直線思考-フロー状態の罠

このスライドでは、直線思考に立ち向かうために自分が実践したテクニックを紹介します。

以下のページでこのスライドを記事化しているので、合わせて見ていただけると嬉しいです。
https://qiita.com/HrsUed/items/1774abc212762c93d090

ソフトウェア開発の現場では、集中力を保つためのテクニックが盛んに議論されていますが、自分はすぐに集中状態に入ることができます。
ただ、集中状態が続くことにも罠があることに気づきました。
それは注意力が過度に焦点化され、認知的な視野が狭くなる現象で、「直線思考」や「トンネルビジョン」、「認知的トンネリング」と言います。

スライド内リンク
- Focus To-Do: ポモドーロ技術 & タスク管理: https://chromewebstore.google.com/detail/focus-to-do-%E3%83%9D%E3%83%A2%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%AD%E6%8A%80%E8%A1%93-%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%82%AF%E7%AE%A1%E7%90%86/ngceodoilcgpmkijopinlkmohnfifjfb
- MeetingBarの全画面通知: https://www.gaji.jp/blog/2024/11/13/21221/
- Wikipedia「トンネル・ビジョン (思考)」: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3_(%E6%80%9D%E8%80%83)
- 書籍「いつも「時間がない」あなたに　―欠乏の行動経済学―」: https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/g/g0000611475/
- 要約サイト: https://www.flierinc.com/summary/599
- 書評: https://honz.jp/articles/-/43694
- 記事「【大人の発達障害】過集中で疲れすぎてしまう！仕事中の困りごとと解決方法3選」: https://www.ksguard.com/hyperconcentration

Transcript

1. 直線思考 〜フロー状態の罠〜 ソフトウェアエンジニアによる回避テクニック事例
2. フロー状態にはダークサイドが存在する • ソフトウェア開発の現場では、集中力を保つためのテクニックが盛んに議論されて いる。 ◦ 例）ポモドーロテクニック、 Slack通知をオフにする、会議を減らしたり、集約する、マルチタスクや割 り込みを減らす • 反して、自分はすぐに集中状態に入ることができる。しかし、集中状態が続くことに も罠があることに気づいた。 • それは注意力が過度に焦点化され、認知的な視野が狭くなる現象で、「直線思考」 や「トンネルビジョン」、「認知的トンネリング」と言う。 • 今回は直線思考に立ち向かうために自分が実践したテクニックを紹介する。 2
3. 直線思考の問題点１：時間感覚の喪失 • 食事や休憩、睡眠も忘れ、長期的にはパフォーマンスに影響が出る • インシデント対応のような緊急かつ状況がすぐに変わる状況で、原因調査に集中 するあまり「あの人何してるの？」という疑問を持たれ、組織の一部としてワークし ない • オンライン会議に遅刻する 集中しすぎることで、時間感覚が無くなる。結果、チームに迷惑をかけた り、自身の長期的なパフォーマンス発揮に影響がでる。 3
4. 直線思考の問題点２：一つの解決策への固執 • 発生するエラーをひたすらデバッグして時間を費やしたが、ダメ元でチームメイトに 相談しにいくと一瞬で解決してしまう。 • 発生してる技術課題を解決するための完全な設計ができた。しかし、レビューの場 で多くの欠点やより良い対案が出てくる。または、そもそも課題設定自体が間違っ ていた。 一つの解決策に時間を浪費したり、確証バイアスによる多角的視点を失う ことで、手戻りが発生して、タイパが低い結果となる。 4
5. 直線思考に気づくためのテクニック 1. 意図的な割り込み 2. 振り返りの習慣化 3. 物理的に視点を変える 5
6. テクニック１：意図的な割り込み • ポモドーロテクニックを集中状態を維持するものではなく、集中状態を切るテクニッ クとして利用する ◦ 25分で集中が強制的に断たれる ◦ chrome拡張「Focus To-Do: ポモドーロ技術 & タスク管理」がおすすめ • 作業をカレンダーで管理し、カレンダー通知をONにする ◦ 事前にどれだけ作業をするか決めることになる ◦ 通知に気づく工夫は別途必要。 MeetingBarの全画面通知は優秀。 これが最も即効性のあるテクニックだった。ただ、作業間の適切な休憩、 視点を変えるような不連続性を作り出すことがより重要。 6
7. テクニック２：振り返りの習慣化 • 日報に以下を書くことで、現状理解と軌道修正を促す。「分かったこと」という見出し では直線思考には気付けない。 ◦ どこに最も時間を費やしたか ◦ 次はどの方向性でアクションするのか • 最低でも週次報告で、進捗を可視化する ◦ 可視化は最強。 ◦ 嫌でも成果が出ていないことを知る機会を得て、その原因に向き合うきっかけとなる。 その瞬間では気付けない直線思考も、ズームアウトと可視化によって軌 道修正の機会を得た。 7
8. テクニック３：物理的に視点を変える • トイレは我慢しない • 30分睡眠して積極的に休養する • 散歩、入浴でデフォルトモードネットワークを活性化させて、集中で得た知見を整 理、結合してしっかりと換金しておく • 物理本を読む。PCから目を背けることが重要。 デスクに向き合ったままでは、作業を中断できても無意識に思考が続いて いた。集中状態から得られるものは大きいので、その効果をしっかりと回 収した方がいい。それによって、集中しやすい強みを活かせることに気づ いた。 8
9. まとめ • フロー状態になりやすい人は、直線思考に留意したい • 直線思考に陥ると時間感覚と選択肢を失い、手戻りが大きくなる • 意図的に割り込んだり、振り返りして自分の中の認知的多様性のバランスを保つこ とで、直線思考から脱することができた 9
10. 参考になりそうな文献 • Wikipedia「トンネル・ビジョン (思考)」 • 書籍「いつも「時間がない」あなたに　―欠乏の行動経済学―」 ◦ 要約サイト ◦ 書評 • 記事「【大人の発達障害】過集中で疲れすぎてしまう！仕事中の困りごとと解決方 法3選」 10