-発表概要-
日本哺乳類学会2026年岩手東北大会(MSJ2026iwate)
口頭発表 OA-13 15:45~16:00
- 要旨-
近年のクマ類の人身被害の増加等を背景として、公的機関による出没情報等の地図化・公開が進み、Webマップ(以下、クママップ)が広く普及している。一方、クママップには単なる情報公開に加え、被害防止にむけた住民のリスク認知や適切な行動選択を支援する役割が求められるが、その観点から機能を比較・評価した研究は少ない。本発表では、クマ類生息37都道府県(H31環境省調査)を対象に、公開されているクママップの機能を集計・分類し、その特徴と課題について報告する。公的機関による都道府県レベルのクママップ公開は24都府県で確認され、提供主体は自治体22、警察2であった。情報取得・リスク認知を支援する機能の提供は、属性検索・集計が18例、PUSH通知が9例と、ある程度搭載される一方、推奨行動の表示は兵庫県警の1例のみであった。また、出没要因を知るうえで重要な環境情報の表示機能は2例にとどまり、人とクマ類のすみ分けに重要なゾーニング情報の表示はなかった。隣接自治体の出没情報表示は2都県に限られる一方、全国レベルの熊マップは民間サービスのみで確認されたが、公開情報や記事等をAIで収集・再配信しており、データ利用の適法性や情報精度に課題が認められた。現在のクママップは情報のアクセス性の向上に寄与する一方、住民のリスク認知や適切な行動選択を支援する公開情報基盤としての機能は限定的であることが示唆された。