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異なるブロックチェーンの安全な連携:コネクションチェーン

 異なるブロックチェーンの安全な連携:コネクションチェーン

■内容:
ブロックチェーンは非中央集権、高可用性、改ざん不能といったデジタル資産の信頼性を担保する特長を持っているため、金融・流通など様々な分野での活用が期待されています。しかし、ブロックチェーンの種類は増える一方で、市場の分断が発生しています。当社では、今後ブロックチェーン同士のデータ交換や連携のニーズが高まってくると考え、異なるブロックチェーンを安全につなげるセキュリティ技術「コネクションチェーン」を開発しました。コネクションチェーンの技術を使うことで、利害が必ずしも一致しないプレイヤーが複数参加する電子商取引市場の推進や、 電子商取引に伴う対価の支払いなど、契約自動化が実現できます。本講演では当社のブロックチェーンの取り組みとコネクションチェーンについてご紹介いたします。

■著者:
富士通研究所 藤本真吾氏

■略歴:
・株式会社富士通研究所 セキュリティ研究所 ブロックチェーン研究センター所属
・ブロックチェーン技術で可能となる共創型ビジネス市場の立ち上げに奔走中

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Transcript

  1. ブロックチェーンテクノロジーの意義 ◼ 個人や複数の事業者を巻き込んだオープンで改竄不可能な 情報基盤を、低コストで提供できる可能性がある Copyright 2018 FUJITSU LABORATORIES LTD 複数事業者を

    巻き込んだ 情報共有・利活用 取引から発生する 処理の自動化 改ざんや不正が 困難な仕組みによる 取引の透明性担保 【従来】中央管理のため、攻撃や内部不正の可能性あり 【改善】分散化やハッシュ等による変更困難な仕組み P2Pによる信頼のネットワーク 【従来】取引台帳は個社管理 【改善】複数事業者で取引を共有 取引台帳の公開・共有 【従来】契約実行に人が介在、プロセス毎の別システム 【改善】プロセスの自動化 スマートコントラクト テクノロジー特性 目 的 1
  2. 富士通が描くブロックチェーンによる社会の将来像 Copyright 2018 FUJITSU LABORATORIES LTD 複 数 事 業

    者 連 携 現状 サステナブル社会の実現 組織のバーチャル化 プログラマブルエコノミー スマートコントラクト (企業活動の自動化) ・ポイント/通貨へのプログラム埋め込み ・現金の役割の縮小 ・監査のリアルタイム化 ・企業の信頼性向上 取引の透明性 ・データ共有による効率化 ・AIによる予測の共有 ・一個人のアイデアや作業 の証跡化と権利の流動化 ・個人の諸権利の可視化 ・国家や金融システムから 漏れてきた人々への対応 仮想通貨/ 金融実証実験 スマートコントラクトによる契約の自動化・高度化 クロスインダストリー サプライチェーン 企業内情報のオープン化 複数事業者連携と、スマートコントラクトによる契約の自動化・高度化には、 異なるブロックチェーンの連携が不可欠 2
  3. 富士通のブロックチェーン間連携技術 ◼ コネクションチェーン ◼ 2017年11月 プレスリリース (http://pr.fujitsu.com/jp/news/2017/11/15.html) ◼ 異なるブロックチェーン同士を安全につなげるセキュリティ技術 ◼

    仮想通貨間の交換や、企業間でのデータ取引(商流)と支払い(金流)を つなげる仕組みとして活用可能 Copyright 2018 FUJITSU LABORATORIES LTD 地域通貨の交換サービスの実現例 データ交換に課金サービスを追加する例 3
  4. 開発した技術 Copyright 2018 FUJITSU LABORATORIES LTD 連携動作専用のブロックチェーンを導入し、連携先のブロックチェーンには 連携ノードを参加させることで複数のブロックチェーンに跨る連携処理を自動化する技術 連携先ブロックチェーン 情報台帳

    変換ルール 台帳 動作 パラメタ ブロックチェーンで管理・共有 + + ユーザが選択 資産移転の実行、 タイミング制御の処理ロジック → 拡張されたスマートコントラクト ①拡張スマート コントラクトの起動 4
  5. 連携動作の詳細 Copyright 2018 FUJITSU LABORATORIES LTD BC-1 (地域通貨Aの 取引記録) BC-2

    (地域通貨Bの 取引記録) ConnectionChain (異なる地域通貨間 の決済取引記録) 連携ノード for BC-1 連携ノード for BC-2 拡張スマートコントラクト ステート更新 ステート更新 ステート更新 台帳操作 台帳操作 ブロックデータ通知 ブロックデータ通知 ブロックデータ中の取引結果から 次のアクションを決定 BC-1に特化した 台帳操作を起動 BC-2に特化した 台帳操作を起動 5
  6. デモ1:地域通貨対応の決済システム Copyright 2018 FUJITSU LABORATORIES LTD 交換所 地域通貨Aを 持つ花子さん 地域通貨Bでのみ

    決済可能なX書店 1.地域通貨A の移転指示 2.入金確認 3.地域通貨Bの入金指示 4.入金確認& 地域通貨Bの 移転指示 従来の処理例 地域通貨A 地域通貨B 拡張スマート コントラクト 1.預託&決済 2.取引結果 3.資産払い出し 4.取引結果 取引証跡 の記録 地域通貨A建てで X書店に代金支払う (REST-API) 地域通貨Bでのみ 決済可能なX書店 コネクションチェーン の処理例 地域通貨Aを 持つ花子さん 地域通貨A 地域通貨B 交換所の信用や 地域通貨Bへの対応が必要 7
  7. 資産移転トランザクションの例 Copyright 2018 FUJITSU LABORATORIES LTD 移転元 (地域通貨A) の取引 移転先

    (地域通貨B) の取引 取引の 発生時刻 取引失敗の場合には、資産復元 のトランザクションが実行される 花子さんの口座ID 移転する量 X書店の口座ID 送金取引ID 支払い取引ID 成功した資産移転 トランザクションの詳細 失敗した資産移転 トランザクションの詳細 10
  8. 変換ルールと動作パラメタのカスタマイズ Copyright 2018 FUJITSU LABORATORIES LTD スマートコントラクトの処理ロジック 注:青色テキストがカスタマイズ箇所 スマートコントラクトのパラメタ 変換ルールのパラメタ

    パラメタ名 説明 コントラクトID 一連の取引を紐づけるID 依頼人 コネクションチェーンでのユーザID 移転元口座 移転元口座(地域通貨Aでの花子さん口座) 移転先口座 移転先口座(地域通貨BでのX書店口座) 移転金額 契約成立時に決済される地域通貨Aの資産量 移転ルールID 取引所Aでの変換レート、手数料、決済口座を選択 パラメタ名 説明 移転ルールID スマートコントラクトから参照されるID 移転元チェーン 移転元の資産を管理するブロックチェーン 移転先チェーン 移転先の資産を管理するブロックチェーン 変換レート 通貨の変換時に適用される変換レート倍率 手数料 通貨量に関わらず適用される手数料 決済口座 料金支払いに使われる仮想通貨Aでの口座 プール口座 ユーザへ資産を払い出す仮想通貨Bでの口座 (2) 地域通貨Aの花子さん口座から預託口座へ資産移転依頼 (3) ブロックデータの通知 (5) 決済可否の問い合わせ (6) X書店口座での契約の履行が可能か判断 (→OKならば(7)以降を実行) (7) プール口座からX書店口座への資産移転依頼 (8) ブロックデータの通知 (10) 預託口座から取引所Aの決済口座への決済 (9) ブロック検証後、該当するTxを抽出、預託中資産の決済開始 (11) ブロックデータの通知 (12) ブロック検証後に対応するTxでの決済取引完了を確認 (4) ブロック検証後、該当するTxを抽出、変換レート/手数料を 適用し移転開始 (1) 移転トランザクションを作成 11
  9. 参加プレイヤーの役割分担 Copyright 2018 FUJITSU LABORATORIES LTD 取引所A 取引所B 手数料や交換レートで競争 拡張スマートコントラクト

    地域通貨Aを預託し 通貨Bでの支払いを依頼 地域通貨Bの送金を監視 地域通貨Aを返金 サービスの提供 (ブロックチェーンの外部) 地域通貨Bの 送金を依頼 地域通貨B の送金 地域通貨A の送金 地域通貨Aを持つ花子さん 地域通貨Bでのみ 決済可能なX書店 12
  10. デモ2:データマーケット(仮想通貨で課金) 運用開始後のチェーンに課金ルールを後付けすることで 商流(データ取引)と金流(課金)を統合 A社データ B社データ C社データ データ利用 仮想通貨 (金流) VPX

    (デジタル商流) A社口座 B社口座 C社口座 スマートコントラクト (取引契約の自動化) コネクション チェーン デジタル商流と金流が統合 提案 課金 A社データ B社データ C社データ 仮想通貨 (金流) VPX (デジタル商流) A社口座 B社口座 C社口座 デジタル商流と金流が独立して運用 ユーザ間の取引契約 現状 13 Copyright 2018 FUJITSU LABORATORIES LTD
  11. ブロックチェーンの分類 Copyright 2018 FUJITSU LABORATORIES LTD パブリック型 コンソーシアム型 プライベート型 例

    Bitcoin, Ethereumなど Hyperledger (fabric, iroha), Corda, Orb等 管理者 管理者はいない 中央管理者が複数存在 中央管理者が1つ存在 参加承認 不要 必要 必要 コンセンサス アルゴリズム PoW / PoS など(※) 特権ノードによる承認 (実装依存) 基本なし (実装依存) 運用コスト マイナー(採掘者)負担 運用依存 組織負担 信頼性 51%攻撃の可能性 共同管理者が保証(高) 管理者が保証(高) 強み ・匿名性がある ・採掘報酬が得られる ・比較的早い取引承認 ・管理がしやすい ・迅速な取引承認 ・管理がしやすい 弱点 ・管理がしにくい ・運営コストの負担 ・特権の集中 ※PoW(Proof of Work):検証が容易だが適度に難しい計算パズルで競争を行いランダムな勝者を選択する合意形成アルゴリズム ※PoS(Proof of Stakes):資産を他より多く所有するプレイヤーが決定権を握る合意形成アルゴリズム 富士通が注力 17
  12. エコシステム 研究開発 実証実験 技術標準化 ソリュー ション プラット フォーム 富士通のブロックチェーンの取組み Copyright

    2018 FUJITSU LIMITED 開発者 FUJITSU Tech Talk 15.ベンチャ- MetaArc ベンチャー プログラム 2.個人間送金 メガバンク3行との 共同実証 13.BC間連携 コネクション チェーン 高速化 高速 トランザクション 3.契約書の改ざん防止 ジャパンネット銀行との 共同実証 6.サプライチェーン 製造メーカーとの 共同実証 VPX技術 安全な 企業間情報流通 14.リスク検出 スマートコントラクト の安全性向上 5.パーソナル情報活用 イオングループとの パーソナル情報活用実証 1.国を超えた証券取引 みずほ銀行との共同実証 4.企業間情報流通 三菱地所、ソフトバンク 東京大学との共同実証 標準化貢献 Hyperledgerボードメンバ/技術委員会メンバ 10.データ流通・利活用サービス VirtuoraDX 11.アセット活用サービス ブロックチェーンアセットサービス 12.ブロックチェーンプラットフォームサービス 目的別API:4種、 基本API:4種 9.被災情報共有 仙台市、NTTドコモ との実証 8.地域活性化 千葉市 / 小田急電鉄 スタンプラリー実証 7.次世代デジタル店舗 台湾ファミリーマートと 共同実証 18