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日本AIベンチャーレポート2026

 日本AIベンチャーレポート2026

日本の上場・非上場AIベンチャーについて、資金調達・ビジネスモデル・出口・評価額の切り口で数字を並べたレポートです(2026年10月時点)。
主な内容
・2026年上半期の国内スタートアップ調達は3,779億円(前年比+12%)。Sakana AIの大型調達を除くと伸びは約2%で、資金は少数の大型案件に集中
・評価が集まるのは、顧客基盤と業務データを握っている会社
・「AIエージェント」の多くは外部LLM+RAG+業務フローのアプリ層。差がつくのは統合の深さ
・粗利はビジネスモデルでほぼ決まる。SaaS型は8割前後、伴走・受託型は5〜6割
・出口はIPOよりM&Aと国策へ。IPOは黒字が前提に
・評価額1,000億円を超える未上場AI企業は、約2年で1社から7社に
※将来予測は個人の見解で、企業の見解や投資助言ではありません。
 未上場企業の数値は各社の発表をもとにしており、監査済みの数値ではありません。

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KentaroFujii

October 24, 2026

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Transcript

  1. 資⾦とPMFは、業界と業務データを握る少数に集まる 2026年10⽉時点の公開情報にもとづくアナリスト向け整理 1 資⾦は少数の⼤型 案件へ 2026年上半期の国内調達 は3,779億円で前年同期⽐ 12%増。Sakana AIの310 億円を除くと伸びは2%に

    とどまる。 2 勝ち筋は業務デー タの掌握 LayerX(ARR100億円)や 燈(創業以来黒字)のよう に、顧客基盤と現場データ を持つ企業に評価が集ま る。 3 ⼤半はアプリ層の 束ね役 独⾃の基盤モデルを持つの は⼀握り。多くは外部LLM をRAGや業務フローで束 ね、統合の深さで差がつ く。 4 出⼝はM&Aと国 策へ M&A関連は141件で37% 増。IPOは黒字が前提に なった。基盤モデルは官⺠ 約3兆円の国策事業が動き 出した。 ⾒るべきは調達額より、ARRの開⽰と業務データの循環。AIを外しても事業が成り⽴つかが選別の基準に なる。 出典:Speeda『Japan Startup Finance 2026 上半期』、各社発表‧決算短信、報道(詳細は最終ページ) © 2026 Kentaro Fujii 2
  2. 受託アルゴリズムから、エージェントと国策へ 4つの時代で、主役のビジネスモデルが⼊れ替わってきた 2012‒2019 深層学習の第1波 受託‧アルゴリズム開発 • • • • PKSHA設⽴、2017年に

    上場 ABEJA‧PFNが設⽴ エクサウィザーズ設⽴ ELYZA‧LayerX設⽴ 2020‒2022 DXとSaaS化 受託からプロダクトへ • • • • 燈(松尾研発)が設⽴ エクサウィザーズが上 場 PKSHAがAI SaaSを拡⼤ neoAI設⽴ 2023‒2024 ⽣成AIの創業ラッシュ LLMアプリ層が急増 • • • • Sakana AI設⽴(2023 年) Algomatic‧JAPAN AI 設⽴ Sakana AIがシリーズA で約2億ドル 各社がエージェント製 品を投⼊ 2025‒2026 エージェントと選別 資⾦集中と国策化 • • • • LayerXが150億円調達 Sakana AIが評価額 4,000億円 ⽇本AI基盤モデル開発 が設⽴ Sakana AIがシリーズD で310億円 出典:各社IR‧発表、ITR(2025年8⽉)、Speeda(2026年7⽉)、共同通信(2026年4⽉) © 2026 Kentaro Fujii 4
  3. 深層学習世代は受託から始まり、5つの道に分かれた 2012〜2022年に創業‧成⻑した企業の、2026年10⽉時点の姿 創業時の主流:顧客ごとの受託開発と、アルゴリズムのライセンス SaaS化して上場 受託‧伴⾛で上場 ディープテック ⼤⼿の傘下へ 撤退‧事業転換 PKSHA エクサウィザーズ

    AI inside HEROZ ABEJA Laboro.AI Ridge-i ヘッドウォータース PFN ティアフォー Mujin Kudan ELYZA(KDDI) Rist(京セラ) ブレインパッド(富⼠ 通) LeapMind ニューラルグループ 受託で得た知⾒をSaaS に変えた。AI SaaSや ⽣成AIプロダクトが伸 びを⽀える 顧客ごとの開発を続 け、継続顧客の⽐率を ⾼めて安定させる 半導体‧ロボット‧⾃ 動運転まで⾃前で持 ち、⼤型調達で⻑期の 開発を続ける 資本と販路を持つ⼤⼿ に⼊り、グループのAI 部⾨になった。ブレイ ンパッドは2026年3⽉ に上場廃⽌ LeapMindは2024年に 解散。ニューラルグ ループはAI×エンタメ のM&Aへ転換した 出典:各社IR‧決算短信、INITIAL、BRIDGE、MONOist、JPX(2026年10⽉時点) © 2026 Kentaro Fujii 5
  4. 深層学習世代の上場企業:売上100億円超は2社 直近通期の業績と⼈員(ティアフォーは2026年7⽉上場) 企業 設⽴∕上場 売上(期) 営業損益 ⼈員 収益構造の特徴 PKSHA 2012∕2017

    218億円(25/9期) 事業利益39億円 1,001⼈ ソリューション59%、SaaS41% エクサウィザーズ 2016∕2021 120億円(26/3期) 16億円 624⼈ 粗利率67%(プロダクト83%) HEROZ 2009∕2018 64億円(26/4期) 5.2億円 259⼈ SaaSとセキュリティBPO AI inside 2015∕2019 48億円(26/3期) 3.1億円 130⼈ リカーリング95%、粗利率82% ABEJA 2012∕2023 46億円(26/8期) 7.1億円 133⼈ 継続顧客の売上⽐率86% Laboro.AI 2016∕2023 26億円(予想) 3.8億円(予想) 123⼈ ⼈⽉型のカスタムAIが約99% Ridge-i 2016∕2023 30億円(26/7期) 5.5億円 74⼈ カスタムAIとライセンス ティアフォー 2015∕2026 64億円(25/9期) −105億円 404⼈ 受託‧実証から台数ライセンスへ 出典:各社決算短信‧決算説明資料‧有価証券報告書(2026年10⽉時点)。⼈員は直近開⽰の時点、Laboro.AIは2026年9⽉期予想 © 2026 Kentaro Fujii 6
  5. AI⽀出は2.9倍へ、エージェント基盤はまだ⼩さい 調査会社ごとに市場の定義が違い、桁が⼤きく異なる 国内AI市場⽀出(IDC) 国内AIエージェント基盤市場(ITR) 6.89兆円 2.37兆円 135億円 36.0% 142.8% 年平均成⻑率

    (2024‒2029年) 年平均成⻑率 (2024‒2029年度) 1.6億円 2025年 2029年予測 AIソフトウェアは年48.9%成⻑の予測。2029年にはIT市場全 体の2割をAIが占める。 2024年度 2029年度予測 2024年度は前年度の8倍。ただし企業の導⼊はまだ試験利⽤が 中⼼。 出典:IDC Japan「国内AI市場は今後4年で約3倍に成⻑」(2026年3⽉)、ITR 国内AIエージェント基盤市場予測(2025年8⽉)。棒の⾼さは各パネル内の相対⽐ © 2026 Kentaro Fujii 7
  6. 総額は増えたが、伸びたのは50億円以上の案件だけ 2026年上半期の国内スタートアップ資⾦調達 3,779億円 310億円 780億円 −20% 調達総額。前年同期⽐ 12%増 Sakana AIのシリーズD。

    1社で総額の約8%を占め る 50億円以上を調達した9 社の合計。前年は4社 ‧345億円 SaaS向けの調達額(671 億円→536億円)。シ リーズCは42%減 上位20社は基盤モデル、⾃動運転、製造‧医療の特化AI、フィジカルAI。汎⽤の「AI搭載SaaS」から、現 場に⼊り込む特化型へ資⾦が移っている。2025年通年は7,613億円で、1社あたりの中央値は6,240万円ま で下がった。 出典:Speeda『Japan Startup Finance 2026 上半期』(2026年7⽉)、同『2025』速報(2026年1⽉) © 2026 Kentaro Fujii 8
  7. 6つのレイヤーで⾒る主要プレイヤー 分類は主⼒事業による。複数のレイヤーにまたがる企業もある ① 基盤モデル‧インフラ ② 横断型エージェント基盤 ③ 部⾨特化エージェント 独⾃モデルと計算基盤を持つ Sakana

    AI、Preferred Networks、Third Intelligence、⽇本AI基盤モデル開発、 ELYZA(KDDI傘下)、ストックマーク 部⾨をまたぐ業務を⾃動化 LayerX(Ai Workforce)、JAPAN AI、 Algomatic、エクサウィザーズ (exaBase)、PKSHA AI Agents 営業‧CS‧経理‧⼈事 ナレッジワーク、ベルフェイス、フライ ル、RightTouch、TOKIUM、ファーストア カウンティング、PeopleX ④ 業界特化(バーティカル) ⑤ 導⼊⽀援‧コンサル ⑥ ⼤⼿‧上場企業の参⼊ 建設‧製造‧不動産‧医療など 燈、H2Corporation、カナリー、Cataris、 アナウト、Turing(⾃動運転) 設計‧実装‧定着を伴⾛ GenerativeX、neoAI、SYNTHESIS、 2WINS、AITech、Dify導⼊パートナー群 販路と信⽤で取り込む側 ソフトバンク(Gen-AX)、NTTデータ、 NEC、マネーフォワード、PKSHA、エクサ ウィザーズ 出典:各社発表‧報道をもとに作成。網羅ではなく代表例 © 2026 Kentaro Fujii 10
  8. 収益の取り⽅で、ビジネスモデルは5つに分かれる 多くは2つ以上を組み合わせる。粗利はサブスク⽐率と推論コストで決まる モデル 収益の取り⽅ 強み リスク 代表例 基盤モデル開発 ⼤企業との共同開発、ライ センス、政府案件

    技術主権の需要と国策に合 う 計算資源の負担が重く、収 益化に時間がかかる Sakana AI、PFN 横断エージェント‧AI SaaS サブスクと従量課⾦ 既存SaaSの顧客に上乗せで 売れる ⼤⼿LLMや海外SaaSの標準 機能と重なる LayerX、JAPAN AI、PKSHA 業界特化 業界向けSaaS、成果連動の 料⾦ 現場データと業務知識が参 ⼊障壁になる 市場の上限が業界の規模で 決まる 燈、カナリー、H2 AI+⼈のBPaaS 処理件数‧業務単位の課⾦ 精度の不⾜を⼈が補い、成 果を保証できる ⼈件費が残り、粗利が伸び にくい TOKIUM ほか 受託‧導⼊⽀援 ⼈⽉‧プロジェクト単価 早い段階から黒字にしやす い 売上が⼈数に⽐例し、規模 が伸びにくい GenerativeX、 neoAI 出典:各社サービス‧料⾦体系の公開情報をもとに筆者が分類 © 2026 Kentaro Fujii 11
  9. SaaS型は粗利8割、伴⾛‧受託型は5〜6割にとどまる 収益の型の違いが、粗利率と1⼈あたり売上の差に表れる 粗利率 1⼈あたり売上(概算) AI inside 82% AI inside エクサ

    プロダクト 83% HEROZ 3,650万円 2,480万円 エクサ 連結 67% Laboro.AI 2,100万円 ABEJA 62% エクサウィザーズ 1,920万円 エクサ ソリューション 57% 濃い棒はSaaS型。受託‧伴⾛は⼈件費が原価に⼊り、粗利が 下がる 直近通期売上÷直近の従業員数。決算期と⼈員の時点にずれ がある 出典:AI inside‧エクサウィザーズ‧ABEJA決算説明資料、HEROZ‧Laboro.AI決算短信。ABEJAの粗利率は2025年8⽉期 © 2026 Kentaro Fujii 12
  10. 組織は4つの型。導⼊を担う⼈材の置き⽅が違う 研究者‧エンジニア‧FDE‧コンサルの配分は、事業モデルで決まる ① 研究所型(基盤モデル) ② 事業部型(SaaS+エージェント) Sakana AIは研究‧Applied(⾦融‧防衛)‧プロダクト ‧コーポレートの4部⾨。Third Intelligenceは約50⼈の半

    数が研究者。PFNは約450⼈で、半導体からモデルまでを 持つ LayerXは755⼈(2026年6⽉)で、バクラク‧Ai Workforce‧Fintech‧Securityの4事業。Ai Workforce事 業部の中にFDE(導⼊を担うエンジニア)の専任組織を置 く ③ 伴⾛‧受託型 ④ グループ‧持株型 Laboro.AIは123⼈のうちエンジニア49⼈、コンサル39 ⼈、管理28⼈。ABEJAは133⼈のうちエンジニア20%、 データサイエンティスト14% PKSHAは連結1,001⼈、⼦会社‧関連会社17社でM&Aによ り拡⼤。AlgomaticはDMM傘下で2026年6⽉に3社へ分 社。JAPAN AIはジーニーと代表を兼ね販路を共有 出典:Sakana AI公式、PFN Factsheet(2026年7⽉)、ONE CAREER、PR TIMES、Laboro.AI決算説明会、ABEJA決算説明資料、PKSHA有報、Kepple © 2026 Kentaro Fujii 13
  11. ⼈材は⼤学から、資本と販路は⼤⼿から来る 組織⾯で⾒える4つの共通点 1 ⼤学発の⼈材 松尾研からELYZA‧燈 ‧neoAI‧Third Intelligence が⽣まれた。ティアフォー は名⼤発、燈は東⼤発 2

    ⼤⼿資本が⼊る KDDI(ELYZA)、京セラ (Rist)、富⼠通(ブレイン パッド)、三菱電機 (燈)、三菱重⼯(PFN)、 DMM(Algomatic) 3 導⼊⼈材を内製 LayerXのFDE組織、Sakana AIのApplied部⾨、 AlgomaticのAX Partner。導 ⼊と定着を担う⼈材の厚み が売上を左右する 4 M&Aで⼈と顧客 PKSHAはサーキュレーショ ンを買収し⼈材事業を加え た。HEROZはバリオセキュ アを傘下に持ち、ヘッド ウォータースも買収で拡⼤ 確認点:研究者とFDE‧コンサルの⼈数⽐、1⼈あたり売上の推移、親会社‧⼤株主との取引条件 出典:各社発表、BRIDGE、MONOist、JPX、⽇本M&Aセンター、ビジネス+IT(2026年10⽉時点) © 2026 Kentaro Fujii 14
  12. 開⽰ベースで売上100億円を超えるのは3社 新興の⼤半はARRを開⽰せず、導⼊社数だけを⽰す 企業(区分) 規模 収益性 直近の動き PKSHA(上場) 売上218億円(25/9期)。26/9期は3Q累計283億円 (84%増)、通期予想350億円 黒字(25/9期の事業利

    益39億円) AIエージェント群を拡⼤ エクサウィザーズ(上 場) 売上120億円(26/3期、22%増)。27/3期の計画は156 億円 営業益16億円で黒字転 換 初配当とプライム移⾏を 準備 LayerX(未上場) 全社ARR100億円に到達(2026年1⽉発表)。評価額は 約1,026億円(2025年9⽉) ⾮開⽰ 2030年度にARR約1,000億 円が⽬標 Sakana AI(未上場) 評価額4,000億円(2025年11⽉)。2026年上半期にシ リーズDで310億円 ⾮開⽰ Googleと提携、三菱電機 が出資 燈(未上場) 導⼊1,000社超。三菱電機から約50億円(プレ評価額 1,000億円と報道) 創業以来黒字 建設‧物流‧製造の産業 OS 出典:PKSHA 2026年9⽉期3Q決算短信、エクサウィザーズ 2026年3⽉期決算短信、Speeda企業DB、各社発表、TechCrunch、⽇本経済新聞 © 2026 Kentaro Fujii 16
  13. 上位は基盤モデル、続くのは業界‧業務特化 2025〜2026年の主な調達(単位:億円) Sakana AI シリーズD(26年上期) 310 Sakana AI シリーズB(25年11⽉) 200

    LayerX シリーズB(25年9⽉) 150 Third Intelligence 初回(25年11⽉) 80 Turing シリーズA(26年上期) 68 燈 三菱電機の出資(26年1⽉) 51 ナレッジワーク(26年8⽉) 35 アナウト シリーズC(26年上期) 33 JAPAN AI シリーズB(25年7⽉) フライル(26年10⽉) 19 18.8 基盤モデル アプリ層‧業界特化 出典:Speeda『Japan Startup Finance 2026 上半期』(2026年7⽉)、各社発表、⽇本経済新聞(2026年8⽉‧10⽉) © 2026 Kentaro Fujii 17
  14. 市場の評価は基盤層とリカーリング型に集まる 収益モデル×技術レイヤーで⾒た主要AI企業(円の⾯積=評価額‧時価総額) 基盤モデル‧ハード 上場 Third Intelligence 1,100億円 Ridge-i 144億円 未上場

    PFN 1,622億円 Sakana AI 4,320億円 Mujin 1,186億円 Turing 983億円 キャディ 1,820億円 ティアフォー 1,227億円 受託‧⼈⽉型 SaaS‧リカーリング型 ABEJA 248億円 Laboro.AI 129億円 燈 1,051億円 PKSHA 1,134億円 エクサウィザーズ 業務アプリ 818億円 HEROZ 291億円 ナレッジワーク 224億円 評価額1,000億円超 の未上場7社のうち 4社が基盤モデル‧ ハード。業務側は LayerX‧燈‧キャ ディ。上場で1,000 億円超はPKSHAと ティアフォー AI inside 86億円 PeopleX 235億円 LayerX 1,026億円 出典:各社発表、スピーダ(INITIAL)推定、株探(2026年10⽉)。配置は筆者整理 © 2026 Kentaro Fujii 18
  15. 評価額1,000億円超の未上場AIは2年で1社から7社に 未上場AI企業の評価額の推移(億円‧対数⽬盛、円=調達額) Sakana AI 4,320 PFNは2019年に3,516億円、2024年10⽉ の推定は1,500億円 3,000 キャディ 1,820

    PFN 1,622 Mujin 1,186 1,000 Third Intelligence 1,100 燈 1,050 LayerX 1,026 Turing 983 300 PeopleX 235 ナレッジワーク 224 100 2015 2017 2019 2021 2023 2025 出典:会社発表(Sakana AI‧燈)、報道(キャディ)、⽇経推計(Mujin)、ほかはスピーダ(INITIAL)推定。PFNの2024年以降はダウンラウンド © 2026 Kentaro Fujii 19
  16. 上場AI株の多くは売上の2〜7倍、未上場は10〜20倍台 横軸=売上(未上場はARR)、縦軸=時価総額‧評価額(億円、両対数) 3,000 30倍 10倍 PFN ティアフォー 1,000 ABEJA 300

    HEROZ LayerX PKSHA エクサウィザーズ ブレインパッド 上場 3倍 1倍 FRONTEO PeopleX Ridge-i ユーザーローカル Kudan 100 Laboro.AI 未上場 ヘッドウォータース AI inside 買収 破線は時価総額÷売上の倍 率。PKSHA約5倍、エクサウィ ザーズ約7倍。上場でもティア フォーは約19倍。未上場は LayerX約10倍、PFN約21倍 Sakana AI(4,320億円)と燈 は売上⾮開⽰のため除外 ニューラルグループ 30 5 10 30 100 300 出典:各社決算短信‧発表、株探(2026年10⽉)、スピーダ推定。決算期は2025年6⽉〜2026年8⽉でずれる。PFNの売上は2023年1⽉期、ブレインパッドはTOB価格 © 2026 Kentaro Fujii 20
  17. AI株の時価総額は2022年に半減、今年回復 上場AI企業14社の時価総額合計(億円、各年末と2026年10⽉) 4,928 5,000 その他9社 4,410 FRONTEO 3,848 4,000 3,499

    3,522 ブレインパッド ティアフォー 3,000 2,281 エクサウィザーズ 2,000 PKSHA 2022年の下落は⾦利上昇と成⻑ 株の売り。2026年はティア フォー上場とPKSHA‧エクサの 回復が押し上げた 1,000 0 2021 2022 2023 2024 2025 2026/10 出典:StockAnalysis(年末時価総額)、株探(2026年10⽉9〜21⽇の時価総額)。ブレインパッドは2026年3⽉に上場廃⽌(富⼠通がTOB) © 2026 Kentaro Fujii 21
  18. 上場AI株の多くは、⾼値から半値以下に沈んだ 公開価格‧上場来⾼値‧現在の時価総額(億円、対数⽬盛) 10 30 100 300 1,000 3,000 ⾼値⽐ ティアフォー

    -49% PKSHA -47% エクサウィザーズ -41% ブレインパッド 買収 HEROZ -82% FRONTEO -87% ABEJA -71% Kudan -91% ヘッドウォータース -62% Ridge-i -19% AI inside -98% ニューラルグループ -98% 公開価格 上場来⾼値 現在 出典:みんかぶ(公開価格の時価総額)、株探(株価‧株式数)。⾼値時の時価総額は株価×株式数による推定。ブレインパッドはTOBの買付総額 © 2026 Kentaro Fujii 22
  19. メガバンクと⼤⼿事業会社が複数社に分散出資 •は出資、◎は⼦会社(各社発表‧有価証券報告書ベース、2026年10⽉時点) Sakana AI PFN LayerX 燈 Mujin Third Intelligence

    Turing キャディ ナレッジワーク ELYZA ティアフォー ABEJA ブレインパッド 出資先数 MUFG SBI • • • NTT系 KDDI 三菱電機 • • • 三菱商事 博報堂DY トヨタ系 SOMPO 富⼠通 • • • • • • • • • • • • • • • • • ◎ • 5 4 3 3 • • 2 2 3 2 2 ◎ 2 出典:各社発表、有価証券報告書、THE BRIDGE。PFNは三菱重⼯とも100億円の出資契約(2026年8⽉)。SOMPOの持分はティアフォー21.3%(上場前)、ABEJA17.3% © 2026 Kentaro Fujii 23
  20. 「AIエージェント」の看板と中⾝には差がある 需要側も、PoCの壁をまだ越えきれていない 技術の実態(企業数のイメージ) 独⾃基盤モデル:⼀握り 5% 統合したAIパイロットのうち、⼤き な価値を出せたのは5%(MIT NANDA、2025年) 約6割 国内で、PoCが期待した効果を出せ

    なかった経験のある企業(IDC Japan) 25.2% ⽣成AIの活⽤を推進している国内企 業。半数は⽅針が未定(東京商⼯リ サーチ、6,645社) 独⾃の⼩型‧特化モデル:少数 外部LLM+RAG+業務フロー:⼤多数 従来チャットボットの呼び替え:相当数 IPAもエージェントの厳密な定義は未確⽴としている。呼び名だけ では技術の深さを判別できない。 出典:MIT NANDA『The GenAI Divide』(2025年)、IDC Japan(2026年3⽉)、東京商⼯リサーチ(2025年8⽉)、IPA。左図は企業数の定性イメージ © 2026 Kentaro Fujii 25
  21. M&Aは増えたが、レイター企業の出⼝は細い 2026年上半期の出⼝の動き 141件 14社 3% M&A関連(37%増) スタートアップのIPO レイターの出⼝到達率 ただしシリーズC以降の企業は11件、全 体の8%

    前年同期を下回った。創薬2社を除く12 社は上場前期に黒字 2025年上期にシリーズC以降で調達した 220社のうち、12か⽉でIPO‧被買収に ⾄った割合 AI領域で⾒られる出⼝‧転換の型 • • • 事業会社による⼦会社化:Almondo(RAG基盤)をテンダが51%取得 主⼒事業を譲渡してAIへ転換:ベルフェイスが旧事業を譲渡し、bellSalesAIに集中 ⼤型出資から買収へ段階的に進む:三菱電機による燈‧エレファンテックへの出資など 出典:Speeda『Japan Startup Finance 2026 上半期』(2026年7⽉)、各社発表 © 2026 Kentaro Fujii 26
  22. 国策の基盤層と、現場に⼊る特化層に⼆極化する 12〜24か⽉の⾒⽴て(公開情報にもとづく筆者の分析) ① 基盤モデルは国策と⼀体化 ② 資⾦は産業特化とフィジカルAIへ ⽇本AI基盤モデル開発(ソフトバンク‧NEC‧ホンダ‧ソ ニーほか)に、経産省が5年で約1兆円を⽀援。新興の基 盤モデル企業は、国策との距離で⽴ち位置が決まる。 2026年の上位調達は製造‧医療‧⾃動運転‧ロボット。

    事業会社が⼤型出資から買収へ進み、現場データを持つ 企業の評価が上がる。 ③ 横断‧部⾨エージェントは再編へ ④ 価格は席数から成果へ ⼤⼿LLMとSaaS⼤⼿の標準機能が重なり、差を⽰せない 企業は統合や事業譲渡に向かう。SaaSのシリーズC以降の 調達減はその前兆。 IDCは2026年を、AIが補助から業務の実⾏役に移る年と位 置づける。処理件数や成果に応じた課⾦と、⼈を組み合わ せたBPaaSが広がる。 出典:共同通信(2026年4⽉)、Speeda(2026年7⽉)、IDC Japan(2026年3⽉)。①〜④は筆者の⾒⽴てで、投資判断の助⾔ではない © 2026 Kentaro Fujii 27
  23. 個社を⾒る5項⽬と、市場を⾒る外部指標 上の3項⽬は事業の持続性、下の2項⽬は収益性と競争環境を⾒る 項⽬ 確認すること 警戒シグナル ARRと継続率 ARRを開⽰し、売上継続率が100%を超えるか 導⼊社数だけを開⽰している 独⾃データ 顧客の業務データが改善に循環する仕組みか

    汎⽤LLMとプロンプトだけで構成 AIを外した事業 業務SaaSやBPOとして単独で成り⽴つか AI機能が唯⼀の売りになっている 粗利と推論コスト 利⽤が増えても粗利率が保てるか 利⽤増に⽐例して原価が膨らむ ⼤⼿による代替 ⼤⼿LLMやSaaSの標準機能との距離 ⼤⼿の新機能発表で解約が出る 外部指標 ITR予測(2029年度135億円)に対する実績の進み⽅、2026年下期の⼤型調達がシリーズCまで広がるか、⽇本AI基 盤モデル開発のモデル公開時期 出典:筆者整理。外部指標の出所はITR(2025年8⽉)、Speeda(2026年7⽉)、各社発表 © 2026 Kentaro Fujii 28
  24. 出典と留意点 数値は2026年10⽉21⽇時点の公開情報 主な出典 • • • • • • Speeda『Japan

    Startup Finance 2026 上半期』(2026年7 ⽉)、同『2025』速報(2026年1⽉) IDC Japan「国内AI市場は今後4年で約3倍に成⻑」(2026年 3⽉) ITR 国内AIエージェント基盤市場の予測(2025年8⽉) PKSHA‧エクサウィザーズ‧ABEJA‧HEROZ‧AI inside‧Laboro.AI‧Ridge-i‧ティアフォーの決算短信‧説 明資料 Sakana AI‧LayerX‧燈ほか各社の発表、TechCrunch、⽇ 本経済新聞、共同通信。時価総額は株探‧StockAnalysis‧ みんかぶ、評価額はスピーダ推定 MIT NANDA『The GenAI Divide』(2025年)、東京商⼯リ サーチ調査(2025年8⽉) © 2026 Kentaro Fujii 留意点 • • • • • 未上場企業の売上‧評価額は会社発表と報道ベースで、監査 済みの数値ではない 市場規模は調査会社ごとに定義が異なり、桁が変わる 企業マップは主⼒事業による分類で、網羅ではない。無調達 の受託‧導⼊⽀援企業は公開情報に現れにくい 今後の⾒通しは公開情報にもとづく筆者の⾒⽴てで、投資判 断の助⾔ではない 時価総額は2026年10⽉9〜21⽇の値で、⾼値時の値は株価× 株式数による推定 29