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BPaaSにおける人と協働する前提のAIエージェント-AWS登壇資料

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September 04, 2025

 BPaaSにおける人と協働する前提のAIエージェント-AWS登壇資料

9/3開催のAWS Builders Forum Tokyo 2025 LT登壇資料になります。
BPaaSでなぜ人とAIエージェントで協働するのか。AIエージェントの構成や先行して取り組んでいる経理系を題材した概要になります。

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September 04, 2025
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Transcript

  1. 2 登壇者 藤井 謙太郎 Fujii, Kentaro 株式会社kubell インキュベーションディビジョン R&Dグループ長 新卒で富士通株式会社に入社。基幹システムやERP導入などのプログラマ

    やプロジェクト管理を経験し、PwCコンサルティングで金融機関向け経 営管理プロジェクトに従事。 Laboro.AIにてAIを活用したアプリ開発やAI受託開発、カメラやIoTなど を活用した事業開発および戦略策定コンサルティングを主導、執行役員 に就任。 2024年4月株式会社kubell(旧 Chatwork株式会社)に入社、AI分野に おける新規事業の推進とR&D領域を担当。 (@kentaro_fujii_) ふじい けんたろう

  2. 4 事業概要 • 国内最大級のビジネスチャット「Chatwork」を展開。業界のパイオニアであり国内利用者数No.1*1、導入社数は93.5万社*2を突破 • 圧倒的な顧客基盤のあるプラットフォームを背景に、チャット経由で業務を請け負いDXを推進するBPaaSを展開  ビジネスチャット「Chatwork」 BPaaS (Business Process

    as a Service) • 国内利用者数No.1*1 有料ユーザーの97%が中小企業ユーザー • 日本の1/5を占める導入社数93.5万社以上*2 775万ユーザー • 全業界・全職種の方が日常的に使うプラットフォーム *1 Nielsen NetView 及びNielsen Mobile NetView Customized Report 2024年4月度調べ月次利用者(MAU:Monthly Active User)調査。 調査対象はChatwork、Microsoft Teams、Slack、LINE WORKS、Skypeを含む41サービスを株式会社kubellにて選定。 *2 2025年6月末時点 チャット経由で業務を請け負いDXを推進 業務代行 経理・総務・事務な ど幅広い業務に対応 人事・労務など専門 性の高い業務に対応 採用 経理・会計 労務 営業事務 AI・SaaSを徹底活用
  3. 5 a お客様 BPaaS領域でのサービス展開 • 現在のBPaaSの主力商品は「タクシタ」と「Chatwork 労務管理」 • 中小企業のノンコアビジネス全域に展開すべく、業務領域を拡大中 月に10時間から必要なタイミングで必要な分だけ作業を依頼可能

    経験豊富な アシスタントが対応 専任サポート お客様担当者 アシスタントチーム 経理 事務 総務 採用 Chatwork 労務管理 勤怠管理システム・給与計算など労務に関する業務を一括で対応 給与計算 賞与計算 年末調整 マイナンバー 知識が豊富な 労務専門スタッフが対応 労務チーム 専任サポート AIエージェント AIエージェント
  4. 8 kubell ユーザー AIエージェントの想定サービスイメージ 8 アシスタントメイン プロダクトメイン AIエージェントのみ AIエージェント AIエージェント

    ユーザー担当者 アシスタントがAIエージェントを 使用する高効率な業務代行 1 2 3 ユーザーがプロダクトから業 務を実行顧客が見えない所で アシスタントが処理 ユーザーSaaS 業務処理システム AIエージェントの結果を集中確認 するオペレーション実行システム アシスタント ユーザー ユーザー担当者 kubell AIエージェント 顧客利用プロダクト アシスタント お客様 kubell ユーザー担当者 AIエージェント 顧客利用プロダクト ユーザーがAIエージェントを 含めたプロダクトを利用 kubellでは自動化の度合いに応じて様々な展開が可能 「ChatworkとAIエージェントの融合」や「ヒトとAIエージェントの協働」など可能性が広い
  5. 9 AIエージェントによる業務実行サービスの課題 AI(LLM)の課題 ヒトによる業務代行の課題 • 複雑な目標をよしなに認知し対応できるが スケーリングが難しい • どれだけマニュアル化しても属人化する (他の人の業務内容の認知は難しい)

    • AI(LLM)は、処理結果の再現性がない という避けられない壁が存在 • サービスレベルをわかりやすく設定困難 両者の良いところを受け入れつつ ヒトとAIの協調型からの発展をスケーリングできる仕組みと領域を選定する • AIのみという不信バイアスを回避 • 人はイレギュラーケースへの対応の意思決定にシフト • 95点のサービス開発に到達前にサービス提供することが可能 • 確実性を高めるとレイテンシが課題となる問題を回避できる
  6. 10 短期的に実現するアシスタントメインなAIエージェントの活用イメージ BPaaS利用企業 BPaaSサービス アシスタントは、専門知見+AI エージェントや各種技術を使い こなし業務を実行 利用企業は自らSaaSやAIの活用を 推進することなく効果を得られる 短期はアシスタントを通じてAIエージェントを利用

    AIエー ジェント AIエー ジェント AIエージェント kubell アシスタント AIエージェント オーケストレーター バックオフィス担当・経営者 kubell SaaS・ツール 手動操作 upload AIエージェントへの 自然言語での指示 API 連携 顧客利用SaaS・ツール API 連携 手動操作 upload Chatwork
  7. 11 AIエージェント群 サービスの構成イメージ アシスタント業務実行 AI OCR 経費精算 エージェント 請求書処理 エージェント

    ユーザー 照会 サービス基盤 用途別OCR ワークフロー BPaaSサービスは、アシスタントが「業務をいかに効率的に実行できるか」がポイント SaaSやチャット型のAIエージェントと異なり「アシスタントの業務環境」が必要 エージェント実行/ 結果確認/結果修正 OCR実行/ 結果確認/結果修正 顧客別の業務実行 業務状況確認 取引先管理 実行履歴 認証・認可 ステート管理 依頼内容照会 電帳法 / 証跡
  8. 12 一般的な経費精算の流れとAIエージェントの対応範囲 証憑から必要項目を抽出 (金額・税区分・ 登録番号など) 証憑受領・入力作業 分類・チェック 承認・仕訳作成 支払・給与反映 申請された経費科目から

    勘定科目を設定 不明分は申請者に確認 交際費 会議費 福利厚生費 申請内容を内容別に確認 ✔ 規定適合性 ✔ 税区分 ✔ 登録番号 ✔ 日付整合 取引先・従業員への支払 1 2 3 4 AI OCR LLMチェック エージェント 科目学習・判定 LLM 非AI処理 経費精算の内容チェックや企業ごとに異なるルールをエージェントで対応
  9. 13 経費精算を例にしたBPaaSのポイント LLMの機能を活かした自然言語でしか表現が難しい属人的な 業務やコミュニケーションのレイヤーに対応 • 最大対応カバレッジが広い柔軟なOCR読み取り • 企業ごとに異なるチェック内容の言語化 • チェックにより要確認となった申請をチャット等

    でわかりやすく翻訳し自動確認 • 確認結果に再現性がある内容であれば次回以降に 反映し、ノウハウを言語化 • 業務ルールの柔軟な変更の実現による属人化回避 マニュアルの形骸化や属人化しやすく 企業ごとにルールが異なるプロセス 証憑受領・入力作業 分類・チェック 仕訳作成 企業ごとに異なるチェックやルール更新など ヒトとエージェントが自然言語でアセット化
  10. 15 現時点で目指している経費精算エージェント 経費精算ワークフロー 科目判定 経費分類 分類別チェック ユーザー確認 Human-in-the-Loop 企業データ プロンプト

    勘定科目 組織 AI OCR実行 チェック結果の確認 ルール反映 ユーザー アシスタント AI OCR 項目抽出ワー クフロー 経費精算 プロンプト まずはヒトと協働する役割別のAIエージェントを検証中 ワークフロー型AIエージェント 自律エージェント型 AIエージェント
  11. 16 LLM関連の技術要素 • マルチモデル :用途にあったFundation Modelを選択 • 申請内容チェック :経費精算のパターンに応じたチェックをToolで実行 •

    一貫した出力 :Structured outputで出力を固定 • コンテキスト :企業固有の科目判定やチェックをプロンプトで管理 • ステート管理 :実行業務・タスクのステータス管理 • ユーザー対話履歴 :Short/Long Memory • マルチテナント :ユーザーごとに切り離された環境 • Gurdrails :マスキングや出力の情報制御 • 評価 /トレース :品質評価・原因分析 AIエージェント 開発フレーム ワーク (Strands Agentsなど) AIエージェント サービス (Bedrock) ユーザー確認が必要な定型的な業務を実行には コンテキストエンジニアリングやステート、メモリーなどがポイント
  12. 17 ワークフロー型AIエージェント 経費精算のような定型的な業務を実行は、ワークフロー型のAIエージェント ドメイン知識と企業別のコンテキストをうまく入れられるかがポイント • 経費精算に関する会計や税務ドメイン 知識をコンテキストエンジニアリング により実装 • 一般的なルールの上に企業ごとに異な

    るルールを階層的に導入 • 非AIロジックとAIエージェントが混在 したワークフロー • 確実性を重視しレイテンシを犠牲にし た多層のSelf - Correct 経費精算 AI OCR • 項目の抽出やDetection、全文抽出など 様々なパターン別に実行 • 業務別に異なる必要項目と定義をしたワー クフローを実行 • ヒトがチェックする前提を活用 精度は高いが初期コストの高い機械学習 ベースのアプローチより、カバレッジを優 先しマルチモーダルLLMを活用
  13. 18 開発中のAI OCRアーキテクチャ構成 共通AI OCR処理フロー 1. 外部システムからAPIによる 非同期処理・同期処理リクエストで起動 2. リクエストIDを採番しAWS

    Step Functionsを起動 3. インプットファイルをS3・Auroraに保存 4. 指定のOCRワークフローパターンを起動 5. OCR結果をS3・Auroraに保存 AI OCRは、経費精算のみならず多様なOCR処理を実行する基盤 業務ごとに複数のワークフローパターンにより業務に必要な項目を抽出
  14. 20 自律エージェント型 ワークフローのみでは固定業務の自動化でありマルっと依頼にならない ユーザーへの確認を自律的に行う必要が出てくる アシスタント AIエージェント • ヒトからの応答は定型的ではないため、自律エージェントが必要 • 経費精算のチェックの結果、情報不足や過去申請と矛盾解消など「決まった答えのゴール」

    を得られるまで応答を継続 • 企業ごとのルールやコミュニケーション方法などAIエージェントのメモリに蓄積 • 何となくはできても、業務利用までの難易度が非常に高く、実現性は不透明 • Bedrock AgentcoreのRuntimeやMemoryなどのマネージドサービスにも期待ができる