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[輪講] Representation of multiple objects in macaque category-selective areas

kimny
November 26, 2018

[輪講] Representation of multiple objects in macaque category-selective areas

論文( https://www.nature.com/articles/s41467-018-04126-7 )の輪講で用いた資料です.スライド内の図はすべて論文からの引用です.

kimny

November 26, 2018
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Transcript

  1. 概要 • 物体認識は様々な物体がある環境で行われる • ITの細胞は特定の物体にのみ応答できる • 顔や体に選択性がある細胞が複数物体を呈示し たときにどのように応答を統合するのかを調べ た •

    結果:細胞の応答は近隣ニューロンで重み付け したnormalizationのフレームワークで説明でき ることがわかった – カテゴリ,空間的な構成,相対的なコントラストに よってルールを切り替えている – “winner-take-all”でclutter不変な顔/体の表現をし ている可能性を示唆 2
  2. 背景 • 複数の物体をどのように表現しているのか? • 腹側経路の最後のステージであるITに着目 – 細胞は“winner-take-all”であるはず • 好きな物体単体での応答と好きな物体+他での応答が等しい –

    しかし多くの既存研究ではそうではない – “averaging”で説明できるが物体認識率は低い[10] • 既存の生理実験とヒトのfMRI結果 – 生理実験:ランダムなIT細胞をレコード[4,6,7,13] – ヒトのfMRI:顔/体選択性領域がclutter不変[20,21] • サルとヒトの乖離を埋めるためにfMRIで決定し たカテゴリ選択性領域の単一細胞データが必要 3
  3. この研究の目的と結果 • IT細胞の複数物体に対する応答を再調査 • 2つの領域のニューロンを対象 – Middle lateral face patch(ML)

    – Middle body patch(MB) – この2つは単純なaveragingの振る舞いをしない[4,7] • 単一のML,MB細胞が3つの振る舞いを切り替え ていることを発見 – 振る舞い:winner-take-all, contralateral-take-all, weighted averaging – 条件:カテゴリ,空間的な構成,相対的なコントラ スト 4
  4. 応答の結果(水平) • 顔が対側視野で非顔が同側だとwinner-take-all • weighted averaging( = + 1 −

    ) に従うとしてを算出 8 ML細胞の顔-物体刺激への応答は空間的な 構成と相対的なコントラストに強く依存
  5. 本当に対側に顔があることが条件なのか? • 受容野が対側に大きくあれば自然 な結果 • ITの受容野は大きく両視野にまで 及ぶ • 受容野位置がどの程度関係してい るか解析

    – 各細胞の選好性をcontra-ipsi index(CII)で決定 – = − + . • 対側に選好性がある細胞が多い • 3つのグループ毎に統合ルールを 解析 9
  6. 本当に対側に顔があることが条件なのか? • 受容野が対側に大きくあれば自然 な結果 • ITの受容野は大きく両視野にまで 及ぶ • 受容野位置がどの程度関係してい るか解析

    – 各細胞の選好性をcontra-ipsi index(CII)で決定 – = − + . • 対側に選好性がある細胞が多い • 3つのグループ毎に統合ルールを 解析 10 ML細胞の複数物体統合の振る舞いは 各ニューロンの空間チューニングに依らない
  7. 2つのpref.刺激に対するMLの応答 • 2つの顔が呈示されたときに同じような振る舞 いをするのか? • 1000個の顔のペアを水平,垂直に呈示 • “active appearance model”で顔刺激作成

    1. 200の顔をデータベースから取得 2. 特徴点を手動で付ける 3. 平均の位置/形状にモーフ(appearance情報) 4. 各200のshape/appearanceでPCA 5. 各3つの主成分を算出 6. 平均からappearance→shapeで変形 15
  8. STAの生成結果(水平) • 4つのコンディションでSTA (1) 対側に単独で顔を呈示 (2) 対側にペアの一部の顔を呈示 (3) 同側に単独で顔を呈示 (4)

    同側にペアの一部の顔を呈示 • (1)と(2)が似ている – 対側の顔へのチューニングは別の 顔が呈示されているかどうかに依 存しない • (4)がほぼ0 – 対側に顔が呈示されると同側は見 ていない 17 (1) (2) (3) (4)
  9. STAの相関 • 4つのSTAの相関を詳しく見る • 1つの細胞から6つ(6次元)プロット • eのSlopeがほぼ1→contralateral-take-all • fはほぼ0 •

    g,hは0.5に近い→averaging 21 細胞はcontralateral-take-allとaveragingを 顔の配置(水平/垂直)で切り替えている
  10. ここまでのまとめ • ML細胞は複数物体統合ルールを切り替えている – winner-take-all – contralateral-take-all – weighted averaging

    • 条件 – カテゴリ – 空間的な構成 – 相対的なコントラスト • これらは定式化できるのか? – normalizationの簡単な神経計算で説明できる 23
  11. 統合の振る舞いについての解釈 • Normalization – ニューロンの応答を近隣ニューロンプールの応答の 合計で表現されるfactorで割る • = 11+22 11+22+

    . – : 応答 – : 物体のコントラスト – : 2 = 0&1 ≫ のときの(物体1のみ呈示時の応答) – : 1 = 0&2 ≫ のときの(物体2のみ呈示時の応答) – : 物体に対する近隣ニューロンの重み ←norm. • はカテゴリ,空間的な構成に強く依存 – ex.) face patchの細胞なら ≫ 24
  12. Normalizationモデルにおける重みの仮定 contralateral faces(1 ), ipsilateral faces(2 ), contralateral objects(3 ),

    ipsilateral objects(4 ) 1 ≫ 2 ≈ 3 ≫ 4 とするとすべての結果を説明できる 25
  13. faceとbodyの違い • 対側にnon-pref.同側にpref.のとき – face • averaging • 同側への応答>対側への応答 –

    body • winner-take-all • 同側への応答<対側への応答 • face patchの対側への応答が大きいサブセット を見ても振る舞いは同じ 33 ITの中でも統合ルールは異なる
  14. まとめ(2/2) • 2つの顔が呈示されたときの振る舞いは水平, 垂直で異なる – 水平ではcontralateral-take-allに従う – 垂直では単純なaveragingに従う • MBの結果はMLと一貫している

    • しかし違いもあるのでITの機能的役割の違いに 着目して統合メカニズムを解析することが重要 • normalizationは細胞がwinner-take-allに振る 舞うためのシンプルなモデルであり,clutter不 変な認識の助けになる 35