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プロダクト開発を成功させるためのソフトウェア品質保証のアプローチと技術/Software QA...

プロダクト開発を成功させるためのソフトウェア品質保証のアプローチと技術/Software QA Approach for Puduct Success

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Hiroki Iseri

August 22, 2025
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  1. 自己紹介 ⚫経歴 • 開発者、テストエンジニア、コンサルタント、QAエンジニアと様々な立場で 様々なプロダクトのソフトウェア品質保証業務に従事 • テスト・QAについて執筆・講演・研究・技術指導多数 • 現在は車メーカーでQA/テストテックリードを担当 •

    JSTQB技術委員、テスト設計コンテストU30クラス初代審査委員長 ⚫主な著作 • 「ソフトウェアテスト徹底指南書」 「高品質と高スピードを両立させるソフトウェアQAアプローチ」 「シフトレフトテストを支える現代的なテスト設計」 「システムテスト自動化標準ガイド」(共著) 「テストの視点を活用したTDDアプローチの検討とその検証」(共著)など
  2. チームのスピード ⚫開発チームのスピードが速いと、プロダクト価値が高まる • ユーザのニーズを迅速に・効率的に実現できる • 顧客満足のための試行錯誤を高速に回せる • 開発とビジネスのフィードバックループを迅速に回せられる ⚫開発チームのスピードが遅いと、プロダクト価値が劣化する •

    有限な開発リソース(時間・コストなど)を使い果たして品質を犠牲にする • 試行錯誤ができずプロダクト価値を開拓できない • 開発とビジネスのフィードバックループがうまく回せない 現在では、チームの開発スピードがプロダクト成功に直結する
  3. チームのレジリエンス ⚫開発チームのレジリエンスが高いと、プロダクト価値が高まる • プロダクトに障害が発生しても即座に解消される • ユーザの不満点が改善される • リスクの許容度が高まりよりチャレンジができ、プロダクト価値を高められる ⚫開発チームのレジリエンスが低いと、プロダクト価値が劣化する •

    障害が発生しても復旧が遅れ、ユーザの不満点が残り続ける • ユーザ目線では、プロダクトの品質がひどく低いという印象につながる • リスクを伴うチャレンジができない 現在では、チームのレジリエンスがプロダクト成功に直結する
  4. 総合的なビジネスパフォーマンスは 開発チームの品質・スピード・レジリエンスと連動 ビジネス パフォーマンス エリート 高い 中間 低い 変更リードタイム 1日未満

    1日~1週間 1週間~1か月 1か月~ デプロイ頻度 いつでも (1日複数回) 1日1回~ 1週間に1回 1週間に1回~ 1か月に1回 1か月に1回~ 変更失敗率 5% 20% 10% 40% 障害復旧時間 1時間未満 1日未満 1日未満 1週間から1か月 DORA Accelerate State of DevOps 2024 現代的なソフトウェア開発の成功のためには プロダクト品質、開発チームのスピード・レジリエンスの共立が必要
  5. 開発者テストを充実させるための 開発者が責任をもって自動テストを書く習慣の醸成 1. 習慣の定着 • ガイドラインやプロセスで納得を確保 • テスト駆動開発/Cover & Modifyの奨励

    • モブプログラミング/ペアプログラミングによる習慣の伝播 • CI/CDによる自動テストの資産化 2. 習慣づけへの短期フィードバック • PRレビュー/MRレビューでの有識者によるチェック • CI/CDからのカバレッジのフィードバック • フォールトインジェクション/ミューテーションテストによる評価 3. 習慣づけへの中長期フィードバック • 反復型プロセスを採用し、バグ流出を評価して改善サイクルをまわす
  6. スクラムでのWモデルの推進例 ⚫ユーザーストーリ作成にテストの視座を注入する ユーザーストーリ:検索履歴の呼び出し 「システム利用者として、過去の検索 履歴の一覧を表示し、履歴の検索構 文を選択して再実行できる。それによ り、以前検索した内容をすばやく実行 できるようにする」 境界値テストを考える。表示履歴数の最小 値・最大値を確認し、受け入れ基準に明

    記する ユーザストーリをテスト担当交えて共同作成する or 作成直後にテストの視座でレビューする テストの検討を行い、早期に対策を打つ テストに必要な情報を確保する。詳細なUI 仕様を確保・補完する リリース判定の観点でチェックする。「検索 履歴の削除」「検索履歴のセキュリティ」な ど、関連するユーザーストーリや仕様の存 在を確認し、不足があれば是正する
  7. テスト容易性の充実 ⚫テスト容易性を仕様や設計に組み込む 品質特性 内容 具体例 観測容易性 テスト対象の観測のしやすさ エラーログの充実度 制御容易性 テスト対象の操作のしやすさ

    APIの充実度 セットアップ容易性 テストのセットアップのやりやすさ コンストラクタの単純さ 実行容易性 実行の容易さ テスト実行のブロック要因の少なさ 分解容易性 テスト対象の分割・置換の容易さ 接合部の充実度 網羅容易性 テストでの網羅のしやすさ デッドコードの少なさ 安定性 テスト対象の安定性・バグの少なさ 変更頻度の少なさ 環境構築容易性 テスト環境の構築のしやすさ 環境の冪等性 問題検出性 バグの特定のしやすさ 解析ログの充実度 対象によってより具体的な品質特性がある。例)自動化:仮想化容易性、並列化容易性、CI/CD統合容易性
  8. テスト容易性の充実の要点 1. 開発早期からテスト容易性の要件を識別し、アーキテクチャレベル から織り込む • 疎結合・高凝集設計を推進し、品質リスクを分離・局在化する • 難易度の高い課題に対しテスト容易性確保の段取りを組む 2. 早期からテストを実行し、テスト容易性を継続的に作りこむ

    • テストファースト、テスト駆動開発を推進する • シフトレフトテスト(テスト実行のシフトレフト)を推進し、テスト容易性の問題 を早期是正する • 反復開発で早期からテストを実行する • 開発者テストを充実させ、CI/CDで早期から実行する • ウォーキングスケルトンを確保する
  9. 品質リスクの分離 低リスク 高 リスク 低 リスク ・・・ 疎結合・高凝集度設計で モジュール化を推進。 品質リスクを分離する

    (例:接合部配備、信頼できるインター フェース手段採用、カプセル化/状態 や副作用の局所化、インターフェース のシンプル化/契約による設計) 品質レベルに応じた アーキテクチャレベルの QA容易性確保 (例:自動化対応、CI/CD統合可能、 QAの障害排除、シフトレフト対応、 Humble Objectパターン) •高リスクで詳細なテ ストが必要なコンポー ネントは、優れたQA容 易性の活用でQAを効 率化 •高リスクコンポーネ ントは結合テストレベル で品質を担保可能に
  10. 関心の分離/品質リスクの分離とリリース戦略 アーキテクチャ設計で、品質リスクのモジュール化を推進 高リスク コンポー ネント 低リスク コンポー ネント 高リスク リリースの

    QA 低リスク リリースの QA QAの戦略立てでQAのモジュール化を推進 高リスクリリースは詳細なQAで、低リスクリリースはスピード重視のQAで 総体として高品質・高スピードの両立を実現
  11. 顧客満足への方向づけ:全工程QA(DevOpsでの継続的テスト) build test release devloy operate monitor plan code ここでもQA

    ここでもQA ここでもQA ここでもQA ここでもQA ここでもQA ここでもQA ここでもQA