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「到達可能性」の力学─パラテクスト論の拡張と「編成される力」の分析─

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October 07, 2025
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 「到達可能性」の力学─パラテクスト論の拡張と「編成される力」の分析─

本発表は、ジュネットのパラテクスト論の批判的な読解を通して、流通プロセスがモノに残している痕跡としての流通論的パラテクストの概念を提起するとともに、ヒト/モノ/制度を横断した編成assemblageを通して生み出されるものとしての言葉の力について議論する。
多文化関係学会第24回年次大会内でのシンポジウム「ポストヒューマン時代のコミュニケーション学──関係性と主体を問い直す──」での招待報告。

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Kanta Tanishima

October 07, 2025
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Transcript

  1. 事例① ISBN(International Standard Book Number) 「指名(désignation)」: ☞その本がどれであるかを同定する機能 〇 ジュネットにとってのISBN 〇

    ジュネットが見過ごしている側面 ISBNは書物の流通システムの ☞オペレーションとの<つながり> 人間が読む/解釈する記号ではなく、流通システムの オペレーションの中で動作する記号
  2. 事例③ タイトル/書名 読者の期待を誘導するもの ☞『~~殺人事件』では殺人が起こらなくてはいけない 〇 ジュネットにとっての書名 〇 ジュネットが見過ごしている側面 陳列や配架のオペレーションとの<つながり> ☞タイトルは、書店内のどこに陳列されるかを制御

    する<手がかりcue> 書店/図書館などのインターフェースにおいて 読者と出会う確率を制御している ≒一種のSEO(検索エンジン最適化) ニール・ポストマン『子どもはもういない』書影。 メディア研究の古典だが、ある大学図書館で は子供の虐待問題に関する一角に配架されて いた