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ソフトウェアエンジニアの仕事

 ソフトウェアエンジニアの仕事

千葉大学 工学入門C (2017) での講義スライドです
技術キャリアポエムを学生に叩き込んできました

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KON YUICHI

May 09, 2018
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Transcript

  1. スタートアップでの エンジニアの仕事 工学入門C 千葉大学 1

  2. 今 雄一(こん ゆういち) @konpyu 2 1985年 札幌市生まれ 2009年 千葉大学工学部 デザイン工学科意匠系卒

    2011年 千葉大学工学研究科デザイン科学専攻修了 2011年 株式会社ディー・エヌ・エー入社 2013年 株式会社ピースオブケイク入社 Now 同社CTO
  3. 3 西千葉には久しぶりにきました 卒業した途端 立派すぎる図書館が爆誕 いいなあ

  4. 4 ラボは工学部2号棟でした 部屋も机も恐ろしく汚い

  5. 5 卒業制作 熱の仕組みを体感できる怪しい 学習装置をこしらえた

  6. 6 DeNAに就職。ソーシャルゲーム を作って運用する仕事。

  7. 7 活発に議論していま すね

  8. 8 編集者の机はだいたいこんな感じらしい

  9. 9 気づけば7年以上ずっと渋谷勤務

  10. 10 Agenda - デザイン学生だった時代の振り返り - 現在の仕事について - web業界のススメ - 次の12年について

  11. 11 学生時代

  12. 12 2005年に札幌を抜け出し現デザイン学科に入学 当時のデザイン業界のトレンドを思い返すと... ・モノからコトを売る時代へ ・ビジネスレイヤからトータルデザイン ・体験全体をデザインする 大きな枠組みでデザインを捉えていこうぜ的な潮流が前 提としてあった

  13. 13 Lexus ・高級感あるデザイン ・ラグジュアリーホテルのような接客 ・充実したアフターサービス →ただのクルマ購入以上の体験を設計

  14. 14 iPhoneのパッケージデザイン → 箱を開けた瞬間からデザインの範疇、という発想は当 時新鮮だった

  15. 15 デザイン家電がブームに ・白物家電は競争が激化 利益率が低い ・高価格帯での差別化戦略で勝負 5万円する扇風機 あなたは買いますか? ( 私は買いました )

  16. 16 佐藤可士和さんがブイブイいわしてた ・デザイナーはビジネスレイヤから戦略を経営者と考え ビジュアルに落とし込めるべき的な ・ビジネス系雑誌にも頻繁に登場 ・デザイン業界の潮目の変化を象徴していた

  17. 17 総合電機メーカーが苦戦 ・テレビ、ビデオ、オーディオ、デジカメなどのデジタル機 器で出来たことはスマホ一台に集約 ・白物家電は新興国が主役に ・プロダクトデザイナーへの就職がどんどん厳しくなって いた ・インタフェースデザイナーの募集が増えていた ・シャープや三洋や東芝が経営危機

  18. 18 さて就活だ! ・作品集を作って送りつけるもカスリもしない ・向いてへんわ〜と思い方向転換 ・学生時代バイトした経験上、ブラックな勤務実体と権威 主義的な雰囲気に違和感あった (広告賞ってなんだ?)

  19. 19 方向転換 ・高校時代にやっていたプログラミングスキルが活かせ ると思いIT業界へ志望変更 ・toCのサービスをやっている事業会社が面白い気がし た(toBはよく内容がわからなかった) ・色々受けた結果DeNAにいくことに → こんなしょうもないアプリをドヤ顔 で面接で見せていた

  20. 20 DeNA時代 ・2011年に新卒で入社 ・ ガラケーのソーシャルゲームの全盛期。 ・気づいたら球団を買ってた ・渋谷ヒカリエへ移転

  21. 21 DeNAでの仕事 ・ソーシャルゲームの開発・運用 ・モバゲーは当時日本有数のアクセス数。あまりお目に かかれないトラフィック。 ・いきなり修羅場のチームに突っ込まれる ・めちゃ大変だったがいい経験に

  22. 22 ソーシャルゲームのつくられかた ・企画・エンジニア・デザイナの3者でイベントを企画し実 装する ・アイデアを出し、実現方法を考え、少しずつ形にして精 度を上げていく ・ロールが違うだけで、デザイン学科のときとやってるこ とは本質的に同じ ・定性的に仮説を立て、定量的に振り返る

  23. 23 現在の仕事について

  24. 24 現在の仕事 道玄坂の上の方です

  25. 25 cakes (https://cakes.mu)

  26. ・月額500円でオリジナルコンテンツが読み放題(継続課金モデ ル) ・自社でコンテンツを作る 出版社からもコンテンツを頂く ・収益の4割をpoc、6割をコンテンツ提供者にPVに応じて配分す る ・2012年からリリース ・出版社がこれから出す書籍の内容を刊行前から連載する 26

  27. 27

  28. 28 note ( https://note.mu )

  29. ・個人のクリエイターがマンガやイラスト、文章、写真、動画などを 自由に投稿 ・アップしたコンテンツは、無料から最大5万円まで柔軟に課金設 定ができる ・継続課金機能(メルマガ)や独自ドメイン機能も ・2014年4月にローンチ 29

  30. 30 電車で新聞や本を読んでいる人、めっきり減りましたね

  31. 31 いまや、コンテンツ産業の最大のライバルは恋人からのLINE

  32. 32 出版市場はピーク時と比べると1兆円も落ち込み。一方、電子書 籍は伸びているがまだ1000億くらいの規模。

  33. ピースオブケイクのめざす所 インターネットの普及により既存メディアが過渡期にあるなかで.... ・テクノロジーと編集力で、クリエイターが活躍できる市場をネット 上に作る ・面白いものが持続的に出てくるようにするため、メディアビジネス の収益力をあげていく ・CtoC(note) BtoC(cakes) BtoB すべての領域で新しい試みをト

    ライ 33
  34. メンバーのロール - cakes 編集者 - エンジニア ← わたし - デザイナー

    - ディレクター - バックオフィス 34
  35. 35 エンジニア....?

  36. 36 webエンジニアの仕事 ・サーバーの構築・運用 サーバーの構築や監視。障害やアクセスの急増への対策。 ・サービスの開発・運用 新機能の開発や、既存の機能の改善、バグ修正などを考えて実 装する ・データの分析 閲覧履歴や購読履歴などのデータを可視化・分析して施策の立 案・評価をする

    webサービス企業では事業内容そのものだったりする
  37. 37 例) Pixivのサーバールーム かつては、ネットワークを引いて自社で、もしく は、データセンターを借りてインフラを自前構築 するのが主流だった。初期コストも運用コストも 高くなる。 サーバーを冷やすのが大事↑

  38. 38 ・いまはクラウドサービスでポチポチやれば強固なインフラが作れる時代 ・AWS, Azure, GCPが激しく競争 機能が増えすぎて追えない程 ・初期コストは0、使った分だけの従量課金 → 新規サービスをつくる障壁がもの すごく下がった ・スタートアップが最近活発な理由な一因と思う(後述)

  39. 39 機能開発の例 例) noteの記事の下におすすめ記事を何個か表示させたい ・おすすめ記事の定義は? ・1件1件をどのくらいの面積で何件表示させるのがベスト? ・おすすめ記事に他人の書いた記事も混ぜてもよい? ・毎回おすすめ記事を算出すると処理が重いけどどうする? ・この施策の結果をどう測定する?(評価がすごく大事) 単純に見える機能でも、論点はかなりある。細かい作り込みや配

    慮がデキに大きく関わることが多い
  40. 40 デザイナーやエンジニアが中心となって仕様議論 プロトタイプを作り、触ってみてたしかめる (似たようなことを、デザイン学生時代に大量にトレーニングしていた。クリエイティブのプ ロセスは基本的には分野が違えど大差ない気がする)

  41. 41 要件を設計に落としこんで見通しがついてきたら、実装へ 実装すると設計漏れに気づくことがよくある

  42. 42 レビューを繰り返し磨き上げリリース ・社長を交え議論し、何回か作り直す ・QA(動作確認)をし、バグが無いことが確認できたらリリース ・Twitterなどの反応を見る ・Google Analytisを見て実際にどれほど使われているかを定量 的に調べる どのwebサービスもだいたいこのフローでプロダクトを作っている はず

  43. 43 エンジニアのスキルとは① ・webやアプリ実装の技術は学校で教わるわけではない(情報系 の学科でもやらないはず) ・新卒でエンジニアで入社後、研修を通して学ぶ手もあるが、PCと ネットがあれば問題なく自習可能(N予備校で月額1000円で学べ る) ・実践量や前提知識がかなり必要で、継続的に勉強していく必要 がある。

  44. 44 エンジニアのスキルとは② ・現代のソフトウェア開発はチーム戦 ・他のエンジニアやデザイナ、bizサイドのメンバーと円滑にコミュ ニケーションを取る必要がある。技術力だけあればいいわけでは ない。 ・スタートアップの開発ではエンジニアも、そもそもの仕様やビジネ ス要求について議論できないとだめ。言われたことだけやるので は不十分。

  45. 45 スタートアップとは

  46. 46 social network (2010)

  47. 47 スタートアップ? ・単に、新しく出来た会社のことじゃないの? ・ベンチャーとは違うの? ・大企業に勤務するのとは何が違うの?

  48. 48 スタートアップの特徴 ・世の中を変えるようなイノベーティブな製品・ビジネスモ デルを作り、短期間でそれを成長させる ・いままでにないビジネスを展開するのでハイリスク。ゆ えに銀行の融資は期待できない(し、銀行からは借りな いほうがよい) ・一般に、VCや個人投資家からの株式による資金調達 を元手にする ・7〜10年を目標に買収やIPOなどのEXITを狙う

  49. 49 起業のざっくりとした比較 スタートアップ ふつうの起業 事業内容 イノベーティブでまだ誰も手を付けて いないこと。伸びしろが極めて大きい こと。うさんくさい。 カフェや不動産、自動車修理などビジ ネスモデルがすでに確立されているも

    の。わかりやすい。 資金調達 投資家への株式発行 銀行からの融資 目的 明確に EXIT (M&A, IPO) 従業員の幸せ、会社の存続、家族経営 なら家族の幸せ、地域への貢献、とき にはIPO カルチャー 実力主義 スピード重視 走りながら考える 年功序列 安定や信頼性を重視 走る前に熟考
  50. 50 ピースオブケイクの場合 ・ピースオブケイクは2011年創業のメディア系スタート アップ ・株式での資金調達(増資)を何度か行っている ・cakesもnoteも、デジタルコンテンツの直接課金モデル というあまりチャレンジされてこなかった領域を扱ってい る (ネットのコンテンツはタダなのが当たり前で、広告で稼ぐしかな い、というコンセンサスへのチャレンジ)

  51. 51 スタートアップが増えたワケ ・インターネットサービスは初期費用が低い。クラウド サービスが成熟してきてさらに容易に ・成功した人が個人投資家となり、若手のスタートアップ に迅速に投資 ・CAやLINEなどのメガベンチャーが独自のファンドを作 り投資活動 →エコサイクルが成熟してきた

  52. 52 余談 第一暁ビル 9F ペライチ←toC向けwebサイト制作 7F Crevo←動画制作サービス 6F ピースオブケイク←当社 5F

    schoo←教育動画サービス 4F Increments←技術者向けサイト Qiita 2F インフォステラ←人工衛星シェアリング
  53. 53 Gunosyの例 ・増資で得た12億円を一気に広告に投下 ・短期間で一気にDL数を取り優位に ・2015年に無事上場

  54. 54 ソラコムの例 ・IoT向けソリューションを世界展開 ・設立3年未満にも関わらずKDDIが200億円でM&A ・代表の玉川さんは元AWSのエバンジェリストで業界の 有名人 ・信用と実績がある玉川さんが、優秀なエンジニアを集め てスピーディに事業を成長 ・理想的な大人スタートアップだと個人的に思う

  55. 55 で、就職先としてはどうか① ・千葉大の学生はだいたい大企業に(あまり深く考えずに)いく傾 向がありそう ・やりたいことが具体的にある人は、最初からスタートアップなど の小規模組織をおすすめ →日本の教育を変えたい! 農業を変えたい! VRで面白いゲームを 作りたい!

    のであれば、大企業の一部門でやるより手っ取り早い (そもそも配属されるか分からないからね)
  56. 56 就職先としてはどうか② ・専門職として働きたい。フリーランスも視野にいれたいならばテッ ク業界のエンジニアやデザイナはおすすめ。 ・使っている技術やツール、慣習は業界内でだいたい一緒。経験 がスキルに活きやすい。 ・リモートワークや副業にも寛容。 (働き方のカルチャーは業界によって雰囲気がぜんぜん違う) ・教育制度はまったく無い事が多い。成長したければ、事業と自分 と社会の3者が幸せになれるタスクを考えて提案し実践を繰り返

    すのみ。
  57. 57 就職先としてはどうか③ わたしの場合 ・新卒で即ベンチャーはかなり人を選ぶと思う (少なくとも、学生時 代にインターンを経験しておくのがオススメ) ・新卒でメガベンチャー(DeNA)に入ったが、今思うとバランスが取 れた選択肢だった気がする → 厳しく長いエンジニア研修で基礎スキルがついた →

    新卒同期が優秀でいていつでも相談できた。退職後も仕事で よくつきあう → 仕事内容はスタートアップのものと近しい(コレは社風にもよ る) → 安定した組織・制度
  58. 58 次の12年

  59. 59 2005→2017 ・たった12年だけどかなり世界が変わったという実感がある ・買い物は小売店へ行かずともAmazonでOK ・音楽や映像をTSUTAYAで借りなくなった YoutubeやNetflixや Spotifyでたのしめる ・雑誌はdマガジンで読む。もしくはインスタで代替 ・メールでの議論はslackやLINEグループに移行し生産性が上 がった

    ・仕事の相談をすぐにFacebookメッセンジャーで出来る ・女子との出会いは結婚相談所からPairsへ 挙げるときりがない
  60. 60 2017→2029 ・既存技術を改善する延長で実用化される見込みが高いものだけ でも FinTech、リーガルテック、自動運転、仮想通貨、ブロックチェー ン、ドローン、燃料電池車、コミュニケーションロボット、精度の高 い自動翻訳、ワイヤレス給電、IoT、自動レジ、画像認識の医療応 用、VRゲーム 生活を一変させるような、仕事の内容も変わっていくような予感を 感じさせる

  61. 61 Software is still eating the world ・マーク・アンドリーセンが2011年に書いたエッセイ “Why Software

    Is Eating The World” では、あらゆる産業はデジタル 化し、あらゆる企業はソフトウェア企業になると予言している ( https://www.wsj.com/articles/SB10001424053111903480904576512250915629460 ) ・まさに現在進行系 ・ソフトウェアを扱うのに必要な教育やスキルを身につけているひ とは少ない。政府が”情報”を必修化したのは未来の産業構造に 適した人材を育てるためと思う
  62. 62 というわけで ・いちどソフトウェア技術を勉強してみることをおすすめします ・大学で習うC言語よりかは、javascriptやpythonなど楽しくあそべ る用途のあることから始めるのがオススメ ・プログラミングは誰かが導入部分を教えてくれると一気に捗る。 メンタリングしてくれる人を探そう ・仕事にする必要はない。ものごとをIT化して便利にするとはどう いうことかを体感するのが大事

  63. 63 ご清聴ありがとうございました 講義メモは以下にもUPしときます https://note.mu/konpyu Twitter @konpyu