお礼を込めて包んで差し上げます。しかし最初から【謝礼を差し上げます】と言ってお誘いするのは、できるだけ避けてください。お金目当てに来られる方だと、ヨイショしておこうという(またはその逆で必要以上に細かいコメントをいただく場合も)気持ちが生まれ、本音が聞きだせない場合があるからです。ただ、ウソをつく必要もないので、訊かれた場合は、素直に「謝礼はご用意しています」と言って良いと思います。
4次の文章の虫食い部分を穴埋めして、あらかじめ依頼文章を作っておき、あなた自身が送信するか、または依頼をしてもらう方にメールやSNSで送信してもらいます。インタビュー依頼の雛形[ ]さん、こんにちは。突然ですが、ひとつご相談があってご連絡させて頂きました。今、私は開発中のプロダクトに携わっています。まだ企画開発段階で、販売前に幅広いご意見集めてプロダクトを改善しているところです。そこで[ ]さんにご相談なのですが、30分ほどご協力していただけないでしょうか?そのプロダクトの説明を受けたり、使ったりしていただいて、[ ]さんの率直な印象を伺いたいのです。お忙しいところ恐縮ですが、以下の1から4のうちご都合がよい時間帯がありますか?ご都合がよい時間帯がありましたら、ぜひお知らせください。よろしくお願いします。日程候補:○月○日(○)1.XX:00-XX:002.XX:00-XX:00○月○日(○)3.XX:00-XX:004.XX:00-XX:00場所:XXXXXXXX
5このようにシンプルな内容で、まずは日程では確保してもらうようにします。・日程候補は、こちらの都合で先に確保しておき、その中で選んでもらうようにします。 ・1時間単位で候補を書き出します(インタビュイー同士が前後ですれ違わないよう、時間の余裕をとるため)この聞き方で、大抵の人は「わかりました。ご協力します」と言っていただけるはずですが、中には次のように訊ねられる場合があります。その場合は、事前にプロダクトの情報を漏らさないように注意しながらやり取りをしてください。
6【Q1】 「それって、具体的にどんなの?」 と訊かれたら【A1】事前にお話してしまうと新鮮な状態でご意見が伺えなくなるので、申し訳ありませんが、詳しくはお話はできないんです。ごめんなさい。そのかわりに当日、どうぞ楽しみにいらしてください。と、返信します。【Q2】 「興味ないので」、「今忙しいので」、「何で私が?」 と言われたら【A2】どんなものか、ご説明していないので、ご興味が湧かないのも当然だと思います。ただこのご相談は、私が今携わっている仕事の中では、とても重要なものなのです。こういったことはぜひ[ ]さんに、と常日頃から思っていたので、せひ[ ]さんにご協力いただきたいのです。でももし、あまり気が進まないのであれば、お断りいただいて全然構いません。と、返信します。ここまで言われて断る方は、あまりいません。【Q3】 「謝礼はもらえるの?」「お金はもらえるの?」 と訊かれたら【A3】謝礼はお渡しできるかどうか分りません。ひっとしたらお渡しできないかもしれません。担当の者に訊いてみます。または、申し遅れましたが、謝礼はご用意しています。と、返信します。メッセージ送信後の対応
7以上のことに気をつけて、インタビュー協力者を探します。なお、一度OKがとれたからと言って、安心はしないでください。中には数週間後のことで、忘れてしまう方もいるからです。必ず、途中に2、3度確認のリマインドをするようにすることで、かなりの割合でドタキャンを防止することができます。できれば、前日のお昼頃にもリマインドしましょう。