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How to wring out a dry rag - 乾いた雑巾を絞る技術

How to wring out a dry rag - 乾いた雑巾を絞る技術

未踏IT人材発掘・育成事業
増井PM・首藤PM合同合宿(2012.04.21 - 22)
講演資料
http://kamblr.tumblr.com/post/21706906874/how-to-wring-out-a-dry-rag

Keisuke Kambara

April 24, 2012
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Transcript

  1. 神原啓介 • お茶の水女子大学 JST研究員 • 分野:ユーザインタフェースやWeb • 慶応大SFC • 先月、博士号取得

    • 前職:はてな • エンジニア/サービスクリエータ • Rimo, はてなRSSの企画・開発 • UI開発 @kambara http://sappari.org/
  2. 未踏ソフトウェア • 2003年度 • 緩やかな情報管理システムの開発 – 共同開発者 – 増井PM •

    2005年度下期 • Web上で協同利用する イラストレーションツールの開発 – 長尾PM • スーパークリエータ認定
  3. • 着地させる • 実際に他の人に 使ってもらえる • 自分がワクワクする • 人をワクワクさせる •

    作品や作者が 活き活きしている • 大胆・力強い 冷静 情熱的 両方あわせて 大きな問題に挑む
  4. 冷静と情熱の両立は難しい • 初期:冷静さ不足 • 情熱を実際に形にするのはとても難しい • 何から始めて良いか分からない • 後期:情熱を失いがち •

    実装でハマる/細かい実装ばかり気にする • スケジュール通り進まない/色々妥協する • 計画変更で迷走し、目的を見失う どうすれば両立できるのか?
  5. じっくり考えてますか? • 解決すべき問題を間違えていないか • もっと全然違う解決方法は無いのか • ちゃぶ台返しできないか • 本当に使いたいと思ってもらえるか •

    魅力はあるか/理解されやすいか/面倒でないか • もっと広い応用は無いか • 夢があるか/ワクワクするか 普段こんなことは考えない
  6. 2つの時間を持つ • コンピュータの前 • プログラミング • オンライン • コンピュータから離れる •

    紙とペン • オフライン 意識的に切り替える 脳の2種類の認知モード (線形/非線形)を意識する 開発時間 思索時間
  7. 思索時間 • 非日常的な思考 • 普段は考えない ようなことを考える • 概念的な思考 • コンセプトを考える

    • 客観的に分析する • 考えを整理する • 乾いた雑巾を絞る 写真:http://item.rakuten.co.jp/takeyu/tak_6-04/
  8. 乾いた雑巾を絞る • アイデアをとことん搾り出す • もう何も出ないと思っても、 絞れば案外出る • むしろ雑巾が乾いたころから 重要なアイデアが出始める •

    思索が深まる • 脳が活性化する • 根性論ではなく「技術」 • コツをつかめばより搾り出せる 写真:http://sfitterooki.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-b41d.html
  9. 雑巾を絞らざるを得ない時 • 提案書・レポート作成 • 論文執筆 • プレゼン作成 • ソフトウェアの設計 •

    イベントを企画する • プレゼントを送る もっと創造的になる必要がある
  10. 私の場合 • 特に乾いた雑巾を絞った時 • 未踏 • サービスクリエータ(@はてな) • 博士論文, 学会論文,

    学会発表 • 色んな研究開発プロジェクト • しかし、、 • アイデアを出すのは苦手 • 面白い話はできない • 頭の回転は遅い • 飽きっぽい/注意散漫 あの手この手を 使って搾り出す
  11. 乾いた雑巾を絞る「技術」 • アナログ状態 • 紙に書く/絵を描く • オフラインになる • 集中力を高める •

    瞑想する • 歩く • お腹を空かせる 特別な才能は必要ない 外から脳をハックする • 行き詰まった時 • 場所を変える/ 電車に乗る • 人に話す • 寝る • 練習する
  12. マインドマップ • 言葉や絵を線で結んでいく • 真の中心を見つける • 最も重要なコンセプトは何か • 真の問題は何か •

    このプレゼンで一番言いたいメッセージは何か • グループやアイデアに良い名前をつける • 名前をつけることで初めて認識できる
  13. 紙とペンで思考が変わる • 「執筆の道具は、我々の思考に参加する」 (ニーチェ) • 道具によって思考が変わる • 道具を色々変えてみる • 自分に合った

    ペンやノートを見つける • 調度良い大きさのノート 写真:http://ja.wikipedia.org/wiki/フリードリヒ・ニーチェ
  14. メールの害 • メールチェックは マリファナを吸うよりIQ低下 • マリファナを吸う → IQ 4 ポイント低下 •

    絶えずメールをする→ IQ 10 ポイント低下 • 「メール無呼吸」 • メールをしている間、 低呼吸や無呼吸になってしまう場合がある
  15. 瞑想する • 技術としての瞑想 • 科学的にも経験的にも効果は立証済み • 効果 • 頭が冴える •

    集中力が上がる • 悩まなくなる • やる気が出る • 効果は1日中続く • 考える「前」に 瞑想する
  16. ヴィパッサナー瞑想 • 基本:呼吸に注意を払う • 手順(5〜15分程度) • 1. 邪魔が入らない静かな場所に座ってリラックス • 2.

    目を閉じて呼吸に意識を集中 – 何も考えない、頭の中でつぶやかない • ここが一番難しいが、一番重要 • 注意が逸れたら、呼吸に意識を戻す • 3. 呼吸を意識的にコントロール – 完全に息を吐き切る – 下腹部から鎖骨まで息を吸う – 腹式呼吸・丹田呼吸(要練習)すると効果的
  17. 場所を変える・電車に乗る • 色んなカフェやファミレスに行く • 刺激になる • 歩いて行く • オフラインになる •

    ただしあまり食べ過ぎない • 電車に乗る • 電車の中で考える • 電車内プログラミング
  18. 電車内プログラミング • 「電車内プログラミングの生産性が高いのは  何故かに関する考察(西尾泰和)」 • http://d.hatena.ne.jp/nishiohirokazu/20100508/1273292108 • インタラプトが入らない • オフライン

    • 締め切り(終点/降車駅)と制限時間が明確 • 電車に乗る前に「歩く」ので、集中力が高まる • 電車の中でやろうと思う程度にはタスクが明確 • 逃げ場所が無い • 揺れや騒音など適度な刺激がある • 周囲の目があるので適度に緊張する
  19. 人に話す • 中途半端なアイデアを人に話してみる • 他人の脳を借りる • 信頼できる人に話す • 真剣に考えて答えてくれる人 •

    自分より頭が良いと思う人 • 専門外の人に話してみる • 平易に説明するために情報を整理し直す • ただし、あまり真に受けすぎない
  20. 睡眠中の海馬 • 記憶が繰り返し再生・反芻されている • レミネセンス(追憶) • 起きていた時の神経細胞が連鎖反応を起こす • 記憶が補強され、情報整理される •

    目を閉じるだけでも同じ反応が起こる • 「ニューロサイエンス」 2007年7月号 (チューリッヒ大学 ゴッツェリッヒ博士)
  21. 繰り返す・練習する • 繰り返し同じテーマで考える • 練習すると上手くなる • 最初はあまり考えが出ないが、 徐々に出るようになる • プログラミングやスポーツと同じ

    • 私の場合 • 瞑想のため丹田呼吸を数週間練習 • 頭に浮かんだことをつかまえて 紙に書きとめる練習 – 瞑想するとコツが分かる
  22. やってみて下さい • 思索時間を作ってみて下さい • 開発時間とは別に時間を取る • 乾いた雑巾を絞ってみて下さい • 乾いた雑巾を絞るための色んな技術を 試してみて下さい

    • アナログ:紙に書く/描く・オフラインになる • 集中:瞑想・歩く・お腹を空かせる • 行き詰まったら:場所を変える・電車に乗る・ 信頼できる人に相談する・本を読む・寝る