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エンベデッド・ファイナンスのキホンと今後の展望

 エンベデッド・ファイナンスのキホンと今後の展望

2024年2月21日に行われた『エンベデッドファイナンスの躍進〜フィンテック養成勉強会#39 powered by QUICK』で、城田 真琴(株式会社 野村総合研究所 DX基盤事業本部兼デジタル社会研究室 プリンシパル・アナリスト)が講演した「エンベデッド・ファイナンスのキホンと今後の展望」の発表スライドです。
https://fintech-engineer.connpass.com/event/310137/

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  1. 1 Copyright (C) Nomura Research Institute, Ltd. All rights reserved.

    城田真琴(しろたまこと) ◼2001年キャリア入社後、IT基盤技術戦略室長などを経て現職。専門は先端技術/ITビジネスのリサーチ ◼総務省「スマート・クラウド研究会」技術WG委員、経産省「IT融合フォーラム」パーソナルデータWG委員、 経産省・厚労省・文科省「IT人材需給調査」有識者委員会メンバー等を歴任 自己紹介 「クラウドの衝撃」 2009年2月 「ビッグデータの衝撃」 2012年7月 2015年2月 2016年8月 「パーソナルデータの衝撃」 「FinTechの衝撃」 BSジャパン「日経プラス10」 参議院内閣委員会(参考人意見陳述) 2021年12月 「エンベデッド・ファイナンス の衝撃 」 「決定版 Web3」 2023年4月 「ChatGPT資本主義」 2023年9月New!
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    エンベデッド・ファイナンスの基本 01 今後の展開 02
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    1.エンベデッド・ファイナンスの基本
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    エンベデッド・ファイナンスとは? エンベデッド・ファイナンスの基本 ◼金融以外の事業を展開する非金融企業が、既存サービスに金融サービスを組み込んで提供すること ◼消費者の行動の動線に結びつけて金融商品やサービスを一緒に提案する点がポイントであり、消費者と 日常的に多くの接点を持っていたり、顧客に関するデータを保有している企業が主体となる 金融サービス 消費者 金融機関 金融機関 消費者 非金融企業 金融機能 自社のサービスに金融 機能を組み込んで提供 消費者は自分から必要なタイミングで金融機関にアクセス (消費行動とは別の導線) 従来 エンベデッド・ファイナンス 適切なタイミングで 金融サービスをオファー これまでリーチでき なかった消費者に リーチ可能 利便性の高い サービスの利用 ・新たな収益機会の獲得 ・顧客接点の強化 ・本業とのシナジー ・保有データの有効活用 BaaSによって提供 (Banking as a Service) 金融規制対応、 リスク管理
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    「シナリオ金融」を掲げるZホールディングス(旧ヤフー!、LINE) エンベデッド・ファイナンスの基本 ◼ヤフオク!で電子機器購入時に「修理保険」を、「PayPayモール」で高価なものを買いたい時に「LINEポ ケットマネー」を、 「Yahoo!トラベル」で予約時に「キャンセル専用保険」などを提案 出所)Zホールディングス資料
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    PayPayほけん、サービス開始4年で累計加入件数が500万件を突破 エンベデッド・ファイナンスの基本 ◼「シナリオ保険」、「ミニアプリ保険」を合わせたPayPay保険サービスが提供する保険商品の累計加入件 数が提供開始から約4年で500万件を突破(2024年1月31日) ◼Yahoo!ショッピング」の「あんしん修理(家電)」は、1日に最大4.2万件の加入があり、商品購入時の 保険加入率(付保率)も平均10%を上回る 出所)https://www.paypay-insurance.co.jp/info/001879.html
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    エンベデッド・ファイナンスの5領域 エンベデッド・ファイナンスの基本 ◼現状では決済が最も先行しており、投資が遅れている ◼保険の場合、生保ではなく、損保が先行(特に少額短期保険) ◼非金融サービスに組み込む「必然性の高さ」が左右(組み込むことで「消費者の背中を押せるか」) エンベデッド・ファイナンス (組み込み型金融) エンベデッド・ ペイメント (決済) エンベデッド・ レンディング (貸付) エンベデッド・ インシュランス (保険) エンベデッド・ インベストメント (投資) エンベデッド・ バンキング (銀行) 出所)野村総合研究所 ・グーグル(グーグルマップ から駐車料金支払い) ・ Shopify (Shopify Payment) ・ヤマト運輸(にゃんPay) ・各種BNPL ・アマゾンやイーベイなどの ECサイト (出店企業向け融資) ・メルカリ(スマートマネー) ・各種お釣り投資 ・ Stash ・セブン銀行 (お買い物投資コレカブ) ・各種キャンセル保険 ・サカイサイクル ・ Shopify (ストア運営リスク保険) ・ Amazon Seller Wallet ・ヤマダホールディングス ・リクルート
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    USアマゾン 出品者向けのウォレットサービス「Amazon Seller Wallet」を試験提供 エンベデッド・ファイナンスの基本 出所)野村総合研究所 ◼「Amazon Seller Wallet」は出品者向けの販売管理画面「セラーセントラル」の一機能として提供され、 アマゾンストアでの売上と入金管理を簡素化し、事前に設定した時刻に銀行口座に送金可能 ◼登録に必要な費用や最低金額はなく、アカウントの維持も無料。出品者が資金を両替して海外送 金する場合のみ、通貨換算と国際送金手数料がかかる ◼アマゾンの売り上げに占めるサードパーティによる販売額は約58%となっており、サードパーティの成長がア マゾンの成長に影響する 出品者の銀行口座 売上 送金 出品者の 「アマゾンセラー・ウォレット」 入金 「 Amazon Seller Wallet」のイメージ 2022年11月には、フィンテック企業Parafinと提携し、融資サービスの提供も開始
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    エンベデッド・ファイナンスはフィンテックの第3の波 エンベデッド・ファイナンスの基本 ◼フィンテックブームの到来とともに、金融サービスの担い手の裾野が拡大 ◼フィンテック企業による単独でのビジネス展開に限界が見えたタイミングでエンベデッド・ファイナンスが登場 フィンテックブーム到来 2015年頃~ オープンAPI エンベデッド・ファイナンス ✓ スタートアップ続々誕生 ✓ ロボアド、マーケットプレイス レンディングなどの新サービス ✓ 「アンバンドリング」化の進行 2018年頃~ ✓ 改正銀行法の施行 ✓ 銀行とフィンテック企業との協業 ✓ セキュアなPFMなどの実現 ✓ 非金融企業とフィンテック企 業との協業 ✓ BaaSの登場 ✓ 「金融サービス仲介業」創設 2021年頃~
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    エンベデッド・ファイナンスの主要プレイヤと企業例 エンベデッド・ファイナンスの基本 役割 主要プレイヤ 企業例 ライセンスホルダー (金融サービス関連 免許の保有者) 金融ライセンスを保有し、金融 規制対応やリスク管理を受け持 つ。金融商品やサービスを非金 融企業に提供。 日本:フィンテック企業、銀行 米国:銀行 日本:住信SBIネット銀行、 GMOあおぞらネット銀行、 みんなの銀行、三菱UFJ 銀行など 米国:Green Dot Bank、BBVA、 Cross River Bank、 Goldman Sachs など イネーブラー (Enabler) 非金融企業に対し、BaaSなどの APIを通じて、預金や融資、クレ ジットカード、保険などの金融商 品やサービスを提供。 日本:フィンテック企業、銀行 米国:フィンテック企業 日本:Finatext、スマートプラス、 インフキュリオンなど 米国:Marqeta、 Galileo、 Finix、 Synapse、Stripe など 非金融企業 (ブランド) イネーブラーが提供するBaaSなど を利用し、最終的に消費者に金 融商品/サービスを提供 顧客接点を有し、大規模な顧 客ベースを持つ流通・小売・通 信・旅行・ITなどの企業 日本:メルカリ、ヤフー、リクルート、 ヤマダホールディングスなど 米国:Apple、Google、 Uber、テスラ、Fordなど 出所)野村総合研究所 ◼金融サービス関連の免許を保有する銀行や証券、保険会社などのライセンスホルダー、BaaSを介して 金融サービスを提供するイネーブラー、顧客接点を持つ非金融の事業会社が主要な登場人物
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    日米で異なる役割分担 エンベデッド・ファイナンスの基本 非金融企業 イネーブラー ライセンスホルダー 銀行 API専業プロバイダ フィンテック企業 事業会社 消費者 消費者 銀行、フィンテック企業 事業会社 出所)野村総合研究所 BaaSとして提供 BaaSとして提供 ◼オープンAPIの浸透とともに、免許を保有する一部の金融機関がBaaSの提供を始めており、イネーブラー とライセンスホルダーとの境界は曖昧 ◼日本ではライセンスホルダー、あるいはフィンテック企業がイネーブラーとなるケースがほとんど ◼米国では役割が細分化され、フィンテック企業と銀行間を繋ぐAPIの提供に専念するベンダーも登場 (Plaidなど)、銀行もそれぞれ得意なサービスがある(Green Dot:バンキング、Cross River:消費者 ローンなど)
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    BaaS(Banking as a Service)とは何か エンベデッド・ファイナンスの基本 自社サービスに必要な金融機能を組み込んで提供 BaaS(Banking as a Service) 銀行、証券、保険会社、フィンテック企業(ライセンスホルダー) 非金融企業 決済 口座 送金 貯金 投資 融資 保険 ・・・ API API 消費者 ◼決済・預金・融資・保険などの金融機能を、APIを介して機能単位でサービスとして事業者に提供する 仕組み ◼BaaSを使用している=必ずしもエンベデッド・ファイナスではない点に注意
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    住信SBIネット銀行は着々とパートナーシップを拡大 エンベデッド・ファイナンスの基本 ◼一定の会員基盤を抱える事業会社をパートナーとし、「銀行代理業」の許可を得られるようにサポート ◼パートナー企業は自社の会員を対象に、シナジーが見込める金融サービスを中心に提供 「ネオバンク」の特徴 ✓ 銀行代理業のライセンス取得をサポート ✓ パートナー企業は「支店」の位置づけ (「住信SBIネット銀行 JAL支店」など) パートナー企業 ヤマダホールディングス 日本航空(JAL) Tマネー(CCC) ⚫ 会員数約3000万 ⚫ 多通貨プリペイドカード「JAL Global WALLET」 ⚫ 外貨預金等が可能な「JAL NEOBANK」 ⚫ 会員数約7000万 ⚫ 銀行取引などでTポイントがたまる「T NEOBANK」 ⚫ ポイントはカードローンの返済やスポーツくじに使用可能 ⚫ 会員数約6000万 ⚫ 専用住宅ローンの利用やヤマダLABIカードの引落口座に 指定するとポイントがたまる「YAMADA NEOBANK」 ネオバンクの口座数は100万口座を突破(全口座数の15%超)
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    BaaS事業の成否を分けるのは何か エンベデッド・ファイナンスの基本 ◼適切なパートナーシップに基づくスキームを確立した後は、マネタイズに対する方針を確立し、 Win-Win の関係を維持できるかがポイントに 役割 ポイント、留意点(例) ライセンスホルダー (金融サービス関連 免許の保有者) 金融ライセンスを保有し、金融規制対 応やリスク管理を受け持つ。金融商 品やサービスを非金融企業に提供。 ブランド経由で獲得した口座をいかに収益に結びつけ られるか。どこまで「黒子」に徹するか(徹しないか)。 ライセンスホルダーとして、適切な規制対応やリスク 管理が求められる(1昨年から米国で問題に) イネーブラー (Enabler) 非金融企業に対し、BaaSなどのAPI を通じて、預金や融資、クレジットカー ド、保険などの金融商品やサービスを 提供。 シームレスに金融サービスを組み込み可能なインフラを 提供できるか。AIやアナリティクスを活用したデータ分 析サービスなどの付加価値を提供できるか。 非金融企業 (ブランド) イネーブラーが提供するBaaSなどを利 用し、最終的に消費者に金融商品/ サービスを提供 本業とのシナジー効果を最大限に高めるCXの設計。 金融事業での収益をどこまで求めるか。 自社の「ポイント」とライセンスホルダーの「ポイント」と の連携の有無。
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    BaaSに積極的だったBlue Ridge Bankは、規制強化に伴いフィンテック企業とのパートナー シップの縮小を決定 エンベデッド・ファイナンスの基本 ◼2022年にOCC(通貨監督庁)が、同行のBaaSプログラムを監視対象としたことが契機 ◼2023年4月にはFDIC (連邦預金保険公社)がCross River Bankに対して、公正融資プログラムの 不遵守とフィンテック融資パートナーに対して適切な監督を怠ったとして同意命令を発行 Blue Ridgeは、多くの消費者を惹きつける 主要なBaaSパートナーを除いて、パートナーを 減らす予定です。コンプライアンス監視コストを 削減するため、多くの口座数を保有するか、一 口座当たりの預金残高が多いパートナーのみに 限定する計画です。 出所)https://s201.q4cdn.com/389310288/files/doc_presentations/2023/Nov/16/q3-2023-investor-presentation.pdf
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    エンベデッド・ファイナンス(BaaS)各領域の現状と今後の見通し 今後の展開 ◼「非金融企業のサービスに組み込んで提供する」という特性上、「商品設計が複雑」「高度な商品説明 を必要とする」「その場で意思決定ができない」金融商品の提供は難しい点には注意が必要 ◼既存の基幹系システムに極力手を入れずに、デジタルで提供可能な新サービスの提供に適する 領域 現状 今後の見通し 日常生活で最も利用シーンが多く、取り組みが進 んでいる(UNIQLO Pay、ファミペイなど) さらに多くの非金融企業が取り組み始めると予想されるが、 利幅が薄いため、決済単体ではなく、貸付などと合わせて提 供する企業が増加する。 個人向けではBNPLが注目を集めているが、多く は「請求書到着から14日以内」など、「割賦販 売」には該当しない範囲でのビジネスに留まる。 海外では返済できない消費者が増えており、消費者保護の 観点からBNPLに対する規制強化の動きがある。 業種特化型SaaSと連携した中小企業向け融資は、今後国 内でも広がる可能性がある。 損保中心に少額短期保険の提供が活発 金融サービス仲介業では、保険金が1,000万円を超える生命 保険、2,000万円を超える損害保険などが対象外であるため、 引き続き、少額短期保険中心に提供が進む。 多くの顧客ID(一般消費者)を有する非金融 企業の参入が活発化 BaaS提供企業間で多くの顧客を抱える優良企業の奪い合 いが発生する一方、inBサービスとの連携や保険・証券会社と の提携も増加(BaaS) いわゆる「おつり投資」を中心とする少額投資サー ビスが中心 国内でも個人投資家(特に若年層)が増加しており、おつ り投資以外の少額投資サービスにも潜在ニーズがありそう。 決済 貸付 保険 銀行 投資
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    (BaaSを利用した銀行サービスの拡大)BaaSを利用して銀行機能を提供するケースが増加 今後の展開 ◼23年秋~24年にかけて、ネット銀行のBaaSを利用して銀行機能を新たに提供するケースが目立つ ◼ 主体 名称 開始時期 概要 BaaSの提供 京王電鉄 京王NEOBANK 2023年9月 京王パスポートカード会員が対象。銀行サービスの利用、 住宅ローンの借入等により京王ポイントが貯まる 住信SBIネット 銀行 イーデザイン損保 アンディー支店 2023年10月 みんなの銀行の「パートナー支店」の位置付け。みんな の銀行口座と連携することで、自動車保険&e (アンディー)の保険料を即時引き落とし。 みんなの銀行 松井証券 MATSUI Bank 2023年10月 松井証券の利用者向けの銀行サービス。証券口座と 銀行口座のシームレスな連携を実現。 住信SBIネット 銀行 大和コネクト証券 ー 2023年12月 みんなの銀行を利用する顧客向けに大和コネクト証 券の資産運用サービスを連携。みんなの銀行アプリ経 由で大和コネクト証券の証券口座を開設して利用 みんなの銀行 岡三証券 岡三BANK (仮称) 2024年度 上期中 証券と銀行の融合サービスの開発に向けた共同検討 に関する基本合意書を2023年9月に締結。岡三証 券の店舗で対面で顧客に提供予定。 GMOあおぞら ネット銀行 JR東日本 JRE BANK 2024年春 楽天銀行のインフラを利用して銀行口座を提供。利 用に応じて「JRE POINT」や列車優待などの特典を付 与。駅のATMでの現金引き出しは手数料無料。 楽天銀行 池田泉州ホール ディングス 01Bank (ゼロワンバンク) 2024年度中 池田泉州HDが新たに設立するデジタルバンク子会社 01Bank向けに、預金や融資、審査分析などの銀行 機能をBaaS型で提供 GMOあおぞら ネット銀行
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    (中小企業向け融資)マイクロソフトは「 Dynamics 365」の利用企業に融資(米国) 今後の展開 ◼BaaS事業者のFinastraと提携、ERP/CRMソフト「Microsoft Dynamics 365」を利用している米国 の中小企業向けに融資サービスを提供 ◼金融機関は独自の融資審査情報に加えて、企業の同意を得た上でMicrosoft Dynamics 365 に格納されている売掛金や支払いなどの情報を使用、融資額や融資期間を決定 ◼中小企業はDynamics 365上から、融資サービスに申し込み可能 Finastra 中小企業 (「Microsoft Dynamics 365」の利用企業) 「Microsoft Dynamics 365」 上から申込み可能 実際の融資は 金融機関が実行 マイクロソフト ・ ・ ・ 米国内の5,000を超える 金融機関と接続済み BaaSの提供 「Microsoft Dynamics 365」 の提供
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    (業種特化型SaaSとの連携)Parafin、MindbodyのSMB顧客向けに融資サービスを提供 今後の展開 ◼Mindbodyはフィットネス産業向けにスタッフのスケジューラー、給与支払い、決済システムなど総合的な 運営管理ソフトウェアを提供するソフトウェア企業 ◼ParafinはMindbodyのシステム上のデータを事前審査し、Mindbodyの顧客に対し融資をオファー ($500 ~$10,000,000の資金提供が可能) ◼銀行からの迅速な資金提供を実現するために、銀行との接続にはModern TreasuryのAPIを活用 JPモルガンなど BaaSの提供 (SMB向け融資) フィットネス産業向け ソフトウェアの提供 銀行との接続用 APIを提供 ジム、ヨガスタジオ、スパなど
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    (地域金融への拡大)きらぼしFGと三菱商事は組込型金融の共同事業化を目指す 今後の展開 ◼地域に根差した顧客基盤を持つ事業会社等のエンベデッド・ファイナンスの構築を中心にDX推進を支援 ◼三菱商事の役割は顧客基盤を持つプレーヤーと金融基盤と金融機能のパーツを持つプレーヤーを結ぶこと 出所)https://www.tokyo-kiraboshifg.co.jp/fg/info/230530.html
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    まとめ ◼エンベデッド・ファイナンスは、消費者の行動の動線に結びつけて金融商品やサービスをタイム リーに提案する点がポイントであり、消費者と日常的に多くの接点を持つ企業が優位に立つ ◼金融機関から見ると、より多くの顧客(=ID)を抱えている企業とのパートナーシップが重要 ◼米国では、OCCやFDICがBaaSプログラムを監視対象とし始めたことから、ライセンスホルダー のコンプライアンス監視コストが増加。自由にパートナーシップ契約を締結できなくなったことも あり、BaaS事業を縮小する動きがみられる。特にBaaSに積極的だった中小の銀行への影響 が大 ◼日本では、最近、BaaSを利用した金融機関同士のパートナーシップ(証券×銀行、保険× 銀行など)が増加。特にAPIの提供を得意とするネット銀行の活躍が顕著。 ◼B2C型のエンベデッド・ファイナンスが先行していたが、今後はB2B型のエンベデッド・ファイナン スが増加すると予想される